研究紹介
(自然環境学専攻・学生)
森 香穂 (もり かほ)
環境学研究系 自然環境学専攻 海洋生態系科学分野(微生物) 修士1年生
研究テーマ:完全人工海水水族館の微生物群集動態解析
すみだ水族館の展示水槽
完全人工海水の水族館とは?
水族館の多くは近くの海から海水を直接取り入れたり(例:美ら海水族館)、遠くの沖合からわざわざ海水を船で運んできて(例:海遊館)生き物を飼っています。しかし、中には水道水に海塩や化学物質を添加することで人工的に海水に近い状態の水を作って利用している水族館もあります(例:京都水族館、すみだ水族館)。このような完全人工海水水族館は内陸部でも運営することができる一方で、水質管理がとても大変です。
なぜ水中の微生物を調べるのか?
熱帯魚や金魚を飼ったことのある方は知っているかもしれませんが、ただの水道水から魚が生活できるような水にするためにバクテリアミックス(右図のような商品)を水に入れることがあります。このバクテリアミックスには「硝化細菌」というグループの微生物が含まれていることが多く、この硝化細菌の働きによって魚から排出された毒性の高いアンモニアはより毒性の低い亜硝酸イオン(NO2-)や硝酸イオン( NO3- )に変換されます。
私は主にこの硝化細菌に注目して、
水中にどのような微生物が生息しているのか
その微生物の構成は時間と共にどのように変化しているのか
実際の海水と比べて人工海水中の微生物構成はどんな特徴をもつのか
を研究しています。
研究対象の水族館
◆シーライフ名古屋水族館
(https://www.legoland.jp/en/resort-guide/sealife-nagoya/)
完全人工海水を用いて約150種、3500匹の生物を飼育
世界中(現在47ヶ所)で人工海水水族館を運営するマーリン・エンターテイメンツの施設
水族館オープン前の水道水の状態からオープン日直前までの人工海水の状態までの微生物のデータを使用して解析を行なっています!
現在はゲノム情報をもとにコンピュータ上でさまざまなツールを用いて解析を行なっていますが、元々水族館が好きなので実際に水族館で海水を汲んでサンプルを集めたりしたいと思っています。