『指導者の目線』「他者から学ぶ」~第40回記念長崎県少年武道大会~

投稿日: 2013/12/02 12:45:36

雄心舘 馬場 武史

「チームワークの勝利」

中学生の部優勝の島原第一中学校は、エントリーした7名全員が剣道着・袴に胴・垂れを着けて表彰式に参加しており、誰が補欠かわからないくらい、みな誇らしげで立派な態度でした。その他の表彰チームのいくつかも正選手と同様に補欠が表彰式に参加していました。

大会前のアップでも、エントリー全員が面を着けて稽古している光景はいくつか見受けられました。中には余りが出ないよう8名で稽古しているチームもありました。たとえその大会に出られなくても、その雰囲気の中で稽古をしたり試合を応援することは、普段の稽古とは得るものが違います。むしろ試合に出ない人の方が、いろんなものが目に映り、その経験は次回以降の大会にも必ず活きてくるものなのです。入賞するチームはこのようなことが当たり前にできていて意気込みが違います。

とはいえ“勝負は紙一重”。

雄心舘の中学生も優勝した島原第一中学校と対戦し、あと少しのところまで追いつめたのですから、“紙一重の差”は十分肌で感じたことでしょう。

試合に出ない人も面を着けて一緒になって稽古相手をしたり、次の試合の組み合わせや相手の情報などを常に把握し、選手を安心させる。些細なことでも、選手にとって大きな心の支えとなります。そうやって正選手も試合に出ない仲間たちに感謝の気持ちで精いっぱい頑張ることができる。

入賞するチームとそうでないチームの“紙一重の差”は、チームワークにあるといっても過言ではありません。

「正中線と間合いで勝つ」

入賞チームの選手は皆、足を巧みに使って相手の中に入り込み、正中線をすかさず奪い、相手を打つことが得意でした。

優勝したチームでいえば、小学生は真崎少年の大将三浦君。ススッと相手の嫌な間合いに入り正中線を取って、相手が居ついたり出遅れたところに面を打つのが得意。中学生は島原第一中学校の大将市原君。福江西雄舘との代表戦では、難しい相手にひるむことなく最後まで間を詰めて正中線を奪うと、ついに飛び込み面を決めました。

小学生3回戦で真崎少年に惜敗した愛野少年の小柄な選手たちも、相手よりもかなり不利な条件であったにもかかわらず、積極的に間を詰めて大きな相手に立ち向かいチームに貢献していました。試合中、仲間も「中にもっと入り込め!」と激励しており、チーム全体が自分たちのやるべき剣道をわかっているようでした。

最近、小学生では、黒髪少年や不二剣などの佐世保勢が元気のよい剣道でたびたび入賞しています。黒髪少年と対戦した雄心舘は、正中線の奪い合いで負けてしまいました。足を叩いたりして間を詰めてくる相手に、つい受けが先になり剣先を外してしまい正中線を奪われ一瞬遅れて面を打たれました。

剣道で一番大事な正中線。そして間合い。勝負の鉄則はここにあるのです。