質疑応答

――ウィキペディアタウンとは何か。

岡本)

要するにウィキペディアの編集をみんなでしようという催しです。

館種を問わず、図書館などの新しい価値の提案とか、MLA(博物館、図書館、文書館)にもう一度光を当てる取り組みだと思っています。

 

ウィキペディアはもう大学の授業でも使われていますし、国立国会図書館のレファレンス協同データベースの回答の根拠の一つにもウィキペディアは使われているんですね。

しかしながら、どうしてもウィキペディアには問題が一つあるんです。

出典の記載が甘い、ということです。

学術的な観点から言うと、出典が甘いというのはすごく怖いんですね。

そこは逆手に取って、出典が甘いところに図書館や博物館をバリバリ使って、図書館や博物館が持つ資料、まだデジタル化されていない資料を使えばどんどん記述なんて根拠を付けられるんです。

 ウィキペディアの記述をMLAの持っている様々な文化的資料を活用して充実させよう、そういう取り組みがウィキペディアタウンです。

 

ウィキペディアタウンは、まちおこしという意味合いが強いんです。

学生や教員からの相談にウィキペディアからの回答をそのまま出すわけはないとは思いますが、足がかりにはすることはあると思うんです。

その是非はとりあえず置いておいて、まず初めにウィキペディアはみられるんです。

であれば、そのウィキペディアの記述を充実させるほうがそもそも賢いではないか。

そして見る人が見れば、例えば北大がそこに(出典として)露出していればその機関の文化的価値が高まるんです。

 

文化施設が持っている資産をウィキペディア上に転換していこう、付け替えていこうという取り組みがウィキペディアタウンです。

 

――オープンストリートマップと似たような取り組みだなぁと思ったので、親和性は強いですか?

岡本)

 そうですね、結構一緒にやりますよ。

ウィキペディアタウンをやりつつオープンストリートマップもする、といった感じに。

 

――同じ日に開催して、マップやる人、ウィキペディアやる人、と言った形で一緒にやれますか?

 岡本)

知的アウトプットに喜びを感じる人が集まるものですので、一緒にやると面白いですよ。

 

――小樽商大を評価して頂いていましたが、特にどういった点でしょうか。

岡本)

小樽商大で一番大きなインパクトがあったのはアクティブ・ラーニングのところのソフト開発ですね。

開発されたものを見せてもらいましたが、あれきちんと世の中に出していけば、例えば遠隔授業のあり方だとかでガラッと変わりますよ。

それだけのものをあれで研究されているので。

 

そういう小回りのきくところが小さな大学の良さですよね。

図書館のリニューアルとかもそう思います。

既存のありものの建物をいじるだけでも実は結構なものできるんです。

そういう意味では小樽商大は印象的でした。

 

小樽はぜひあのシステム開発は止めないで欲しいですね。

北海道であるからこそ意味があることだと思うんです。MOOCとか僻地に対する遠隔地教育に効果を発揮するので。

 

――街中に市民に相談に来てもらうというお話がありましたが、小樽商大はそれができると感じました。

岡本)

大学はみなさんが思ってるよりもハードルが高いんですね。

私でさえそうですもの。

公共図書館にはスタスタ入っていけますが、大学図書館はそうは行かないですね。

精神的に一歩出て行くことは重要です。

無理に「ご相談に応じます!」と言うより、やっぱりそこ(街中)にいることですね。

ぜひ小樽商大の場合は山の下に降りないと。あの坂はシャレにならないので(笑

 

人口減少の問題があり、総務省が各自治体の公共施設の再点検をしているんです。

既存施設を統合して縮小再生産しているんです。

大学はこれに乗っかてみてはどうでしょうか。

 

例えば大学が土地、建物を市に提供してみる。

部分的には学生会館にし、公共図書館にもする。

学生も市民なので公共図書館を利用する。

これやったら何がいいか、大学はなかなか潰れないんです。

 

それを切ったら公共サービスが終わる、そういった関係を作れたら文科省は一概に潰せないんですね。