Primal Scream

1982年スコットランドで結成されたバンド。

節操が無いと言われても仕方ないほどコロコロスタイルを変える連中です。

その精神性など微塵も感じさせないひたすらにカッコいいサウンドは

あまりに清々しく、堪りません。

ボーカルのボビーギレスピーはヘロヘロ系歌下手おじさんなのですが、

佇まいがやたらにカッコ良いんです。

最近ではダサカッコいい系のバンドになりつつありますが。。

個人的には00年代初頭がこのバンドのピークだったと思っております。


メンバー(多すぎるので主要な方々のみ):

Bobby Gillespie(Vo.)

Andrew Innes(Gu.)

Martin Duffy(Key.)

Darin Mooney(Dr.)

Simone Butler(Ba.)

Robert Young(Gu.)1982~2005

Mani(Ba.)1996~2011


Primal Scream / Sonic Flower Groove(1987)

8/10

今では考えられないことに、このバンドデビュー時はネオアコ・ギターポップ系です。

しかもこれはこれでかなり完成度の高いアルバムに仕上がっており、

割と本気でネオアコの理想的アルバムだったりするのでは。。

スコットランド生まれのThe Byrdsって感じ。

全曲良い曲なのですが、特に1曲目Gentle Tuesdayは超名曲。

美しいコーラスとクリアなギターのサウンドが珠玉。


Primal Screm / Primal Scream(1989)

7/10

2ndにしていきなり方針転換。ストレートなR&R,パンク的な曲が並びます。

個人的にバラードが多かったりでちょっととッ散らかってるイメージあり。

どちらかというと、パンク系の曲で徹底的に固めた方が良かったのでは。

そんな中で、のちにLoadedとしてリメイクされるI'm Losing More Than I'll Ever Haveは

美しくも熱いバラードで大好きです。

初っ端Ivy Ivy Ivyもスウィートなメロディが堪らないハードなR&Rです。

Lone Star Girlも同様に好きですね。彼らの本格始動は次作から。


Primal Scream / Screamadelica(1991)

9/10

言わずと知れた名盤。へろへろサイケデリック且つダンサブルな世界が広がります。

大好きな曲多数。このゆるーい世界観が堪りませんね。いつまでも聴いていられます

(やたらだらだらしている曲もあるので、人によっては辛い可能性もあります,昔父には酷評されたw)。

所謂アシッドハウスムーブメントの傑作だそうで。詳しいことはよくわからんが。

Movin' On Up最高です。高揚感溢れるひたすらハッピーなロックンロール。

パーカッションを多用したリズムに乗るアンドリューのギターリフ,

要所要所でキッチリ決めるロバートヤングのギターワークがあまりに素晴らしい名曲。

Slip Inside This Houseは60年代サイケのカバーだそう。奇妙なサンプリングリズムとベースラインが

カッコいいですね。トリップ感が凄い。

Don't Fight It Feel Itはソウルフルな女性ボーカルが奇妙なダンスナンバー。うー気持ちいい。

Higher Than The Sunはサイケデリックなバラード。倦怠感溢れるだるーい美メロと、

後半になるにつれ盛り上がって行く展開が素晴らしすぎる名曲。飛べます。

それ以外のどの曲もヘロヘロキラキラしてて最高。世界が完成され過ぎています。

ちょっと余計なのがCome TogetherとHigher Than The Sunのリミックスバージョン。これが無ければ完璧だった

(前者のシングルバージョンは超傑作なので是非聞いてほしい)。


Primal Scream / Give Out But Don't Give Up(1994)

7/10

前作とまた打って変わり、こちらはアメリカのルーツ音楽をたどったような作品に。

序盤2曲は最高。それ以外の曲も悪くないのですが、個人的にどうにもハマらない一枚。

このバンドって精神的な深みとか皆無だからあんまりルーツだのなんだの

細かいことに拘るとあまり良い結果にならないのではないでしょうか。

Jailbirdはサザンロックナンバー。キャッチーなサビが良いですね。ライブのド定番です。

続くRocksもローリングストーンズ丸出しのイカしたR&Rこれも必殺曲。

リフがあまりにもカッコいいです。

あとはCall On Meなんかがぶっとい感じで好きかな~。個人的に何曲も入ってるバラードがかったるい。

ジョージクリントンが参加してるFunky JamとかSly & The Family Stoneっぽい表題曲は

意外と許せる感じです。


Primal Scream / Vanishing Point(1997)

9/10

元ストーンローゼズのマニが加入。ここから全盛期がスタートします。

前作から思いっきり方針転換。今度はダブです。

ダブのリズムを取り入れたエレクトリカルな楽曲は落ち着いてこそいますが、

そこはかとなく暴力的で危ないオーラをまとっており、どれも最高にカッコいいです。

ジャケットも最高だし、最高傑作の一つかと思います。

初っ端Burning Wheelサイケデリックなナンバー。

異国情緒漂うメロディとぬめっとしたベースラインがカッコいい。

Get DuffyはFeltのSpace Bluesを思わせます。マーティンのキーボードプレイを堪能。

Kowalskiは古い映画からサンプリングされた台詞がまるで映画のサントラの様。

太いベースラインとボビーの不気味なつぶやきが妖しく絡み合います。

続くStarほのぼのしたナンバーです。オーガスタパブロ氏のピアニカが実に効果的。晴れ晴れ。

If They Move Kill 'Em超カッコいいインストナンバー。不穏な空気が立ち込めてますね。

狂気的なキーボードとワウの聞いたギター,堪りません。

Stukaも最高。これもやばい雰囲気がぷんぷん。淡々としたベースラインにのる不思議な効果音。

機械音を聴かせたボーカルが不気味。堪らん。

唯一のストレートなR&R(T.Rexみたい)なMedication,まさかのMotorheadのカバーを経て、

大作インストTrainspottingへ(映画の方でも使われました)。

最後はふわふわ浮遊感溢れるLong Lifeで終わります。流れから何から素晴らしい名盤です。


Primal Scream / Xtrmntr(2000)

10/10

前作の不穏な空気をそのまま暴力的な音に昇華させた作品。

My Bloody Valentineのケヴィンシールズを迎え、強力な爆音サウンドが展開されます。

兎に角カッコいいの一言。対象年齢低めな感じもまたこのバンドらしくて最高なのです。

Kill All Hippies、凶悪なベースが堪りません。

ボビーのファルセットの聴いたボーカルも不穏でカッコよすぎる。

Acceleratorはスピーカーがダメになるんじゃないかってくらいの爆音ギターが響く

ロックンロールナンバー。ブチ切れてます。

続く表題曲もまた不穏なオーラ漂うブギナンバー。マニの図太いベースラインが堪りません。

Swastika Eyes、名曲中の名曲。ダンサブルなナンバーですが、

太いベースとデジタルビートが疾走します。最高。ライブの必殺曲ですね。

Blood Moneyは爆音ジャズ?とにかくカッコいい。ここでもマニが大活躍。ダリンのドラムも凄い。

Keep Your Dreamsは唯一のバラード。陽炎の様なはかない,メランコリーな名曲です。

MBV Arkestra(If They Move Kill 'Em)は前作のナンバーをケヴィンがリミックスしたのだろうか。

ひたすらにギターのイカれた爆音を堪能できます。

ラストShoot Speed / Kill Light,暴力的なインストナンバー。

乾いたギターの音とまたまた主張するマニの太いベース,突き進むドラムと完璧。

全ての曲がハイクオリティ。最強の布陣で生み出された最高傑作でしょう。


Primal Scream / Evil Heat(2002)

8/10

前作の流れに沿ってリリースされた作品。ここまでが三部作でしょうか。

前作の過剰なまでの暴力性は多少抑えられた感じがします。

よりデジタルよりの音使い。どうしても前作と比べてしまいますが、こちらも佳曲揃い。

Miss Luciferは暴力的なデジタルビート全開のナンバー。

ボビーの挑発的なボーカルがカッコいいです。

Autobahn66落ち着いたインストナンバー。スペーシーな曲調が素晴らしい。マーティン大活躍です。

Riseは元々Bomb The Pentagonなるタイトルだったナンバー。暴力的なベースラインと

サビでのノイジーなギターが印象的なヘヴィナンバー。危ない感じが良いですね。

Cityは疾走感溢れるロックンロールナンバー。Stoogesを彷彿とさせます。この作品随一の曲では。

Skull Xも同系統の曲ですが、ギターノイズが半端じゃない感じでキマってます。

これ以降暴力的で不穏なプライマルスクリームは姿を消すのでした。合掌。


Primal Scream / Live In Japan(2003)

10/10

何故か日本限定でリリースされたライブ盤。Zepp Tokyoでのライブを収録。

最高のメンバーで最盛期の最強の演奏を堪能できる史上最強のライブ盤の一つです。

原曲を聴く気が無くなるほど圧倒的な破壊力に生まれ変わった曲の数々。

音質はクリアではないのですが、爆音が実に生えるミックスとなっており、

最高としか言い様がないのです。発売当時貪るように聞いた一枚。

まずはこの作品を聴くことをお勧めします。

Miss Lucifer,Kowalskiは原曲崩壊と言っても良いヘヴィっぷり。すげぇ。

Pillsは原曲はぬめぬめしたしっとり系サイケナンバーでしたが、

こちらも超絶暴力ナンバーに変貌。堪らん。。

Swastika Eyesのライブバージョンは原曲の1.5倍速で駆け抜けます。

スタートのサイレンの音から一気に突き進む様は爽快そのもの。快感です。

そのほかにもしっかりMovin' On Up, Higher Than The Sunといった代表曲も収録。

いずれも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。兎に角聴け。


Primal Scream / Riot City Blues(2006)

8/10

これまでのデジタル爆音路線を辞め、本作はストレートなR&R作品となりました。

全体的に開放的な雰囲気に包まれており、兎に角楽しそう。健康的な作品です。

Give Out~の時と違って兎に角楽しくやろうぜ!って感じがして好感が持てます。

長ったらしい曲も無いし。しかしタイトルダサすぎるねw

Country Girlどストレートなロックンロールナンバーです。兎に角明るい。底抜けに明るい。

ギターソロなんかなくてマンドリンだよ?逆に最高な一曲。ライブの定番です。

Nitty GrittyはRocksみたいなノリのロックンロール。エロティックな空気が良いですね。

Suicide Sally & Johnny Guitarはパンキッシュなストレートナンバー。

まくしたてる様なボビーのボーカルがカッコいい。ギターソロも決まってる。

When The Bomb Dropも良い。マイナー調のブルージーなナンバーだが、しっかりキマってます。

The 99th Floorもガレージ感溢れる演奏がカッコいいし、DollsもストレートなR&Rで好き。

兎に角難しいこと考えずにロックンロールを楽しめよって感じの一枚。


Primal Scream / Beautiful Future(2008)

7/10

おそらく彼らのラインナップの中で最も存在感の無い一枚。

音の方はまたエレクトロな感じに戻っていますが、凶悪さは全然なくて、

少しメロウな雰囲気。良い曲結構あるんだけど、全体的に華が足りない感じかなぁ。

表題曲はメランコリックな雰囲気のミドルナンバー。

ボーカルが何となくFeltっぽい。メロディ綺麗だけど、歌詞が古臭いwそこが良いのかもだけど。。

Can't Go Backはシングル曲。ストレートにかっ飛ばします。

一言で言うとダサカッコいいナンバー。良いんじゃないでしょうか。大好きです。

この路線の曲をあと4~5曲欲しかったw

The Glory Of Loveはゆるい雰囲気のサイケポップナンバー。カリプソ感溢れる演奏が不思議。

Suicide Bombはスローブルージーなエレクトロナンバー。歌詞にDresdenが。。

後に訴えられたZombie Manはギターリフが渋くて良いね。この曲は前作の流れにある感じ。

I Love To Hurt(You Love To Be Hurt)ではCSSのLovefoxxが参加。

メロディが何かOasisっぽい?ダークな空気感のある佳曲。

ラストNecro Hex Bluesは疾走系のナンバーでカッコいい。この路線で統一してくれていれば。。


Primal Scream / More Light(2013)

9/10

5年も挟んでリリースされた大作。久々に気合の入った良い作品です。

全体的にダークなサイケデリックサウンドを追及したという感じ。

正直メロディが弱いと感じる部分はあるものの,カッコよく仕上がってます。

この路線は好きです。少し冗長に感じる部分もありますが、意外に楽曲はバラエティに富んでると思う。

2013、いきなり9分超えのサイケナンバー。素っ頓狂なサックスが印象的。

River Of Pain渋い泥臭いサイケ。アコースティックギターが良い味を出してます。

CulturecideはPillsを思い出す様な凶悪なサイケナンバー。不気味でカッコいいです。

ラップみたいなボーカルも素敵。

Hit Void大好きです。疾走系サイケでしょうか。僕は最後延々ジャムる曲が大好物なのです。

Invisible Cityもキーボードが夜の怪しい感醸し出します。

Side Manも面白い。和風のシンセサウンドがメロウなのですが、曲自体はぶっといサイケで。。

Relativityは曲展開が目まぐるしいイカれたナンバー。不気味極まりない前半から

やたらとメロウな後半。久々にぶっ飛んだ曲です。

最後It's Alright, It's OK(なんつータイトルだw)はScreamadelicaの頃の様な多幸感溢れるナンバー。

ひたすらに楽しい曲です。うーむ名盤なのではないかな。。


Primal Scream / Chaosmosis(2016)

7/10

サイケ路線だった前作と打って変わり超ポップとなった最新作。エレポップでしょうか。

個人的にはそこまでハマらず。一部除いて曲になんか華が無い様な気が。

僕の中ではこれもBeautiful Future同様地味な部類です。当然ですが、良い曲も結構入っていますよ。

Trippin' On Your LoveはこれもScreamadelica時代を彷彿とさせる一曲。

悪くないのですが、前作の最後の曲の方が遥かに好きだなぁ。

(Feeling Like A)Demon Againはキーボードが可愛らしいテクノ系ナンバー。

80年代New Wave的な感じでしょうか。結構好きです。

100% Or Nothingはなんじゃこりゃwアナドルロックみたいな勇猛果敢なメロディがダサいw

どこに向かおうとしているのだろうか。。あとBメロがモロNew Orderじゃないか。

Where The Light Get InではSky Ferreira嬢とデュエット。この曲は大好きですね。

ポップで陰りのあるエレクトロなサウンド,二人の声も良くマッチしていると思います。

When The Black Out Meets The Falloutはデロデロ電子音が印象的な疾走ナンバー。

Evil Heatの頃を彷彿とさせますがなーんか健康的に感じちゃうなぁ。小ぶりだし。

名作を出しまくってきた彼らだけに期待が高くなってしまうのは申し訳ないのですが。