カカオ栽培でベトナム農村を活性化!

研究背景と目的

 ベトナムのカカオ農業は世襲制です。近年急激な経済成長で農村の若者が都市部に流出し、今後の担い手が不足しています。そこで、若者のカカオ農業への興味を誘発すると共に、カカオ農業に関心のある地域外の若者が新規就農可能な環境を作ることを目指しています。

研究内容:果実収穫技術の可視化

 ベトナムのカカオ栽培技術の伝承は親子間での勘の伝承が一般的であり、農業に興味を持つ若者を担い手とするには技術を可視化してより短期間で習得可能にすることが必要です。

 その第1歩として、まず収穫技術の可視化に取り組んでいます。ベトナムのカカオ農家は果実の成熟を色で判断すると話したため、果皮色と果実内部の品質との関連の調査を中心に、農家が収穫を行う範囲の数値化と適切な収穫タイミングの推定法確立を目指した調査も行っています。また、果実品質に影響するその他のパラメータも探索しています。

研究内容:台木育種のための育苗法開発

 ベトナムでは実生の台木に特定品種のクローンを接ぎ木することが一般的です。台木とする種子を採取する木も定まっておらず、結果として穂木が同一品種であっても木による結実特性や果実品質のバラつきが大きくなっています。

 そこで木ごとのバラつきを減らして品質コントロールしやすい圃場環境づくりと、より優れた特性を持つ台木の利用を目指し、挿し木や取り木といった遺伝的特性を引き継げる育苗法の開発を進めています。

研究内容:未利用部位「カカオパルプ」の品質調査

 現在農家から買い取られたカカオはチョコレート用となる種子のみが利用されており、外殻や果肉は廃棄されるかオマケ的な利用がされるのみとなっています。

 そこでまずは果肉の利用を本命とした栽培および収穫法を検討するため、「カカオパルプ」と呼ばれる果肉部分の品質に影響する要因の調査を行っています。

研究内容:結実量向上および肥大改善に向けた調査

 カカオの花は自然な状態では数%しか結実せず、さらに結実した小さな果実も一定量は肥大せず萎縮してしまいます。カカオの結実量向上と肥大改善は農家の収入に直接影響する課題です。

 そこで、この課題の対応に先立ち、カカオの結実や肥大に影響を与える環境要因および植物ホルモンの働きを調査しています。

研究内容:果実被覆の影響の調査

 ベトナムでは毎年雨季に果実が腐敗する病気が発生し、農家に深刻な被害を与えています。

 そこで現在、ブドウなどに使用する紙袋の被覆が病害発生を抑止するかどうかを調べています。今後、被覆が果実の外観や果実品質に影響を与えるかどうかを調査したいと考えています。

研究内容:今後のテーマ

などを行う予定です。

協同農家

OCA VIETNAM, OCA JAPAN

チャウドゥク農業協同組合