右脳を刺激する、特に日本文化に触れる刺激を与えることで、認知症の予防や治療に役立ちます。また、認知症以外の様々な脳の障害予防にも効果的です。
30年前米国留学時代、幼児が怪我で救急搬送されたら、医師はまず虐待を疑うと聞いて、信じられない思いでしたが、近年の増加ぶりは日本もそうなってきたかと残念です。親の脳が機能異常を起こしていますから、そちらから改善しないと、虐待は減りません。しかし今、精神科医療はこの方面で機能していません。
ストーカーによる殺人も以前見られなかったように思います。その他犯罪やクレームなどのトラブルの種類が変質しています。
では、なぜ増加してきたのでしょうか。理由は単純ではありませんが、重要なカギが、米国の悪影響です。映画でも音楽でもファッションでも、多方面でわが国はいまだ米国の影響下にあります。犯罪もそうです。
日本の医学は、明治以来ドイツ医学を取り入れてきました。北里柴三郎も森鴎外もドイツ留学をして、当時の世界最高の医学を学び、日本に持って帰りました。第二次大戦後、ドイツは敗戦国となり、戦後は占領軍とともに、アメリカ医学がどっと入ってきて、今に至るまで、わが国の医学はアメリカ医学が席巻しています。私たちの時代は、医学にドイツ語が必修だったのに、今は英語だけです。
私が若いころ属していた病院はキリスト教系で、院長はじめ何人も米国人医師がいて、米国式の高レベルの医療が展開されていましたので、必ず米国留学したいと願っていました。念願の米国留学では、医学面でなるほどすごいと驚くこともよくありましたが、医療訴訟の多さには辟易しました。例えば、外科医の9割が生涯に訴訟を受けているのです。
半世紀の医師としての医療体験後、私は、日本式の医療、特にがん医療は米国式は日本人に合わない、日本文化に合った穏やかなやり方がいいと感じるようになりました(日本人に合ったがん医療を求めて、ケイオス出版、2019)。がん以外の医療も同じです。
哲学者デカルトの二元論以来、勝敗、善悪、貧富、などと言った二元論が欧米社会を支配しています。日本も同様に、勝ち組・負け組のどちらかに属すような社会になってきました。これでいいのでしょうか。人を社会を二分化できるのでしょうか。二元論はいつも正しいのでしょうか。
お互いが正しいと主張し合えば、終にはぶつかります。国同士がそうなれば戦争になります。
米国に行けばすぐわかりますが、日本での善があちらでは悪、その逆もよくあります。善悪もその地域の伝統や文化、宗教などによって決められるものであり、客観性などなく、すべて主観的なものに過ぎません。日本人も米国では米国の法律を守らないと捕まります。例えば家族心中事件で、親が生き延びれば子殺しとして重罪です。心中という文化がないからです。
西洋合理主義は今完全に壁にぶつかっています。経済はともかく米国のモラルの低下、ヨーロッパでのEUの足並みの不揃い、ポピュリズムの台頭など、西洋文明はどこに行くのでしょうか。
欧米がキリスト教国と言っても、日曜日に教会に通う人はどんどん減っています。自分さえよければいい、といった個人主義が蔓延しています。