フラワーカンパニーズ
1989年に名古屋で結成されたバンド。
メジャーレーベルからデビューするも、インディーズ活動へ移行,
2008年からは再度メジャーレーベルでの活動を続けています。
これといったヒットは無くても、しぶとく活動を続け,
弱音を吐いたりやさぐれたりしながらも、決して諦めることなく続けていく姿勢が
カッコよすぎるバンドです。
高い演奏力と表現の引き出しの多さ,胸を熱くする詩世界と、確かな実力。
個人的にはTheピーズと双璧を成す日本のバンドと思います。
メンバー:
鈴木 圭介(Vo.)
グレートマエカワ(Ba.)
竹安 堅一(Gu.)
ミスター小西(Dr.)
フラワーカンパニーズ / フラカンのフェイクでいこう(1995)
8/10
中々カオスな雰囲気の1stアルバム。
ロックンロールが基調なのですが、サイケデリック歌謡的なテイストが至る所に。
奇妙なジャケと歌詞カードの奇妙なイラストも一役買っています。
しかしながら,既に楽曲のレンジは幅広く,完成度も高いアルバムです。
今でもライブで演奏される代表曲を多数収録。
「むきだしの赤い俺」出だしから下ネタ全開。強烈なサイケデリックなヘヴィブルースです。
「今池の女」2曲目もゆるい雰囲気のサイケナンバー。出だし2曲から勝負しすぎの感もありますね。
「アイ・アム・バーニング」ストレートなロックンロ―ル。これは名曲ですね。初々しさがカッコいいです。
これから突き進んでいく力強い意気込みを感じます。
「フェイクでいこう」ファンキーなナンバー。うねうねと疾走するベースラインが堪りません。
「ライトを消して走れ」アブノーマルな雰囲気の歌詞が印象的なこちらもストレートなR&R。
全8曲ですが、どの曲も個性的で味があるので、何度聞いても飽きませんね。売れるかどうかは別として。。
フラワーカンパニーズ / フラカンのマイ・ブルー・ヘヴン(1996)
8/10
前作の路線を継承する一枚ですが、収録されている楽曲は前作のものより古いらしい。
こちらも奇妙なジャケット含め,売れ筋とはかけ離れた独自の世界っぷりが強烈です。
しかし1st, 2ndとマニアックなアプローチが多く、時代を考えても相当の実力派なのは間違いない。
「紅色の雲」ヘヴィなサウンドがカッコいいブルージーなナンバー。だるい感じが好き。
「雨よ降れ」ファンキーな曲調が楽しいポップなナンバー。
「積もった抜け毛に火をつけろ」この曲大好きです。ひたすらにファンキーな演奏が気持ちよすぎ。
不思議なコーラスも印象的でかなりマニアックな演奏を堪能出来ます。
「夢の列車」9分近い大作。グレートマエカワもボーカルをとっています。初期の大名曲でしょう。
スライドギターがぐんぐん曲を引っ張ります。まさに列車がけん引している様。性急感溢れる展開が最高すぎ。
「孤高の英雄」このアルバムでは一番の曲でしょう。マイナー調の決意に満ちたロックンロール。
素晴らしいメロディに乗る圭介さんの力強いボーカル,ギターソロも最高です。
~がんばれ圭介!~と自分で叫んでしまう姿に痛々しさを感じながらも、むしろカッコよさを感じます。
「ダイヤモンド」「復活の日」はちょっとエレカシっぽい感じ。後者は歌謡的メロディが面白い。
個人的に結構とっつきにくい感じはあるのだけれど、粘り強く聞いて好きになった一枚ですね。
フラワーカンパニーズ / 俺たちハタチ族(1996)
9/10
「恋をしましょう」という名EPリリース後にリリースされた初期の名盤。
前作までのマニアックな世界観はなりを潜め,一気に垢抜けた感があります。
ポップで楽しい楽曲の数々。全体的に開放的な雰囲気に溢れています。
兎に角メロディ・歌詞がスッと入ってきますね。どの曲も大好きです。
「冬のにおい」疾走感溢れるポップな名曲。ギターカッティングが気持ちいいです。
~冬のにおいが好き,襟を立てて 肩をすぼめ 歩く感じが好き~なんか良くわかるわぁ。
「ああ今日も空振り」ストレートなロックンロ―ル。楽しいメロディに対し、
歌詞は何か早くもちょっとやさぐれて来てる感。
「どこへいこうかな」フォークソングっぽいメロディのナンバー。こういう曲調のナンバーが今後増えてきます。
さりげない一曲ですが、メロディ・展開の完成度が高いです。
「あったかいコーヒー」今までの作品には無かった暖かい空気溢れるバラードの名曲。心和らぎます。
~男の僕だから 強くはなれないし~ 女々しいけど最高に好きな一節。
「春色の道」これも清々しいムードの一曲ですね。強力なリフがLed Zeppelinっぽいけど、
こんなに和らいだ雰囲気になるのが面白い。
表題曲は爆走するロックンロール(ハードロック)ナンバー。単純にカッコいい。
~頭の中 ハタチのまま~ 自虐しながらもそれを誇らしく思ってる感じが良いですね。
「宙ぶらりんの君と僕」前2作路線のサイケデリックナンバー。この路線の最高傑作でしょう。
絡みつくようなベースラインとファズの効いたギター,おどろおどろしい圭介さんのボーカルが最高すぎる。
「小さな巨人(ジャイアント)」これもイカしたハードロック。リフが決まってるなぁ。
「なんとかなりそう」最後はしっとりとしたバラードで〆ます。トータス松本氏の結婚式の夜のことを歌った曲。
こういう気持ちになることってあるよね。初めて聞いた時ハッとしたナンバー。
良い曲ばかりですね。もっと評価されてよい一枚。
フラワーカンパニーズ / マンモスフラワー(1998)
9/10
90年代後半の空気がビンビン。かなりの充実っぷりをみせる4th。圧倒的に完成度が高いです。
それと同時にポップで開放的な路線は推し進められており、ヒットを狙っていることは明白。
残念ながら大ヒットには至らなかったそうですが、
ここで大ヒットしていたら今のフラカン,沢山の名曲は無かったわけで。。
「ソウルサーフィン」ファンキーで力強いハードロック。掴みはばっちりといった感じ。最高。
「トラッシュ」武道館でも演奏されたゴキブリソング。レッチリとかあっち系のノリですね。
ヘヴィな演奏に乗る圭介さんの高度なボーカルが良いです。
「モンキー」こちらもファンキーな演奏が楽しいナンバー。最初3曲の飛ばしっぷりが素敵。
「MR.LOVE DOG」変調・転調っぷりが痛快な疾走ナンバー。遊び心あふれる歌詞がひたすら楽しいw
「涙より速く走れ」メロディの美しさが際立つポップの名曲。切ないAメロが特に好きです。
つつく「君のこと」フォークな雰囲気のナンバー。こちらもメロディが堪らない。
サビのキャッチーさ,一発で耳に入ってきますね。売れても良いと思う曲なのですが。。
「ヒコーキ雲」自分がフラカンを初めて聞いたのがこれ。懐かしい曲。アニメでタイアップだった。
これも開放的な雰囲気が素敵なポップナンバーですね。あまりライブでやらない様な気が。
「ホップ ステップ ヤング」攻めまくってるなぁ。超ポップなナンバーです。やり過ぎ感すら漂うのですが、
圧倒的な歌唱力・表現力だから出来ること。
「NE-NA」パンキッシュな疾走ナンバー。のちに繋がっていく感じ。ひたすらカッコいいです。間奏のベースもたまらん。
「虹の雨上がり」清々しいまさにタイトル通りな名曲。前向きに突き進んでいこうってな感じの楽曲ですが、
この後の彼らの苦難の歴史を思うと楽曲の美しさは別次元ですね。武道館の追い出しにこれがかかったときは鳥肌が立ちました。
フラワーカンパニーズ / Prunes & Custard(1999)
8/10
前作の開放的な空気は消え失せ,すましたクールな印象を受ける5th。
70年代の洋楽的アプローチも結構戻ってきています。
やはり本格派でありたいという彼らの姿勢はカッコいいと思う一方,
全体的に漂う重苦しい雰囲気が結構つらいと思う時もある一枚。完成度は間違いなく高い。
「SOUL BARGAIN」いきなり全編英語,ブリティッシュな雰囲気の洒落たサイケナンバーからスタート。
「SOUL BONE ATTACK」ファンキーなノリのナンバー。何だか重苦しい雰囲気。
「真っ赤な海」これもメロディーが何か暗いです。サビのメロウな展開が好きなナンバー。
「台風8号」疾走感溢れるヘヴィなナンバー。次作に継承される路線ですね。
「夜明け」このアルバム一の曲でしょう。否、ここまでで最高の一曲。
ギターの重いフィードバック音はまるでシューゲイザー。メランコリックなメロディと美しい詩世界。
~今まで歩いてきた道が 勘違いだったとしても これから歩き出す道が すれ違いだったとしても
手探りで進むしかない ただ手探りで~
「LOVE ME DO」ブリティッシュビートな感じのポップナンバー。ギターの演奏がマニアックで良いですね。
「29」これもサイケナンバー。コーラスが脱力感溢れてて奇妙ですが、サビは美しい。
「スマイル」この曲大好きです。ストレートなパワーポップ系ロックンロール。重苦しい中にこの曲は一種の清涼剤か。
「冬の陽」サイケナンバー。水中で溺れているような不気味なボーカル。グネグネしたギターとかなり実験的な雰囲気。
でもサビはいつものフラカンで、カタルシスがあって素敵です。完成度がかなり高い。
「元気ですか」最後はポップで開放的なナンバ―で〆ます。これ本当にいい曲なのですが、売れなかったんですね。。
詩世界も好きです。彼女との別れを歌っていますが、不安とヤケクソが交差する様な感じがリアルです。
フラワーカンパニーズ / 怒りのBONGO(2000)
7/10
メジャー最後の作品(後に復活しますが)。楽曲にあった柔らかさとか暖かさが完全に消滅。
ひたすら青筋立ててブチぎれている様なそんな楽曲が繰り広げられる感じ。
ぶっちぎりで重苦しいアルバムですが、以降の作品で見られる心の底から来る叫びみたいな感じではなく、
あくまでサウンド的な面でといった感じ。相当混迷している感じが伝わってきてしまう。ひたすらにカッコいい作品とだけ。
「NO BLOOD MAN」ゴリゴリですね。ストゥージーズとかそんな感じの勢い。強力。
「センチメンタルエンジン」けたたましいサックスの音がいい感じのブギ―。暴力的な空気が漂う。
「恍惚のブギ」ドロドロ不気味で凶悪なサイケナンバー。どの辺がブギなのだろうって感じ。カッコいい。
「東京ヌードポエム」ひたすらに語り続ける様なボーカルが印象的なナンバ―。ファンキーな演奏が良いです。
このアルバム一の曲ではないでしょうか。
「BELLBOTTOM JACK」シングルカットされたナンバー。これも凶悪な雰囲気の疾走ナンバー。
ラスト「JUMP」はもうこれでもかって位暴力的なハードロック。これはかなりカッコいいです。
この作品を最後にフラカンはインディーズ活動へ移行。
フラワーカンパニーズ / 吐きたくなるほど愛されたい(2002)
9/10
インディーズレーベルトラッシュレコードからの1作目。前作で繰り広げられた凶悪サウンド路線は
本作にも引き継がれており、前半の4曲はぶっ壊れたヘヴィさで迫ってきます。
しかし、中盤~後半では一転し、従来のポップセンスを取り戻す感じとなるのですが、
ラスト三曲に顕著なように、歌詞にすごみが出てきています。やさぐれて塞ぎ込んでいる感じですが、
温かい感じというか。。私生活での別れ,行き詰りなどを暗示させる歌詞がまた強烈。
必殺曲・代表曲こそ少ないですが、名曲ぞろいの傑作です。
「白目充血絶叫楽団」いきなりド迫力のシャウトから始まるナンバー。凶悪ですね。ドラムが最高。
「人間の爆発」グロテスクな雰囲気のサイケナンバー。かなり異色なナンバーです。
サビで爆走形態に入ります。歌詞があまりにも病的。大丈夫なのか?と不安になるレベルで。
「YES, FUTURE」ライブのド定番ですね。2分ちょいのアッパーなロックンロールで最高に楽しいです。
徹頭徹尾フルスロットル。最高すぎる。
「中年中学生」Queenかって感じの明るいブギ―。開き直りの姿勢が良いですね。
「春の手前」久々に軽やかでポップなナンバー。でもメジャーの時みたいなギラギラした感じは無くて、
あくまで自然な感じ。隠れた名曲です。
「夢から醒めないうちに」グレート作曲のこれも隠れた名曲。ヘヴィな演奏が素晴らしいパワーバラード。
ストレートで前向きな歌詞も大好きです。~もう少しだ ほんの少しだ あと少しだ~
「真っ赤な太陽」うおー暗い。。どツボにハマってる感じが強烈。今日もがんばれよ~のリフレインが悲壮。
最後の3曲はどれもメロウでスローな曲が続きます。
「少年」これは自身の息子に捧げた曲だろうか。7分に渡るアコースティカルなバラードで、
徐々に盛り上がっていく様が美しいです。決して明るい曲では無いのですが、愛を感じる楽曲。
「セロハン」これもギター弾き語り風のバラードですが、決定的な別れを思わせる歌詞が凄く辛い。
~空を見上げたって 君はいない 新しいシャツを着て 何もない 何もない~ 圧倒的な喪失感。
最後の「遠い空」ではもう一度君に会いたい,君と暮らしたいと歌われる。。最後の3曲,あまりに鬼気迫るものがあります。
ちなみに表題曲は次作に収録されているので注意(Theピーズにもあったね)。
フラワーカンパニーズ / 発熱の男(2003)
9/10
楽曲のバラエティが広がり、代表曲・名曲を多数収録する名盤。
トラッシュ時代のアルバムはどれも最高ですが、個人的にはこの作品が一番聴く頻度が高い。
前作の凶悪な雰囲気は幾分か薄れています。歌詞はもはや凄みを感じるというレベルではなく、
どこまでも胸に突き刺さるものばかり。圧倒的な演奏力・表現力でどこまでも迫ってきます。
この辺までが圭介さんの精神状態が最悪だった時期と聴いたことがありますが、
奇しくもそういう時の方がアーティストは輝くのですね。。
「発熱の男」僕がフラカンで一番好きな曲。シンプルなパワーバラードなのですが、
振り絞る様な力強いボーカルに乗る,行き詰りながらももがく男の詩が胸を打ちます。
延々自問自答して苦しんだ末の最後の一節,何度か泣かされました。
~奮い立つんだ 顔上げるんだ 抱きしめるんだ 熱を出すんだ
夜の中へ 闇の中へ いざ行け~ この歌詞を圧倒的な説得力で歌えるミュージシャンは他にはいない。
「NUDE CORE ROCK 'N' ROLL」ライブのド定番ですね。ゴリゴリのリフがただただ楽しいロックンロールナンバー。
「ホルスター」西部劇風のカッコいいナンバー。途中の語りの表現力がすげぇ。緩急使い分けも完璧すぎ。
「馬鹿の最高」こういう路線のポップな曲が戻ってきたのがうれしいです。メロディセンスが素晴らしい。
「裸の大将」これモロWe Will Rock Youじゃんw Queen好きなのでしょうか?ギターもモロブライアンメイです。
「真冬の盆踊り」これもライブのド定番曲。10分以上やるんじゃないかって位長い時もある。
盆踊り風メロディのブルースです。兎に角気持ちいい楽曲。Mopsの御意見無用の正当な後継者的な。
歌詞は何か行き詰ってる状況を歌ってる感じですが、ヤケクソ感が凄く良いです。
「春を待つ」も劇的な雰囲気が素晴らしいパワーバラードです。熱いです。
それでもしぶとく続けていく。。そんな感じが凄くカッコいい。
「吐きたくなるほど愛されたい」すさまじい楽曲。徹底的に追い詰められた男の行くあての無い日常が
サイコーのロックンロールに乗って歌われる。終盤にかけての圭介さんのボーカルは鬼気迫るどころじゃないヤバさがある。
何一つうまくいかない,前向きになれるはずなんてない。それでも続く日常。。大好きな一曲です。
~迷うほど道は無くて 選ぶほど余裕なくて 終わるほど勇気無くて まだここにいる~
最後の「星を見ている」優しいムードに包まれたバラード。竹安さんのギターの表現力が尋常ではない。
~心の底では誰も 一本の川でそっとつながっている 歳を重ねるにつれて いつしかその川までたどり着けなくなる~
切ない。こんな歌詞を歌うミュージシャンは他にはいない。居たとしても説得力が違う。
個人的には最初に聴く一枚としてこれをお勧めします。
フラワーカンパニーズ / 東京タワー(2003)
8/10
前作では重いテーマの曲が結構入っていましたが、この作品は表題曲を除けば、
割とポップで開放感溢れる楽曲が多い感じですね。
収録時間が非常に短く、8曲の収録となっております。
個人的には他の作品に比べると、やはり少し物足りないかな。
「ダイナマイト・ブルース」ストレートなロックンロール強力な演奏が光ります。
「捨鉢野郎のお通りだ」タイトルが凄いw~思春期なんだといってやれ~と吐き捨てるように歌います。
「裸足のパレード」リフが好きな曲。自分たちの活動をタイトルに例えています。
「夏に生きる」フラカンって季節をテーマにした曲が多いよね。
この曲も初夏を思わせる爽やかなサウンドが素敵。メロディメーカーとしてもやはり素晴らしいバンドです。
表題曲,圧倒的な熱量で迫ってくるバラードの名曲です。
東京タワーを見に行った時の感動が歌われており、自身をその姿に重ねています。
昔フジロックでこの曲を演奏された時熱いものがこみ上げてきて、泣いてしまったことを思い出す。
~年は取るぜ 汚れてくぜ いつか死ぬぜ 神様はいないぜ~ それでも生きていかないといけない。
奥歯かんでぐっと踏ん張って。彼らが歌うからこそ凄く説得力を持つ圧倒的な一曲。
「星の祭り」はコールアンドレスポンス風が面白いナンバー。ほとんど歌がない感じが斬新。
フラワーカンパニーズ / 世田谷夜明け前(2004)
9/10
最高傑作といえばやはりこの作品だと思います。最強の必殺曲を収録しているのもそうですが、
どの曲もバラエティに富み,圧倒的な完成度。所謂捨て曲が一曲も無い。
発熱の男~東京タワーの丁度中間位の世界観でしょうか。塞ぎ込んでもいないけれども、開放的過ぎず。
「深夜高速」間違いなく日本のロック史上最高の傑作のひとつ。
決して明るい歌詞じゃないのだけれども、圧倒的に素晴らしいメロディに乗る光を求めている男の歌。
~生きていてよかった~というリフレインはいつだって強烈。
年間100本以上のライブをこなして全国を巡る,その中で徐々に売れていったというエピソードも伝説的。
結成から15年後に最高傑作を作るバンドなんてほとんどいないでしょう。
一貫してバンドマンを続けてきた彼らの生き様がもたらした奇跡です。
「永遠の田舎者」ストレートに疾走する名曲。自身を表題に例えて歌われますが、
力強く前向きに突き進む姿勢を強く感じます。サビの高揚感がたまらない。
「赤点ブギ」これもストレートな疾走感が気持ちいいナンバー。あんまりブギじゃないけれども。
「初恋」まっすぐなラブソング。メロディと圭介さんの力強いボーカルでぐんぐん引っ張ります。
「忘れ物」穏やかなバラード。優しいメロディが大好きな一曲。
~子供のままじゃなく 大人のフリじゃなく 自分らしく ああ 生きてるかな~
凄くハッとさせられた歌詞。日比谷野音の追い出しで流れていたな。
「空想無宿」楽しいロックンロールナンバー。世界で一番でかいものは頭の中、、アーティストです。
「青い春」マイナー調のパワーバラード。ストレートな詩世界が美しいです。名曲。
「野暮天ブギ」力強いロックンロール。またしてもブギじゃない。これは前向きということで良いのだろうか?
「寄鷺橋サンセット」マイナー調の切ないナンバー。ちょっと厭世的な雰囲気。美しいです。
「アイムオールライト」は同名の曲のパロディですが、楽し気なメロディと前向きな歌が最後にふさわしい感じ。
フラワーカンパニーズ / 脳内百景(2006)
9/10
インディーズ時代最後のアルバム。集大成と言っていいほどに完成度が高い。
ライブで今も演奏される曲はあまり多くはない感じですが、バラエティに富んだ15曲はどの曲も素晴らしく、
聴けば聞くほど味が出てくるアルバムだと思ってます。
吐きたく~あたりのころから比べると色々開き直ったことが分かる。開放的な世界。
あと音圧が凄まじく高く、サウンドの迫力が凄い。何故か雨のイメージが合う気がする。
「たまらないZE」疾走感溢れるブルースでスタート。掴みは完璧。
「はぐれ者賛歌」超名曲ですね。ストレートなロックンロールですが、
乾いたカッコいいリフ,開放感溢れる力強いサビ,歌詞も相変わらず胸を打ちます。
~歌うしかないんだよみんな 自分の歌を~
「ギャンブル天国」なんだかお洒落な雰囲気のナンバー。ギターの音がカッコいいです。
表題曲,突き抜けた名曲です。ちょっと和風テイストの入ったメロディが面白いロックンロールナンバー。
よくこんな曲思いつくなぁ。ギターソロも強烈で大好き。歌詞も面白い。旧型ザクが潮干狩りしたり,
ペギラとゴモラがひげダンスしたり。。圭介さんの脳内が歌詞に出てきているといった感じ。
「年を取るってこと」切ない歌詞だなぁ。メロウな曲調が好き。
「素寒貧ロック」これのコーラスはエルトンジョンへのオマージュですね。ストレートで楽しいR&R。
この作品の彼らは年を取ることを完全に受け入れた感じがする。今までよりも力強い前向きさがある。
「MY LIFE WITH A DOG」可愛らしい雰囲気のゆったりしたナンバー。メロウで好きな曲です。
圭介さん犬飼ってたってどこかで読んだことあるし、犬好きなのかな。
「波打ち際のバラード」マイナー調のバラード。途中の鬼気迫る感じの語りがカッコいい。
「It's Only Roc'kyun' Roll」ロッキュンロールです。
~愛されたいと嘆いてる奴より 誰かを愛してる奴のが好きだ~ これは過去の自分のことなのか。
「帰り道」癒し系の楽曲。次作に続く感じでしょうか。これも好きですね。
「はじまりのシーン」最後は少し暗い雰囲気のバラードで終わります。名曲で、圭介さんの表現力が凄まじい。
フラワーカンパニーズ / たましいによろしく(2008)
9/10
メジャー復活しての1作目。トラッシュ時代とは明らかにサウンドが違っていますが、
根っこは変わってないです。音像が凄く柔らかくなりました。曲によっては圧倒的な優しさを感じる。
テーマは年を取ることでしょうか。かなり統一された世界観を持つ傑作です。
歌詞はびっくりするくらいまっすぐです。まさにジャケットのイメージの様な清々しい作品。
「大人の子守唄」フォークソング風メロディの優しいナンバー。ギターの音色が美しい。
~夕暮れ 空の下で 僕らは小さくなっていく 本当の自分を知って 小さくなっていく~
ストレートな歌詞ですが、胸に響きますね。名曲です。
「この胸の中だけ」レゲエ風サウンドのポップな一曲。涼し気なサウンドが気持ちいい。
自らが通っていた小学校を訪れた圭介さんが少年時代の自分と出会うというストーリー。
中盤の少年時代の自分と語り合うパートは何だかこっぱずかしい感じですが、これが凄く味があって好き。
「SHAKE MY LIFE」「ロックンロールスターダスト」はいつもの腰に来る感じのロックンロール。ギターの音が古風で良いですね。
このアルバム,録音が凄く良いと思います。メジャーで出してるけど、結構通な音像だと思う。
表題曲はゆったりとしたバラード。これもまた名曲ですね。自らの魂に語り掛ける歌詞がカッコよすぎ。
メランコリックな演奏が大好きなナンバーです。
「上京14歳」これもギターの音が凄く気持ち良い。気分一新,新たなるスタートって感じですね。
「終身刑」ハード&ドライビングなロックンロールナンバー。でもトラッシュ時代みたいに暴力性は感じない。
成熟した感じが漂います。音像のせいもあるでしょうが。
「自己満足からはじめよう」Theピーズの何様ランド的な歌詞だろうか。でもあちらみたいなヤケクソ感はなくて、
あくまでも優しく包み込むようなサウンドが印象的。篭った音像が凄く気持ち良い。
「サヨナラBABY」突き抜けるほどにポップなメジャー後の代表的一曲。フォークソング的メロディに乗るわかりやすい歌詞。
これオリコンとかで大ヒットしても良い感じの曲なのだがなぁ。ライブの最後はこの曲で終わることが多い。名曲。
フラワーカンパニーズ / チェスト!チェスト!チェスト!(2010)
8/10
前作での落ち着いた雰囲気から一転し、非常にバラエティ豊かにポップなロックンロールを奏でる一枚。
完成度はめちゃくちゃ高く、名曲を多数収録しているのですが、すみません、個人的に前作、次作に比べると、
少しポップさが鼻につくように感じてしまう一枚。しかしながら、本人たちも名盤を作ろうという強い意気込みで
製作を行ったとの話もあり、極めて完成度の高い名盤であることは間違いないでしょう。
しかし、ジャケットがあまりにも地味ではないのか。。内容はすごくカラフルなのに。
「感情7号線」亀田誠司がプロデュース。ストリングス全開の超ポップなアレンジですが、
この曲にはこのアレンジがベストと思えるはまりっぷり。歌詞は流石に暗いですが、そんなところが大好きです。
~いつの頃からか 心の真ん中にすりガラス 本当に欲しいものが見つけられなくなる~
メロディへの詩の乗り方が完璧。完成されたナンバーです。
「元少年の歌」これも代表曲ですね。ストレートな歌詞,ポップで美しいメロディに乗る切ない歌詞。
~大人だって泣くぜ 大人だって怖いぜ 大人だって寂しいぜ 大人だってはしゃぐぜ~
当たり前のことを歌っているのに心に響くなぁ。
「ラララで続け!」サザンオールスターズかって感じの曲。突き抜けてポップです。
「終わらないツアー」ライブのド定番曲ですね。ストレートな疾走感あふれるロックンロールですが、切ないメロディが美しいです。
「日々のあぶく」これも名曲だなぁ。抑えた展開の序盤から、感情が爆発する後半の畳みかける歌。
「切符」これ変な曲だなぁ。スカ風の暗いAメロからお祭り騒ぎ的なサビ。ダサいんですが、面白いので好き。
「チェスト」間髪入れず続くストレートなロックンロール。これもライブのド定番。兎に角楽しい。
「エコー」も美しいバラードですね。人との出会い,別れ,切ない歌詞にのる圭介さんの力強い歌唱が堪らない。
~恋をした瞬間に感じたもの 響け いつまでもエコー さよならの瞬間に溢れたもの 響け どこまでもエコー~
なんという歌詞だろう。カッコよすぎるにもほどがある。。
「TEENAGE DREAM」ハードコアな一曲 おっさんおっさんおっさんおっさん!なんて歌詞あるかよ(笑)
サウンドはゴリゴリでカッコいいから堪らないです。
マンモスフラワー以来のポップな路線の大作ですね。
フラワーカンパニーズ / ハッピーエンド(2012)
10/10
フラカンで一番好きな時期はトラッシュ時代なのですが、一番好きな作品はこれです。
前作までのポップな路線をかなぐり捨て、己と徹底的に向き合い,ロックンロールで戦った一枚と感じる。
インディーズのときみたいに力でぐいぐい押す感じじゃなく、
落ち着いていながらも、凄みを持って力強く演奏される様が凄まじい。
録音も意図的に太い音で収録されている。相当な覚悟をもって作られた一枚に感じます。
「また明日」悲壮感の溢れる歌詞,別れを嘆き悲しむ歌ですが、力強く前に進むしかない,静かな覚悟を感じる名曲です。
「ロックンロール」ライブの定番曲であり、名曲。自らの人生とロックンロール。
ロックンロールはずっと流れてる。。ポップな曲調ですが、圧倒的な音楽への愛と,
ずっと続けていくという覚悟,力強さを感じます。
「エンドロール」7分に渡る問題作。歌われるのは震災の日。こういう形で表現するとは。。
抑えた前半~中盤,感情の爆発をみせる後半。ひたすらの絶望の中に一筋の光を見出そうとする歌詞。
圧倒的過ぎて言葉も出ません。こんな曲を作れるバンドは日本に彼らしか居ない。
「旅待ち」一転して爽やかなメロディのナンバー。完成度が凄まじく高い。
「人生GOES ON」ストレートな疾走感溢れるロックンロール。比喩的な歌詞が面白い。名曲だなぁ。
「SO LIFE」静かに盛り上がりを見せるポップなナンバー。ベース中心にぐいぐい突き進みます。
~恥ずかしい話ですが~のリフレインが強烈。これも最高としか言いようがない。ギターソロ,神がかってます。
「なれのはて」これも覚悟を感じる渋いメロディのロックンロール。やるしかないんだぜ。
この一言の説得力,圭介さんが歌うと全然違う。日比谷野音の一曲目。サイコーにカッコよかったなぁ。
「246」ブリティッシュに曇ったメロディが素敵な一曲。これも切ない感じが好き。
「煮込んでロック」本作品で唯一の爆走系ナンバー。ヘヴィとかじゃないんだけど、音が太くて最高。
がっつり4つに噛み合ってます。中盤のベースソロ~ハープソロ展開,王道なんだけど堪らない。
最後の2曲「宛ての無い歌」「天使」これはもう昇天しそうな雰囲気の神々しさ。素晴らしい名曲で〆ます。
どちらの歌にも圧倒的な愛を感じます。後者は9分近くあるあまりに壮大な一曲。
正直人によってはとっつきにくく感じるかもしれない一枚ですが、完成度は最強。
全編に漂う力強さ,音楽への愛。一瞬たりとも聞き逃せません。
フラワーカンパニーズ / Stayin' Alive(2015)
9/10
「ビューティフル・ドリーマー」「夜空の太陽」といったポップサイドの名曲を連発したのち,
それらを収録せずリリースされた作品。現時点のフルアルバム最新作です。
上記のポップなシングル曲と全然ベクトルが違ってて、すごくロックな方向を突き詰めて,
バラエティ豊かに表現した名盤になっております。凄い。
「short hopes」渋いメロディーのロックンロール。キーボードがものすごく効果的に響きます。
歌詞は警鐘を鳴らすような雰囲気でいつものフラカンとちょっと違う。自分という視点からもう一段上にいってる感じ。
「地下室」こちらも前曲同様暗い雰囲気です。ほぼ語りのAメロ,すごみがあります。サビのカッコよさ。
曲展開から何から超高次元。しかし、本当のことも,肝心なことも自分の中にはない、とは凄く危機感溢れる歌詞。
感情が爆発するギターソロ最高すぎです。このアルバム、竹安さんのギターが全体的に最高。
「星に見放された男」ちょっとQueenっぽい展開をみせるナンバー。ここにきてようやく明るいメロディ。
いつもの通り,しぶとく続けていく覚悟を歌っています。
「死に際のメロディー」60年代的なレトロサウンドで録音されているナンバー。ポップなメロディが素敵。
「東京の朝」なぜこういう美しいメロディをいつまでも作ることが出来るのだろうか。またしても名曲です。
東京の街と自身と。凄くストレートな歌詞ですが、同じく東京に暮らすものとしても胸に沁みます。
「この世は好物だらけだぜ」斉藤和義さんとのデュエット。曲はこれもろVan Halenじゃん(笑)。
自身をハエ男に例えるとは流石です(ゴキブリに続き)。
「感じてくれ」個人的にこの作品で一番好きな曲。歌詞は行き詰まった凄まじい暗さ。心配になるくらい。
でもサビでの熱い歌詞。歌唱。人生は辛いけど続けていくしかない。前を向いていくしかないということでしょうか。
~笑いかけてやれ 信じてやれ 愛してやれ 許してやれ~ 胸を締め付けられる。。
「マイ・スウィート・ソウル」最後は狂騒のごときハッピーな雰囲気のナンバーで〆ます。スカ風のリズムが楽しい。骨のにおいだけ という一節にはぎょっとする。
これだけ長い間続けていながらも、歌詞が変に哲学的になったりせず,あくまでもわかりやすい言葉で、
自分たちのサウンドは妥協せずに貫いている。フラカンの近年の姿勢はあまりにカッコいいと言わざるを得ませんね。
フラワーカンパニーズ / 夢のおかわり(2015)
8/10
武道館公演を前にしてリリースされたミニアルバム。いずれも名曲ぞろいの内容です。
前作の少し暗いトーンと異なり、かなりポップで開放的な雰囲気に彩られています。
「消えぞこない」自分たちを消えぞこないと称して自虐しながらも、続けていく確固たる意志を示すナンバー。
ストレートで明るい曲調のイカしたいつものロックンロール。最高です。
「東京ルーリード」前作の延長線上にある少し渋い雰囲気のナンバー。タイトル通りLou Reedの
ワイルドサイドを歩けのオマージュが斬新。メランコリックなメロディ。流れるようなギター,リズムが美しい。
「唇」メロディの美しさが光るパワーバラード。トラッシュ時代を彷彿とさせる曲調。
「すべてはALRIGHT(YA BABY)」RCサクセションのカバー。原曲と大分アレンジを変えています。
T.REX的なブギ―調の雰囲気ですね。RCより大分ポップで落ち着いた感じです。
「無敵の人」超名曲。素晴らしいメロディにのる美しいロックンロール。
~頑張ってる人に 贈る言葉は無い 頑張ってる人はそれだけで未来だ~
ストレートな歌詞だけど、この紆余曲折でこの歌詞。説得力が違う。
この曲を聴くためだけでもこの作品を買ってほしいと思う。最初に聴く一枚としても全然ありです。凄い。
フラワーカンパニーズ / ROLL ON 48(2017)
10/10
再びメジャーレーベルを離れ、インディーズレーベルを立ち上げての1枚目。
内容は最高過ぎます。圧倒的な良い曲と素晴らしい詞世界。全曲シングルカットして良いと思う。
メジャー末期の路線を突き進みつつ、より自由に奏でられる楽曲の数々。
録音はぶっとく、生々しい。楽曲もバラエティに富んでて楽しい、、まさに名盤でしょう。
正直この路線は今までのフラワーカンパニーズで一番好きです。
フラワーカンパニーズ / 50x4(2019)
10/10
インディーズに移ってからのフラカンは本当に最高なので是非聴いて欲しい。
本作も前作に劣らず、、というかそれを超える名盤。滅茶苦茶良い曲が12曲入っている。
録音も最高に良い。ストリングスとかそういう余計なものは入ってない。
前作よりもより更にバリエーションに富んだ楽曲を収録。少しリラックスした雰囲気がある。
円熟味を増しながらも進化を続けている姿は本当にカッコいい。どこまで行くのかこのバンドは!?
ここ2作品はかつてのアルバム全てを上回る素晴らしさだと思うし、より一層彼らのことが大好きになった。