境地転換のメリークリスマス!

境地転換のメリークリスマス!

ディープステートも中国共産党も

一挙にひっくり返す



2021年12月25日 フミヤス・サンタゲバラ

テーマ:世界の大転換の現場で



今日はクリスマス。


世界中の街々には笑顔と幸せが溢れている。


しかし雪が降りしきる厳寒の夜のニューヨークの片隅では、大きな川の橋の上で、ジョージが投身自殺をしようとしていた。

 


・・・・・・・・・

 


ジョージは子どものころからみんなのために一生懸命に生きてきた。

 

むかし、ジョージが12歳のとき、みんなで水遊びをしていたとき9歳の弟が凍える池に落ちて溺れそうになった。ジョージは瞬時に冷たい水に飛び込んで弟を救った。しかしそのときジョージは片耳の聴覚を失ったのだった。

 

ジョージは父をとても尊敬していた。父は、高利貸しの悪徳銀行家に対抗して、街の人たちのために低金利の住宅ローンを供給していたのだ。だから父は悪徳銀行家たちから苦しめられながらも、街の人たちからは慕われていた。生活は苦しかったけれども幸せだった。

 

ジョージには夢があって、学校の放課後、毎日ドラッグストアでアルバイトをした。ジョージは建築家になることを目指していて、そのために大学に進学する学費を自分で貯めていたのだ。

 

ジョージはハンサムでカッコよかったので、よく学校の女の子たちがドラッグストアにアイスクリームを食べにきた。ジョージは冗談を言いながら店員として給仕したが、ジョージには遊ぶ時間はなかった。

 

ある日、ドラッグストアの店主の息子が病死し、気が動転した店主は顧客の処方箋に誤って毒薬を入れてしまった。ジョージは店主に心から同情してその薬をそっと仕舞って客に届けなかった。店主はその後感謝してくれたが、そのときは薬を客に届けなかったというのでめちゃめちゃ怒られて耳から血が出るほどたくさん殴られた。

 

 

 

やがてみんな高校生になった。しかしわずかなアルバイト代ではなかなか大学の学費には届かず、同級生たちが次々に大学に進学していく中で、ジョージは一層アルバイトに精を出さなければならなかった。

 

そんなある日、尊敬する父が心労のため急死してしまう。悪徳銀行家はここぞとばかりに父の会社の資金パイプに圧力をかけて父の会社を潰そうとしてきた。

 

ジョージは会社の経理責任者である叔父や株主や従業員たちから推されて、父の会社を継ぐことになった。夢だった大学進学は自分の代わりにまず弟を先に大学に進学させ、弟が卒業したら会社の経営をいったん交代して、そのあと自分が大学に行くことになった。

 

ジョージは父の遺志を継いで、叔父や従業員たちといっしょに歯を食いしばり、街の人たちのために低金利の住宅ローンを供給し続けた。

 

しかし4年後、大学を卒業した弟は工場主の娘と結婚して、その工場で働くことになってしまった。弟の妻はとてもいい娘だったので、弟のためにも、ジョージは自分の大学進学と建築家になる夢は捨てざるを得なかった。

 

 

 

そんなジョージもやがて幼なじみのメアリーと結婚することになる。しかしこのとき世の中の景気は大不況時代に突入しようとしていた。

 

ジョージとメアリーが式を挙げて、これからハネムーンに出発しようというとき、銀行で取り付け騒ぎが起きているのを目撃する。

 

二人が出発を延期して自分たちの会社に行くとやはり債権者たちが押しかけてきていた。

 

ジョージの会社の債権者たちの多くはジョージに賛同する街の人たちだ。みな生活費からわずかなお金をジョージの会社に預けていたが、大不況のためにみな当座の生活費にも困ってしまったのだ。

 

契約上は債権者たちに返済する期日はまだ来ていない。しかし二人はハネムーンのための資金を提供し、債権者たちの当座の生活費のために分配して助けた。けっきょくジョージとメアリーはハネムーンには行くことはできなかった。

 

 

 

しかし大不況を何とか乗り越えたころ、ジョージは一回り大きな事業家になっていた。

 

悪徳銀行家たち金持ちが所有する高い家賃のアパートで苦しんでいる人々のために、ベイリーパークという家賃の安い宅地の開発を決意し、実行に移した。

 

いろいろな妨害や問題を乗り越えながらジョージのベイリーパークができあがると、街の人たちは次々に満面の笑顔で引っ越してきた。ベイリーパークは質素ながらも笑顔と助け合いのある温かい街へと発展していった。

 

ジョージとメアリーも、最初のデートで通りかかった古びたボロ屋敷に移り住み、少しづつリフォームして住みやすくきれいな家に変えながら、やがて4人の子どもを授かった。

 

 

 

戦争がはじまると、

 

ジョージは耳の障害のために兵役を免除されるが、弟は海軍のパイロットとして大活躍し、大統領からの名誉勲章に輝く英雄となった。ジョージも家族も街の人たちも感激し、弟は街の誇りとなった。

 

そして戦争が終わった。

 

その年のクリスマス・イブの朝、街は平和の到来と、ジョージの弟である英雄の凱旋のための歓迎準備で大賑わいだ。

 

 

 

ジョージの叔父も誇りに満ちて、幸せ満面で、会社の支払いのための大金を持って銀行に向かった。

 

ところが、銀行の店先で銀行のオーナーである悪徳銀行家と遭遇し、言い合っているうちに入金するために持参した大金を紛失してしまう。

 

叔父は気づくと死に物狂いで探したが見つからない。

 

真っ青な顔で会社に戻って机や戸棚をひっくり返すが、やはり見つからない。

 

ジョージもこれを知ると、一緒に必死に探した。

 

このままでは会社は銀行の支払いができず、不渡りとなって倒産してしまう。

 

しかも帳簿に穴があいて自分も叔父も刑務所行きになってしまうだろう。

 

二人は必死に探しまわるが、しかし見つからない。

 

その大金は銀行で悪徳銀行家の手下に騙し取られていたのだ。

 

 

 

そのことを知らないジョージは、万策尽きてその悪徳銀行家を訪ねて借金を申し入れる。

 

しかし悪徳銀行家はその大金を騙し取ったことは隠しながら、ジョージへの融資を断る。それどころか紛失した大金について、横領罪でジョージを警察に告発すると宣告した。

 

もはや倒産、刑務所行きは必至である。

 

 

 

ジョージは絶望して会社に戻り、叔父と大喧嘩した。追い詰められ、万策尽きて、もはや自殺するしかない。


やがて疲れ切って家に帰る。

 

すると妻メアリーと子供たちが元気にクリスマスの準備に追われていた。

 

ああ、もうこの家もなくなる。

 

子どもたちはどうなるのか。

 

クリスマスの準備でジョージにも手伝ってと話しかける家族に、疲れ切ったジョージは怒りを爆発させてしまう。

 

泣き出す子供たちにジョージは慌てて謝るが、そのまま家を飛び出した。

 

 

 

ジョージは馴染みのバーに飛び込み、飲んだくれながら、

 

今まで自分はみんなのために全力を尽くしてきたが、力が及ばなかったと思い知った。

 

すべては終わったのだ。

 

ジョージは泥酔してバーを出ると、

 

通りかかった橋で、投身自殺をしようと決意した。

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

こうして最初の場面に戻る。

 

 

 

雪の降りしきるニューヨーク、

 

ジョージは凍える川に身を投げるため橋から身を乗り出した。

 

そのときである。

 

すぐ近くにいた老人が一瞬早く川に身を投げたのだ。雪の降り注ぐ川面はザブーン!と音を立てて老人を飲み込んでいく。

 

ジョージは思わず自分が身を投げることも忘れて川に飛び込み、老人を助けた。

 

 

 

結果としてジョージは自殺から救われたことになるわけだが、、、

 

老人は自らを天使であると名乗る。

 

しかしそんなことが信じられるか。

 

ジョージはまだ死の誘惑から逃れられず、自称天使の老人に「おれなんて生まれなければよかった」と言って嘆く。

 

すると天使の老人は「それはいいアイディアかもしれない。望み通りにしよう。」と応え、その瞬間、世界がジョージの生まれなかった場合の世界へと一変してしまう。

 

 

 

ジョージが生まれなかった街、

 

そこは悪徳銀行家に支配された、欲望と借金と争いの街に変わっていた。街中がギャンブルと女とセックスと欲望と借金と暴力で支配されていた。

 

ジョージが、さっきまで飲んでいた馴染みのバーにたどり着くと、温厚だった馴染みのバーテンダーは気性がやくざのように荒くなっていて、親しく話しかけてくるジョージをキチガイ扱いしてどやしつけ、店から放り出した。

 

そこへドラッグストアの店主がよぼよぼになって通りかかった。彼はむかし(ジョージがいなかったので)誤ってお客を毒殺してしまい、その罪でずっと刑務所に入れられていたのだ。いま出所したが、誰からも相手にされず今にも死にそうであった。ジョージは必死に店主に呼びかけるが、彼はジョージのことを知らなかった。

 

妻メアリーや子どもたちと住んでいた家は、入居する前の古びたボロ屋のままで、愛する妻メアリーも、子どもたちもいなかった。

 

母を訪ねたが、子どものいなくなった母は愛と元気を喪失して年老いていた。「母さん!」と呼びかけるとキチガイ扱いされて雪の降りしきる外へ締め出された。

 

会社は父の死と同時に悪徳銀行家によって倒産に追い込まれていて、最後まで会社を守ろうとした叔父は悪徳銀行家の一味からさんざん痛めつけられたうえに、失業し、精神病院に入院していた。

 

笑顔があふれていたベイリーパークもない。みんな悪徳銀行家が支配するアパートで高額な家賃に苦しめられ、しかも困ったときに借りたお金の高金利の支払いにも苦しめられていた。

 

そして弟は、9歳で厳寒の池に溺れて死んでいた。ジョージは弟の墓の前で泣いた。

 

 

 

ジョージは街で妻メアリーを発見するが、メアリーは独身を通していて、孤独で寂しく老け込んだ人生を一人でとぼとぼと歩んでいた。

 

感極まったジョージが夢中で駆け寄って言い寄るとメアリーは必死で逃げ出し、恐れて警察に通報された。

 

 

 

自分の親しかった人たちが、たいせつな人たちが、みんな不幸に陥っているではないか。

 

それなのに誰も自分のことを知らない。自分は何もできない。

 

ジョージは奈落の底に落ちた。

 

 

 

しかし、

 

このとき、ジョージは悟った。

 

元の世界で自分は力及ばなかったと思っていたが、自分はみんなの幸せのために役に立っていたのではないか。

 

じつは自分の人生は素晴らしかったのではないか。

 

自分は弟が極寒の池で溺れるのを助けることができたのだ。それで弟は輝く人生を歩むことができているのだ。なんと素晴らしいことか。自分は片耳の聴力を失ったがそんなことは何でもないじゃないか。

 

自分はドラッグストアの店主もお客も助けたのだ。こんな嬉しいことはないじゃないか。怒られて殴られたからと言って、そんなことはどうでもいいことだ。

 

大学へ通って建築家になる夢をあきらめたが、それが何だ。代わりに弟を大学に行かせることができた。しかもそれで弟は国民のために貢献してみんなが誇りとする英雄になったのだ。なんて素晴らしいことか!

 

それにありがたいことに父の会社を存続させることができた。叔父や従業員たちや街のみんなが笑顔になったじゃないか。

 

自分がハネムーンに行く代わりに、その資金で多くの債権者たちの生活を助けることができた。そのおかげで死なずに済んだ人が大勢いるのだ。こんなありがたいことはない!

 

そして愛する妻メアリーと、愛する4人もの子供を授かった。こんなにも素晴らしい人生は二度とないのだ!

 

 

 

このとき、

 

ジョージのこころの境地が変わった。
 

元の世界に戻れば、弟は生きかえり、それで母も愛と元気を取り戻し、妻メアリーは愛と子供たちに恵まれ、子どもたちは元気に育ち、叔父も回復し、街のみんなも笑顔に戻るのだ。

 

自分は破産しようが、逮捕されようが、刑務所行きであろうが、そんなことはどうでもいい。

 

自分は一生刑務所暮らしでもいい! 

 

元の世界に戻してくれ!

 

 

 

その瞬間、世界はジョージの存在する元の世界に戻った。

 

ジョージはすべてに感謝しながら大喜びでわが家へ直行した。

 

家にはジョージの罪を確定しようとしている会計検査官と、逮捕状を持った警察官が来て待っていたが、そんなことはどうでもいい。

 

ジョージは子どもたちに心から感謝して感激し必死に抱き合った。

 

 

 

そのとき妻メアリーが帰ってきた。

 

ジョージは妻メアリーの存在に感激し、心から感謝して抱き合った。

 

 

 

その直後であった。

 

街の人々や友人たちがメアリーの呼びかけに応じて次々にやってきた。

 

メアリーの両親も、ジョージの母も、弟も、叔父も、友人たちも、ドラッグストアの店主も、バーテンダーも、ベイリーパークに住む人々も、みんな、なけなしの金を持ってジョージに寄付をするために集まってきたのだ。

 

そして海外にいるメアリーの金持ちの友人が失われた金額の3倍に上る大金を融資すると電報を打ってきた。

 

ジョージを逮捕するために来ていた警察官と会計監査官までもが感動して自分の財布から寄付金を出したのであった。

 

状況はひっくり返った。

 

 

 

運命が変わるのは、自分のこころの境地が変わったときである。

 

それは神が私たちを完全に愛してくださっていて、すべてを最高に素晴らしいかたちで与えてくださっていると悟ったときに他ならない。

 

ジョージに、メアリーに、このブログを読んでくださっているみなさんに、そして世界中の人々に、

 

メリー、メリー、メリー、メリークリスマス!

 

 

 

 


 

 

初出

フミヤス・サンタゲバラ


2018年12月23日)


古鳥史康さん曰くご存知の名作『It's a Wonderful Life』をすこし変わった見地で書かせていただきました」。