くだもの縁結び 第1巻 第6号 ~久野脇の聞き書き~
「自分の好きなものを作ってみんなにも喜んでもらいたい」より
語り手 小平 史郎
~おいしいくだものが食べたいけどなかなか…~
庭にある果物はね、ブドウ。デラウェアね。親父が植えて、今、二十年弱経ってるかな。親父も果物とか育てることとか好きだから作ってみようと思ったんじゃないの?デラウェアはそれこそ家で食べるために作ってる。あげたりもしますけどね。もちろん袋もかけるし、種なしになるようにジベレリン処理もしますけど。お茶の時期だから、全部やれなくて普通二回だけど一回しかできなくて、中には種のあるやつもあるけど種は少なくなります。脚立登って結構手間かかるよ。ジベレリンは自分がやり始めた。凝り性っていうか、自分が種のないのを食べたいからやっただけだな。どうせ食べるならおいしいものを食べたいじゃん。シャインマスカットもやりたいとは思う。デラウェアは摘粒しなくていいもんで、簡単って言ったらあれだけど、シャインマスカットはつぶれちゃいますもんね。食べておいしいから作ってみたいなって思うんだけど、なかなか。基本的に自分の好きなものと、できそうなものを選んで作ってます。本当だったらマンゴーとかパパイヤなんか作ってみたい。大好きです。
「開拓地宮原、苦労を経て喜びを探す豊かな生活」より
語り手 赤土 静男 西澤 悟
~お母さんが植えたカンキツの思い出~
静男 俺はナツミカンもハッサクも植えただけど食べんだな。今はそんなにやたらと食べる人はないじゃん?スーパー行きゃあるしさ。無いと食べたくなる、あると食べん、そんなもんだよ。
悟 遊び来た人がもらって食べていい?とかない?
静男 うん。時々な。うちのは割合食べんだよ。よそのやつはなんだかうまいじゃん(笑)。こっちは他人の家のやつだけどナツミカン。ナツミカンはす~っぱいから今食べる人がいない。これだと五十年は経ってないな。
悟 車の通行の邪魔になるから垂れ下がってる枝だか?剪定というよりは、伐採だな。これどっちが何?
静男 どっちかがハッサクでどっちかがナツミカンだな。採って食べてみればわかる。
悟 こっちのほうがちょっと丸っぽいね。
静男 ナツミカンずら。これ意外とウマい。