研究紹介

基盤科学系・学生)

中村 香織

基盤科学研究先端エネルギー工学専攻 西浦研究室 博士後期課程3年

↑磁気圏型プラズマ閉じ込め装置RT-1の中の様子 (左はプラズマ生成時)

↓のホームページでは動画もあるので,興味がある方はよかったら観てみてください

(http://www.ppl.k.u-tokyo.ac.jp)

西浦研究室では,核融合プラズマの研究をしています。

 (http://www.ppl.k.u-tokyo.ac.jp/nishiura/

核融合って?何の役に立つの? 核融合とは,軽い原子核同士が融合して重い原子核になり,大きなエネルギーが出てくる反応です。宇宙では,太陽や恒星が光り続けていますが,これも核融合反応です。この反応を使って電気を発生させることができ,将来的には新しいエネルギー源である『核融合炉』として発電をすることが期待されています。

プラズマって何? 物質は,温度が上がると,

 固体 → 液体 → 気体 → 原子 → イオン+電子 

と変化します。このとき,高温で電子やイオンがバラバラになった状態をプラズマといいます。電子同士,イオン同士は互いに反発するため,人工的に長い間プラズマ状態を保つのは簡単ではありません。

しかし,核融合反応は高温のプラズマ中で起こるため,核融合炉を実現させるためには,プラズマを閉じ込める必要があります。

どんな研究をしているの? 宇宙の磁気圏では,プラズマが長い間安定した状態で自然に閉じ込められています。西浦研究室にある『RT-1』という装置は,短い時間木星磁気圏のプラズマを再現することができます。

・どうして宇宙の磁気圏でプラズマはバラバラにならずに閉じ込められているの?

・宇宙の磁気圏プラズマの仕組みはどうなっているの?

・どうやったら地球上でも長い時間,人工的にプラズマを閉じ込められるの?

という問いの答えを知るために,探査機では分からないようなことも条件を変えて調べています。先生や学生は『RT-1』という一つの装置を協力して動かしながら,一人一人が『RT-1でできたプラズマの温度を測る人』,『RT-1の実験結果を使ってシミュレーションする人』などに分かれて,それぞれ研究を進めています。

プラズマは電子やイオンといった荷電粒子からなるため,電場がプラズマの性能に大きく影響を与えます。そのため私は,プラズマの電位を計測するための『重イオンビームプローブ』という装置の開発を担当しています。

重イオンビームプローブの性能を向上させるため,一昨年は9ヶ月間アメリカの研究所でレーザーイオン源グループの人たちと一緒に実験しました。

現在は,岐阜県にある核融合科学研究所で,大型ヘリカル装置の重イオンビームプローブ高性能化のため,新しいスパッタ型負イオン源を開発しています。

↑核融合科学研究所にある大型ヘリカル装置と,同じ研究室のメンバー (一番右が私です)

この冬,新しいスパッタ型負イオン源を取りつけた重イオンビームプローブを使って,この大型装置のプラズマ電位を計測します。