痛風とは
痛風は、血液中の尿酸濃度が高くなる高尿酸血症が原因で関節に尿酸塩結晶が沈着し、炎症や激しい痛みを引き起こす疾患です。
痛風発作として急性の関節炎が突然現れるのが特徴で、足の親指の付け根(第1中足趾節関節)が最も影響を受けやすい部位です。
症状
激しい関節の痛み
痛風発作は通常、夜間に突然始まり、痛みが非常に強い
関節の腫れ、発赤、熱感
炎症が関節周囲に広がり、触れると痛みを伴う
発作の反復
適切な治療を行わない場合、痛風発作は再発し、慢性化する可能性がある
痛風結節
慢性的な高尿酸血症による結晶の沈着で、皮下に硬い結節が形成される
主な原因
痛風の原因は、尿酸が適切に排泄されない、または尿酸が過剰に産生されることで生じる高尿酸血症です。
これには以下の要因が関与します。
食事
プリン体を多く含む食品(アルコール、肉、魚など)の摂取
生活習慣
肥満、飲酒、運動不足
薬剤
利尿薬やシクロスポリンなど、一部の薬剤が尿酸値を上昇させる
遺伝
家族歴のある場合、発症リスクが高い
一般的な治療法
痛風の治療は、急性痛風発作の緩和と再発予防を目的として行われます。
急性痛風発作の治療
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
炎症と痛みを抑えるための第一選択薬
・コルヒチン
痛風発作の早期段階で使用し、炎症を軽減
・ステロイド
NSAIDsが使用できない場合、または効果が不十分な場合に使用
再発予防と高尿酸血症の管理
・尿酸降下薬
アロプリノールやフェブキソスタットなどが尿酸値を低下させ、発作を予防します
・尿アルカリ化薬
クエン酸製剤で尿酸の溶解を促進します
生活習慣の改善
・食事療法
プリン体を多く含む食品やアルコールの制限
・水分摂取
尿酸の排泄を促進するために十分な水分摂取が推奨されます
・体重管理
肥満の改善により尿酸値が低下します
血管内治療(動注治療)
慢性化した局所的な炎症性血管が疼痛に関与している場合、動注治療により炎症血管を減らし痛みを減らすことが期待できます。
※外来で問診・診察・エコー検査を行います
※日常の生活習慣を改善することも非常に重要です
治療経過
・適切な治療を行うことで、急性痛風発作の痛みは数日から1週間で軽減します。
・長引く痛みや繰り返す痛みは血管内治療が効果的なことがあります。
・再発予防として尿酸値を管理することで、発作の頻度を大幅に減らすことが可能です。
参考文献
Richette P, Bardin T. Gout. Lancet. 2010;375(9711):318-328. doi:10.1016/S0140-6736(09)60883-7.
Dalbeth N, Merriman TR, Stamp LK. Gout. Lancet. 2016;388(10055):2039-2052. doi:10.1016/S0140-6736(16)00346-9.
日本痛風・核酸代謝学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン. 日本痛風・核酸代謝学会, 2021.