一般に材料の物性はその組成と構造で決まります
木材の組成はC,H,Oの三元素で99%を占め,樹種による違いはほとんどありません
N,Ca,Mgなどの微量成分は,樹種だけでなく個体や部位などにより含有量が大きく変動します
化合物はセルロース,ヘミセルロース,及びリグニンの三要素で95%を占めます
ヘミセルロースとリグニンは,樹種により化合物の種類や比率が異なります
このほかにテルペン類などの微量化合物(抽出成分)が数%含まれます
微量化合物は樹種だけでなく,個体や部位などにより種類や含有量が異なります
これらの元素・化合物のほかに,質量比で10~20%の水分が存在します
木材の細胞構造は針葉樹と広葉樹でやや異なります
主たる要素である道管・仮道管の他に,柔細胞,木部繊維,放射組織,細胞間道などが存在します
これら木部のほかに,密度比で数十%の空隙が存在します
このように木材の組成,構成は多種,多様なため,物性との関係は余り解析されていません
ここではデータの揃う国産広葉樹を対象に,組成や構造と物性値との統計的な関係を示します
組成・構造データの引用元は以下の通りです
【組成】
「材の化学組成およびパルプ化試験」
米沢保正ほか 林業試験場研究報告 253号 (1973)
【構成比】
「日本産主要木材の材構成割合について」
平井信二 東京大学農学部木材材料学第一教室業績 第159号 (1960)
【構造】
「広葉樹微細構造」
森林総合研究所 日本産木材識別データベース