MGT 409 Managing Flow in Organizations (2 units)
1.教授
Prof. Mihaly Csikszentmihalyi
2.使用テキスト
・Finding Flow (1997)
by Mihaly Csikszentmihalyi
・Good Business (2003)
by Mihaly Csikszentmihalyi
・Good to Great (2001)
by Jim Collins
3.授業内容
本授業では、指定されている3つの教科書に沿って、ジェネラル・マネジメントやリーダーシップにおいて検討に値する以下のような3つの大きなコンセプトについて学習します。
第 一に、「フロー」とは、感情、意志、思考のすべてが同時に機能・調和し、自分の意識がフルに目前の経験の中に没入するような瞬間をさします。コンセプトの 考案者でもある教授によれば、「スポーツ選手がゾーンと呼び、神秘主義者が歓喜と呼び、芸術家や音楽家が美的恍惚と呼ぶもの」=フローであるそうです。本 授業では、このようなフローの概念と、フローが仕事のパフォーマンス及び自身の成長に与える影響について学ぶとともに、組織においてフローを誘発しやすい 環境を創るために何が出来るかについて考察します。なお、マッキンゼーが「フロー」理論に基づいてエリクソンに行なった提言も、実際のプレゼン資料を示し つつ紹介されます。
第二に、「ソウル」という概念を核にしつつ、ビジネスにおけるビジョンの重要性について論じられます。ソウルとは、か なり抽象的ですが、他者と関わり、他者の利益となることをするために、自分たちのエネルギーを使うという態度をさします。このようなソウルを内包するビ ジョンを有する企業こそが、従業員をインスパイアし、大きなエネルギーを生み出すことが出来るのだと教授は論じます。
最後に、goodではなく、greatな組織であるためにはどのような条件を満たす必要があるのか、という点について、ジム・コリンズの名著”Good to Great” (日本では『ビジョナリー・カンパニー2』として翻訳出版されています)に基づいて議論します。
4.成績評価
Mid-term Paper 20%
In-Class Mid-term Exam 20%
Final Paper 40%
Classroom Participation 20%
Mid-term Paperでは、「自分自身のこれまでで最悪の職務経験について、それがなぜ最悪だったのか、そして改善のためにどのような手を打つことが可能だったか」について、3-4ページでまとめます。
In-Class Mid-term Examは、open-bookで、コンセプトに関する択一+PC使用可能の小論文試験という内容です。
Final Paperでは、「自分自身のよく知っている組織について、①その組織がよりソウルフルになることができるか否か、②さらに、コリンズの言うGreatな 組織になることができるかどうか」について6-10ページで具体的な言葉、内容で議論しなければなりません。
5.感想
まず、内容について一言で言えば、きわめて有用だと思います。第一に、組織の規模を問わ ず、「理想的な組織はいかにあるべきか」を考える上で大いに参考になるコンセプトを学ぶことが出来ます。教授の「ソウル」という概念も実際の優れたビジネ スリーダーたちの考え方や行動を踏まえた非常に興味深いものですが、コリンズのgood to greatで示されている理論もpunchyでかつ深みがあり、実践への適用性も高いと思います。第二に、「フロー」のコンセプトについても、自分自身の キャリアや成長、仕事のあり方、そして組織や職務設計のあり方といった高い視点から、いかにジムでのフィジカルワークを楽しんでやるかといった日常的な視 点まで、応用可能な範囲が非常に幅広いものです。
ただし、心理学が本職の教授ですので、ビジネススクールらしいケースディスカッション を多用するスタイルではなく、教授によるレクチャー+全体でのディスカッション+グループに分かれてのディスカッションといったスタイルの授業になりま す。その点は多少好き嫌いがわかれるかもしれません。
なお、7週間で集中的に学ぶコースですので、負担は決して少なくありません。7週 の間に3冊の本を読み、試験を受け、max14ページのレポートを書きます。ただし、リサーチ等のグループワークは課されませんので、自分自身でうまく計 画的に進めれば無理なく吸収できると思います。
文責 履修生一同 ( Class of 2007 )