抜刀(ばっとう)
投稿日: 2013/09/12 14:06:28
馬場一門の竹刀の抜き方には流儀があります。
鞘(さや)から刀を抜くような動作で、据物(すえもの)切りのように抜くのがその方法です。(動画道場)
昨今、竹刀を抜く際、腰からすぐ構えの位置に持ってきたり、あるいは刃筋を無視して横から、ひどい場合には下から抜く場合も見られますが、昔の文献からみると、当時の著名な剣道家は、竹刀を刀として抜くことにポリシーを持っていたようです。
(その1)
蹲踞の姿勢をとりながら右手を以て大きく頭上から体の正中面を通して抜く。
【注意】刀を抜くとき、腰からすぐ構えの位置に持ってくる者、所謂小さく抜くものがあるが、刀は腰から上に柄を挙げながら我が正中線を通して、頭上から大きく抜くがよい。
(「増補・改訂 剣道学」金子近次著)
(その2)
柄を握りたる右手は…頭上に刀を抜く心持ちにて上に抜くなり。
(「剣道新手引」 堀田捨次郎)
(その3)
右手の親指をもって下より鍔元を支え上げ、鞘より抜く考えにて、かつ、敵を真っ向より撃ち下ろす心持ちを以て抜き放ち左手にて柄頭を握る。
(「剣道」高野佐三郎)
(その4)
鞘に納まっている刀を抜く心持ちで、蹲踞しながら正中面上に抜き放つ。・・・このとき抜き放つ刀を以て、敵を一刀両断にする心で体前に取り、左手を添えて柄頭を握る。
(「剣道神髄と指導法」 谷田左一著 高野茂義校閲)