【特徴】
植物の精油には様々な機能が備わっており,アロマテラピーなどに広く活用されています
木材にも精油の成分が含まれており,以下の様な作用・効果が報告されています
・抗菌
対象:黄色ブドウ球菌,大腸菌,チフス菌,枯草菌,赤痢菌,コレラ菌,ジフテリア菌,カビ,MRSA,O157
樹種:ヒバ,ヒノキ,タイワンヒノキ,ネズコ,ベ二ヒ,トドマツ など
・ダニ抑制
対象:塵性ダニ(ヤケヒョウダニ,コナヒョウダニ)
樹種:ヒノキ,スギ,ベイスギ,ベイマツ,ベイヒ,ヤクスギ,ヒバ,タイワンヒノキ,ベイヒバ,コウヤマキ など
・消臭
対象:アンモニア,二酸化硫黄,二酸化窒素,酢酸,ホルムアルデヒド
樹種:ヒノキ,ヒバ など
・人の生理・心理
効果:疲労回復,精神集中,鎮静化,免疫力向上,ストレス抑制
樹種:スギ,ヒノキ,エンピツビャクシン,タイワンヒノキ など
【設計要件】
樹種,産地などにより含まれている精油の成分が決まります
樹齢,部位,外形寸法,乾燥方法,乾燥度などにより精油の含有量が変化します
木取り,加工法,表面仕上げ,塗装法などにより放散の度合いが変化します
樹種ごとの耐腐朽性と防蟻性は“設計の指針”に,室内の香気濃度については“機能性の試算”に記載しています
【留意点】
木材自身への作用は長く持続しますが,周囲への効果は時間とともに減衰します
成分や設置される条件により異なりますが,持続期間は3カ月程度とされています
接触皮膚炎に加え,濃度が高い場合には呼吸器疾患や頭痛などの副作用が報告されています
【参考資料】
特徴
・林野庁HP (2017)
「科学的データによる木材・木造建築のQ&A」
・谷田貝光克 材料 46巻 (1997) 10号
「におい感覚と木材」
・谷田貝光克 におい・かおり環境学会誌 38巻 (2007) 6号
「森の香り・木の香り その正体と働き」
・岡村大悟ほか 木材保存 28巻 (2002) 6号
「樹木の精油成分とその抗菌活性」
・大平辰朗 木材学会誌 61巻 (2015) 3号
「樹木精油成分による空気質の改善」
・木を活かす建築推進協議会報告書 (2016)
「木の良さデータ整理検討」
設計要件・留意点
・北尾弘一郎ほか 木材研究 京都大学木材研究所報告 34巻 (1965)
「樹木成分集(Ⅰ)」
・佐藤惺ほか 木材研究 京都大学木材研究所報告 37巻 (1966)
「樹木成分集(Ⅱ)」
・佐藤惺 油化学 17巻 (1968) 11号
「木材抽出成分のガスクロマトグラフィー」
・近藤靖史ほか 日本建築学会計画系論文集 65巻 (2000) 535号
「多孔質固体内部における物質拡散のモデル化とミクロ-マクロモデルによる室内VOCs濃度予測」
・吉田弥明ほか 木材学会誌 50巻 (2004) 3号
「スギムク材内装モデル居室における揮発性有機化合物(VOCs)の放散挙動」
・佐藤惺 木材研究・資料 京都大学木材研究所報告 23巻 (1987)
「木材抽出成分と健康問題」