ブリコラージュ通信は、藤本英二が発行している個人誌です。第一期(1995年~2006年)と第二期(2015年~現在)にわかれます。
ブリコラージュということばは、レヴィ・ストロースの『野生の思考』の中で出会って以来、僕にとっては大切なことばになっています。器用仕事という風な訳がつけられたりしますが、ありあわせのものを使ってする仕事のことを言います。日曜大工なんかも、その中に入ります。
鶴見俊輔は「ことばをちょっとはずして使うとか、別の目的で違う脈絡のなかで使うというようなことは、われわれが赤ん坊以来、一種の生活技術としてやっている」と語り、それを「ことばのブリコラージュ」と呼んでいます。
専門の研究者の論文などとは違い、素人が自分のもちあわせの材料であれこれものを考えていくのだ、という意味合いをこめて、僕は自分の雑誌を「ブリコラージュ通信」と名付けることにしました。
(ブリコラージュ通信1号あとがき、より)
ブリコラージュ通信・総目次
ブリコラージュ通信1号 詩から聞こえてくる声
(一九九九年五月発行)
《第1部》
・詩から聞こえてくる声
Ⅰ 詩から聞こえてくる複数の声
Ⅱ 方言詩について
皿 朗読の諸相
Ⅳ 谷川俊太郎と吉増剛造
《第2部》
・音が立ち上がってくる―「吉増剛造十マリリア十東淵修・の・タベ」を訪れて
・与謝野晶子「みだれ髪」と俵万智「チョコレート語訳」を比較する
・実践メモ 国語表現98 写真とことばの物語
・書評 吉田和子著『フェミニズム教育実践の創造 (家族)への自由』を読む
・《学びの自分史》友達がいて、仲間がいて、勉強があった(月刊高校生145号掲載、再録)
ブリコラージュ通信2号 事件と文学の関係
(二〇〇〇年五月発行)
《第1部》
・事件と文学の関係
Ⅰ 事件と文学……問題の所在
Ⅱ 大岡昇平の目
Ⅲ 三島由紀夫『金閣寺』と水上勉『金閣炎上』
Ⅳ 連合赤軍事件と大江健三郎
Ⅴ ドストエフスキー『悪霊』の世界
Ⅵ グリコ・森永事件と『レディ・ジョーカー』
Ⅶ オウム真理教事件と「もうひとつの物語」
Ⅷ 少年A・酒鬼薔薇聖斗事件をめぐって
《第2部》
・いつだって試行錯誤 ―現代文の試みー
・ちょっと横道、映画の話
①太宰治「清貧譚」から「ダイハード」へ
②「新古今和歌集」から「踊る大捜査線」へ
・「書く」ことで自分探しを(月刊生徒指導99年7月号場載、再録)
ブリコラージュ通信3号 写真とことばの物語
(二〇〇一年一二月発行)
Ⅰ《ことばさがしの旅 01》 写真とことばの物語
Ⅱ 「石狩シーツ」をめぐる対話
Ⅲ 音が立ち上がってくる (『教育』2000年9月号掲載、再録)
Ⅳ 映画と原作を比較する…『伊豆の踊子』の場合…
Ⅴ 源氏物語。現代語訳を比較する
…与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴…
Ⅵ 事件と文学の関係・補遺⑴
『ゴールドラッシュ』をめぐって
事件と文学の関係・補遺⑵
『東電OL殺人事件』をめぐって
Ⅶ 日付のある挨拶⑴ゆうちゃんシリーズ完結を祝って
日付のある挨拶⑵県立伊丹高校三十四回生同窓会にて
Ⅷ ちょっと横道、映画の話③
「相手依存の自己規定」から『ジャンヌ`ダルク』へ
ブリコラージュ通信4号 物語の再創造
(二〇〇四年三月発行)
《第1部》
物語の再創造
Ⅰ「たそがれ清兵衛」はどのように作られたか
Ⅱ 『嵐ヶ丘』から『本格小説』ヘ
《第2部》
「伊豆の踊子」教科書異本論
《第3部》
・わたしが学んだ実践家たち(『ひと』一九九五年一二月号掲載、再録)
・日付のある挨拶⑶
おさなご保育園二十周年記念出版パーティにて
ブリコラージュ通信5号 映画と夢と文学と
(二〇〇六年一〇月発行)
《第1部》
・文学にあらわれた夢
・村上春樹の小説における「夢の機能」について
《第2部》
・映画の授業
・小説はどのように映画化されるか
・記憶のなかの映画 映画で綴る自分史の試み・第一部
・ノートのなかの映画 映画で綴る自分史の試み・第二部
《第3部》
・兵庫文学教育の会とともに
Bricolage通信№6 バースディ・ガールは瘋癲老人日記を読んだか (二〇一五年七月発行)
・「市民のための現代文学講座」を始めるにあたって
・市民のための現代文学講座①
谷崎潤一郎「瘋癲老人日記」を読む
・村上春樹「バースディ・ガール」
☆参考資料・「バースディ・ガール」授業プリント
・十年の歩みをふりかえる
①「文学講座」in宝塚良元校(二〇〇六年~二〇一二年)
☆2012・2・8 神戸新聞記事
☆2012・2・9 朝日新聞記事
②「小説を読む」in NHK文化センター・西宮ガーデンズ教室(二〇一二年十月~二〇一五年三月)
③「おもしろ文学」in つかしんカルチャー(二〇一三年四月~)
④短期講座・講演の記録(二〇一二年四月~二〇一五年三月)
・映画館でこんな映画を観た(二〇〇五~二〇一四)
・映画三昧の日々・二〇一四年
・こんな映画を観た森崎東監督『ペコロスの母に会いに行く』
・《小さな旅の報告》富山へ行ってきました
Bricolage通信 №7 モダニズム文学としての『笹まくら』
(二〇一五年一二月発行)
・市民のための現代文学講座②
丸谷才一『笹まくら』を読む
・授業をつくるー定時制高校編
・「夏の文学教室」に参加して
・こんな映画を観た 木村恵吾監督『瘋癲老人日記』 ・《小さな旅の報告》東京・京都・広島
Bricolage通信 №8 『万延元年のフットボール』観戦記
(二〇一七年二月発行)
・市民のための現代文学講座➂
大江健三郎『万延元年のフットボール』を読む
・授業をつくるー定時制高校編―後篇
・「市民のための現代文学講座新聞」より
講座内容の紹介文
①森絵都の世界『クラスメイツ』を中心に
②村田喜代子の世界『ゆうじょこう』を中心に
③津村記久子の世界『ポトスライムの舟』と『ポースケ』
短いエッセイ・ちょっとひと休み「特に夢がなくて」「それは良い。楽しみだね」/アンソロジーが入口に/読みなおす楽しみ
・こんな映画を観た2016(DVD編)
Bricolage通信 №9 『夏の闇』と旅する女
(二〇一八年三月発行)
・市民のための現代文学講座④
開高健『夏の闇』を読む
・佐々木千世子を探して
・森絵都『クラスメイツ』を読む
・こんな映画を観た 2017 DVD版
・ふじもと通信・日録 二〇一七年分
Bricolage通信 №10 『枯木灘』から『奇蹟』へ
(二〇一九年四月発行)
・市民のための現代文学講座⑤
中上健次『枯木灘』『奇蹟』を読む
・市民のための現代文学講座 特別編
井上ひさしの劇世界―『全芝居』を俯瞰するー
・『清教学園高等学校 探究科の記録2008―2016』を読む
・こんな映画を観た 2018 DVD版
・ふじもと通信・日録 二〇一八年分
・ブリコラージュ通信・総目次
Bricolage通信 №11 ボヴァリー夫人は『文章教室』にいる
(二〇二〇年五月発行)
・市民のための現代文学講座⑥
金井美恵子『文章教室』を読む
・こんな映画を観た 2019 DVD編、劇場編
・ふじもと通信・日録 二〇一九年分
・特別編 一年間の介護をふりかえる
・藤本卓さんを偲んで
A 《学びの自分史》友達がいて、仲間がいて、勉強があった
B 学園に新しい風を ゼミナールの風を!
・ブリコラージュ通信一覧
【ちょっと一言】
ブリコラージュ通信は《自分の関心のあることを、時間や枚数の制限なしに、自由に書いていくことのできる場所が欲しい》と思って、始めた個人誌です。高校で国語教師として仕事をしながら、教育、文学、映画などについて気ままに書いていました。二〇〇六年の5号を最終号として一旦終了。ここまでが第一期にあたります。
舞子(一九七五~)、伊丹(一九八〇~)、猪名川(一九九三~)、川西明峰(一九九六~)、川西高校宝塚良元校(二〇〇二~)と三十七年間兵庫県立高校に勤務してきました。
二〇一二年に定年退職後、カルチャーセンターや図書館などで大人向けに文学を語る機会が増えました。そこで主として現代文学を論じる場所として個人誌を十年ぶりに再開することにしました。二〇一五年の「Bricolage通信№6」からが第二期になります。架空の「市民のための現代文学講座」は十回連載予定で、今後のラインナップは金井美恵子『文章教室』、田辺聖子『花衣ぬぐやまつわる』、川上弘美『センセイの鞄』、水村美苗『本格小説』、津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』です。