文化団体「日本の文化伝統そして日本人のこころ」が立ち上がりました。
じつに素晴らしい仲間たちとこの文化団体を立ち上げることができましたことに心から感謝申し上げます。
この文化団体の設立趣旨には、文字に書いた意味だけではなく、その行間に深い奥行きがあります。
古来、縄文時代から2万年以上続く日本人の愛と和の精神は、3000年前の弥生文化の浸透や1800年前の古墳文化の浸透、現代のユダヤ西欧文化の浸透によって失われつつあるかもしれません。いま、古来から続く日本の文化伝統と日本人のこころを見つめなおすことによって、日本人の愛と和の精神を再生し、互いに助け合い労わり合う「まほろば」を再構築してまいります。
この趣旨は文化団体たるものの存在意義を謳っていると自賛するものですが、しかしその奥には言葉にしなかったさらに大きな展望があるのです。
話を進めるにあたって、この哲学の背景を確認するために、まず前回の話のおさらいに少々おつきあいください。
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いま、人類は進化して、人間(苦悩と闘争を続けてきた人間)であることをやめて、神の人、神人となりつつある、または仏性全機現の人、仏となりつつあると考えられます。
聖書では、イエスの生の言葉(Qの言葉)を自分の血肉とすることによって自らの魂が純化され、自分もイエスと共にアセンションします。仏教の読経でも基本的に同じ効果があります。
アセンションは死後に実現して神の国に行く、と教えている教会や寺院も多いですが、聖書や般若心経などを詳細に読むとそうではありません。
人間の3次元世界では時間軸が一つなので過去、現在、未来と時間が流れますが、神の世界は無次元で時間軸も無限なので、過去も未来も同時に存在する、または過去世も来世も今ここにある、あるいは過去世も今世も来世もなく、あるのはただ「今」だけであると考えられるわけです。
人間は、生前とか死後とかに関係なく、いまここで、ただちにイエスのQの言葉と一体化し、この世界がすでに完全な神の世界であることを感得して、いま、ここで、神人となりつつあるのです。
Q資料(イエスの生の言葉)のポイントを大雑把に整理すると、
1.敵をも愛し、善を行う。
2.執着しない。財産だけでなく親や子にもこの世のものに執着しない。
3.自分の持ち物をすべて人のために奉仕する。
4.自分の生活を心配せず、まず神の国を願い、神の支配を信じる。
5.どんなことも人や偶像に求めず、神に求める。
6.自分を低くする。人を裁かず、まず自らを反省する。
7.自分にツッパリきる。神と共にあればこの世に恐れるものは何もない。
8.何も持たずに人を助けに行く。そして神の言葉を話す。
9.これらの言葉と共にあれば、嵐でも倒れず、喜びが成長して大木になる。
ということになると思います。
一目瞭然にQ資料でイエスは何一つ特別なことは言っていません。道元が禅の要諦として述べている部分もあるし、トルストイが道徳論として述べている部分もあります。
そしてその多くは、人から言われなくとも、誰もが心の奥底で「本当はそうありたい」と願っていることではないでしょうか。
そう、Q資料の言葉とは、イエスが語っている言葉であるとともに、仏陀や聖人一般が語っている言葉であり、じつは、それはわれわれの生命が内奥に本来持っている愛と和の言葉である、と解釈すべきなのです。
苦悩と闘争に明け暮れてきた人類は、われわれが自身の生命の奥底に本来持っている愛と和の言葉(Qの言葉や仏の言葉と同じ言葉)に回帰することによってこそ、神人へと進化していくのです。
これが聖書や仏法の真の仕組みでもあると考えます。
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さて、
前回はここから、矛盾だらけの現実世界でこれを実践するためのアウフヘーベンについて書きましたが、
今回はここから、文化団体「日本の文化伝統そして日本人のこころ」に話が繋がります。
日本人の本来の精神は、日本の地で2万年にわたって育まれてきた愛と和の精神です。人類が回帰すべき生命の奥底にある愛と和の平安の言葉そのものです。
岡山大学の松本直子や山口大学の中尾央らの研究によると、世界の各民族の死因のうち、海外の民族では暴力による死亡率がいずれも10%以上あります。ところが縄文日本人の暴力による死亡率はわずか0.9%なのです。
さらに現時点で縄文の遺跡は9万か所を超えていますが、武器が1つも出土していないのです。
最近の核DNAの解析では、日本の縄文人はアジアのどこの人たちとも大きな隔たりがあることもわかってきました。縄文日本人こそ世界でいちばん愛と和の精神を持つ民族であると言ってよいのです。
しかし3000年前、海外から弥生文化が押し寄せて浸透すると、以降、縄文日本人は弥生日本人へと変貌し、暴力による死亡率は海外同様に10%を超えてしまいます。遺跡からも武器が続々と出土するようになります。
最近の核DNAの解析によれば、現代の日本人に占める縄文人のDNAは15%です。残りは弥生文化の源流であるバイカル湖に見られる人々のDNA 、古墳文化の源流である東アジアの人々のDNAです。DNAだけを見れば、現代日本人は縄文人よりも他のアジアの人たちに近くなっていることもわかってきました。
それでは縄文日本人の愛と和の精神は失われてしまったのでしょうか?
いや、そうではありません。先の東日本大震災でも、100年前の関東大震災でも、日本人は家族を失い、家を失い、仕事を失った絶望と悲嘆の極限にあっても、決して暴動を起こさず、暴力も振るわず、互いに労わり合い、助け合ったのです。
東日本大震災でも関東大震災でも、世界中のマスコミがこの日本人の姿に「外国ではありえないこと」として驚嘆しました。
ドナルド・キーンは、青年のころ太平洋戦争で遭遇した日本人兵士の手記に衝撃を受けました。全滅目前の戦地で、生き残った7名の兵士が13粒の豆を分かち合ってささやかな正月を祝っていたのです。なぜ暴動が起こらないのか? なぜ平和が保たれるのか? 外国ではありえないことです。以降キーンは日本人の文学(日本人の魂)を研究し世界に紹介することに生涯をかけることになります。
2万年にわたって培われてきた縄文日本人の愛と和の精神は不滅なのです。DNAは15%でも、日本人の愛と和の精神は、海外ではありえないほどに、現代に脈々と生きています。
結論としてあえて極論を言います。
いまここに、われわれは、日本人の魂の奥の奥からほとばしった日本人本来の縄文の愛と和の文化、伝統、こころを、見つめ直し、啓発し合うことによって、
日本人本来の愛と和の精神が再認識され、そうして再生され、互いに助け合い労わり合うまほろばが再構築されるのみならず、
こうしてわれわれ日本人が、世界の先頭を切って、神人へと進化していくのだと考えられるのです。
2018年6月9日 古鳥史康
2023年1月4日 一部加筆