研究紹介

(基盤科学系・学生

乗富 貴子(のりとみ たかこ)

新領域創成科学研究科 物質系専攻 

伊藤・横山研究室 博士課程後期三年

13~14時担当

◆研究内容

・そもそも研究って?

大学で学生として研究室に所属して、各研究室のもつ研究テーマにそって実験などをしています!

実験系のラボでの研究の流れは、

テーマ決め→指導教員とのミーティング(mtg)→実験→データ取り&解析→ラボ内での報告会&mtg→データの精査等を行い、mtgをしたり実験内容を改善or次の段階に進める

となっています。

ある程度データがそろったら学会や研究会など学外で発表したり、論文にまとめたりします。

↓2019年 研究室で花見(研究室HP: http://www.molle.k.u-tokyo.ac.jp/

・高分子とは

私の所属する研究室では「高分子」という素材を扱っています。高分子はとても身近な材料で、服などの繊維やプラスチック容器のような硬いものから、プリンやゼリーなどの柔らかい食料品、化粧水やクリーム・メイクアップ用品など、様々なものに高分子が使われています。みなさんにとても馴染みのあるものばかりだと思います。

No Polymer No our Wonderful LIFE!!! って感じでしょうか!笑

最近、共同研究先のとってもお世話になっている先生が「チコちゃん〜」にご出演されてました!(https://himantorend.com/chiko-jelly2/

高分子について→NHK高校講座:https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/kagakukiso/archive/chapter015.html

最近の研究成果→https://www.youtube.com/watch?v=wig1jyozWDY

私の研究は、「今までにない新しい高分子材料の分子合成と、その分子を使ってゲルのような材料をつくって、その分子の構造と材料の硬さなどの性質(物性)にどんな関係があるのか?」を調べる研究をしています!

豆Q. ゲルとは??(高校化学Lv.)

豆A. スライムやクリームのような柔らかいものから、プリンなどの弾力のあるものまで「触ったら湿ってるけど、手が濡れないもの」だと思ってください!では、なんで湿ってるのに濡れないのか?矛盾してない??って思った方、するどい!ゲルは、下の図のようにヒモのような長い分子である高分子(Polymer)が、架橋剤(Cross-linker)によって網目のような構造をつくった中に、溶媒分子(Solvent molecules)を分子間相互作用によって保持した構造をとっています。一般的なゲルは水を体積比で90%以上含んでいるものを言います(この定義は材料によりけりです)。

・研究内容は化学なの?物理なの?

ずばり、どちらでもあるし、どちらでもありません!!

みなさんは学校で理科を化学・物理・生物と教科を大分して学んでいると思います。では、私の研究内容はどれなのか?

「合成してるから化学で、物性をみてるから物理??でも、化粧品とか食料品って生物じゃない???」

実は、研究に入ると、あまり大分できなくなります(なんなら、私は高校時代には化学も物理大嫌いでした笑)。なので、私の研究はどちらでもあって、どちらでもないんです!

◆ 研究室ライフ

・研究室での生活

研究室での生活は、所属する研究室や各個人によって全く生活リズムが違います。もちろん理想は研究ファーストなのですが、様々な理由によってそれは変わってくるので、みなさんが送られている様な決められた時間割の中で生活を送るわけではないんですね^ ^ 私の所属するラボは自由なので、みんな伸び伸び研究してますよ♪

コロナ前は実験や海外研修で国内や海外へ出張に行く機会が多かったので、海外の友人もたくさん増えました!

・博士課程とは?

大学は学部(4年)→修士課程(2年)→博士課程(3年~)の順で進んでいきます。日本ではまだ博士課程が一般的ではありませんが、海外では「研究者=博士課程修了者」が一般的です。ではなぜ日本では一般的ではないのか?その理由は幾つかありますが、先進諸外国と比べて日本では特に以下の3点が大きいと言われています。

・日本では企業が修士課程修了者も研究員として雇ってもらえる

・企業では修士課程修了者と博士課程修了者の待遇があまり変わらない場合が多い

・博士課程進学者への助成金や給料制度などが整っていない

ではなぜ、私は博士課程に進学したと思いますか?^ ^

・学会とは?出張は?

ずばり、繋がる場だと私は思っています。学会は日頃頑張って研究した成果まとめて、外部に向けて発信する集まりです。たくさんの専門分野についての学会があり、国内や国外もあります。そこで発表をすることで、他研究室や大学の先生や学生と仲良くなったり、真剣に&気軽に議論し合うことで新しい発見につながる場でもあります。私は学会でたくさんの人とつながって研究内容や研究生活について話し合うのがとても楽しいので、学会大好きです!

コロナ前までは学会で地方に出張する機会が多かったので、出張先で美味しいものを食べたり、観光して回ったりしてました♪

↓リーディングプログラム(MERIT)でChicago大学に研究交流に行ったときの写真です。全部味が濃かったです、、、笑

・卒業後の進路は?

自由です!笑  私は企業に研究員として就職しますが、起業された先輩もいます。理系とは全く関係のない職業に行かれる方も!産学官だけでなく、どこにも行けますし何でもできます!

のりとみの歩み

・中学・高校時代

中学は地元の公立中学に通っていました。高校に推薦で行きたかったので、良い成績をとるために(英語以外は)割とちゃんと勉強していました。

高校は桐蔭学園に通っていました(同期:松島幸太郎)。正直、勉強が大嫌いすぎて全く勉強せずに毎日遊んでいました!笑  一生分遊んだ気がしています。特に、物理(~高1)・化学・英語・古文・漢文が嫌すぎて、、、。おかげで入学時に偏差値65が、卒業時には39に、、、笑。高三の時には5分も落ち着いて座っていられませんでした。もちろんこのままでは大学に入れないので、2年浪人しました!

二浪目の8月まで全く偏差値が上がらず、危機を感じて猛勉強し、12月の模試で50まではなんとか持っていけました。が、英語は中一の後期から勉強しないと決めて全く勉強していなかったので、50に届かず、、、。偶然見つけた3教科中2教科(数学・化学)が合格点で入れる理科大の夜間に、入学しました

・大学/学部生時代

学部は東京理科大学の理学部第二部化学科(夜間)に通っていました。二年浪人してまで入った大学だったので、「大学で何ができるか?」「理科大に通うことで生じる自分のアイデンティティは何か?」を考えて毎日勉強してました。成績は良かったです笑

また、自分が化学大嫌いだったという経験から「教える立場に立って理科と向き合ってみたい」と考え、教員免許(中学・高校一種教員免許-理科)をとりました。色々と大変でしたが、とても結構良い経験だったと思います!

ちなみに、高校の化学嫌いだったのになぜ化学科に入ったのかというと、浪人時代に通っていた予備校で出会った化学の先生の授業が面白かったのと、その先生とかなり仲良くなったのがきっかけです。予備校の先生方が最高でした、、、笑

・大学院(東大院)に進んだ理由

学部2年の頃から、学部の先輩から理科大の研究室の環境などについて情報を集めていたのですが、どうも窮屈そうだな〜と思い、思い切って研究できる環境で研究したいな〜と考える様になりました。そんな時に学部3年次に出席していた講義の先生より、東京大学の研究室で卒業研究ができるというご紹介をいただきました。「日本で一番お金持ってる大学=日本で一番研究環境が整っている」と「日本で一番博士の学生が多い=たくさんノウハウを学べる」という安直な考えから、卒業研究を東京大学で行いました。そこで、大学院での奨励金制度や優秀な先輩方に惹かれ、「もっと研究してみたい。自由な学生の間に研究だけに没頭してみたい!」と思い、東大院への進学を決めました。

◆将来について悩んでいるみんなへ

まず、長いページを最後まで読んでいただき、ありがとうございました!ここまで読んで頂いたということは、私の人生がいわゆる真っ直ぐな道ではなかった、ということが漠然にでもご理解いただけたかと思います。そうです。人生は真っ直ぐではありません。真っ直ぐである必要もありません。人生には、成功も失敗も正解もゴールもないと私は思っています。もちろん、親御さんに心配をかけたくないから真っ直ぐ生きていきたいと思うことは至極当たり前ですし、真っ直ぐの方が不安が少なく人生過ごせそうですよね?でも、どんな状況でもその人にとって心配な事象はその都度、程度は違えど発生します。それらにその都度向き合っていくことで、人生は前に進んでいくものだと私は思っています。もちろん周りの支えのおかげもありますが、最後は全て自分次第です。これまでもその様なことがあったかと思いますが、その度にどうやって決断をしてきましたか?自分の決断や言動に後悔したことはありませんか?私のお勧めは「全て自分軸で決めること」です。みなさんは自分自身について、どのくらい理解してあげられているでしょうか?自分軸を確立するためには「自己理解」が一番大切だと思っています。自己理解が深まった段階で決断をすると、どんなに人と違っていて、思ってもみない未来が待っていようと、全く後悔しないんですね^ ^

理文選択などの進路や友人関係などなど、日々悩むことが多くて毎日毎日とっても忙しいと思いますが、是非とも「自分を一番大切に」してあげてください。自分を大切にすることで、周りの人も大切にできる様になります。自然と、周囲に自分を大切にしてくれる人が集まってきます。是非とも、これからの人生を存分に楽しんでください♪