ハイフレックス型授業

ハイフレックス型授業は、同じ授業を対面授業とオンライン授業の双方で受講できる方法です。教員はZoomなどのビデオ会議システムを用いて授業を行い、PCの画面を教室のスクリーンへ投影しながら講義を行い、講義映像を録画してELMSで配信します。一方、学生は受講スケジュールや体調など、自身の状況に応じて受講手段を3つの中から柔軟に選択することができます。また、教員は対面授業が実施できなくなった際に、全面的なオンライン授業に切り替えやすいというメリットもあります。

学生は、教室、自宅、自習室など、さまざまな場所から受講することができます。

ハイフレックス型授業の留意点

  • 教室環境を整備する必要があります。
    → PC画面を投影するスクリーンや配信用カメラなどを準備します。

  • 対面授業とオンライン授業に参加する両方の学生に配慮する必要があります。

  • ハウリング対策が必要です。
    → 対面授業の学生がZoomに接続する場合、マイクをミュートにするように周知します。

  • 学生がいずれの授業形態で受講したか確認する必要があります。

ハイフレックス型授業を実施するために必要な機材

ハイフレックス型授業を実施する方法は、参加学生の数や機材の組み合わせによって多岐にわたります。OECでは、教員が1人でハイフレックス型授業を行う「ベーシックプラン」、TA等と共にハイフレックス型授業を行う「アドバンストプラン」の2つのパターンを紹介します。

ベーシックプラン

  • 教員一人でハイフレックス型授業を行う場合におすすめします。

  • 最小限の機材と準備で最低限の品質を保つことができます。

  • 休み時間など、短い時間で準備することができます。

必要な機材:ベーシックプラン

ベーシックプランの機材配置

ベーシックプランの特徴は、最も単純で操作ミスが起きにくいという点です。


  • iPad

・内蔵カメラで撮影します。

・講師の姿を撮影します。

・スライドや黒板も撮ります。


  • 教員用PC

・スライドをプロジェクターに照射します。


  • Zoom

・iPadを「ホスト」にします。

・教員用PCを「参加者」にします。

ベーシックプランでは使用機器の役割を分担することによって、トラブル対応で混乱しないようにしています。また、iPadで配信することで、講師はカメラの位置に気を取られることなく、座っても立っても講義ができます。

ベーシックプランの実施要領

  1. iPadでZoomミーティングを立ち上げます。

  2. 教員用PCはミーティングに参加します。

  3. 教員の前にiPadを置いて撮影します(三脚の利用を推奨)。

  4. 教員用PCで送信状況を確認します。

※講師の声が小さい場合は教室の拡声マイクを利用します。

  1. オンラインで参加する学生には質問を音声ではなくZoomチャットで寄せるよう

伝えます。

  1. 教師は講師用PCのチャットを定期的に確認します。

アドバンストプラン

  • TA等と共にハイフレックス型授業を行える場合におすすめです。

  • 教員とTA等が連携して配信状況を確認します。

  • オンライン授業で受講する学生とのコミュニケーションを円滑にすることができます。

必要な機材:アドバンストプラン

アドバンストプランの機材配置

アドバンストプランでは、教員とオペーレーター(TA等)で役割分担をします。


  • 教員

・Webカメラで映像音声を配信します。

・スライドをプロジェクターに照射します。

・スライドを画面共有します。


  • オペレータ(TA等)

・学生の様子を映像配信します。

・配信状況を確認します。

・オンライン授業を受講する学生の状況把握とサポートします。


  • Zoom

・オペレータを「ホスト」にします。

・教員を「参加者」にします。

アドバンストプランの実施要領


教員

  1. 教員用PCからミーティングに参加します。

  2. 教員の前にWebカメラを置いて撮影します(三脚の利用を推奨)。

  3. 教員はイヤホンマイクを付けて音声を送信します(無線のイヤホンマイクを推奨)。

  4. オンラインで参加する学生には質問を音声ではなくZoomチャットで寄せるよう伝えます。

オペレーター(TA等)

  1. iPadでZoomミーティングを立ち上げます。

  2. 学生の様子をiPadのカメラで撮影します。

※ 学生の肖像権に配慮する必要があります。

  1. 画面で教員の映像配信状況を確認します。

  2. イヤホンマイクで教員の音声品質を確認します。

  3. 学生からのチャットの質問を教員に伝えます。

  4. 接続不具合のある学生をサポートします。

  5. オンライン接続する学生のグループワークをサポートします(ブレイクアウトルームの操作など)。

アドバンストプランでは教員とオペレーターが役割を分担することによって、教員はトラブル対応などに気を取られることなく講義を行うことができます。また、学生とのコミュニケーションが円滑に図れるため、オンラインで受講する学生も安心して授業に臨むことができます。

配信・録画の工夫

音声の扱い

  • 教室が静かであれば、iPadの内蔵マイクでも案外音声はきれいに録ることができます。

  • 教室でONにするZoomマイクは一つだけにして、ハウリングを防止します。

  • 対面授業の学生にはZoom接続をしないように周知します。

→ 回線の輻輳を回避する

→ 音声トラブル(ハウリング)を避ける

  • 対面授業の学生はZoomのチャットを見なくても質疑応答できるように工夫します。

オンデマンド授業の準備

  • Zoomの「自動記録」を有効にしてレコーディングします。

※「ローカル記録」および「クラウド記録」が設定できます。

また、クラウド記録では、音声のみファイルやチャットメッセージの保存など、必要に応じて記録の設定ができます。

授業をオンデマンドで配信する

  • オンデマンドで受講する学生に向けて、録画したビデオを配信します。

  • オンデマンドで配信した動画は、ネットワーク環境の不具合など、リアルタイムで受講できなかった学生、教室に入室できなかった学生も利用することができます。

  • レコーディングした動画は、復習教材、次年度の授業の予習教材などにも利用できます。

講義配信の質を高めるポイント

Zoomの「コメントを付ける」機能を活用する

  • 多くのレーザーポインターは、教室のスクリーンにのみ指し示されるためハイフレックス型授業では使用しません。

  • PCのカーソルは比較的みづらいため、ビデオ会議システムのポインターを用います。

聞き取りやすい声を届ける

  • 教員はZoom集音用のマイクを用意すると聞き取りやすい声を届けることができます。

  • ハウリング防止のため、教室の学生がZoomに接続する場合は、学生へマイクをオフにするように周知します。

  • 事前にPC側の音量出力のボリュームを調整しておくようにします。


※Zoomなど多くのビデオ会議システムには、マイクとスピーカーをテストする機能があります。


講師の音声の品質を向上する

音声の品質を向上したい場合は、次のような方法もあります。

  1. Zoom用の集音マイクを追加する

  2. イヤホンマイクをiPadに接続する

・無線を推奨(講師の動きに対応)

・Bluetooth接続の片耳ヘッドセット

※事前に充電する

  1. 講師はマイクを2つ付ける

・教室据え付けのマイク

・Zoom用のマイク

音声を双方向にする

教室とオンラインの音声を双方向にしたい場合は、Zoom用のマイクスピーカーシステムを使うという方法があります。エコーキャンセル機能を搭載した集音マイクとスピーカーを使うと便利です。

  1. 教員と対面授業の学生の声を集音マイクで送る

  2. オンライン参加の学生の声をスピーカ経由で教室に流す

・音声での質疑応答が可能になる

・グループワーク後の発表が双方向でできる

※ 集音マイクを使わないときはミュートにする

教室からの質問、チャットの質問を共有する

  • 教室からの質問

→ 教室の学生の声は、オンラインの学生には届きません。質問内容は教員が復唱した上で、回答するようにします。

  • Zoomからの質問

→ オンラインの学生からの質問の声は、対面参加の学生には聞こえません。質問はチャットのみで受け付けるようにします。

教員はチャットの質問を読み上げた上で、回答するようにします。

学生の参加形態における出欠管理とグループ活動

ハイフレックス型授業では、学生の参加形態によって出欠確認やグループ活動の方法が異なります。複数の参加履歴を把握するためにも、台帳をエクセル等で作成して記録することを推奨します。

グループワークの進め方

  • 対面参加・オンライン参加の学生を別々のグループに分けます。

→ 混合にするとコミュニケーションが円滑に取れない場合があるため、対面参加・オンライン参加の学生を別々にグループ分けして実施し、

グループの代表者が発表をします。

→ 教室の学生は、iPadの前に立って発表することができます。

  • 教員は対面参加・オンライン参加の学生双方に向けて、グループワークの進め方を明確に伝えるようにします。

  • 問題が生じた際に教員やTAと連絡をとる方法を通知します(Zoomチャット、メール等)。

  • とくにオンラインで参加している学生の状況が把握しづらいため、工夫が必要です。

・グループワーク終了後に発表の時間を設けます。

・Googleドライブなどに共有フォルダーを用意して、教員と学生、学生間でワークの内容を共有する方法もあります。


ハイフレックス型授業の実施例(Zoomを利用した場合)

ハイフレックス型授業実施要領

ハイフレックス型授業の実施方法ならびに留意点、必要機材、機材配置、配信・録画の工夫、講義配信の質を高めるポイント、出欠管理とグループ活動の方法、著作物の取り扱いについて紹介しています。

ダウンロードはこちらから

<参考>

Columbia University(2020)Hybrid/HyFlex Teaching & Learning
https://ctl.columbia.edu/resources-and-technology/teaching-with-technology/teaching-online/hyflex/


Ida Mirzaie and Henry Griffy(2016)One Size Doesn't Fit All: HyFlex Lets Students Choose ,Educause Review
https://er.educause.edu/articles/2016/4/one-size-doesnt-fit-all-hyflex-lets-students-choose

学習状況の把握と評価

オンライン授業で、学生からのフィードバックや質疑応答、課題や小テストを使った「小刻み評価」で学生の学習状況を把握する方法についてご紹介します。

関連リンク

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