指導理念
◆稽古内容と目的◆
・礼法や所作事を修得させ、日本の伝統文化を次世代に継承できる人材を育成する。
・刀の概念で剣道の基本動作を学ばせ、生涯剣道を継続できる素地を養う。
・剣道を学問的な視点から捉え、将来、各分野のリーダー的役割を担うことができるよう、何事にも疑問を持ち、よく考え、行動できる社会人の育成。
・稽古や試合を通じて、勝負事のはかなさ、風流で優雅な立ち居振る舞い、相手への思いやりを学ばせる。ひいては日本人らしさとは何かを知り、国際社会での活躍を期待する。
■ 道場訓 ■
親に孝行 礼儀を正しく 勇気を尚べ
(おやにこうこう れいぎをただしく ゆうきをたっとべ)
■ 指導理念 ■
もののあわれを感じ
風流(ふうりゅう)で優雅(ゆうが)さがあり
思いやりのある日本人たれ
【解説】
「厳しい勝負の世界から『もののあわれ』を学び,剣道の世界〈寒・暑中稽古や理法など〉に強い影響を与えている自然に学んで『風流』を身につけ,詩ごころ〈歌心〉や,一木一草のゆらぎにも感動する心を育てる。
また,剣道の攻防や作法などの所作ごとにおいては,粗野・粗暴でなく,『優雅』な美しい動きを心掛ける。
そして,これらのものを通じて『思いやり』〈愛・慈悲の心〉をもち,日本人本来の美しい民族性を取り戻せ」ということ。
「私のねがい」
西雄館(五島・馬場道場)初代館長 馬場 武雄先生
私が指導育成している愛し子たちに対して、特に保護者に対して切望している二つの点がある。
一つは子供を将来どの学校に入れたいとか、どんな職業に就かせたいと考える前に、この愛し子をして「どんな人間になってもらいたい」と、それを第一に真剣に考えてほしいと思う。
私は道場教育によって、この愛し子達が生涯中に、あらゆる困難辛苦や困苦欠乏に逢着しても、それを克服し乗り越えてゆく強靭な不屈不撓の「生命力」をこの修行によって備えさせたいと念願しているものである。
最近、世の親の中で、この人生中で最も身体智能が急速に伸びて、生涯を左右するといわれる幼少年期に「学習が大事だから」と、この人生を決する「生命力の研修」を中止したり、断絶する人々が見られるが「健全な身体に神宿る」「生命あっての物種」である。
学問や事業は生涯を通じて、何度でも何度でも挑戦や再起はできるが、「人間づくり」「生命づくり」は待ったがないのである。
古人の「鉄は焼けたうちに鍛へ」の訓えは切実である。
何卒この二点は愛し子のためばかりでなく、子孫のために心肝に銘じて頂きたいと希うものである。
(昭和四十五年)