研究紹介

科学系・学生)

松山 聖奈

環境学研究系 自然環境学専攻 木村伸吾研究室 M1

美味しいウナギをずっと食べるために

皆さんの好きな食べ物は何ですか?  私は鰻が好きです。ひつまぶしから蒲焼・うざくまで色んな食べ方があって全く飽きません。

ですが、近年ウナギは気候変動や乱獲の影響によって、その資源量の減少が心配されています。美味しいウナギをこれからも食べ続けるためには、ウナギの基礎生態や資源動態など様々な角度からの研究が必要です。私は、基礎生態、特にウナギの生息域に関する研究を行っています。

日本に生息するウナギたち

私たちが普段食べている鰻はニホンウナギというウナギ属魚類の中の一つです。

実は現在日本では、ニホンウナギの他にも3種類のウナギ、オオウナギ・ニューギニアウナギ・ウグマウナギの生息が確認されています。ニホンウナギは温帯ウナギと呼ばれる日本を中心に生息するウナギですが、他3種は熱帯ウナギと呼ばれるウナギで、日本の中でも九州や沖縄などの南西水域に生息しています。しかし、最近熱帯ウナギたちの発見報告が、これまで考えられていた生息域以外の地域で上がるようになりました。このことから、地球温暖化に伴う海水温上昇の影響で熱帯ウナギたちの分布域が北上している可能性が考えられています。

そこで、私は熱帯ウナギを含む全4種類のウナギたちの生息域を明らかにするための研究を行っています。

環境DNA分析

私は、環境DNA分析という手法を用いてウナギたちの生息域を調べています。

水中や土壌などあらゆる環境には、剥がれ落ちた皮膚片や排泄物などに由来する沢山の生物のDNAが存在しています。環境DNA分析は、そんな環境中に存在する生物のDNA を増幅し、その生物の生息を調べる分析です。生物を直接採集する必要がないため、環境に優しい分析手法として、注目されています。

美味しいウナギをずっと食べるために、ウナギにも優しく研究を続けていきたいですね。