第5回城崎新人セミナー参加予定者

招待講演


赤穂 まなぶ(首都大学東京 都市教養学部理工学系数理情報科学専攻)

専門は、シンプレクティック幾何学におけるラグランジュ部分多様体に関するフレアーホモロジーの研究です。 これは、境界付きリーマン面からシンプレクティック多様体への擬正則写像(で、ラグランジュ部分多様体に境界値を持つもの)を考えることにより、ラグランジュ部分多様体の大域的な性質を調べるというものです。 特に、ラグランジュはめ込みについてのA無限大代数の構成や、凹型のエンドを持つ非コンパクトなシンプレクティック多様体におけるフレアー理論の構築を目指しています。


浅岡 正幸(京都大学 理学研究科)

力学系理論の中で中心的な役割をはたす双曲力学系とその一般化を中心に研究しています. Markov partitionというある種の離散化を通して統計物理とつながったり,負定曲率空間上の測地流などを通して,等質空間の幾何や,あげくには数論とまで関係したりする面白い対象です. 力学系といえば,普通はflowや,写像の反復といった,時間の前後がある系を扱うことが多いのですが,最近は,より一般の非コンパクト群の作用への力学系の視点からのアプローチに興味を持っています.


梶浦 宏成(京都大学 理学研究科)

弦理論と関連する点付きリーマン面のモジュライ空間に付随するホモトピー代数構造や, 圏論的手法の幾何学及び幾何学の変形問題への応用について研究している. 研究内容は連接層の導来圏と深谷圏の間の等価性として定式化されるホモロジー的ミラー対称性なども関連し, 非可換幾何学的手法も応用している.


戸田 幸伸(東京大学 IPMU)

東京大学IPMU・助教の戸田幸伸と申します。代数幾何学を専攻しています。学部生時代、高次元極小モデル理論と連接層の導来圏に興味深い関係が存在する、というBridgeland氏の講演に感銘を受け、連接層の導来圏を研究テーマとすることにしました。 連接層の導来圏は非常に抽象的な対象で、容易に計算できる数学的対象ではありませんが、その一方で導来圏を通じて見えてくる対称性が様々存在します。ホモロジカルミラー対称性やマッカイ対応と呼ばれるものはそれらの例です。 現在までの主な研究成果は、3次元代数多様体のフーリエ向井パートナー、導来圏の変形理論、局所カラビーヤウ多様体上の安定性条件の記述、が代表的なものです。 最近は安定性条件から定まる安定対象たちの数え上げ不変量や、導来森田同値と呼ばれる対称性について研究しています。


葉廣和夫(京都大学 数理解析研究所)

3次元のトポロジーの代数的側面について研究しています。 特に、結び目や3次元多様体たちのなす集合が持つ代数的・圏論的構造を理解すること, また,そのような構造と種々の不変量との関連を明らかにすることに関心があります。 例えば、タングルや曲面のコボルディズムの圏の表示や、 そのような圏から量子群などを利用して代数的に定義される圏への関手について、研究しています。


宮地兵衛(名古屋大学 多元数理研究科)

GL_n(F_q)等の有限体F_q上のLie群もどきの表現論をずっと見続けてきました.ただ表現論といっても表現の係数体が、正標数 \ell>0 を持つものをあつかってきました. \ell と F_qの標数も違うものです. 正標数体上の表現論なんて全く触ったことがないという方もおられるでしょう. 一方で Lie環 gln に付随する量子群 U とよばれるLie環の展開環の類似物("q-変形")の表現論もつながってきます. U には、parameterがひとつあるのですが、それが 1 の巾根とそうでないときとでは、様相が随分違ってきます.もともとの住みかのGL_n(F_q)の場は、 この parameterが1 の巾根のときが関係してきます. ここでは係数体の標数は 0 のものも考えます.そして 1段落目のGL_n(F_q)の表現論と Uのそれとの繋がりがあることが随分分かってきています. さて、もうひとり役者がでてきます. Lie環 glnのaffine Lie環の量子群のフォック表現さんです. 量子群なので、またまたparameterがあるわけですが、ここでは1 の巾根ではない場合を考えます. 2段落目では有限次元Lie環の展開環の類似物 量子群だったの対し代りに無限次元Lie環のそれになっています.そしてこのひとも1段落目のGL_n(F_q)の表現論と繋がってきます. これら3つの繋がりはまだまだ満足な状態まで研究されてはいません.そもそも関係がありそうだと思われてきた歴史は、長くはありません.これらの関係やその繋がりを活かして各々の表現論を研究することを楽しくやっています. 僕は各々複雑な世界をもっているものたちのその未知の繋がりを解明かしたりするのが、好きなひとです.


セッション講演者


橋本要 (大阪市立大学 M2)

M.Stenzelが構成した, ある完備なリッチ平坦ケーラー計量の構成を勉強しています. その応用として, スペシャルラグランジュ部分多様体の構成について考えています.


升本功樹(大阪大学 M2)

専門は3次元多様体です。3次元双曲多様体の基本群のSL(2、C)(PSL(2、C))への表現について研究しています。


北山 貴裕 (東京大学 M2)

私の研究テーマは、基本群の表現空間とその上の関数の情報から、3次元多様体の位相構造を捉えることです。具体的には、結び目群のSU(2)-表現空間の構造やReidemeister torsion、ねじれAlexander不変量の性質について調べてきました。S^1-値Morse理論や Morse homotopy理論など、Morse理論の更なる可能性を探る研究にも興味を持っています。


近藤 悠佳子(奈良女子大学 M2)

小林毅先生のもとで結び目理論を勉強しています。修士論文ではpre-fiber surfaceと呼ばれる曲面のdeplumbingについて研究しました。城崎新人セミナーに参加するのは初めてですが、皆さんと有意義な時間を過ごせることを楽しみにしています。


山崎 雅人(東京大学 M2)

私の興味は素粒子論、弦理論全般であるが、数学に近いところでは特に幾何学に興味がある。具体的な研究としては、

  • コアメーバを用いたホモロジカルミラー対称性の研究
  • 佐々木・Einstein多様体の幾何学
  • 位相的弦理論、Gromov-Witten不変量、結び目不変量 などなど。


伊藤 昇(早大基幹理工D1)

研究分野は低次元トポロジー(結び目理論)です. wordを用いてトポロジカルに曲線や結び目の幾何を捉えることについて考えてきました. 例えば曲線の良い分類(不変量)を与えることは、結び目の研究や代数曲線の分類とも関係があります. そこでまず曲線や結び目の不変量の背後にある構造をもっとよくわかりたいと思っています.最近はcategorificationにも興味を持っています.宜しくお願いします.


関谷 雄飛 (名古屋大学 M2)

代数多様体の商特異点について研究しています。現在の研究テーマはG-軌道のヒルベルトスキームとグレブナー基底の関係についてです。よろしくお願いします。


小寺 諒介(東京大学 M2)

量子展開環という代数の表現論において重要である結晶基底の理論に興味を持っています. 量子展開環はLie環の普遍展開環にパラメータを入れて変形した代数として定義されますが,このパラメータを0にしたときの表現論を記述するのが結晶基底です. 今は,アファイン型量子展開環の表現の結晶基底について研究しています.


並川 健一(大阪大学 M2)

整数論を専攻しています。現在興味を持っていることは、有理数体上定義されたAbel多様体とSiegel保型形式とのL関数を保存するような対応についてです。 単純Abel曲面が虚数乗法をもつ場合には、そのL関数がAbel曲面のL関数と一致するようなSiegel保型形式の構成は知られているので、現在これについてもう少し詳しく調べる事を目標としています。ではよろしくお願いいたします。


川谷 康太郎(大阪大学 M2)

コンパクトケーラー多様体Xが単連結で, 至る所非退化な正則2形式でH^0(X,\Omega ^2)が生成される時, Xを超ケーラー多様体と呼ぶ。 超ケーラー多様体はK3曲面の高次元化とみなせ、いくつか類似の性質を備えている事が知られています。 超ケーラー多様体についてLagrangian Fibrationについての予想が知られていて、それについて興味を持っています。 また、超ケーラー多様体として知られている例が少ないのも特徴です。(今のところ、変形同値類は4種類)そのため、超ケーラー多様体の位相型はどのくらいあるのか、例えば、ベッチ数は決定できるか?といった事にも関心があります。


森谷 駿二(京都大学 D1)

専門はホモトピー代数です。高次スタックを使って高次のnon-Abelian cohomology と呼べるものを定義し、その上の Hodge filtration を定義することに興味を持っています。


森 伸吾(京都大学 M2)

概均質ベクトル空間に付随するゼータ関数たちが持っている、関数等式に現れるεーfactorについて研究しております。


原 隆(東京大学 M2)

東京大学数理科学研究科で、整数論を専攻しております原隆と申します。 最近は岩澤理論及びその非可換化を主に研究しておりますが、スキームのホモトピー論、モチーフ理論、多重ゼータ値などにも興味を持っており、いずれきちんと勉強したいと思っています。 様々な分野の方々と交流できるのを楽しみにしております。


山野井 隆晃(北海道大学 M2)

専攻は代数幾何学で,Abel多様体とその周辺の話題について研究しています.


土居 毅士(京都大学 M2)

N次元射影空間上のランク2のベクトル束で直線束の直和に分解されないものはどのぐらいあるのだろうか?という問題があります。 N=1、2、3については多くの例が存在する事がわっかっています。ですが、N=4となった途端に このようなベクトル束の例がほとんどなく、今のところHorroks-Mumford-bundleと呼ばれるものしか見つかっていません。 これまでは、このHorroks-Mumford-bundleを実際にコンピュータの上で表現しどのようなベクトル束であるのか計算してきました。 今後は、更に色々な代数多様体上のベクトル束(特にベクトル束のモデュライの構造)について研究していきたいと思っています。


Andrew Gibson (東京工業大学 M2 )

東京工業大学のM2のAndrew Gibson(アンドリュー・ギブソン)です。イギリスから来ました。今仮想糸を研究しています。 仮想結び目は、曲面上の曲線の交差に上下関係をつけたものに、ある同値関係を入れたものとして定義されます。これに対して仮想糸は、仮想結び目の交差の上下関係を無視したものとして定義されるものです。 修士論文では、4交差までの仮想糸の表を作成しました。


学生参加者


小迫 敬靖 (国際基督教大学 理学研究科 M1)

目標は代数幾何方面から弦理論を研究することです。現在は、"An Introduction to Invariants and Moduli" で、超曲面のモジュライの基本をある程度終えた段階です。 今後は"Fundamental Algebraic Geometry: Grothendieck's FGA Explained"でstackの勉強をする予定です。よろしくお願いします。


小関 祥康(九州大学 M2)

アーベル多様体の有理点の構造に関して興味があり、研究しています。今回の新人セミナーの内容からは少し離れた分野にいるかもしれませんが、楽しみにしています。よろしくお願いします。


森島 北斗(大阪大学 M1)

指導教官とのセミナーで、Gromovが書いた文「Asymptotic invariants of infinite groups」を勉強しています。その関連で、asymptotic dimensionやasymptotic coneについてのGromov以後の論文をいくつか読んでいます。 最近はそれらのquasi-isometry不変量を用いたmapping class groupのquasi-isometry classの分類に興味があり、MasurとMinskyによる論文「Geometry of the complex of curves II :hierarchical structure」で導入された手法を用いて調べています。


佐中 進(京都大学 M1)

現在保型形式の勉強中です。ゼミでは「保型形式と整数論」(土井公二 三宅 敏恒 )という本を読んでいます。


大塚 亜人夢(京都大学 M1)

京都大学理学研究科M1の大塚亜人夢です。現在、指導教官の池田保先生と『保型形式と整数論』(土井・三宅)を使って保型形式の基礎を勉強しています。また、密かに行列係数の多項式について研究を進めています。


佐野 太郎(東京大学 M1)

指導教官とのセミナーでは「Flips for 3-folds and 4-folds」という本を勉強しています。この本は代数幾何学、特に極小モデル理論について書かれた本です。よろしくお願いします。


鈴木 咲衣(京都大学数理解析研究所 M1)

前期には量子群と結晶基底について学びました。量子不変量を通じて、トポロジーへの応用を期待しています。


和田 堅太郎(名古屋大学 D1)

Ariki-Koike algebra 及び,それに付随するcyclotomic q-Schur algebraの表現論を中心に研究しています。


三井 健太郎(京都大学 M1)

Rigid幾何について学んでいます。特にrigid解析曲面の複素解析曲面との類似と相違に興味を持っています。


加藤 千尋(奈良女子大学 M1)

現在、指導教官とのセミナーでは「なっとくするオイラーとフェルマー」(講談社)という本を勉強しています。 この本は初等整数論について書かれた本です。今年度で読み終わりそうなので、来年度はどうしようか、と 模索中です。この城崎新人セミナーできっかけが掴める事を期待しています。


清水 理佳(大阪市立大学 M1)

私はゼミで河内明夫先生の「レクチャー結び目理論」という本を読み、そこで状態和による絡み目の不変量に興味を持ちました。今はガンマ多項式という絡み目(図式)の不変量について勉強中ですが、今後も色々な多項式について知りたいと思っています。将来はリサ・ランドールのような素敵な研究者になりたいと思っています。まだまだ勉強不足ですがよろしくお願いします。


小鳥居 寛(首都大学東京 M1)

首都大学東京M1の小鳥居です。代数幾何を勉強しています。


嶽村 智子(奈良女子大学 D1)

私は、確率論を専攻しています。確率論の中でも拡散過程という連続なパスをもつ過程の研究をしています。今私が興味を持っているのは、Cone-Manifolds上の拡散過程です。みなさんと有意義な会話ができることを楽しみにしています。


田中亮吉(京都大学 M1)

上正明先生の下で、調和写像の勉強をしています。今後は、離散的な対象への適用などを考えていきたいと思っています。 まだ漠然としていますが、今回のセミナーで手がかりがつかめたら、と思います。 ノットを勉強している方も多数来られると聞いているので、話が聞けたらと思っています。 物理との関連も強いので、その方面のお話が聞けるのも楽しみにしています。


野坂 武史(京都大学 M1)

指導教官とのセミナーでは Quantum invariants --- a study ofknots,3-manifolds ,and their setsという本を前期に勉強していました。 この本は、S^1の結び目の量子不変量などについて書かれていました。後期からは、論文をいくつか読んでいました。カテゴリフィケーションに多少興味があり、コヴァノフの論文などを読んでいました。 圏化にせよ、結び目理論にせよ、数理物理やホモトピー論とのより良き関連があればよいかと思っています。 学部までは微分幾何よりの感じのことをしていまして、幾何学を中心に勉強しておりました。


酒井祐貴子(早稲田大学 D1)

去年に引き続き2回目の参加です。専門は整数論で最近はGL(2)-予想について勉強していましたが、ガロアの逆問題についても興味が出てきました。 勉強不足で全体テーマについての知識は全くといっていいほどないのですが、1つでも学び、皆さんと交流できればと思います。


運営委員


木村 嘉之(京都大学理学研究科 D1)

今回の城崎新人セミナーの運営委員長をさせていただきます。専門は表現論です。 幾何学的表現論と非可換環の表現論の関わりに興味があります。特にHall代数にまつわる表現論に興味があります。 新人セミナーの準備では、いろいろ至らない点があると思いますが、よろしくお願いします。


長尾 健太郎(京都大学理学研究科 D1)

専門は量子群及びHecke代数の幾何学的表現論です。 21世紀に入り、代数多様体上の連接層の導来圏及びその安定性に関する理論が劇的に進展しています。幾何学的表現論の舞台となる代数多様体においてそれらの理論を展開することで、表現論に新しい発展がもたらされると期待しています。新人セミナーではみなさんが気持ちよく4日間を過ごせるようにお手伝いさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。


巴山 竜来(大阪大学理学研究科 D1)

専門は複素代数幾何、とくにHodge構造のモジュライ空間とその部分コンパクト化(log Hodge構造のモジュライ空間)について調べています。 新しい出会いがあることを楽しみにしてます。


深谷 友宏(京都大学理学研究科 D1)

専門は代数的位相幾何学です.特にGroebner基底を応用して,計算機と理論の両面から,位相幾何学に現れる様々な不変量の計算を行うことに興味を持っています.城崎では他の分野の方々と交流できることを楽しみにしています。


安部 哲哉 (大阪市立大学 D1)

結び目理論の研究をしています。どれくらい結び目がもつれているかを表す結び目解消数のような、素朴な結び目不変量に興味を持っています。 他分野の人と話すのが楽しみです。


梶 真理香(奈良女子大学 M2)

修士1回生の頃からJean-Pierre Serreの『Linear Representations of Finite Groups』という本を読み,修士論文ではSteinberg表現の指標や表現空間の基底を決定しました. 皆様よろしくお願い致します


尾高 悠志(京都大学数理解析研究所 M1)

僕自身、このセミナーは初めてですが、委員をさせていただくことになりました。 以前は数論に重点を置いておりましたが、最近は代数幾何とりわけモジュライ関連に興味があります。委員として至らぬところもあるかもしれませんが、よろしくお願いします。