すかんち
ロックミュージックにおいて「遊び心」とはBeatles以来の伝統であり、
超重要なのですが、すかんちは遊び心を究極の次元で
突き詰めた偉大なバンドだと思います。
パクりぎりぎり一歩手前のサウンド(ぎりぎりアウトにも感じる)
が音楽ファン心を実にくすぐります。
これは凄く難しいことで、パクりをオマージュに感じさせる手腕と
元ネタへの圧倒的な愛が無くては出来ない芸当です。
ローリー寺西のギターは超絶で、日本を代表するギタリストですね。
素晴らしいバンドです。
メンバー:
ローリー寺西 Vo.&Gu.
shima-chang Ba.&Vo.
小畑ポンプ Dr.
小川文明 Key.
ドクター田中 Key.&Vo. ~1993
すかんち / 恋のウルトラ大作戦(1990)
9/10
1stアルバム。とってもテンションが高くて素敵です。
代表曲満載の一枚です。ハードロックを基調としたどの曲もバラエティ豊か。
人を食ったようなクラシックロックパロディの雨嵐で楽しいですね。
恋のT.K.O.は恋のピンチヒッター的なリフを持つナンバーですが、
ここで聴けるギターソロ、僕が日本で一番好きなギターソロです。
音のひとつひとつが脳髄のつぼを的確についてくる感じでサイッコーに気持ち良い。
もはや合法ドラッグの領域ですな。このソロなだれ込みからドクター田中のメロウなBメロ展開が
一筋縄に行かない感じで恐るべき才能を感じさせる名曲です。
君は窓辺のパントマイムも疾走感のあるポップなナンバーで良いですね。
初っ端からLed Zeppelinへのオマージュが効果的です。
魅惑のYoung LoveはアメリカのバンドAngelの完コピと言っていいナンバー(笑)。
メロウなメロディが美しいですね。
全力を以てZepなウルトラロケットマン。何曲引用しているのでしょう。
ファンキーなROLLYのボーカル、キーボードが最高にカッコいいです。
炎のロックマシーンはシンプルなR&Rかと思いきやGenesis的展開があったりして。。
ドクター田中の涙シリーズ第一弾涙の転校生。モータウン的なビートが可愛いポップナンバーで
アルバム中の重要なアクセントとなっております。
秘密の24時はMott The Hoopleまんまだw
恋のショック療法はビート感溢れるナンバーで、曲展開が非常に複雑で凄い。
凄まじい完成度を誇る名曲でしょう。
最期のスローソンの小屋もカッコいいですね。Zepの土臭いナンバーみたい。
1stからして圧倒的に完成されています。
すかんち / 恋のロマンティック大爆撃(1991)
9/10
前作のジャケも凄いけどこのジャケも凄い。購買意欲を全くそそられません(笑)盤面までこのノリ。
基本的には前作の路線を踏襲した一枚ですが、
バラエティの幅がさらに広まっている様な気がします。
恋はB.O.M.B.E.R.一曲目からあまりにも馬鹿馬鹿しすぎる歌詞世界が最高の
ロックンロールナンバー。何にも考えないで楽しめます。
楽曲としても単純にとってもカッコいいのです。
恋の1,000,000$マンは結婚詐欺師がテーマの(彼ららしい世界観が非常に良い)
メランコリックなロックンロールナンバー。初期の大名曲です。
キャッチーなサビに美しいギターソロが哀愁を誘います。最高。
怪傑!笑い仮面はHelter, Skelter感あふれる複雑なナンバー。大好きです。
song for a weekの出だしはMott The Hoopleまんま。どんだけ好きなんだw
大逆転~涙の卒業式~は涙シリーズ第二弾。卒業式での甘酸っぱい失恋が歌われる
ポップで切ないナンバー。ドクター田中の声超高いな~。
109で待っててよも好きです。女の子にもてあそばれるモテない男のテーマでしょうか。
ちょっと古臭い歌謡曲的メロディが良いですね。shima-changのボーカルソロパートも効果的。
好き好きダーリンは歌詞カードにある通りスペースロックオペラそのもので、
劇的な曲展開が熱い。メンバーが役柄毎にボーカルを分け合いますが、
それぞれ凄く感じが出ていて素晴らしいですね。哀愁漂ったギターソロも美しい。
名曲中の名曲で、この曲無しでこのアルバムは語れません。
こちらも随所に名曲溢れる傑作でしょう。
すかんち / 恋の薔薇薔薇殺人事件(1992)
8/10
超派手なジャケの3rd。前2作に比べ、重苦しい雰囲気が漂います。
かなりハードロックの方向に振れている感じ。
個人的には他のアルバムに比べると少しメロディが弱い感じがするかなぁ。良い曲多いんですが。
恋のマジックポーション(恋のロンドンミックス)は彼らの代表曲のリミックスバージョン。
原曲と大きくは変わりませんが、こちらは音像が柔らかめ。
キーボードがかなり前に出てきてる印象。個人的には原曲が好きなので少し残念。
しかし、この曲は本当に素晴らしい。ポップでアッパーなメロディはとても美しく、
重いギターリフと実に激しく絡み合っていますね。
最期延々ジャムる展開は僕のツボです。かっこよすぎ。
恋のローラースケートはパワーポップ系ナンバー。ポップなんですが、
何か重苦しいサウンドプロダクションがちょっとミスマッチな様な。。
ラブレターの悲劇はファンキーでカッコいいです。これもまた全力でZepですが(笑)
ラブラブギャンブラーはアバンギャルドなサウンドプロダクションが印象的な
暴力的ナンバー。ドコドコドラムとかぶっ壊れたサビとか。異色。
フローラはいかにもブリティッシュな劇場的マイナーバラードの大作。
この路線はよく合ってますね。カッコいいです。
ボヘミアン・ラプソディーIIはタイトル攻めすぎw曲の方はQueenのSon&Daughterと
Father To Sonのオマージュですね。いやー色んな意味で凄い。
すかんち / OPERA(1993)
9/10
中期すかんちの傑作でしょう。これまでのポップセンスを活かしながら、
サウンドの方はヘヴィーでカッコよくなっております。
名曲も多数収録しており、ハードロックサイドでの最高作ではないでしょうか。
Grave DiggerファンキーなZep的ハードロックで滅茶苦茶カッコいいです。
ちょっとScorpionsのHell Cat的な感じがあるのですが、
小さい~と叫んでいる箇所があります。これって空耳アワーの。。
つづく仏壇返しにはかなわないもファンキーなハードロック。これもカッコいい。
ホーンセクションが実に効果的。サウンドプロダクションの飛躍的進化が凄まじいですね。
恋するマリールーはパワーポップサイドの最高傑作。キャッチーなメロディが堪りません。
しかし元ネタ多数で数え切れんw(Queen, Van Halen, Wings, Raspberrys, 大瀧詠一等々)
LOVE LOVE HOLIDAY~ふたりはアイドル~はROLLYとshima-changのデュエット。
兎に角ノリノリのナンバーですね。振り切れたようなポップさが良い。
Thank Youは小畑ポンプ作曲の切ないミドルテンポナンバーの傑作。
この人たまにしか曲を作りませんが、凄い名曲を生み出しています。
恋人の別れがテーマですが、詞世界は誰もが共感するところでしょう。切ない。
仮面の接吻(くちづけ)は8分越えの大作。タンゴ的なメロディをベースに複雑な曲展開を見せる名曲です。
ギターソロはいつもながら超絶でカッコいい。
最期の涙シリーズ涙の選択科目。非常にポップでいつも通り良い曲ですね。
さよならの贈り物、これもSF的な世界観が素晴らしいバラード。
タイムカプセルで長い眠りにつく少年とそれを見守る両親。この発想で曲を作れるROLLYはやはり天才でしょう。
最期のROLLY HORROR SHOWも疾走感あふれるR&Rで楽しいですね。
ここが絶頂期ではないでしょうか。本作を最後にドクター田中は脱退。
すかんち / GOLD(1994)
9/10
またしてもきっついジャケです(笑)これはレジに持って行きにくい。。
しかし内容の方は非常に充実しています。
色んなジャンルの楽曲に挑戦している感もあり、収録曲も多く、
溢れる創作意欲を感じることが出来る名盤です。
いかすぜ!ミッドナイトDJ!はストレートなR&Rですが、
ブライアンバートンルイス氏の意味不明なまくし立てが非常に効果的。
Bメロがクリスマスソングそのままなのですが(笑)。
うそつき天国は歌謡曲へのオマージュをハードロックに乗せたナンバー。
非常にポップスですが、ヘビーなサウンドがカッコいいですね。PVが酷かった記憶が。。
おまえは俺のモノ、歌詞が中々哲学的(森雪之丞)。キーボードが完全にQueenですw
曲自体はいつになく真面目な印象を受けますね。美しいメロディの名曲でしょう。
恋は最後のフェアリーテール。美しいポップナンバーですが、
英国のMr.Big(ドリル使わない方)の丸パクリ感が凄いっす。
ROLLYってあんまり有名じゃないバンドには容赦ない感じがありますね(笑)。
サビはshima-changの腰に来る太いベースがブリブリ行ってて、
絡み合う美メロが堪らないです。名曲でしょう。
shima-changのSong For Heaven, Sugar Sugar Babyどちらも素晴らしいです。
前者は壮大なバラード、後者はshima-changボーカルのポップで可愛らしいナンバーです。
時間の言葉は8分近い壮大なバラードこちらもいつになく真面目。壮大の一言に尽きる。
Black Dreamはなんじゃこりゃw XJAPANかな?ROLLYのヤケクソなボーカルが良いですね。
眩しい光も6分を超える壮大なバラード。素晴らしいですね。
最期の惑星ギリニウム、リトルマーメ○ドかな?って感じで面白い。
色んなアプローチが高度な次元で成功している傑作だと思います。
すかんち / DOUBLE DOUBLE CHOCOLATE(1995)
8/10
2枚組にしてラストアルバムです。ライナーノーツを見る限りでは、
まだ続ける意思がROLLYにはあったようですが。。
完成度の高い楽曲が多数収録されています。しかしながら、
アルバム通しで考えると散漫な印象を受けざるをえないかな。
あと前作からその傾向はありましたが、ハードロックの垣根を思いっきり超えちゃってる曲多数です。
これは賛否両論だったのではないでしょうか。
ペチカはマイナー調の歌謡曲メロディにQueen的なコーラス,ギターが乗るシングル曲。
良い曲ですね。コーラスが非常に効果的です。
君を好きになったも思いっきり歌謡曲メロが印象的。メロディが素晴らしいです。
グッバイルビーチューズデーはブルージーなバラードで、ROLLYの力強い歌唱が光ります。
HAPPY WEDDINGはデ○ズニー的悪ふざけの世界。ストーリー的な歌詞が面白い。
ロビタは名曲。これは手塚治虫の火の鳥に登場するロボットをテーマに描かれたバラードで、
壮大な漫画の世界観に実に合致しています。
Aメロ・ギターソロは恋のショック療法と全く同じというのも面白いです。
レターマンは疾走系のポップナンバーで単純明快にカッコいい曲。
ちょっとSweetのAction!っぽい。歌詞は外国人の片思いがテーマでこれも面白い。
涅槃で待たないではストレートなR&R。死ぬ前に武道館したかったという歌詞は切ない。
全体的にメロディアス・歌謡曲的なテイストが強めかも。でも良いアルバムです。