忌野清志郎
皆さんご存知の日本ロックのゴッドファーザー。
数々の事件を巻き起こすセンセーショナルな側面を取り上げられることが多く、
僕は清志郎さんのそういったところも勿論最高と思うのですが、
メロディメーカーとしても素晴らしい人だったと思います。
後続に与えた影響は計り知れず。
RCサクセション,タイマーズ,2'3S,Little Screaming Revue,Love Jets等結成ユニット多数。
僕もそのすべてを完全に理解は出来ていませんが、
数が極めて多い清志郎さんの素晴らしい音楽を楽しむ入口の一助となれば。
RCサクセション / 初期のRCサクセション(1972)
9/10
タイトルがいかしてます。1stからすでに圧倒的な個性が爆発するフォークアルバム。
メンバーは忌野清志郎(Vo, Gu)破簾ケンチ(Vo, Gu)小林和生(Ba, Vo)の三人。
フォークのスタイルをとっていますが、激しい曲調・歌詞はロックそのもの。
いや、もはやパンクだろうか。言いたいことを言うというスタイルは既に完成。
どの曲のメロディもポップで親しみやすいです。
「僕の好きな先生」いわずと知れた名曲です。高校生のときに好きだった美術の先生をテーマにした
可愛らしい一曲。すっとぼけた感じのメロディが極めて印象的。
「2時間35分」は彼女との長話がテーマ。ポップですが少し陰りのあるメロディが変わってます。
「シュー」の歌詞も良いですね。烏合の衆~烏合の衆~,一人じゃ何にも出来ない癖に
すでに尖りまくってます。「言論の自由」も同じく。本当のことなんか言えない,言えば殺される~
「この世は金さ」~「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」の連続も皮肉めいててカッコいい。
最後「寝床の中で」はくらーい歌。なさけーなーいーというサビが印象的ですが、
この感じは次作に続いて行きます。
RCサクセション / 楽しい夕に(1972)
9/10
やたらに尖ってた1stに対し、内省的な一枚。音の方はかなりシンプルに。
個人的な印象ですが、東京の隅っこで暮らす貧乏な青年の日常を描く
一大コンセプトアルバムという感じがする。それほどに世界観が徹底されてる。
シンプルな歌・サウンドから紡ぎだされる世界はものすごくリアル。
歌詞も凄く詞的で少ない言葉から内面のありのままをさらけ出しています。
「エミちゃんおめでとう」は可愛い彼女の無知をバカにしつつも,そのままの君が好きだと
歌われるほのぼのしたナンバー。リンコさんの小ばかにした様なボーカルが良い。
「忙しすぎたから」は名曲。破簾ケンチ氏がボーカルをとる。糞熱い狭い4畳半の部屋で夕べ男が
一人黄昏ている感じが良く出ています。夏が攻めて来てゴキブリが死んだらもっと良い友達に会えるかもしれない。
だるい雰囲気だけどどこかロマンティック。メロディも至上です。
「九月になったのに」おっそろしく暗いなぁ。もはや恨み節です。
清志郎の叫びに似た歌声が苦しくて素敵。そちらも9月になりましたか?
「もっとおちついて」名曲です。片思いをぶつけてくる女の子にもっと落ち着いてと諭します。
こちらも鬼気迫る清志郎のボーカルは必聴。
「日隈くんの自転車のうしろに乗りなよ」~「ぼくの自転車のうしろに乗りなよ」はストーリーが続いています。
彼女が出来たのでしょうか。日隈君は哀れにも捨てられてしまいます。
ぼくの~はこのアルバムの白眉と言える名曲。抑えた調子で歌われるAメロから怒涛の叫びを聴かせるサビ。時代の先を進みすぎています。
君は言ってくれた僕は悪くない 僕はそれほど悪くない 僕はちっとも悪くない 君だけさ忘れない
別れてしまったのでしょう。あまりに切ないけど美しい最後。
某誌では本作を日本のロック史上最高の傑作としておりましたが、気持ちはわかります。
ここから約4年、RCは不遇の時代を迎えます。
RCサクセション / シングル・マン(1976)
10/10
4年ぶりにリリースされた3rd。それまでのアコースティック主体のサウンドから、
幾分かロック的なアプローチが見えて来ています。
内容の方は、あまりに素晴らしすぎます。最高のメロディが最高のアレンジで奏でられ、
詞世界も至上のものに。苛立ち,悲しみ,温かさ。それらの感情が短い言葉で極めて情感的に表される。
これほどの作品が全く売れないというのは悲しすぎる事実。
音は全体的にふわーっとしていて天国に行きそうな雰囲気。荘厳ささえ感じる。
「ファンからの贈りもの」贈り物は彼女へ。つまらねぇものはゴミ箱へ。
ファンキーなメロディに乗る不敵極まりない歌詞。パンクだなぁ。
「大きな春子ちゃん」リンコさんの歌う名曲。春子ちゃんに宛てた他愛のないラブソングですが、
美しいメロディとコーラス。途中のピアノソロが完全に天国の音です。
「夜の散歩をしないかね」ピアノ主体の美しいジャジーなバラード。
シンプルですが、清志郎の何だか泣きそうな声が素晴らしくメランコリック。
「ヒッピーに捧ぐ」は仲の良かった友人の死を受け入れられない悲しみをストレートに歌う。
清志郎の最後の唸り声があまりに壮絶。何かが乗り移っているかの様な凄まじい曲。
「うわの空」も美しいバラードです。この浮遊感もあの世感が凄まじい。
煙のように自由な彼女と別れてしまったのか(死すら感じる)。君は空を飛ぶのが大好きなんだ
「冷たくした訳は」はファンキーなナンバー。歌詞も好きなコに意地悪をしてしまうという可愛らしいもの。
でもうちに籠った感じの音が何となく不穏な感じだ。
「甲州街道はもう秋なのさ」はあまりにどん底なバラード。サビで繰り返される嘘ばっかりの絶叫には鳥肌。
最後は名曲「スローバラード」で終わります。極めて少ない言葉数で歌われる市営球場,車の中での一夜。
表現力の塊の様な清志郎のボーカルはいつ聴いても鬼気迫るものがあります。圧倒的な説得力。
渾身の一作も全く売れず。あっという間に廃盤に。破簾ケンチ氏は精神を病み脱退。この後さらに4年間、不遇の時代は続きます。
RCサクセション / RHAPSODY(1980)
9/10
前作から4年の時を経てリリースされたライブアルバム。前作までの路線をかなぐり捨て、
完全に別のバンドとして再生しています。まさにロックンロールの王道を行くサウンド。
しかし一点の迷いもなし。カッコよすぎます。
ロックンローラーとしてのキヨシローのキャリアのスタートを華々しく飾る一枚です。
ギターに生涯の盟友となる仲井戸麗一(チャボ),小川銀二(すぐに脱退)が加入。
ドラムに新井田耕三,キーボードにG2を加え6人編成に。ホーンセクションもド派手に決まっています。
「よォーこそ」メンバー紹介をいかしたロックンロールに変えてしまう圧倒的センス。ぐいぐい突き進みます。
「エネルギーOhエネルギー」は疾走感ある典型的R&R ただ座ったままで年老いていった奴を知ってるぜ
でもオイラに関係ねぇ ここまでの不遇を考えると説得力が違い過ぎる歌詞。
表題曲はレゲエ風のバラード。駆け落ちしようとしているカップルでしょうか。
希望を感じさせる歌詞に晴れやかなメロディ,小川氏のギターソロが美しすぎる名曲・名演です。
「エンジェル」はこれはアンジーですね。しかしガードレールとか歩道橋とか出てくる言葉の選び方が良いですね。
「雨上がりの夜空に」もはや何も言うまいという名曲。Mott The Hoopleによく似た曲がありますが、
そっちを超えちゃった感じ。車とセックスのダブルミーニングがイカしてます。
「上を向いて歩こう」の爆走カバーからラストのストレートな「キモチE」でしめます。
名曲多数。ロックンロールな清志郎を味わいたい人には入門編としても最適な一枚でしょう。
RCサクセション / PLEASE(1980)
8/10
復活後初のスタジオアルバム。前作はバリバリにロックロールしてましたが、
本作は少し抑え気味でしょうか。ポップな方向に大分振れている感触。
キヨシロー本人も認めていましたが、本作は音がかなり細く、迫力が不足しているのも原因か。曲の方は粒ぞろいです。
「ダーリン・ミシン」は細かいギターリフがその名の通りミシンの様な名曲。
ポップなメロディを持つストレートなロックンロールで素敵です。不遇時代からのナンバー。
「トランジスタ・ラジオ」超名曲です。甘酸っぱいメロディとストレートなチャボのギターリフ,
キュートなホーンセクションが渾身一体となった完璧なナンバーです。
最後のコーラス,ホーン,キヨシローのボーカルが絡み合うアウトロの展開が素晴らしすぎる。
「モーニングコールをよろしく」はシンプルなバラード。メロディの良さが光る。
「たとえばこんなラブソング」これは後々のアレンジが素晴らしく、本バージョンは若干練り切れていない感じで消化不良。
歌詞は素晴らしいです。安っぽいラブソングしか歌えない,俺にはそれしか出来ないけど言葉で何が言える?という感じ。
「Sweet Soul Music」ではオーティスへの愛をファンキーに歌う。
「ぼくはタオル」はボディドリービートのちょっと変なナンバーで干されていた時代の恨み節。
「いい事ばかりはありゃしない」中央線沿線を舞台としたスローブルースの名曲。金が欲しくて働いて眠るだけ
歌詞の一つ一つが染みます。
「あきれてものも言えない」これも干されたことへの恨み節。こっちはヘヴィなブルースナンバーで、
チャボのギターがギンギンで強烈。ただただカッコいいです。
しかしジャケットのキヨシローがカッコいいなぁ。
RCサクセション / EPLP(1981)
8/10
76年~のシングル曲を纏めた編集版。粒ぞろいの楽曲が収録されています。
「わかってもらえるさ」名曲ですね。わかってもらえないことを嘆きながらもいつかに希望を託します。
今だからこそその素晴らしさを堪能出来る。メランコリックな優しいメロディ。美しいナンバー。
「ステップ!」はディスコテック全開なナンバー。キヨシローのボーカルが高度ですね。
演奏はスタジオミュージシャンにすり替えられているとのこと。確かにやたらアレンジが歌謡曲的。
「ボスしけてるぜ」はうちのベーシスト一押しのナンバー。永遠の労働者の悩みを代弁。
物凄い歌詞だな。散々煽っておいての ボス、愛してまぁす! カッコいいぜ。
「よごれた顔でこんにちは」わかってもらえるさのB面で静かな調子の可愛らしいナンバー。味があります。
「君が僕を知ってる」超名曲でしょう。圧倒的な優しさ,包み込まれるような温かさを感じます。
ギターのアレンジは完璧で、12弦ギターの美しい音色が優しいメロディに絡みます。
何から何まで君がわかっていてくれる,僕のことすべてわかっていてくれる 離れ離れになんかなれないさ
RCサクセション / BLUE(1981)
10/10
復活後2枚目のスタジオアルバム。これも音が悪い。しかし、前作と違い圧倒的に良い方向に。
兎に角過剰にぶっとい音が強力で堪らないのです。
楽曲の方は全て名曲。8曲という少なさもまたイカしてるし、5人編成時の最高傑作でしょう。
チャボのギターも全体的に最高過ぎて一気に大好きなギタリストになりました。
「ロックン・ロール・ショー」ひきずる様なリズムに乗るザラついたギター。
キヨシローのぶっ壊れそうな暴力的なボーカルと超カッコいい幕開け。
役立たずの神様ぁ!ハードロックが大好き♪なんて久々に超不敵な歌詞で最高。
「Johnny Blue」は古井戸の飲んだくれジョニィのカバーですが、全く別の曲に。
疾走感溢れるポップなロックンロールに変貌。こちらの方が個人的には夜の感じを徹底的に引き出すアレンジだと思います。
「多摩蘭坂」美しいバラード。徐々に盛り上がって行くメロディと情感的な歌詞の世界が美しすぎます。
夜に腰かけてた 中途半端な夢は 電話のベルで覚まされた 無口になった僕はふさわしく暮らしてる
「まぼろし」サイケデリックなバラードの大作で大好きな曲です(どん底の76年頃の曲で、
You Tubeに挙げられている井上陽水の前座ライブでの演奏は鬼気迫るものがあり、必見)。
ここで歌われるのはどん底にいる主人公が自殺してしまった友人のまぼろしに追われるという幻想的な世界。
この友人と言うのは前述した日隈君とのことです。重いテーマですが、あまりに美しすぎる。。
チャボの情熱的なギターソロも堪りません。
「チャンスは今夜」はチャボがボーカルのストレートなロカビリーナンバー。ガチャガチャしたギターがカッコいい。
歌詞は典型的ロックンローラーって感じで少し古臭いですが、んなこた良いんだよ。
「よそ者」は港町ブルースって感じの渋い一曲。美しいメロディが光ります。チャボのギターソロ。
これもあまりに情感的で堪りません。
「あの娘のレター」完成された詞世界です。海外に旅立っていった彼女。送られてきた手紙。
別れの日を思い出す主人公。メロディの方はStand By Me+Baby It's Youという感じでメランコリーでポップな名曲。
全体的に夜を想起させるサウンドとメロディ。永遠にリピート出来る最高のロックンロールアルバムです。
RCサクセション / HARD FOLK SUCCESSION(1982)
8/10
人気絶頂のさなかにリリースされた初期フォーク時代の編集盤。
ここでしか聞けない楽曲を複数収録しており、マストバイな一枚です。
「どろだらけの海」環境問題がテーマ?デビュー曲「宝くじは買わない」(残念未収録!)のB面。
めずらしくサビが英語です。ちょっとサイケちっくですね。真面目な曲。
「イエスタディをうたって」なんてことない曲ですが、清志郎の妙に意地悪気なボーカルが印象的。
「キミかわいいね」これ最高です。可愛いだけの女の子への痛烈な皮肉。シングルカットされたそうですが、
売れるわけねーだろwうーむカッコいい。
「あの歌が思い出せない」素晴らしいバラード。アリスに提供しただけあって素直な美しい曲です。
清志郎のボーカルも情感的で良いですね。
「三番目に大事なもの」これも痛烈な歌詞だなぁ。一番目に大事なものは自分,二番目は勉強,
三番目が恋人(=あなた)。恋愛を軽々しく扱う女性への皮肉が痛烈です。
RCサクセション / BEAT POPS(1982)
8/10
いつ見てもきついジャケだ。しかしジャケから超ポップなサウンドを想像していると痛い目を見る。
中身はデロデロの重苦しいロックンロールが展開される異色作だったりするのだから。
やたらに重苦しいサウンドプロダクションが原因だろうか。しかし不気味な曲も結構多く怪作だと思う。
「つ・き・あ・い・た・い」はストレートな疾走系R&R。
もしもおいらが偉くなったら偉くない奴とは付き合いたくない チャボのボトルネックギターが滅茶苦茶カッコいい。
「トラブル」は超重苦しい不気味なロックナンバー。育ての母の病気がテーマらしい。
「こんなんなっちゃった」はかわいらしいポップなR&Rなのだが、重苦しい音のせいで、不気味にすら聞こえてしまう。
「恐るべきジェネレーションの違い」は不遇時代からのナンバー。大家とのいざこざがテーマで、
これまでファンク,ハードロックと様々なアレンジで演奏されてきたが、最終的にサイケちっくな感じに落ち着いた。
大家の言うことも分かる,少しはその辺の接点はないのか?という遠慮気味の歌詞が非常に面白い。
「SUMMER TOUR」は何故かライブバージョン。カッコいいNew Wave調の曲だが、このアルバムに必要だろうか?
「あの夏のGoGo」は言葉遊びの面白いポップな一曲。間奏でのつぶやきが不気味で怖い。
「ナイーナイ」は脱力系ブギーだろうか。夢も希望も何もない。厭世的な歌詞が凄い。ボーカルのエフェクトも気持ち悪い。
「君を呼んだのに」はやばい曲。薬の影響だろうか、倒錯的で猜疑的な詞世界,美しくも無気力感あるメロディが印象的。
君の愛で間に合わせようとしたのに というあまりに破滅的な歌詞が美しすぎる。
最後の「ハイウェイのお月様」。この曲だけは素直にほのぼのしたバラード。チャボとキヨシローのデュエットです。
この曲が最後に無かったらどうなっていたんだろう。ホントに異端作です。まぁ大好きなのですが。
RCサクセション / OK(1983)
9/10
キヨシローが深刻な肝臓の病を抱えつつ,ハワイで作られたという作品です。
前作の様な不気味でおどろおどろしい感じは希薄で、リラックスしたムード漂う一枚。
少し勢いが足りない様な感じもありますが、曲の方は非常に粒ぞろいです。
ただ、歌詞には音楽ビジネスへの不信感や嫌悪感が端々に感じられます。
録音が疑似ステレオ風になっており、レトロな風味を出しています。
「Drive My Car」はタイトル通りビートルズへのオマージュですが、ゆったりとしたリズムが
印象的なポップナンバー。浮遊感が気持ちいいですね。大好きですこの曲。
続く「Oh! Baby」も浮遊感溢れるバラードの名曲。可愛らしいメロディと幸せな歌詞。
「お墓」はフォーク時代からのナンバー。ここではレゲエバージョンで収録。
ちょっとミスマッチな気もしないでもない。悲しい失恋歌ですが、なんだか陽気に聴こえてしまう。
「誰かがBedで眠ってる」は前作の流れを汲む不気味なサイケナンバー。
パラノイアックな歌詞がキヨシローの追い詰められ感をあらわしている様な。
「うんざり」はナイスな南国風サウンドに乗るひたすらにうんざりな歌詞。
音楽ビジネスや人間関係へのうんざり感が溢れ出しています。
「ブルドッグ」はチャボのカッコいいブルース。こちらの歌詞も怒ってますね。飼い犬にはならねぇ!って感じ。
「指輪をはめたい」はライブの最期をしめる美しいバラード。君とはめたいのさ 指輪を はめたいのさ
ダブルミーニングの歌詞が素晴らしいです。
最後ミドルテンポのロックンロール「ドカドカうるさいR&Rバンド」でしめます。
これはキヨシローの最高傑作の一つでしょう。兎に角ノリの良いロックンロールナンバーで、ツアーの狂騒を歌います。
しかし、子供だましのモンキービジネス,寄ってたかって分け前をあさる,まともな奴は俺しかいないぜ!
といった歌詞から音楽ビジネスへの不信感がビシビシ伝わってきますね。これを1曲目にした方がよかったのでは?
RCサクセション / The King Of Live(1983)
7/10
OKツアーの模様を収録した2枚組ライブ盤。
演奏の方は文句なしに素晴らしいのですが、個人的には音質があまり気に入らないですね。
全体的に音に太さがないというか。。
雨上がりのギターの音とか全然聴こえないんだもん。
2016年にリマスタリング(臨場感UP!)且つ完全版のCD+DVDがリリースされたので、
こちらを購入する意味は今ではほとんど無いのでは。ジャケも変だし。。
詳しいレビューはそちらのほうで。
RCサクセション / Feel So Bad(1984)
9/10
前作のほのぼのした感じから一転,勢い溢れるロックンロールを前面に押し出した作品。
A面をBAD SIDE, B面をGOOD SIDEとして曲調を完全に区別。A面は凶悪なナンバーが並びます。
事務所への怒りがビシビシ伝わってきます。ブチ切れてますね。
B面ではメロウなポップナンバーが並び,どれも素晴らしい楽曲。
「自由」は疾走感あふれるカッコいいロックンロール。俺は自由!自由!自由!
歌詞が凄いパンク。法律を破るはまだしも、金は腐るほどある(そんなこと歌っちゃう!?)とか。
一々カッコよすぎるんだよなぁ。名曲だ。
「腰をふれ」はRolling StonesのShake Your Hipsへのオマージュ。決起を促す歌詞が力強い。
「うるせえ!」はストレートなタイトル通り超ストレートなナンバー。歌詞のほとんどがうるせえ!だしw
「失礼スルゼ(決別の時)」はブルージーなスローナンバーですが、歌詞が凄いなぁ。
全力で事務所への怒りを公然と示しています。搾取されていたのだろうなぁ。この歌詞,訴訟寸前まで行ったらしい。
「胸ヤケ」BEAT POPS以来の不気味系ナンバー。干されていた時の恨み節か?途中メロディアスになる展開が好き。
チャボの「セルフポートレイト」は暗めのレゲエ調。これも事務所への怒りを公然と示してます。歌詞が辛辣だ。
「私立探偵」ハイテンポのかわいいポップナンバーですね。彼女に浮気で疑われている主人公。
彼女を可愛い私立探偵に見立ててます。この詞世界ホント素晴らしいですね。メロウなメロディが美しい名曲です。
「不思議」はダブ風味のサイケデリックナンバー。歌詞が哲学的で難解。浮遊感が良いですね。
「夢を見た」はフォーク時代のナンバー。こちらは逆に直情的な歌詞が印象的。別れた女性を夢に見て。。
切ない名曲です(フォーク時代よりも良くなったアレンジの曲はこの曲位でしょうか)。
最後はノリノリの「可愛いリズム」~「動かせHEY-HEY-HEY」でしめます。終わり方はすっきりさっぱりで後腐れないですね。
RCサクセション / HEART ACE(1985)
8/10
事務所から独立してさっぱり。ポップで開放的な仕上がりの一枚です。
楽曲の方は今まで通りに粒ぞろいですが、少しマンネリ的な空気を感じざるを得ないかな。
「SKY PILOT」大好きです。弾ける様なポップなロックンロール。歌詞は例によってダブルミーニング。
着陸・離陸とアレをひっかけてます。この世界に愛を 愛にチャンスを という歌詞が好き。
「ぼくとあの娘」はフォーク時代のリテイク。超名曲なのですが、アレンジが台無し。
何故こんな能天気なアレンジになったのか理解に苦しむ。
汚れた心しかあげられないとあの娘は泣いていた 綺麗じゃないか
「DRIVE」はブギ調の楽しいナンバー。歌詞はダブルミーニング。雨上がりの二番煎じ感も正直あるかな。
「横浜ベイ」は不思議なサイケナンバー。メロディが美しいです。
「海辺のワインディングロード」は恋人のドライブの模様を歌うロマンチックな一曲。
G2のキーボードが凄くいい味を出してますね。もう君の眼を今までの様には見れない
「山のふもとで犬と暮らしている」サイケデリックなバラード。美しすぎる名曲です。
今日は一日本を読んで暮らした とても冷える日だった という歌い出しが美しい。
犬との優しい日常が歌われています。
最後は「LONLEY NIGHT(NEVER NEVER)」狂騒のR&Rでしめます。歌詞が直接的。
ボーナストラック「すべてはALRIGHT(YA BABY)」超名曲です。フラカンやウルフルズがカバーしました。
力強い演奏と清志郎の歌唱。歌詞も前向きで元気のない時に力をくれます。このアルバム一番かも。
RCサクセション / The TEARS of a CLOWN(1986)
8/10
HEART ACEツアー日比谷野音での公演を収録したライブ盤。代表曲・名曲を網羅。
ライブベスト的な扱いの作品ですね。個人的にですが、アレンジがあまり好きではないです。
相当ポップなアレンジになっている様に感じます。G2のキーボードが主張しすぎな気も。
しかし、決して聞き逃せない作品であることは間違いないです。ここでしか聞けない曲も数多くあります。
「君はそのうち死ぬだろう」レゲエ調のナンバー。自殺しそうな友人に対し、辛辣極まりない歌詞。
逆に発破をかけようとしたそうです。この曲の友人とは日隈くんです。この一連の日隈くんソングは
凄く神秘的なオーラを持っていて美しく,堪らなく引き付けられるのです。
「トランジスタラジオ」のライブバージョン良いですね~。何気に初出だったりします。
白眉は「ヒッピーに捧ぐ」。まさかの演奏。鬼気迫るキヨシローの歌唱。アレンジも美しい。
原曲を超えると評する人もいるほどの名演です。
忌野清志郎 / RAZOR SHARP(1987)
7/10
キヨシロー単身イギリスに渡り録音された初のソロアルバム。
他のメンバーがイギリス行きを嫌がったらしく、亀裂が徐々に生まれていたのかも。。
内容は極めてポップで明るい雰囲気に彩られた一枚となっています。
イアンデューリー率いるブロックヘッズの面々を従えての超豪華メンバーで収録されています。
「WATTATA(河を渡った)」はファンキーなリズムの光るナンバー。このアルバム一かな。
歌詞はイギリス行きを拒否したメンバーへの当てつけ?ギターソロがカッコいいですね。
「90DAYS-免停90日間-」はThe Carsに凄い似てる始まり方をする曲がある。それは置いておいて、
免停がテーマってのが面白いナンバーですね。マッポBaby!って合いの手が楽しいw
「AROUND THE CORNER(曲がり角のところで)」はシングル曲。超ポップで軽やかな一曲。
ポップ過ぎる感がありますが、キュートでナイスなナンバーです。
「MELODY MAKER」哀愁あふれる美しいバラード。Memphisに繋がって行く様なナンバーです。
「CHILDEN'S FACE」では信頼できるぜ大人の方が~と歌います。うーむ逆に新鮮な歌詞だ。
ファンキーな演奏も実に決まっています。
「あそび」はフォーク時代のナンバー。ここで復活とは。歌詞が酷いなぁ。
でも若き日のキヨシローにとってのリアルなのでしょう。凄いモテたそうです。
「アイディア」は美しいバラードですが、自らネタ切れの苦しみを吐露。苦しみを感じます。
上記の曲は好きなのですが、それ以外の曲がどうも苦手です。すみません。
忌野清志郎 & The Razor Sharp / HAPPY HEADS(1987)
7/10
RAZOR SHARP録音時のメンバーを従えての「来日公演」。さすがの演奏を堪能できます。
RAZOR SHARP未収録の楽曲が多数収録されており、中々心憎いです。
「RUBY TUESDAY」「STAND BY ME」等全編英語でカバー。キヨシローの歌唱力を堪能できます。
「E-JAN」可愛い曲ですね。ポップなメロディセンスが流石。
「BAKANCE」はヒルビリーバップスへの提供曲。ストレートで可愛らしいロックンロール。
キヨシローは気に入っていたのか,結構ライブで演奏していますね。
「ぼくの好きな先生(SENSEI'87)」このメンバーでやっちゃうw?キヨシローの凄まじい勢いを感じる。
中々にカッコいいアレンジに仕上がっています。
ラスト「ちょっとまってくれ・CHOPPED TOMATO PUREE」言葉遊びが楽しいですね。
哀愁あふれるメロディとキヨシローの熱唱が熱いナンバーです。アルバムに入れてほしかったなぁ。
RCサクセション / MARVY(1988)
7/10
3年ぶりのスタジオアルバム。2枚組16曲入りの大作となりました。
良い曲も結構多いんだけど、全体的に冗長ですし、中途半端な曲が散見される感じです。
あと音が妙に小奇麗になってしまってて、これが意外に苦手だったりします。
「DIGITAL REVERB CHILD」はテクノロジーを揶揄した様なナンバー。
CDとか歌詞に出てきます。当時は最新技術だったのですね。NEW WAVE的アプローチの1曲。
ギターソロが意外にカッコいいです。
「AN OLD STORY」緩やかな流れる様なバラード。メロディが美しく、キヨシローの優しい歌声が素晴らしい。
ありきたりなナンバーですが、個人的に好きな一曲。
「CALL ME」も良いですね。ポップさが光る一曲。僕に僕にすぐにCALL ME
チャボの「遠い叫び」渋くてカッコいいです。スローなブルース。
「HONEY PIE」ストレートなR&R。いつも通り,典型的な曲ですが、サビが英語で面白い。
「空が泣き出したら...」少し不安定な感じが漂う美しいメロディが印象的な曲。
個人的にアレンジをもっとゆっくり目で静かな感じにすればより名曲になったような気がします。
チャボの「俺は電気」はまさかのBill Nelsonのカバー。New Waveがロックンロールに変貌。カッコいいですね。
「SHELTER OF LOVE(ツル・ツル)」初めて原子力への批判を歌にしたナンバー。
ツルツル♪ってコーラスがちょっと変ですがギターワークがカッコいいですね。
「NAUGHTY BOY」何だか夢心地の美しいバラード。キヨシローの子供の様な甲高い歌声が印象的。
周りがみんな大人になってしまった虚しさが歌われます。周りとの軋轢が色々あったのだろうか。
RCサクセション / COVERS(1988)
9/10
反原発・反戦を全面に出した問題作。発禁処分を食らったアルバムとして有名ですね。
これは販売元の東芝EMIが原発推進企業だった影響によるそうで、結局インディーズから発売。
思想・主張的な面での曇りの無さは勿論カッコいいのですが、
それ以上にカバー曲チョイスのセンス,自分たちのサウンドへの落とし込みが素晴らしい一枚。
「明日なき世界」元々反戦歌ですが、ガチャガチャしたギターアレンジがカッコいい。
キヨシローのボーカルも素晴らしい名演です。
「風に吹かれて」もファンキーなアレンジが面白い。山口富士夫ら豪華ゲストが参加。
「シークレットエージェントマン」では金賢姫の声がサンプリングで入るという尖りっぷり。
ゲスト参加の坂本冬美のボーカルが美しいです。ギターワークも良い。
「ラブミーテンダー」では反原発を歌う。何言ってんだ ざけんじゃねぇ 核などいらねぇ
言葉遊びで茶化している感じが何とも言えずカッコいいんだよなぁ。
「サマータイム・ブルース」も同様。歌詞が一番辛辣なのはこの曲。
それでもTVは言っている 「日本の原発は安全です」
しらねぇうちに漏れていた あきれたもんだなサマータイムブルース
「マネー」ではチャボがメインボーカル。山口富士夫、三浦友和氏も参加。ヘヴィでカッコいいカバーです。
「サン・トワ・マ・ミー」はシャンソンのカバーですが、見事にハマっています。
しっかりR&Rに落とし込んでいる名演中の名演。素晴らしい。
「悪い星の下に」も素晴らしいカバー。キヨシローの力強いボーカルにねっとり絡みつくギター。最高です。
最後の「イマジン」美しく仕上がっています。僕らは薄着で笑っちゃうのリフレインは、
かつてのB面曲「窓の外は雪」から。美しくしっとりとフェイドアウトしていきます。
RCサクセション / コブラの悩み(1988)
9/10
COVERSリリース後に行われた日比谷野音講演の一部を収録したライブ盤。
前作以上にキヨシローはブチ切れてる感じで、演奏の方もざらついたギターの音が
全面に出ており、攻撃的。選曲も意図的なものを感じます。かっこよすぎ。
「アイ・シャル・ビー・リリースド」はThe Band(Bob Dylan)のカバー。
辛辣な歌詞が素晴らしいです。あたまの悪い奴らが圧力をかけてくる
俺を黙らせようとしたが かえって宣伝になってしまったとさ
日はまた昇るだろう この東の柴(歌詞カードには東の島とある)にも
このカッコよさは原曲を食う勢い。神がかってます。
「言論の自由」ここでこの曲ピッタリハマりますね。
ロックなバージョンで収録されて更に性急感が増しています。
「ヘルプ!」の歌詞は全力でダジャレで面白いwそれ以外は言論弾圧を糾弾する歌詞に一転。
「からすの赤ちゃん」なぜか童謡が収録。スタジオ録音らしい。キヨシローのボーカルが美しく、ゾッとします。
「軽薄なジャーナリスト」ではマスコミへの不信を歌に。ヘヴィなブルースです。
「心配させないで」カッコいいロックンロール。ぶっといギターの音が堪りません。G2のカッティングもGOOD。
「あきれて物も言えない」も収録されました。こちらも同様にギターが太くて最高。
最後は「君はLOVE ME TENDERを聴いたか?(スペシャル・ショート・バージョン)」で終わり。
君はLOVE ME TENDERを聴いたかい 僕が日本語で歌ってるやつさ あの歌は反・・・で終わってしまいます。
このブチ切りは意図的でしょうか。凄まじい怒りを感じます。本ライブの完全版リリースを待望します
(震災後に一度企画されましたが流れた記憶アリ)。
THE TIMERS / THE TIMERS(1989)
9/10
88~89年はキヨシローにとって2度目の最盛期だと思います。
充実のアルバムをどんどんリリース。本作は覆面ユニットタイマーズによる1st。
日本のタブー問題点を茶化すような歌詞で小ばかにした調子で歌うその様は正にパンク。
演奏がほとんどシンプルなアコースティックというのも粋です。かっこよすぎ。
「タイマーズのテーマ」Monkeesのカバーですが、Timerが大好き~何て凄いナメ腐った歌詞が最高。
「偽善者」はストレートなロックンロール。辛辣な歌詞に言葉遊びが楽しいですね。
「偉人のうた」はフォーク時代からの曲。前曲からメドレーで続く疾走感あふれるナンバー。
つ・き・あ・い・た・いの真逆の歌詞に皮肉が聴いてて素敵。
「ロックン仁義」はべったべたの歌謡曲調でロックの衰退を嘆く。
「デイ・ドリーム・ビリーバー」もMonkeesのカバーですが、個人的に原曲を超えていると思います。
キヨシローの優しい歌声,彼女との別れ。ずっと夢見させてくれてありがとう
「争いの河」はテロリストを彷彿とさせる不穏な歌詞が不気味。目的をもった奴がちゃくちゃくと準備をしてる。。
「カプリオーレ」は昭和天皇崩御での自粛ムードへのうんざり感を歌う。やばいね。
「LONG TIME AGO」はストレートなR&Rですが、歌詞は原爆投下がテーマの重い曲。
「ギーンギーン」「総理大臣」は権力を小ばかにした歌詞が挑発的で最高。
「税」あこがれの脱税!歌詞が攻めまくってます。「イモ」イモが陰毛に聴こえるというね。。
最後は「タイマーズのテーマ(エンディング)」で〆ます。うーむ不敵極まりない。超カッコいいですね。
RCサクセション / Baby a Go Go(1990)
9/10
政治的路線とか色々キヨシローのワンマンっぷりに嫌気がさしたのでしょうか。
G2と新井田耕三が脱退。3人体制となったRC。これが最後の作品となりました。
アコースティカルなサウンドを前面に出したポップで緩やかな作品です。
楽曲は極めて粒ぞろいで、有終の美を飾った一枚と思います。晴れの日の休日にゆっくり聴きたい一枚。
「I LIKE YOU」The Byrds風のギターフレーズが印象的な優しいナンバー。前向きな歌詞が良いですね。
「あふれる熱い涙」はシンプルなバラード。キヨシローの優しい歌声が光ります。
チャボの「うぐいす」は彼の曲にかつてなかったほのぼのとした一曲。美しいです。
「Rock'n Roll Showはもう終わりだ」はハイテンポのロックンロールですが、
演奏が凄く抑えられ、キヨシローも小声でつぶやくように歌う。彼の失望ぶりが伝わってきます。
「空がまた暗くなる」は超名曲。シンプルなギターの音にのるキヨシローの優しい歌声。
大人だろ 勇気を出せよ メロウなメロディが美しい。歌詞は少し皮肉めいているけれどもね。
「忠実な犬(Doggy)」も素晴らしいです。歌詞は辛辣な皮肉そのものですが、メロディは極上。
素晴らしい一枚。これよりキヨシローはソロでキャリアを積んでいくこととなります。
HIS / 日本の人(1991)
9/10
忌野清志郎,細野晴臣,坂本冬美の3人ユニットによるアルバム。
霧が掛かったようなアレンジに乗るゆる~いポップス。しかし、完成度が極めて高い。
三者の個性が絶妙に融合しています。作詞・作曲はほとんど清志郎が担当。
しかし清志郎と坂本冬美のボーカルは相性が良すぎる。
「パープル・ヘイズ音頭」はかの名曲のアコースティック且つ音頭バージョン。
おふざけ感が漂いながらもしっかり自分たちのサウンドに落とし込んでいます。
「夜空の誓い」は2人のデュエット。ゆるーい曲調にのる切なく美しいメロディ。ボーカルがあまりにも美しすぎます。
「逢いたくて逢いたくて」は古い歌謡曲のカバーで坂本冬美のソロ。
美しいアレンジです。うーむ表現力豊かなボーカルが本当に素晴らしい。
「500マイル」はアメリカのトラディショナルソングのカバー。
キヨシローの伸びるクリアなハイトーンが素晴らしい。浮遊感溢れるアレンジも最高。
「恋人はいない」坂本冬美がしっとり聴かせるバラードです。これも名曲。ふわふわしたキーボードが素敵。
「おやすみ もうすぐ逢える」はフォーク時代の曲らしい。メロディの美しい曲。二人のハモリが珠玉だ。
「ヤングBee」坂本冬美はこぶしを聴かせながらブルースを歌います。意外に相性が良い。
「セラピー」名曲です。静かに歌われる優しいバラード。美しすぎる。。タイトル通りの世界。
「アンド・アイ・ラブ・ハー」はビートルズのカバー。坂本冬美がしっとり歌い上げます。これもハマってます。
最後表題曲は細野晴臣作詞作曲の名曲。清志郎の声の美しさにゾっとしてしまいますね。名盤。
忌野清志郎 / Memphis(1992)
9/10
メンフィスにおいてBooker T. & the M.G.'sと録音されたソロ第二作。
清志郎の当時の勢いを感じますね。楽曲の方もかなりの充実っぷり。
演奏・アレンジはプロ中のプロのものなので言うことなし。名盤です。
「Boys」はハイテンポでソウルフルなナンバー。非常に楽しそうな一曲。言葉遊びも楽しい。
「雪溶け」ソウルフルなバラード。ソウルフルに力強く歌いあげる清志郎がカッコいい。
「世間知らず」70年代からの楽曲だそう。素晴らしいメロディを持つ名曲です。
部屋の中で今はもう慣れた 一人きりで ぼんやり外を眺めてるだけ 切ない歌です。
「ママプリーズカムバック」メロディが渋くて非常にカッコいい。
演奏・展開も堪らないものがありますね。中々日本人離れした編曲。
「僕の目は猫の目」NHKみんなのうたでも流れてました。可愛らしいポップナンバー。
「Lucky Boy」ポップで晴れ晴れしたハイテンポナンバー。解放感が素晴らしい名曲。
「彼女の笑顔」もソウルフルな美しいバラード。良く取り上げられる名曲ですね。清志郎の歌唱が素晴らしいです。
「MTN」はスティーブクロッパーとの共作。メンフィスで歌うこと,
M.G.'sとの共演,名誉市民になったことへの喜びがストレートにあふれています。
最後はオーティスへのリスペクト溢れるコーラスで終わります。幸せが溢れ出す一枚。
忌野清志郎 + Booker T. & THE MG's / HAVE MERCY!(1992)
8/10
Memphis録音メンバーとの武道館公演の模様を収録。極めて充実した演奏が楽しめるライブ盤です。
清志郎も伸び伸びしていて楽しそう。2曲の未発表曲とRC時代のナンバーも収録。
まずは「Green Onions」や往年の名曲のインストが演奏され途中から清志郎が加わるスタイルでスタートします。
このインストが当然ながら滅茶苦茶カッコいいですね。
「LIKE A DREAM」はソウルフルなバラード。力強い歌唱が良いです。
「ペテン師」は性急感溢れるダークなナンバー。やっぱ演奏が最高です。リズムがまず違う。ギターソロも良いし。
「つ・き・あ・い・た・い」はやっぱ違和感。豪華な演奏でやる曲じゃないというか。カッコいいですが。
「トランジスタ・ラジオ」は良いですね。豪華バージョンが良く似合っています。華やか。
「IN THE MIDNIGHT HOUR」「SHAKE」のソウルスタンダード2連発も清志郎のソウルフルな声が素晴らしい。
最後はオーティスの「(SITTIN' ON)THE DOG OF THE BAY」でしめ。スティーブクロッパーとのデュエットです。
忌野清志郎 & 2・3'S / GO GO 2・3'S(1992)
6/10
すみません。正直2・3'S苦手です。このバンド,若手のミュージシャンたちとシンプルなR&Rを奏でるコンセプト。
全体的に悪ふざけが過ぎる感じと、他のメンバーがボーカルをとる曲がどうしてもダメ。。
良い曲も結構あるのですが、この1stは曲も弱いように感じられてしまう。
「あの娘の神様」は新興宗教に傾倒してしまったファンがいたそうで、それをテーマに作られた曲。
中々攻めてる歌詞で考えさせられますね。優しいメロディも良い。
「いくじなし(Bye-Bye)」はストレートなR&R。Bメロの切なさが良いなぁ。
「いつか観た映画みたいに」このアルバム一の曲ではないでしょうか。シンプルなラブソングですが、
メロディが優しく、美しい曲。
「現場処理の男」はタイマーズ系のノリのナンバー。のちの復活の布石か。
「NEWSを知りたい」サイケデリックなアレンジのバラード。こちらも美しいメロディが光ります。
「ぶっちゃけた恋」ストレートなR&Rで良いですね。切ない展開も良い。それ以外の曲はちょっと正直苦手というか。。
忌野清志郎 / abcd(1993)
7/10
糸井重里作詞,清志郎作曲のペアで発表されたミニアルバム。
パパシリーズの楽曲を多数収録。こども向けでも通用する内容だが、編曲は非常に本格的なR&R。
「鉄人パパ」はグラムロック風のサウンドが印象的なナンバー。
「パパの歌」は代表曲ですね。ゆったりしたAメロと性急なサビが歌の内容を良くあらわしています。
昼間のパパは~ちょっと違う~ 誰でも一度は聴いたことがあると思います。
「パパの手の歌」ミドルテンポのロックンロールで中々本格的なサウンドがカッコいい。
最後の「さんざんなめにあっても!」は暗めのスローブルース。ちょっと浮いてます。
清志郎の絞り出すようなボーカルが渋くてカッコいい。意外に佳曲揃いの一枚ですね。
忌野清志郎 & 2・3'S / Music From Power House(1993)
7/10
ちょっとジャケがひどすぎる2nd。前作より楽曲のクオリティは上がっています。
他のメンバーのつまらない曲が無ければもっと評価は高いです。
「プライベート」忙しい主人公が恋人を突き放す歌詞。この時代の日本のサラリーマンのリアルでしょうか。
ストレートなハードロックサウンドが中々カッコいいナンバーです。
「お弁当箱」初期を彷彿とさせる詞世界が素晴らしい名曲。ポップで美しいメロディがテンポの良い
ロックンロールに乗ります。2・3'Sの最高傑作でしょう。昔の男をどこか忘れられない彼女。
君の過去を僕が全部残さずに食べてあげる お弁当箱に僕を全部朝早く詰めてあげる
「善良な市民」皮肉めいた一曲。善良な市民は参加させてもらえずまた間違った人を選ぶ
「メルト・ダウン」不気味なスローブルース。タイトルは当然原発。清志郎のねっとりした歌い方も不気味。
絶望的な歌詞が恐ろしいです。元々はタイマーズの頃のナンバー。
「この愛が可愛そう」ほとんど語られることがないですが、これ凄い名曲だと思います。大好きです。
優しいバラードですが、切ないメロディと抒情的な歌詞,清志郎のささやく様な歌声。サビでの盛り上がりの華やかさ,
素晴らしいと思います。このアルバムで2・3'Sの活動は終了します。
忌野清志郎 & 仲井戸麗市 / GLAD ALL OVER(1994)
9/10
チャボと再び共演してのライブアルバム。兎に角選曲が最高過ぎるのです。
大満足のCD三枚組。悪いはずがありません。
しかし全面的な共演はこの一度限定となりました。RC再結成はとうとう最後まで成されず。
1枚目はアコースティックセッション。一曲目の「よそ者」があまりに素晴らしい。
「忙しすぎたから」がまさかのチャボによるボーカルで聴ける。素晴らしく味があります。
くらーい「甲州街道はもう秋なのさ」で〆る。最高です。
2, 3枚目は王道のナンバーをロック編成で攻めます。久々の「よォーこそ」で幕開け。
「ロックンロールショー」「君僕」と名曲連発が堪りません。
しかし凄いのは「君を呼んだのに」が演奏されていること。8分半にも及ぶ怪演。ただの回顧には決して留まらない。
3枚目は本当に往年の名曲オンパレードで〆ます。
RCとはまた違って素晴らしいライブ盤なので是非堪能して頂きたいです。
THE TIMERS / 復活!!THE TIMERS(1995)
9/10
タイマーズの復活ライブの模様を収めたライブアルバム。1stではアコースティック中心でしたが、
ここではエレキギターギンギンのロックンロールサウンドでガンガン攻めてます。めっちゃくちゃカッコいいです。
1stの曲はどれもより馬力を増し、ゴリゴリ迫ってきます。
「JOKE」スローでブルージーなバラード。力強いZERRYの歌唱が堪らない。
「国名改正論(「逃げ腰」という国の国民)」言葉の上っ面にいちゃもんつけてくる奴ら
表現の自由が守られていないロックシーンを嘆くナンバー。ダークな音が深刻さを際立たせる。
「国際化の時代」不気味なブギです。治安・人心の荒廃,徹底的に国際化を皮肉ります。こちらも深刻な雰囲気が漂う。
「覚醒剤音頭」覚醒剤はいけません それとも人間やめますか 追放 追放 覚醒剤を追放しましょう
どこまで本気なのか疑ってしまう歌詞。字面通りにとらえれば良いのですが。。
(元々この曲は「原発賛成音頭」なるタイトルでそちらのほうが徹底的に皮肉が効いてて最高でした。
そちらはTHE TIMERSの1stデラックスエディションのDVDに収録されているので是非)。
「宗教ロック」の歌詞はすげぇ。芸能界にはびこる宗教汚染を一刀両断。消されるぞこれw
曲自体はストレートなパンクでめっちゃカッコいいのがまた困ります。
「まわりはワナ」はマリファナ,ハシシといったキーワードを巧妙に隠したスローブルース。
「サティスファクション」はお馴染みの曲のカバー。日本語直訳っぷりが楽しい。
「サヨナラはしない」は優しいポップなナンバー。阪神大震災のチャリティシングルではなかっただろうか。
被災者の目線に立った歌詞が印象的です。
THE TIMERS / 不死身のタイマーズ(1995)
9/10
復活!!と同時リリースの一枚。同ライブの音源を収録していますが、より過激な曲中心。
当然メジャーからリリースは出来ずインディーズより発売されましたが、
あっという間に廃盤。今では超プレミアがついています。おそらく再発もないでしょう。
歌詞があまりに過激。もはや正しいとか正しくないとか関係なくて、ひたすらに過激。
「ヘリコプター」被災者の目線に立ったファンクナンバー。報道するだけで何も手を差し伸べないマスコミへの批判。
「夢のかけ橋」ルンバ調の華やかなナンバー。歌詞に北方領土が出てきます。また5,6年は返ってこねぇな~
「障害者と健常者」放送禁止用語のオンパレード。歌は別に差別をしているわけではなく、
自由に歌を歌えない状態,自由の無い状態を当て嵌めている。サイケ調の不気味なリズムが印象的。
「あこがれの北朝鮮」最高ですねこの曲。95年当時では北朝鮮問題は完全にタブーだったでしょう。
素晴らしい理想郷として歌われる北朝鮮。最高の皮肉。
「お前の股ぐら」もやばい。全てが直接的極まりない下ネタ。
「イツミさん」に至ってはアウトの領域。現代医療への皮肉ですが、個人名をタイトルにしちゃうのは流石にやり過ぎ。
「トカレフ(精神異常者)」青物横丁銃乱射事件をテーマにしたナンバー。犯人は精神異常で無罪となりました。
途中殺害対象として、テレビ局の名前を呼びあげるところがやば過ぎ。
表題曲はタイマーズのライブの〆の定番。コールアンドレスポンスとか、清志郎の芝居がかったMCが最高過ぎるぜ。
これは永久に再発ないだろうなぁ。いや、しかし名盤だ。。
忌野清志郎 Little Screaming Revue / GROOVIN' TIME(1997)
7/10
「世界中の人に自慢したいよ」「GOOD LOVIN'」「君にだけわかる言葉」
という素晴らしいソウル3部作シングル(アルバム未収録)リリース後に発売されたロックンロールギンギンのアルバム。
ギターの三宅伸治は清志郎の右腕的存在となっており、共作を多数収録しています。
少し重苦しい雰囲気が苦手な一枚であります(あと曲が長い)。このユニット自体は大好きなのですが。
「ガラクタ」はフォーク時代のナンバーの再録。メタルかってくらい重苦しいサウンドで復活しました。
「気まぐれな女」それこそメタルです。爆走ナンバーでびっくり。カッコいいですねぇ。
シングル曲「メロメロ」ストーンズ風のギターリフがカッコいいミドルナンバー。
「鳥の歌はLOVE LOVE」はほのぼのしたポップなバラード。笛が効果的。このユニットの時清志郎はよく笛を吹いていました。
「裏切り者のテーマ」ちょっとBO GUMBOSを思わせる陽気なナンバーですが、歌詞は辛辣。
上記シングル3部作が全く売れず,言い出しっぺのマネージャーが逃亡したかなんかで作られた恨み節らしい。
うーむブチ切れてますなぁ。最高。
しかしシングル3部作は何とか編集盤とかで再発して欲しいですね。いずれも名曲ですので。。
忌野清志郎 Little Screaming Revue / Raibow Cafe(1998)
9/10
骸骨が首を吊るジャケットと裏腹に内容は非常にアッパーでバラエティに富んだ楽曲を収録する名盤。
かなり創作意欲がわいていることを感じさせる一枚です。捨て曲無し。
相変わらずハードで硬質なサウンドは維持されており、それもまたカッコ良い。
「世の中が悪くなっていく」まるでニールヤングみたいなハードな渋いR&R。カッコ良すぎるぜ。
「サンシャイン・ラブ」は当時TV,ラジオで流れまくっていた記憶アリ。
ポップなメロディが素晴らしいナンバー。ラップにも挑戦しています。
「鶏肌(チキンスキン)」ヘヴィなロックンロール。ファンキーなリフがカッコいい。
「ギビツミ」Give It To Meでしょうか。メロディが圧倒的に美しいバラード。
静かに力強く歌う清志郎も素晴らしく、名曲です。
「弱い僕だから」不遇時代のナンバー。SMAPに提供されました。弱い僕だから君が必要なのさ 素敵な歌詞です。
「エンジン・トラブル・ブギ」グラムロック的なサウンドが印象的なブギーナンバー。これもカッコいい。
「ひどい雨」も名曲ですね。ポップで美しいメロディ。ギターリフが実にカッコよく、清志郎の優しい歌声と絡み合います。
「イキなリズム」ソウルフルなメロディにのるポップなナンバー。これも素晴らしいなぁ。本当に絶好調です。
「溶けるように」静かに歌われるしっとりした曲。こんな若い感性の歌詞を創れるなんてやはり清志郎は天才だ。
「危ない二人」これも1曲目の路線のロックンロールナンバー。渋いメロディがカッコいいです。
90年代の清志郎の作品の中ではこの作品を断然オススメ致します。
忌野清志郎 / RUFFY TUFFY(1999)
8/10
何故かここでソロアルバムリリース。割と伸び伸びした印象の一枚。佳曲多数。
ただほかの諸作に比べると少し肩の力が抜けすぎている感じも正直あります。
「テクノ・クイーン」はなんじゃこりゃwって感じ。ボーカルは清志郎でなく、
すっごい無気力な女の子。曲はディスコテックそのもの。意外にカッコいいサウンドです。
「心の解放区」も変な曲。ひたすら芸能関係の裏方の名前を読み上げる。最後にはパクリを堂々と公言。
洋楽をパクってスターになってその恩恵を受けて。。凄い歌詞だ。
「レッドニャンニャン」も出だしのシンセ音が奇妙な印象。曲そのものは割とストレートなポップスではあります。
「太陽の当たる場所」タイトル通りの爽やかなナンバー。清志郎の優しい歌声が良いですね。
「QTU」はシングル。やたらポップな曲だなぁ。しかし楽曲の完成度が高い。
「田舎へ行こう!Going Up The Country」はフジロックのテーマ曲としてお馴染み。ワクワク感を良く表しています。
「Sweet Lovin'」ストーンズ直球のロックンロール。カッコいいナンバー。
「出発の時間」ロカビリーチックなナンバーで焦燥感と粋な歌詞がカッコいいです。
最後に入ってる清志郎の唸り声。これを逆再生するとハニーブルーズの別バージョンが聴けます。
忌野清志郎 Little Screaming Revue / 冬の十字架(1999)
9/10
君が代問題で有名な作品。国歌をパンキッシュにカバーしたこのバージョンが問題となり、発禁を食らいました。
結局インディーズよりリリース。しかし国歌をカバー出来ないってどうなってんのこの国?
全体的にバリバリのロックンロール路線を堅持。7曲と少ないですが、いずれも素晴らしいナンバーで、
こちらも名盤と言って良い完成度の一枚です。
「俺がロックンロール」言い切ります。ハードなギター,ヘヴィなリズムと超カッコいい1曲。
と思えば「人間のクズ」なんてナンバーも。ひたすら自分を卑下する歌詞。
どうしたのでしょうか?クズクズクズクズ人間のクズ♪ってコーラスが何だか楽しい。
「君が代」いやーこれはカッコいいです。パンキッシュなアレンジが最高。
後半アメリカの国家が不気味に出てくるところが問題視されたのでしょうか。名カバーです。
「こころのボーナス」はファンキーでヘヴィなギターがカッコいいナンバー。
ポップなメロディが素晴らしく、名曲の一つでしょう。
「明日また話そう」はパワフルなブギ。「おもしれー」もギターが糞ヘヴィでカッコいいです。
Little Screaming Revue最後のアルバムとなりました。
ラフィータフィー / 夏の十字架(2000)
7/10
十字架3部作の第二作。前作と異なり、リラックスした音使いになっています。
サイケチックなけだるい雰囲気が全編に漂う。実験的なナンバーも複数。
社会問題に切り込んだ曲もいくつか収録され、ラジカルな側面はまだまだ健在です。
「お元気ですかマーコさん?」ゆったりとしたサイケデリックなナンバー。
武田真治の奇妙なサックスがストレンジな雰囲気を醸し出します。
「目覚まし時計は歌う(選挙ソング)」ではストレートなR&Rに乗せて選挙に行けと歌う。全面的に同意。
「警察に行ったのに」ゆるーいバラード調ナンバーだが、歌詞が辛辣だなぁ。
警察に行ったのに 僕は殺されてしまった
当時ストーカー殺人事件が凄く話題になった時期で、まさにタイムリーな問題提起だったのでは。
「ライブ・ハウス」ではライブハウスの金もうけ主義を痛烈批判。ブチ切れたライブハウス側から出禁を食らいます。
相当これには清志郎もブチ切れてて、著書「瀕死の双六問屋」の中でインディーズへの失望を語っています。
「プリプリベイビー」は自宅での娘さんとのほのぼのした時間を録音した音源。
全体的にとっつきにくさが凄いアルバムですが、たまに無性に聴きたくなる変わった作品です。
ラフィータフィー / 秋の十字架(2000)
7/10
三部作最後の作品。前作の流れにある作品で、ちょっと気味の悪いストレンジな空気感が漂う作品。
前作よりより暗いトーンになっている感じがありますね。
「水の泡」は名曲です。このアルバムで頭一つ抜けていますね。
ゆったりとしたバラードで失恋の痛手を力強く歌います。みずみずしいアレンジが本当に素晴らしい。
「口癖」はちょっと厭世的な空気漂うだるいロックンロール。バカなんじゃない?人類って
愛がほしいなんてただの口癖
「グレートフルモンスター」は少年犯罪の凶悪化がテーマ。やたらに明るい曲調が逆に不気味。
パパをBボタンでキャンセルしたり、先生や学校にダメージを与えるとか歌詞のセンスが面白い。
武田真治のサックスも良く決まってますね。この方うまいです。
「ユーモア」は久しぶりにストレートなメロディを聴かせるバラード。
「クラス」では情報化社会に警鐘を鳴らします。
「Good Night Sleep Tight」はゆったりとしたバラード。ラフィータフィーの活動はこの作品で終了。
思えば最も実験的なユニットであったのではないでしょうか。
LOVE JETS / ちんぐろ(2003)
8/10
覆面ユニットその2。宇宙から降り立ったLOVE JETS。突き抜けてお遊びを楽しんでます。
デジタルビートもガンガン導入。ギターも超ヘヴィな音を出してます。
このアルバムはしかしカッコいい。圧倒的に若いエネルギーに満ち溢れております。
このおふざけを許せるかどうかでこのユニットへの評価は変わるでしょう。僕は好きです。
「LOVE JETSのテーマ」デジタルビート全開。ファンキーな曲調がカッコいいね。
途中の自己紹介のあほらしさは笑えます。
「SPACE DISCO」は疾走感あふれるガレージ系ナンバー。最後Pretty Vacantのリフが炸裂!カッコ良すぎます。
「POP PEOPLE POP」は全力でダンスミュージックをやっちゃってます。腰に来るベースがカッコいい。
「シスターアンドロメダ」はサイケデリックなキラキラしたナンバー。
かと思いきや、途中からゴリゴリノイズロックに変貌。どうなってんのこれ。
「LOVE JETSのキモチE」は原曲を超えるヘヴィさで迫ります。エネルギッシュ。
「LOVE JETSのエンディングテーマ」では自己紹介が大人になってるしwなんじゃこりゃ。
この時期のアルバム未収録曲「青い星」「宇宙大シャッフル」「UFO神社」は
いずれもカッコいいナンバーなので、入手推奨です。
忌野清志郎 / KING(2003)
10/10
ソウルフルでロックンロールな楽曲の数々が素晴らしすぎる名盤。
Little Screaming Revue, Ruffy Tuffy, Love Jetsと色々な変わったアプローチを経て、
最終的にこの路線に行きついた感じが素晴らしいです。
楽曲の充実度は過去最高クラスで、全く捨て曲は無し。所々で聴ける70年代音楽へのオマージュも楽しい。
録音は自宅のスタジオで行われたとのことで、太くて生々しい音像が堪りません。
「Baby何もかも」はオーティスへの愛が大爆発するバラードナンバー。
Try A Little Tendernessへのオマージュ全開ですが、キヨシローの熱い歌唱が素晴らしい。
「Wanted」はストレートなロックンロール。70年代なサウンドがカッコ良すぎる。
「HB・2B・2H」はT.REX的なリフが印象的な穏やかな曲。鉛筆の芯の固さを曲にしてしまうなんて凄い。
「雑踏」超名曲でしょう。穏やかな曲調ながら愛が溢れる温かいキヨシローの歌声。
Hey 会いたい人がいるんだ どうしようもなく
「ウィルス」も名曲ですね。ソウルフルな演奏に乗る美しいメロディ。リズム感が堪りません。
歌われるのは失恋。どこまでも詩人だ。
「モグラマン」ダンスビートが印象的なナンバー。あくまで生音で演奏されています。
太いベースの音とシャープなギターがカッコいい。
「奇妙な世界」は平和を願い、人々・日常への愛が爆発するバラードの名曲。三宅伸治とのデュエットです。
キヨシローの歌声の温かさに胸が締め付けられる。
「胸が張り裂けそう」ソウルフルでハイテンポなナンバー。失恋が力強く歌われます。
何故こんな若い感性の曲が作れるのだろう。滅茶苦茶カッコいいです。
最後は穏やかなバラード「約束」で終わります。
演奏・録音・編曲についても、完璧と言って良く、最高傑作の一枚。
忌野清志郎 / GOD(2005)
10/10
前作に負けず、素晴らしすぎる一枚。これも名盤でしょう。
音像は前作より更に太くなり、楽曲の華やかさがより増している印象。
ロックンロール,ソウル,ルーツを全面に押し出しながら、自らの世界と完璧に融合。
「ROCK ME BABY」ソウルフルなロックンロールで幕を開けます。
宗教も思想もいらない 俺は何ももたない ロックンロールの神様 俺にはついてる
音楽への圧倒的な愛を感じます。かっこよすぎ。
「愛と平和」タイトル通りの優しいポップナンバー。温かい音像と優しいメロディが堪りません。
「仕草」はモータウンを思わせる美しいソウルバラードの名曲。日常への愛・幸せが歌われます。
「REMEMBER YOU」では甲本ヒロト氏が参加。キヨシローとの声の相性が素晴らしく温かくて良いですね。
「ママもうやめて」少年虐待がテーマの一曲。社会派な一面はまだまだ健在です。
「GOD」でも戦争の終わらない世界への嘆きが歌われます。曲調は明るいけども。
いつまでも終わらない宗教戦争を思わせる歌詞。力強い歌唱が素晴らしい名曲でしょう。
「サイクリング・ブルース」キヨシローは自転車が趣味でしたが、自転車でかけているときの幸せを歌った
穏やかなバラードです。幸福感が伝わってきますね。
「わからず屋総本家」は渋いブルース調のメロディーにのる時代劇的なユーモアあふれる歌詞が楽しい。
「春の嵐」も優しいメロディが印象的な疾走ナンバー。清々しい曲調はまさに春の訪れを想起させます。
僕は待っているよ もう一度会える日を
「君を信じてる」徐々に盛り上がりを見せるソウルフルなバラード。キヨシローの表現力,圧倒的な温かさです。
「JUMP」ここにきて代表曲を作り出すキヨシローはやはり天才。RCサクセションを思い起こさせる素晴らしいメロディ。
ストレートでポップなメロディのイカしたロックンロールです。歌詞も素晴らしすぎる。
問題だらけの世界を憂いながらも、前向きに突き進む姿がカッコ良すぎるのです。
~夜から朝に変わる いつもの時間に 世界はふと考え込んで 朝日が出遅れた~
こんな凄い歌詞どうすれば思いつくのでしょうか。圧巻。
RCサクセション / RHAPSODY NAKED(2005)
10/10
名盤RHAPSODYの完全版がリリース。演奏のミスとか含め、ほとんど当時そのままライブの音源が聴けます。
黄金時代のライブ音源なので、当然悪いはずがなく、今回初めて聞けた曲含め,
圧倒的に素晴らしい演奏となっております。音もRHAPSODYより生々しいです。
小川銀二のギターもはっきり聴こえます。
「ロックン・ロール・ショー」このころからすでに演奏されていたんですね。
ざらついたギターが相変わらずカッコいいです。2本のギターが絡みまくりで最高。
「ボスしけてるぜ」~「まりんブルース」RHAPSODYではフェイドアウトしていた部分からの続きが
明らかに。金子マリとの熱いセッションでした。楽しい。「たとえばこんなラブ・ソング」でも引き続きデュエット。
「いい事ばかりはありゃしない」も収録。全盛期のこの曲の演奏,堪らないです。
「お墓」がカッコいいアレンジで収録されています。のちのレゲエバージョンよりはるかに良い。必聴。
「ステップ!」もカッコいいなぁ。当然RCの演奏バージョンですが、よりロックなテイストで最高。
曲前のキヨシローのMCもカッコいい。
「スローバラード」イントロの小川銀二のひずんだギターが堪りませんね。キヨシローの歌声も若々しく、名演。
ラストはながーい「指輪をはめたい」で〆ます。最後になだれ込む怒涛の展開が素晴らし過ぎます。
RCでライブ盤を一枚と言ったらやはりこれでしょう。
忌野清志郎 / 夢助(2006)
10/10
最後のスタジオアルバムとなった作品。この作品の後、キヨシローは闘病生活に入ります。
盟友スティーブクロッパープロデュース,ナッシュビル録音です。
楽曲の完成度はかつてない素晴らしさ。圧倒的で言葉も出ません。
優しさ,温かさ,力強さすべてが溢れかえっています。
キヨシローの身を擦切る様な歌声はまさに命を賭けて歌っている様にすら聞こえます。
タイトル,ジャケットも素晴らしい。まさにこのアルバムの世界の通りですね。
「誇り高く生きよう」ゆったりとした空気感漂うソウルナンバー。音楽への愛が爆発しています。
「激しい雨」チャボとの共作のストレートなナンバー。いつまでも語り継がれる名曲です。
何度でも夢を見せてやる RCサクセションが聴こえる RCサクセションが流れてる
「涙のプリンセス」も疾走感・希望溢れる曲調が美しい。
歌詞は暗い世界の中に希望を見出そうとするもので、素晴らしい世界観です。
メランコリックなメロディの美しい「雨の降る日」。不遇時代のナンバーですが、
最高のアレンジで日の目を見ることとなりました。
この曲にはまさにこれという素晴らしいアレンジ,原曲を圧倒的に凌駕する名曲・名演です。
「毎日がブランニューデイ」チャボ作曲キヨシロー作詞のナンバー。これも多幸感溢れる名曲。
夫婦の幸せな日々が歌われています。
「オーティスが教えてくれた」スティーブクロッパー作曲のスローバラード。
オーティスへの愛が爆発する歌詞。圧倒的な愛を感じます。
「NIGHT AND DAY」も緩やかなソウルナンバーで素晴らしいですね。力強い熱唱が光ります。
「ダイヤモンドが呼んでいる」これも素晴らしい名曲。なんてカッコいい歌詞なんだろう。
ストレートだけれども胸に突き刺さってきます。圧倒的な音楽、そして言葉の力を感じざるを得ません。
穏やかなバラード「あいつの口笛」これもオーティスへのオマージュでしょうか。優しい口笛の音で幕を下ろします。
キヨシローの最後の3作はどれも圧倒的な作品ですので、間違いなくオススメ致します。
忌野清志郎 / 忌野清志郎 完全復活祭 日本武道館 2枚組ライブアルバム(2008)
10/10
闘病生活の末,完全復活と称して武道館で行われたライブの模様を収録。
新旧織り交ぜた名曲の数々,名演にはただただ心躍るしかありません。チャボ,新井田耕三も参加。
この一年後,キヨシローは亡くなりますが、最後に最高に素晴らしいライブを行ってくれました。
最後まで圧倒的なアーティスト。最高過ぎる。
キヨシローは色々なスタイルの音楽をやりながらも、
一度として自分を曲げることが無かったのではないでしょうか。
確固たる芯があり、それが人々を惹きつけてやまないのだと思います。
そして圧倒的なパフォーマンスと歌唱力。美しい楽曲の数々。
永遠に聴き続けるでしょう。
忌野清志郎 / Baby #1(2010)
8/10
キヨシロー死後にリリースされた未発表音源集。1989年に米国カリフォルニアで録音され,
音源が行方不明になったため、お蔵入りしていたものを再編集してリリース。
幻の録音とされていたもののリリースでした。
楽曲の方は、のちのソロ活動で日の目を見たものが多く、純粋な新曲はそれほど多くないのですが、
アレンジが大分異なるので、面白いですね。楽曲の方は無論粒ぞろい。
表題曲が特に素晴らしいです。幸せな空気感の漂うポップなナンバーで、優しさに溢れています。
「恩赦」2・3'sでB面シングルとしてリリースされたナンバー。ソウルフルな空気がカッコいいナンバーですね。
「Young Blue」は後にHISで坂本冬美が歌うナンバー。
「KI・MA・GU・RE」は沢田研二に提供した楽曲だそう。皮肉っぽいボーカルが面白い。
途中君が代~って歌ってないか?
「LIKE A DREAM」のスタジオバージョンは初出では。完全復活祭でも歌われた名曲です。
個人的に2・3's時代で特に良いなと思った曲がこの時代に作られていたことが印象的でした。
RCサクセション / 悲しいことばっかり(オフィシャルブートレグ)(2013)
8/10
伝説のフォーク時代のライブ音源を当時の熱心なファンの方が録音したものをオフィシャルリリース。
これには歓喜しましたね~。ブートレグと銘打つだけあって音質はかなり厳しいものがありますが、
初期の尖りまくっているRCのリアルなライブを聴くことが出来る超貴重な一枚です。
ギターをがりがりとかき鳴らし,強烈な歌声で歌われる楽曲の数々。圧倒的な個性です。
初めて聞く曲も結構あり、また、のちにリメイクされる曲の原曲を楽しめるという意味でも素晴らしい。
この調子で76年頃のライブ盤もリリースしてくれないかしら。。
「黄色いお月様」清志郎が幼い時に亡くなってしまった母に宛てた楽曲。中々に暗い世界ですが、
ロマンチックな空気が漂います。美しい。
「ぼくの情婦」歌詞が凄いですね。歌の方はかわいらしいポップス。
「愛してくれるなら」独りよがりな歌詞が若々しくも、リアルです。恋愛しているときの感情はこんなものでは?
「マイホーム」はモップスへの提供曲。叫びにも似たボーカルが怒りまくってます。
「ぼくの家の前の道を今朝も小学生が通います」感動的なバラードの傑作。少年時代を想う主人公。切ないです。
「仕事なので」鬱々としてますね~ボーカルは破簾ケンチさんでしょうか。
「わるいディレクター」歌詞が凄い。こんなこと歌うと干されてしまうのでは?という位に。
「君にさようなら」「一日」バラードですが、どちらも鬱々としてて怖い(音質が悪いせいもあるかも)。
「ベルおいで」犬との暮らしを描く美しいナンバー。山の上で~の犬なのでしょうか?
「弱い僕だから」「僕とあの娘」「もしも僕が偉くなったら」「お墓」「ガラクタ」「夢を見た」「マリコ」は後にリテイクされた楽曲。
全てシンプルで素晴らしいアレンジだと思います。やはり原曲が一番いいのでは。。
RCサクセション / PLEASE ROCK ME OUT at 日比谷野外音楽堂 1981.5.30/31(2016)
7/10
オフィシャル度が極めて怪しいライブアルバム。公式サイトにも載ってないし。
当初amzon限定で発売されましたが、タワレコとかでも売ってるみたいです。
内容の方は81年のPLEASEリリースじの日比谷野音での公演を2つ収録した4枚組。
演奏・選曲は当然悪いはずが無いのですが、音質が問題。
サウンドボード録音ですらないですよねこれ?
よくリリースしたなってレベル。完全にブートの音質です(特にDisc3,4はひどすぎ)。
はっきり言ってディープなファン向け。オススメはしません。
RHAPSODY NAKEDか、後述の渋谷公会堂のライブと比べるまでもない内容。
やったらローテンポの「よそ者」「あの娘のレター」が面白いかな。
RCサクセション / SUMMER TOUR '83 渋谷公会堂~KING OF LIVE COMPLETE~(2016)
9/10
83年リリースのKING OF LIVEの完全版としてリリースされたライブアルバム。
原盤はサウンドにかなり不満がありましたが、この作品では音が太く臨場感あふれる作りに変わっており、
素晴らしいライブ盤となっております。
楽曲の方もOKからの楽曲が中心ではありますが、それ以外にもSUMMER TOUR, 雨上がり, スローバラード等
名曲を多数収録しており、かなり満足度が高いです。
「ドカドカうるさいR&Rバンド」からの幕開けカッコいいですね。チャボの延々続くリフから、
各メンバーが徐々に集合して演奏が始まります。
続いて「SUMMER TOUR」BEAT POPSのバージョンを凌駕するカッコよさ。最高。
3曲目がまさかの「雨上がりの夜空に」この曲はライブバージョンがやはり至高です。
「ダンスパーティ」はB面のナンバーです。メンバー紹介を交えて長い演奏を聴かせてくれます。
ダブルミーニングの歌詞が面白いポップなナンバー。粋です。
「NEW SONG」なぜかG2のソロが収録。シンセ中心のポップナンバー。ボーカルが変ですが、意外に好きですこの曲。
「たとえばこんなラブ・ソング」はアコースティカルなバージョンで収録。
こちらの方が原曲より数段良いです。優しい雰囲気に溢れています。
チャボの「ブルドッグ」は10分を超えるバージョンで収録。ながーいギターソロが聴けます。
「うんざり」南国風の演奏が楽しいです。音が太くて中々カッコいい音源。
「つ・き・あ・い・た・い」もストレートな演奏が良いです。
DVDも出ていますが、定点カメラでの撮影みたいな感じで画質も微妙なので、CDだけで良いかも?