Jitterin' Jinn
1986年結成。イカ天ムーブメントに乗りブレイクを果たし,
以降も活動中(今はほとんど活動していない模様)。
90年代バンドブームの象徴的なバンドとされることが多い彼らですが、
楽曲はかなり本格派であり、独創的であると思います。
スカ,レゲエといったルーツミュージックにロカビリー,パンクといったエッセンスを
うまく融合させ、数々の名曲を残しています。
気取らないボーカルの歌声,ライトでありながら心憎いギタープレイ,
ひたすらに連打連打連打!のイカしたドラミングから生み出されるサウンドは唯一無二。
ほとんどの作品が廃盤であり、再評価が待たれます。活動の再開を強く希望!!
メンバー:
春川 玲子 Vo. & Accor.
破矢 ジンタ Gu.
入江 美由紀 Dr.
浦田 松蔵 Ba ~1998
ヒジカタタクミ 2001
Shinji Yamada 2004
Jitterin'Jinn / DokiDoki(1989)
9/10
デビューアルバムですが、6曲収録とミニアルバム的な形式をとっています。
しかし名曲・代表曲揃いのナイスな一枚。
既にサウンドの核は完成されております。軽快なサウンドがひたすら気持ち良い。
「アニー」スタートにふさわしい疾走感溢れるナンバー。ドラムの手数っぷりが既に最高。
「SINKY-YORK」名曲ですね。甘酸っぱいメロディに乗る軽快なサウンド。
歌詞が特に好きで、何のことは無いラブソングなのですが、ストーリー仕立てで
最後に切ない最期を迎えるところが良い。
「抱きしめていたいけど 涙がもうあふれちまって 歩き出す 君の背中に さよならのキス」
「エヴリデイ」これも名曲ですね。ための効いた演奏からメロウなサビ。素晴らしいです。
トリッキーなギターソロが最高過ぎる。
「相合傘」もカッコいいなぁ。ゆっくりと始まりあとはひたすら駆け抜けます。
最後のカッコいいアウトロもっと長く聴いていたいなぁ。
最後はバラードの「いつかどこかで」。切ないメロディが良いですね。
この作品,比較的手に入りやすく、かなりオススメ。
Jitterin'Jinn / Hi-King(1990)
8/10
2nd。オリコン2位までいったそうな。良い時代ですねホント。
基本的には前作の流れにある作品ですが、こちらも素晴らしい内容。
完成度は甲乙つけがたいですね(前作同様6曲の収録)。しかしこちらには必殺曲「プレゼント」があり。
全体的に前作よりポップ色濃いめかな。
「かなしいな」スタートのギターフレーズが凄い。破矢ジンタってこの路線のギタリストとしては
間違いなく日本有数だと思いますよ。かなりのハイテンポに乗るポップなメロディ。
ギターソロも相変わらず素晴らしい。名曲です。
「トレイン・トレイン」こちらもポップなメロディが楽しいナンバー。
「プリプリダーリン」ロカビリーです。歌詞はかなりアレ(失礼)ですが、曲がめっちゃカッコいいから困る。
「プレゼント」大ヒットナンバー。誰もが聴いたことがあるでしょう。
単調なナンバーですが、歌詞が一発で入ってくるキャッチーさ。ダメ男と付き合ってる女シリーズが
このバンドかなり多いのですが、これが走りでしょうか。名曲。
しかし、破矢ジンタ氏の詩は女性目線に立ったものが多いのが面白いですね。
最後は渋いブルース調「雨」でしっとりと終わります。けだるいボーカルが異色のナンバー。
Jitterin'Jinn / パンチアウト(1990)
7/10
3rdにして初のフルアルバム。こちらも大ヒット。オリコン3位だそうです。
ここが全盛期でしょう。「夏祭り」「にちようび」の2大スーパーヒットを収録。
この後急速に失速というか,活動がまばらになってしまいます。
1st, 2ndに比べるとなぜか自分の中ではそこまでハマらない一枚。
良い曲が多いのですが,個人的に少し単調なきらいがある様な気がします。
「くわえたばこのブルース」歌詞が何だか粋ですね。ハイテンポな恒例の感じのナンバー。相変わらずのカッコよさです。
「あまのじゃく」メロウなメロディのナンバー。Sinky-Yorkの路線ですね。モータウン的なリズムが可愛らしい。
「ひっこし」レゲエ調の緩やかなパートと疾走感溢れるパートが繰り広げられる異色のナンバー。
流石に演奏が無理なくハマっていますね。
「ウォーウォーウォー」唯一の破矢ジンタボーカル曲。悪くは無いのですが、何故6分半もあるのだろうか。。
「夏祭り」永遠の代表曲ですね。和風の美しいメロディに乗る軽快な演奏が素晴らし過ぎます。
ドラムのキメっぷりが最高。
「にちようび」はオリコン1位ではなかったでしょうか。沖縄風リズムが印象的なナンバー。
こちらもドラムのキメっぷりが堪りません。ひたすらに楽しいメロディも良いですね。
Jitterin'Jinn / Moonlit Lane(1993)
8/10
前作の大ヒットからなんと3年ぶりの作品です。前作までの狂騒から離れ,
穏やかでメロウな楽曲が続きます。ある種異色の作品。軸はぶれてないけれども。
わずか7曲の収録なのですが、いずれも粒ぞろい。個人的には前作より断然こちらの方が好きです。
「隣町のメアリー」「Good Night」は西部劇シリーズでしょうか(アニーとかもそうですよね)。
前者は渋めのブルージーなナンバーで静と動がうまくかみ合う佳曲。
後者は名曲ですね。カントリーチックな優しいメロディが落ち着きます。
「一人きりのクリスマス」サビからのドラムの暴れっぷりが堪らないナンバー。ちょっと変わったメロディ。
「駅」「黒い服のブルース」の2曲は弾き語り系の穏やかなナンバー。しっとり歌い上げています。
今までこういう曲はありませんでしたが、新たな領域にチャレンジしています。
「サヨナラ」名曲です。別れがテーマなのですが、明るいメロディが逆に切ないです。
意味は分からないのですが、歌詞のフレーズにすごみがある。
「長い トンネルの中 僕は 追いかけていた 君の 白い 花嫁衣裳の 背中を手探りで バイバイバイ」
「お月さん」ミドルテンポの可愛らしいナンバー。この曲も良いなぁ。
悪く言えば地味,良く言えばじっくり聴かせるアルバムでしょうか。この作品はmp3で購入できる筈。機会があれば是非。
Jitterin'Jinn / Chick-A-Biddy(1995)
9/10
インディーズに移籍しての作品。今までの路線を堅持しながらも、サウンドの独創性に深みを増した傑作です。
ここから春川さんのアコーディオンが初登場します。また、歌唱法にも変化が見られ、
前作までの張り上げる様な歌い方から少し優しい歌声になって来ています。
乾いた音細めな録音も個人的には素晴らしいと思います。このバンドには凄くあっている。
「CHU-CHU-CHU」メロウなメロディが素晴らしいです。絡みつく様なギター,
ひたすらにクリアな音で連打されるドラム,最高過ぎる。
「およめさん」レゲエ全開のルーズなナンバー。さすがにハマっています。
「SWEET CARA」アコーディオン初登場です。まだ全開!というほどでは無いのですが、
良いアクセントとなっています。楽し気なメロディが良いですね。
「おじいちゃん」これは名曲中の名曲。幼い日のおじいちゃんとの思い出。
変わってしまった自分と自分の周り。あまりにも切ない詩世界。。
「Sittin' on the Green Green Grass 汚れちまった悲しみに」
メロディのほうもルンバ調の絡みつくギター,優しいボーカル,メロディが堪りません。
「CHOCOLATE PRINCESS」全編英語の軽快なナンバー。沖縄風コーラスが面白い個性的な曲。
「PLEASE DON'T CRY」レゲエの緩いリズムに乗るバラード。別れが極めて少ない言葉で歌われます。
この曲も切なくて大好きだなぁ。アコーディオンの音が果てしなく優しいのです。
最後の軽快なロックンロール「GOOD LUCK」一点の曇りもない名曲。
住み慣れた町から旅立つ女の子が主人公でしょうか。情景が浮かんで来ます。
結構入手には苦労する一枚ですが、素晴らしい一枚です。というか,再発希望。
Jitterin'Jinn / here, rattler here!(1998)
10/10
最高傑作。3年ぶりとなる作品です。個人的には日本のロックを代表する圧倒的な作品だと思います。
完成された世界観,感情を揺さぶる詞世界,圧倒的な楽曲の数々,完成された演奏。ジャケも素晴らしい。
どことなくメランコリックな空気が堪らなく好きなんだよなぁ。
「泣き顔のマリー」1曲目は何故かハードコア(否,スラッシュメタル?w),
暴力的な演奏がカッコいいです。ボーカルのエフェクトも面白い。つかみは完璧。
間髪入れず「黄金の夜明け」アコーディオンが全開,軽快なポップナンバー。
高速カッティングが素敵なスカナンバー。生活感あふれる歌詞がリアル。悲壮感なんて全然無いけどね。
「行こうのんびりジッタリンジンでも聴きながら」という一節に静かな覚悟を感じます。
「週間天気予報」名曲。ダメ男とずるずる付き合っている女の子でしょうか。
切ない世界観ですね。いじらしい歌詞ですけど、何故か前向きな空気。素晴らしいと思います。
「約束破ってばかり 期待はしたくないけど 何となく気になってる 週間天気予報」
メロディもマイナー調な雰囲気で渋くもあり、美しい。アコーディオンが最高にハマってます。
「夏の終わり」超名曲。完成度は彼らの作品で一番でしょう。
「いつもの笑い顔が 夕焼けに沈んだ 背中で笑ってダーリン 追いかける追いかける 後姿が 夏に溶けていく」
何故ここまで胸に響く歌詞を書くことが出来るのか。美しいメロディと混然一体でぶつかってきます。
「クローバー」最高傑作の一つでしょう。別れの歌です。個人的にロックの曲で実際に泣いた数少ない曲。
作詞は春川さん。まさに女性にしか書けない詞世界ではないでしょうか。
美しすぎるメロディライン。Bメロで出てくる少女の様な歌声も堪らない。アコーディオンソロも泣けるぜ。
「市営プール」こちらも名曲。春川さんと破矢さんのハモリの凄まじい破壊力よ。
「西日の市営プールから 僕らは 裸足であるいた 遠回りをして」(2番で 'て’ が 'た’ になるトリッキーさも好き)
それだけのことを歌っているのに情景が目の前に浮かぶ。
兎に角この作品の言葉の選び方,音への乗せ方はあまりに完璧すぎる。
最後の「夕暮れ」すみません、これも名曲です。和風のメロディが切なくて堪りません。
夕暮れの街を歩く恋人二人。お風呂屋さんに行く幸せな時間。それだけのことなのですが、
情景が目の前に迫ってきます。アコーディオンが凄く美しいですね。
さて、彼らの作品では相当に入手が厳しいこの作品。
ですが、俺が保証する。これは凄まじい名盤だ。後悔はさせない。何とかして手に入れてくれ!!再発希望。
Jitterin'Jinn / Tentastic!(1999)
9/10
デビュー10周年ということで、かなり気合の入った一枚。
楽曲の充実度が凄まじく高いです。これも名盤。世界観は前作と異なり、かなりアッパー。
それまでパンチアウトしか聞いておらず,このバンド大分好きになるのが遅かったのですが、
これを聴いてから一気にハマりました。特に素晴らしいのが最後の。。
「テンタスティック!のテーマ」オシャレな曲調が楽しいナンバー。サックスの音も効果的。
「CALL ME」パンキッシュでひたすらアッパーなナンバー。突き抜けてて最高だぜ。
「やけっぱちのドンチャラミー」Don't You Love Meでしょうか。これもアッパーでパンキッシュな曲。
メロディがポップで可愛らしいですね。
「知らない街へ」これも良いなぁ~。相変わらずの疾走ドラムに乗る美しく切ないメロディ。
レトロ感溢れるコーラスが素晴らしくマッチしていますね。
「月夜の散歩道」も良いですね。情景が浮かびます。前作の延長線上にある曲です。
切ない別れを歌い上げています。アコーディオンは彼らにとってもはやなくてはならない要素となっています。
「Hi! Wild My Bike!」これもハード&ドライビングなパンクナンバー。実にハマってます。
ただただカッコ良すぎるんだよなぁ。最高。
「ボロボロ」何だか面白いリズムの疾走ナンバー。これもカッコいい。ヘヴィなギターが堪らん。
「ガラクタの恋」西部劇風のメロディがカッコいいナンバー。
しかし相変わらず別れとかダメな恋がテーマの曲が多くて素敵ですね。
「10月のベレット」かなりの異色作と言えるドバラードです。しかしここで聴ける春川さんの情感溢れるボーカル,
儚げで本当に素晴らしいと思います。キーボードの音が効果的。
「自転車」これはこのバンドの最高傑作では無いでしょうか(いや、クローバーとかもあるかしかし。。)。
開放的なメロディに乗るアコーディオンの爽やかな音色,凄まじい手数のドラム(異常!),
サビの解放感はもはや魔法です。どこまでも飛べそうな気持になる。自転車に乗って~
このアルバムは比較的入手しやすいほうでしょうか?再発希望。
Jitterin'Jinn / Banzai Attack(2000)
7/10
前作,前々作が素晴らし過ぎる割りを食ってる一枚ですね。
楽曲のクオリティは相変わらず高いと思うのですが、前2作があまりに名盤なので、
正直あまり手が伸びない一枚。しかし、収録時間がめっちゃ短いw
この作品はスカ,レゲエといったところよりロックンロール中心の音世界です。
「青いカナリア」ポップで晴れやかなメロディが素晴らしい名曲ですね。解放感に溢れてます。
「Senless Boogie」ドストレートのブギーです。今までありそうでなかった。
「馬鹿息子」パンキッシュで疾走感溢れるナンバー。でもなんか演奏が大人しめ。
歌詞は何か下ネタっぽくて面白いです。とってつけたようなギターソロ最高。
「サムライガール」ハイトーンの可愛らしいコーラス,ポップでレトロ,キュートなメロディ。
アルバムを代表する一曲ですね。
「雨上がり」アコーディオンが良い雰囲気を出す哀愁ナンバー。
この曲は前々作の空気感を唯一持ってて好きですね。
割と入手しやすいほうでしょうか。オリコン20位らしい。再発希望。
Jitterin'Jinn / Wang Dang Doodle(2002)
9/10
これも素晴らしいアルバムですね。前作のハイテンションっぷりは少し身をひそめ,
メロウなサウンドが戻って来ています。
前半ではロックンロールの典型的なサウンドを展開,
後半3曲は奇跡的な名曲の連続です。兎に角最後の3曲が最高過ぎる。
「Cool Down」Come On Everybodyへのオマージュですね。
そこからなだれ込む「ヒステリートレイン」初期っぽい歌い方が聴けます。
「君とどこまでも」ブルージーに始まる歌謡チックなメロディが印象的なナンバー。
後半で一転して爆走モードへ。相変わらずのカッコよさ。破矢さんのギター炸裂っぷりが堪らん。
「大好きだった人」少しこじゃれた歌い方が聴ける緩やかなナンバー。春川さんの表現力の進化を感じます。
「コスモス」名曲です。秋口の奈良,斑鳩。法隆寺に法起寺。咲き誇るコスモスと失恋。
美しい情景が浮かびますね~。メロウなメロディに乗る超絶連打ドラム。いつものやつです。最高。
「黄昏」ストレートなメロディが美しいバラード。詞世界が圧倒的な力で迫ります。
「僕らあの日の様に 何の秘密も持たず 笑い合えたら 素敵だろうね
長い道の向こうに 赤い夕日が落ちて そばにいるのに 顔も見えない」
「晴れ」これも超名曲。失恋した女の子の心模様を歌うポップナンバー。
「泣きそう 泣かない 泣くかも だけど 女心は秋の空 明日は晴れる」
素晴らしいサビと歌詞。前を向いて進んでいく。言葉の,音楽のもつ力が凄い。
「遠回りしても 道草しても 自分の道なら 笑って歩いて行こう」
これも割と入手しにくいです。再発希望。
Jitterin'Jinn / Caramba!(2008)
8/10
元々2003年にファンクラブ限定でリリースされたミニアルバムを2008年に一般市場向け再発。
ジャケットのイメージ通り西部劇,ラテンなコンセプトで彩られた一枚です。
わずか5曲のみの収録ですが、いずれも完成度の高いナンバー。
アルバムとしては、今のところこれが最後の公式作品ということでしょうか
(ほかにもファンクラブ限定シングルとか沢山あるみたいですね)。
「カランバ!」小洒落たインストゥルメンタルナンバー。主にアコーディオンが主体。何ともカッコいい幕開けです。
「指輪」少し神秘的な詞世界を持つアッパーなナンバー。メロディが何とも魅惑的。
このアルバム一の曲ではないでしょうか。
「陽炎」は少し大人な雰囲気のナンバー。西部劇的な雰囲気は引き続き。情景が浮かびますね。
サビの春川さんのハイトーンが開放的で美しい。
「ひまわり」アコーディオン主体の爽やかな一曲。いつものジッタリンジンです。素晴らしい。
「アスタ・ラ・ビスタ!」ラテンな雰囲気溢れる楽しいナンバー。また会おうって言ってるし、
いつか活動を再開してくれることを信じて。
最も手に入らないアルバムはこれです。再発希望。