平成 29 年 10 月5日 公布の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規 則の一部を改正する省令」 を受け、医薬品の譲受・譲渡についてはこれに準ずる手順をとる事とする。
【省令改正の内容(ポイント)】
(1)薬局開設者等に課される医薬品の譲受・譲渡時の記録事項として相手方の身元確認の方法、ロット番号、使用期限等を追加する。
(2)同一の薬局開設者等が開設する複数の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引について、業許可を受けた場所ごとに、取引に係る記録(品名、数量、ロット番号、使用期限等)及びその保存を行うことを明確化する。
(3)製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)について、開封した者(薬局等)を明確にするため、その名称、住所等の表示を新たに求める。
(4)薬局、店舗販売業者の店舗、卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていることを追加する。
(5)薬局並びに店舗販売業及び卸売販売業の店舗における医薬品等の販売又は授与を行う体制の基準について、医薬品の貯蔵設備を設ける区域へ立ち入ることができる者を特定することを追加する。
【公布日及び施行日】
公布日:平成29年10月5日
施行日:平成30年1月31日 ただし、(1)及び(2)のうちロット番号及び使用期限に関する部分については、平成30年7月31日。
・ 薬局間における医薬品の譲受譲渡については、当該薬局の従事者が対面により譲渡側の薬局で 行ってください。
・ 他薬局等へ医薬品を販売する場合には以下に掲げる事項を記載した文書(納品書など)を同封 してください。
① 品名
② 製造販売業者(略号でも可)
③ ロット番号(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号)
④ 使用の期限(有効期間)
⑤ 規格・数量
⑥ 販売年月日
⑦ 双方の薬局の名称、所在地、及び電話番号
⑧ ⑦の事項を確認させるために提示した資料の種類とその番号
⑨ 医薬品を渡した者の氏名
③④については一般用医薬品等についても偽造医薬品の流通防止に向けた対策の観点 から併せて記載することが望ましいとされています。
常時取引関係にある場合は、⑦の名称以外の事項と⑧については省略できます。
⑧としては許可証や届出書等の写し、保険指定通知書の写しや厚生局が公表している 保険薬局の一覧の写し、広島県薬剤師会が発行する「広島県薬剤師会保険薬局カード」 などが考えられます。
・ 医薬品を開封して販売する場合は、さらに以下の事項について直接の容器又は直接の被包に記 載されていることが必要とされています。記載事項が満たされる場合には納品書を兼ねること も可能です。
1 .「調剤専用」の文字
2 .当該分割販売を行う者(開設者)の氏名又は名称
3 .分割販売を行う薬局の名称及び所在地
4 .以下の表示
製造販売業者、住所(→製造販売業者の略号でも可)
医薬品名、規格、数量
製造番号・記号 使用期限(有効期間)
「日本薬局方」の文字(→「日局」又は「J・P」でも可)
規定により定められた体外診断用医薬品の基準において、直接の容器・被包に記 載するよう定められた事項
「注意―習慣性あり」の文字(→「習慣性」でも可) 「注意―医師等の処方箋により使用すること」の文字(→「要処方」でも可)
その他厚生労働省令(または法もしくは麻薬及び向精神薬取締法)で定める事項
5 .上記に加え、開封日を特定することが可能な場合には、開封日を表示した上で書面記 載事項に併せて記載することが望ましいとされています。
・ 他薬局等へ医薬品を販売した場合には以下の事項について記載した文書を作成し 3 年間保管し てください。
① 品名
② 製造販売業者(略号でも可)
③ ロット番号(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号)
④ 使用の期限(有効期間)
⑤ 規格・数量
⑥ 販売年月日
⑦ 双方の薬局の名称、所在地、及び電話番号
⑧ ⑦の事項を確認するために提示を受けた資料の種類とその番号
⑨ 医薬品を受け取った者の氏名及びその者が購入者等と雇用関係にあること又は購入者等か ら取引の指示を受けたことを表す資料
⑧としては許可証や届出書等の写し、保険指定通知書の写し、広島県薬剤師会が発行 する「広島県薬剤師会保険薬局カード」などが考えられます。
月に 1 回以上の取引がある場合や長年にわたって年に複数回の取引がある場合は常時 取引関係にあると考えられ、⑦の名称以外の事項と⑧については省略できます。
⑨については、薬局に薬を受け取りに来た人から「薬局発行の社員証」もしくは、「広島県薬剤師会保険薬局カード」と身分証明書の提示を受け薬局の従業者であることま たは取引の指示を受けた者であることを確認し記録してください。名刺はこの資料に はなりません。
・ 納品時に製品が正しいこと、目視できるような損傷を受けていないことなどを確認してください。
・ 常時取引関係※がある卸から購入する場合受け取る伝票(譲渡譲受等の記録に該当する)には 以下の項目が必要となります。 3 年間保存してください。
① 品名
② ロット番号(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号)
③ 使用の期限
④ 数量
⑤ 購入の年月日
⑥ 卸の名称
②、③は体外診断用医薬品を除く医療用医薬品の場合に限り必要となっていますが、 偽造医薬品の流通防止に向けた対策の観点からそれ以外の医薬品(以下「一般用医薬 品等」という。)でも併せて記載することが望ましいとされています。
搬入を行った卸売販売業者の従業員が取引の指示を受けたことを示す資料(例 社員 証等)の記載が必要とされています。※運送業者による搬入の場合は伝票で可
返品の場合も同様の項目が必要となります。
常時取引関係がある卸から購入する場合卸に渡す伝票には今まで通り、受領印の押印 をお願いします。
・ 初回の取引時や常時の取引関係に該当しない場合は薬局の開設許可証の写し等を提示し、また 卸の許可証を確認し所在地、電話番号を確認し、その内容等を伝票(譲渡譲受の記録に該当) に記載する必要があります。
・ 製剤見本についてはこの記録義務の対象にはなりません。
※月に 1 回以上の取引や年に複数回の取引がある場合が「常時の取引関係がある」と考えられます。
・ 今回の改正事項ではありませんが、購入者が添付文書や法定記載事項が記載されている容器若 しくは被包を所持している場合とそうでない場合では、調剤専用医薬品の分譲時に、当該医薬 品に表示、添付されるべき情報が異なります。本ガイドラインの運用は購入者が添付文書や法 定記載事項が記載されている容器若しくは被包を所持していることが前提となります。
・ 発注時には、電話連絡ののち FAX にてグループ外の薬局等への販売で述べる項目の①⑤⑥⑦および金額等について あらかじめ連絡することが望まれます。
・ 薬局間における医薬品の譲受譲渡については、当該薬局の従事者が対面により譲渡側の薬局で 行ってください。
・ 購入に際しては「薬局の社員証」もしくは、「広島県薬剤師会保険薬局カード」と身分証明書 を提示し、薬局の従業者であることまたは取引の指示を受けたことを証明してください。名刺 はこの証明する資料には該当しません。
・ 薬局に持ち帰り保存する書類には次のグループ外の薬局等への販売で述べる項目について記載されている必要があり ます。記載内容について確認をしてください。
・ 書類を記載された日から 3 年間保
① 品名
② ロット番号(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号)
③ 使用の期限
④ 数量
⑤ 移転先及び移転元の場所並びに移転の年月日
を確認、記載事項は書面に残し3年間保存。
① 医薬品の譲受時は、納品された製品が正しいこと、目視できるような損傷を受けていないことなどを 確認すること。
②偽造医薬品の混入や開封済みの医薬品の返品を防ぐための、返品の際は慎重に確認すること。
③ 貯蔵設備に立ち入ることができる者は薬局従業員のみとする。立ち入る際に本人以外の従業員に確認をする。
④ 医薬品の譲渡時は、全ての供給品において、グループ外の薬局等への販売の①~⑥に掲げ る事項等(一般用医薬品等は同②③を除く)を記載した文書(例えば、納品書)を同封すること。
⑤ 製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)には、 医薬品の容器等に、当該分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う店舗の名称及び所在 地を記載すること。
⑥ 患者等に対して販売包装単位で調剤を行う場合には、調剤された薬剤が再度流通することがないよう、外観から調剤済みと分かるような措置を講じること。
⑦ 偽造医薬品や品質に疑念のある医薬品を発見した際には、仕入れの経緯の確認、販売・輸送の中断、隔離、行政機関への報告等を管理薬剤師の指示の元、速やかに行う。
⑧ 偽造医薬品の流通防止に向け、医薬品の取引状況の継続的な確認や自己点検のを定期的に行う。
⑨ 購入者等の適切性の確認や返品された医薬品の取扱いに係る最終的な判断は、管理薬剤師が責任をもって 行う。
<参考資料>
「偽造医薬品などの不適正な医薬品の流通防止の徹底について 」 広島県薬剤師会