学習状況の把握と評価方法

ブレンド型授業を実施する上では、とくにオンデマンド授業や同時配信授業を受講している学生の授業に対する理解度を把握したり、学生からの質問やコメントを受けて授業の進め方を調整することが、授業を改善するために重要です。

「教えっぱなし」のオンライン授業では、学生が学習内容を理解できているかを把握できず、最終的に十分に学びきれていない学生が出てしまうことも懸念されます。オンライン授業では、対面授業を行う教室の中で自然と行えているような学生の状況把握が難しいため、オンライン授業ならではの工夫が必要となります。

このページでは同時配信やオンデマンド配信で、学生からのフィードバックや質疑応答、課題や小テストを使った「小刻み評価」で学生の学習状況を把握する方法についてご紹介します。

学習状況の把握と小刻み評価の利点

  • 授業の過程で、学生のつまずきを早い段階で把握できる

  • 把握した学習状況から、授業期間の途中でも授業の進め方を順次改善できる

  • 課題や小テストを使って、学生の達成度をこまめに把握して出来栄えをフィードバックできる

オンデマンド配信における学習状況の把握

オンデマンド配信で、リアルタイムに学生の学習状況を把握することは容易ではありません。そのため、対面授業のときよりも学習状況を把握する頻度を増やす必要があります。学習状況の把握には、毎回の授業もしくは数回に1回の間隔で課題を出し、採点結果やコメントをフィードバックするという方法があります。

教員は、小刻みに学生の学習状況を把握することによって、授業がねらいどおりに進んでいるかどうか学期の途中で判断することができます。もしねらいどおりに進んでいない場合は、追加的なレクチャーやフィードバックを与えたり、新たな課題を設定したりすることも可能です。一方、学生は小刻みに授業の理解度を確認することができるため、早い段階でつまずきに気づいたり、学習方法を改善をしたりすることができます。

一通りの授業が終わり学期末テストを実施したものの、学生が授業内容を十分に理解できていなかったという事態を回避するためも、小刻みな評価が必要になります。

同時配信における学習状況の把握

同時配信での学習状況の把握

同時配信では、通信環境により学生へ送信する映像や音声が途絶えたり、学生が質問をするタイミングを逃すことで、学生が講義の内容をよく理解できていないまま、教員が講義を進行してしまうことがあります。対策として、学生から教員に対して通知をしやすいような工夫をすることが効果的です。以下に具体例を示します。


  • 授業開始の冒頭に、講義がよく聞き取れなかったり、よく理解できなかった場合には、即座に質問をしていい旨を、前もって学生に伝える

  • 授業中に学生から教員へ質問する方法(ビデオ会議システムのチャットや音声など)を決め、前もって学生に伝える

  • 講義中に学生から何らかの質問や通信の不具合などの通知があった場合には、他の学生にも含めて通知があったことを共有して、授業を一旦中断し、質問への対応や不具合への対応を行う


同時配信においては、学生が長時間ビデオで講義を聞き続けることで集中力が低下したり疲労が蓄積することが考えられます。対策として、講義時間を小刻みにするほか、講義の途中でWebexやZoomの投票機能などを使い、学習内容の理解度をチェックすることも有効です。



同時配信が終了した後に、コメントカードを電子的に配布することで、学生から授業への感想や授業中に学生が発言できなかった質問などを回収することができます。学生から受けたコメントや質問を、翌週の授業の冒頭でまとめて回答したり、翌週からの授業運営に反映することで、授業の質と学生とのコミュニケーションの質を高めることができます。



評価方法

評価の方法には種類があり、それぞれ目的と特徴が異なります

評価で馴染みがあるものとして、学期末テストや最終レポートがあります。これらのテストやレポートは「総括的評価」という評価に分類されます。一通りの授業が終わったあと、学習成果を全体的に把握したいときに実施します。

小刻み評価は一般的に「形成的評価」と呼ばれています。小刻み評価は、学期の途中で学生が学習目標に達成しつつあるか確認するために行います。授業では、学習状況を把握する頻度を増やすためにも小刻み評価を取り入れることをお勧めします。

参考:中井俊樹(編著)(2015)アクティブラーニング 玉川大学出版部

学習状況を把握する方法

学生の学習状況を把握するためには、「小テスト」や「ミニレポート」「リフレクション」を実施します。講義でアウトプットするものがあることによって、学生の集中力を維持したり、継続的な学びを促したりすることができます。教員は小テストなどで学生の理解度を把握することができるため、次の授業でフォローすべきポイントが明確になります。また、これらは出席簿としても活用することができます。

小刻み評価に便利なツール

評価をする際に便利なツールとして「チェックリスト」と「ルーブリック」があります。チェックリストは、評価項目を一覧にして示したものです。また、チェックリストの項目を複数の評価尺度で示すことにより、ルーブリックにすることができます。

評価観点を明確にすることによって、採点やコメントがしやすくなるというメリットがあります。また、複数の教員・TAが採点する際にも役立てることができます。学生同士でレポートや発表の相互評価を行うときにも活用可能です。

評価ツールはレポートのみならず、実験、実習、発表などさまざまな実践課題の評価に用いることができます。

詳細は、小刻み評価とフィードバックの具体的な方法をご参照ください。こちらからダウンロードも可能です。