鎬(しのぎ)

投稿日: 2013/08/15 11:32:27

鎬とは、日本刀の両側面の一番厚くなっている部分。

剣道の竹刀は四枚の竹を重ねてありますが、弦(つる)のある面が峰(みね:または棟(むね))、その反対側が刃(は)、両側面を鎬の部分と見立てています。

実際に刀を使うと、相手の刀を刃部で受け止めたり、鍔迫り合い(つばぜりあい)をすると刃こぼれしてしまうので、鎬を使います。

剣道で鎬を使う代表的な技として、すり上げ技がありますが、小学生の試合でも、相手が先に打ってくる技を、鎬を使って軽妙にすり上げ面で打ち返す様は、芸術的です。

一般にも「鎬を削る(しのぎをけずる)」ということわざがありますが、互いの鎬が削れ落ちるほど激しく争うさまを例えています。

しかし、剣道の試合や稽古で、鎬を使うどころか、鍔も合わせない拳合わせのような緊迫感のない鍔迫り合いを見かけることがよくあります。

また、全日本選手権の試合巧者でも、間が近くなるとすぐ相手の肩に竹刀を掛けながら別れるような、刀の意識を全く無視した試合展開を見かけることも多々あります。

剣道人が互いに刀を扱う意識で、まさに鎬を削り合う戦いをすればもっと剣道が魅力的で芸術的なものになっていくことでしょう。