Suede

1989年イギリスのロンドンで結成されたバンド。

70年代のグラムロックを90年代的に再解釈した退廃的でありながら、

耽美的な世界観をもつ独創的なバンドである。

ブレットアンダーソンの甲高い一歩間違えるとオカマ系ボイスに

ネチネチと粘っこいバーナードバトラーのギターがやばい感じの初期が特に最高。

バーナードは90年代半ばに脱退しますが、

以降は良質なポップバンドとして良作をリリースし続けるも、

一旦解散。2010年頃再結成。個人的には90年代で最も好きなバンドです。


メンバー:

Brett Anderson(Vo.)

Richard Oakes(Gu.)

Matt Osman(Ba.)

Simon Gilbert(Dr.)

Neil Codling(Key.)

旧メンバー:

Bernard Butler(Gu.) ~1994

Alex Lee(Key.)2002


Suede / Suede(1993)

10/10

1stにして至高。圧倒的な個性は早くも円熟の領域に達しています。

どの曲もメロウなメロディが途方もなく美しく、

刺激的な歌詞も相まって危険極まりないオーラをまとっています。

So Youngはゆったりとした美メロディにバーナードのギターがねっとり絡む傑作。1曲目から強烈です。

Animal Nitrateはこれは超名曲ですね。バーナードのギターはもはや人知の領域を超えています。

ブレットのハイトーンボーカルも気色悪くて堪りません。

The Drownersの初っ端数秒のギターリフ~ドコドコドラム,これはやばいです。

必殺すぎ。飛べます。もってかれます。

Metal Mickeyも変なタイトルから想像できないハードでギターがカッコいい名曲。

バラードサイドではパワーバラードPantomime Horseが出色の出来でしょうか。

しっとりとしかし力強く聴かせてくれます。

最後は来世で会おうのNext Life。狂気の名曲だ。1stから全開。


Suede / Dog Man Star(1994)

10/10

途中でバーナードが脱退してしまった悲劇の2nd。

前作に比べてかなりとっつきにくい感じになりましたが、

退廃的でありながら耽美な世界観はさらに突き詰められ

究極の一枚となったと思います。そこはかとなく全体に破滅的な空気を感じますね。

美しいジャケットがすべてをあらわしています。

ここには書ききれないほどすべての曲が名曲です。

初っ端から重苦しいIntroducing the Band~We Are the Pigsですから。

後者は歌詞が攻めてますね。曲調もヘヴィそのものでカッコいいです。

ここでのバーナードのギターソロは本当に最高。

次なるHeroineも耽美的で美しい。カッティングが美しいですね。

バラードThe Wild Onesは彼らの最高傑作でしょう。深いところから響いてくる

ブレットのボーカル。情感的な歌声は素晴らしい名演です。

恋い焦がれる歌詞もまた良し。きっと叶わないのだろうと思う。

New Generationは前作の流れを汲む曲ですがメロディは相当切ないです。

楽曲の完成度ではこのバンドで随一のものではないでしょうか。名曲。

最後4曲はしっとりとしたバラードで聴かせます。いずれの曲も決して明るくは無いし、

沈み込んでいく空気があるのですが、これが最高に美しいのです。

最終曲Still Lifeはストリングスを用いた壮大なバラードで終焉を暗示している様な気も。

結局彼らの活動は続いて行くのですが。


Suede / Coming Up(1996)

10/10

バーナードが脱退,リチャードが加入してからの1作目。

目の覚めるような超ポップな快作。ほとんどの曲は展開が超シンプルです。

前作、前々作とは全く異なる世界観ですがこれまた完成されています。すげぇ。

Trashは彼らの代表曲であり、最高傑作のひとつでしょう。

ポップですが、やはりブレットのボーカルは奇妙で、一度聴いたら耳にこびりつきますね。

歌詞も僕らはゴミって退廃的な雰囲気は残っています。

Filmstarはヘビーなリフがカッコいいストレートなナンバー。これも良い。

Beautiful Onesはtrashに負けず劣らずのいかしたビートナンバーで名曲。

リチャードのリフがあまりに美しいですね。歌詞の言葉遊びが楽しい。

最後のSaturday Nightも美しいバラード。土曜日の夜にどんな美しい思い出が出来たんだろう?

幸せな空気の漂う名曲です。

Suede初期3作に外れは無し!


Suede/ Sci-Fi Lullaby(1997)

8/10

B面曲集です。このバンド,初期2枚のときのB面は兎に角名曲ぞろい。

下手するとアルバム本編の曲を凌駕する勢いです。

My Insatiable Oneはシンプルなバラードですが絡みつくバーナードのギターが美しいです。

To the Birdsバラードですがブレットの低いキーから高いキーまで歌いこなす

ドラマティックなボーカルがカッコいいです。名曲。

He's Dead奇妙でメロウなサイケナンバー。ポップですね。ギターワークが職人的。

The Living Deadも美しいバラード。ブレットの弾き語りスタイルです。

My Dark Starもサイケデリックなバラード。サウンドも歌詞が不思議ですね。

ここでのブレットのボーカルも本当に素晴らしい。

Killing of a Flash Boy滅茶苦茶カッコいいです。超名曲。何故B面?

ヘヴィーなギターが堪らないAメロからメランコリックなサビへ。展開がシンプルな様で凄い。

何か前半ばっかになっちゃいましたが、仕方ないじゃん。


Suede / Head Music(1999)

8/10

前作の路線を活かしつつ、デジタルビートを結構導入していてる作品。

楽曲の質は相変わらず高いし、名曲をいくつか収録しているのだが、

全体的に冗長な感じがあるかな。前作みたいに曲数を減らせば名盤になったのでは。。

全英1位Electricityからのスタート3曲はバリバリのダンスソング。

いずれも勢いがあってカッコいいですね。特にCan't Get Enoghはカッコいい。

何といってもEverything Will Flowでしょう。

アダルティックな雰囲気の漂う流麗な美しいバラードです。

ブレットの情熱的なボーカルが堪りません。

この曲があるだけでこの作品を引っ張り出そうという気にもなるものです。素晴らしい。

She's in Fashionはオシャレな雰囲気のポップスでかわいらしい曲。

今までになかった感じの曲で面白いです。

バラードの大作She's Goneも情感的で良いですね。隠れた名曲でしょう。


Suede / A New Morning(2002)

8/10

前作とは打って変わって、生音を前面に出した作品。アコースティックな空気感がある。

ブレッドの声はなぜか野太い感じになってる。声変わりだろうか。

あまり評判が良くなく、メンバーも嫌ってる感のあるアルバムだが、

僕は好き。楽曲がとにかく良いんですよ。このアルバム。

1曲目Positivity、なんて清々しいんだろう。ストレートな美しいバラード。

Lost In TVこれもアコースティックな美しいバラードです。今までのSuedeのバラードと違って、

純度が高い感じ。退廃的な感じがまったくないです。

ObsessionやBeautiful Loser,Street Lifeは割とビート寄りですが、

今までの彼らに比べるとすこぶるおとなしい。いずれも楽曲としてはかなりの佳曲です。

Astrogirlも切なめのメロディが良いですね。

最後のWhen the Rain Fallsまで兎に角清々しい。逆にこれは終わりを暗示していたんですね。

この後彼らは一旦解散。


Suede/ Royal Albert Hall. 24 March 2010(2012)

9/10

再結成ライブを収録。この時点では一夜限りだったらしいのですが、

あまりにしっくり来たようで、そのまま復活。現在に至ります。

このバンドってライブも凄く良いんですよね。

ブレットは力の限り動き回り、情熱的に歌い,観客を煽ります。

それをほかのメンバーはクールにでも熱い演奏で応える。そんな感じで。

このライブ盤は一夜限りのライブということで、少し荒々しさがありますが、

素晴らしい内容になっています。選曲も言うことなしで、

代表曲だけでなく、しっかりツボを押さえたものになっております。

DVD付きのものを持っていますが、映像はマスト。サイコーです。


Suede / Bloodsports(2013)

8/10

11年ぶりの新作。

A New Morningとは違いどの曲もちゃんとロックしていますね。

曲の完成度が高いです。ただ最後の方がやたら暗かったりして少し消化不良気味。

序盤3曲Barrirs~Snowblind~It Starts and Ends with Youのビートナンバー3連発は爽快。

特に2曲目は全盛期を彷彿とさせる名曲です。

Hit Me、これもビートナンバーで良い曲ですね。

最後の3曲滅茶暗いです。復帰作でいきなりこの暗さをぶつけてくるところがSuedeって感じですが、

2ndの時の様な退廃感が薄れているからか今一消化不良の感が。。

この路線は次作で花開いたと考えています。


Suede / European Tour Live 2013 Leeds O2 Academy - 26.10.2013(2013)

9/10

Bloodsportsのヨーロッパツアー音源を収録したアルバム。

音質はそれなりのレベルだし、元々通販限定とかでオフィシャル度を図りかねるアイテムだが、多分オフィシャル。

ベルギーのブリュッセル公演のものもあるらしいが未入手。つーか見たことない。

このライブ盤,前述のロイヤルアルバートホールのものより更に完成度の高い

演奏を堪能できます。ツアーの中でライブバンドとしての力量を高めたのでしょうか。

僕もこのときの来日公演に行きましたが素晴らしいライブでした。

意外ににBloodsportsの曲はライブ映えしてカッコいいですね。


Suede / Dog Man Star - 20th Anniversary Live(2015)

9/10

これは2ndの完全再現ライブのリリース。

かなり原曲に忠実に演奏してますね。

演奏は力強く,普段ライブで聴けない曲も聞けるのでうれしいです。

ブレットはしかしまだまだ声が出ますね。

イギリスを代表するロックシンガーの一人でしょう。


Suede / Night Thoughts(2016)

10/10

やられました。これは素晴らしい大傑作です。

全体的に陰鬱でコンセプチュアルな空気感があり、2ndを彷彿とさせます。

でも昔みたいな退廃的な感じは今やなく、今のSuedeとして次の次元に進んだ,

新たな音楽性を確立した,そんなアルバムの様に感じられます。

作り手の並々ならぬ覚悟を感じられる名盤です。

オープニングのWhen You Are Young壮大で美しいです。

この曲は2回出てきますが、なぜかPink FloydのIn the Fleshを連想しました。

2曲目Outsidersも凄い。まだこんな名曲を作ることができるのか!?

1曲目からなだれ込むカタルシスは凄いものがある。

No Tomorrowこれもビート感溢れるナンバーで完成度の高い曲調と美しいメロディ,

サビでの美しいファルセットと言うことなしです。

I Don't Know How To Reach Youこれも力強いパワーバラード。

あー美しい世界観。堪りません。

What I'm Trying to Tell Youは今までになかった感じの歌謡曲っぽいナンバー。

新境地を開きながらもしっかり完成度は高い。カッコいい。

Tightrope暗いバラードだけどメロディが凄くメランコリックで名曲としか言いようが無い。

Like Kidsも最高にイカしたビートナンバーで前作のHit Meの完成度を極限まで高めた感じ。

ラストのFur & the Feathers。壮大です。この名作の終わりに相応しい。

再結成Suedeはこの作品で完成されたのかもしれません。名盤。


Suede / The Blue Hour(2018)

9/10

今作は前作の落ち着いた部分を濃い目に抽出した感じのコンセプト作となりました。

何でもブレットの生い立ちがテーマなんだとか。全編に渡ってとても暗い。

統一感のある世界観から、荘厳な雰囲気すら感じます。

①As OneはIntroducing The Bandを彷彿とさせるダークで不穏なナンバー。不穏で壮大な幕開け。

②Wasteland、まさにSuede!といった感じのミドルテンポの哀愁ナンバー。ギターワークに美学が詰まっている。

④Beyond The Outskirtsこれも暗い。。ドラマティックなバラードでブレットの悲壮なボーカルが光ります。

⑤Cold Handsビートを感じるナンバー。これもサビの悲壮感が凄くてやっぱりダーク。カッコいい。

⑦Life Is Goldenこれは物凄い名曲。例によって薄暗い雰囲気のバラードなんだけど、ブレットは

You're Never Alone, Your Life Is Goldenと力強く歌う。まさに胸を揺さぶられる、という言葉が相応しい。

チェルノブイリをひたすら空撮するPVもインパクト絶大。やはりSuedeは、、只者ではない。。

⑩Don't Be Afraid If Nobody Loves Youこちらも名曲。悲壮感漂うダークさですが、

このメロディと雰囲気に乗るブレットの魂を揺さぶるボーカル。歌詞の説得力が違う。

⑬The Invisible徐々に盛り上がりを見せるしっとりとしたバラードナンバー。

どこまでも悲しく美しい世界。この世界観はSuedeにしか歌えない。美学健在の大名曲。

⑭Flytipping最後に相応しい美しいナンバー。静かに滔々と始まり、最後に爆発する感情。あまりに圧倒的です。