日時 2014年4月11日(金) 18:00-20:00
場所 新所沢コミュニティーセンター第2会議室
講師 渡辺とし子(介護支援専門員・本会会員)
定員 20名(入会検討中の方も参加できます)
参加費 無料
配布された資料を元に参加者のメモで再構成した。(細川啓)
1.玄関まわり
① 上がり框からの立ち上がり
② 車いす使用者の出入り
③ 状態の変化に合わせて手すりの変更
【メモ】
足腰が弱ってくると、まず関門になるのが玄関の上がり框。これが億劫で外出を控えると筋力が低下するという悪循環に。ところが人間工学(エルゴノミクス)を無視した手すりなどは役に立たない(無駄な手すりの設置で介護保険の改修費枠を使いきってしまう危険も)。
最近は上がり框のないフラットな玄関のマンションも出てきたが、履物の着脱の際には手摺が必要になることも考慮する必要がある。
健康なときに建てた家は車イスの出入りを想定していないため、思わぬ障害となることがある。邪魔になるからと言って構造上重要な柱などは取り去ることもできない。
さらに加齢の進行や2度目の転倒などで要介護度が上がると、以前の手摺では使いづらくなることがある。
2.階段
①道路(まち)との接点部分の溜まり
②ステップの高さが変わる階段は危険
③室内の階段(直線の恐怖)
【メモ】
「アプローチの階段を降りたらすぐ道路」は、左右確認をしないまま道に出てしまうので危険。
下りの場合、予想した高さに着地しないとバランスを崩す恐れ。
一般住宅の階段は上階まで一直線のものが多い。昇るときは気づかないが、上から見下ろすと身長が高低差に加わるため、とても高く見える。腰が曲がり背の丸まった高齢者の場合、目が重心より前に出るため奈落を覗き込むような格好になる。
手摺は有効だが、片側麻痺の場合、昇降いずれかで手摺を持てなくなる。両側に手摺をつけるのは難しい場合がある。
3.浴室
① 出入口扉の開き方
② 出入口の手すり
③ 浴槽の広さ(洋風バスタブの危険)
④ 浴槽への出入り・浴室の設備
⑤ 脱衣室の設備
【メモ】
戸を開けて、すぐに掴まれる位置にない手摺は役に立たない。場合によっては戸の付け替えも必要に。
(身長の高い)若い人が寛げる浴槽は、背の低い高齢者にとってはそのまま棺桶になる危険。老々介護の場合、水から引き上げるのは難しいので、水栓を抜く(レバー操作などで簡単に水を抜ける浴槽が必要かも)。
ヒートショック(寒暖差)は血圧の乱高下や心臓発作を引き起こす危険がある。
浴室腰掛けは、低ければ立ち上がれなくなり、高ければ顔や髪を洗いにくい。→高めの腰掛けとセットで洗面器台があると便利。
4.トイレ
① 動線と手すり
② トイレの広さ(介助者もスペース)
③ 便座の高さ(立ち上がりと踏ん張り)
【メモ】
改修工事の前にマットのズレを観察するとトイレ内での動線が分かる。
トイレ介護には脇にしゃがみこめるだけのスペースが必要。
便座は低ければ立ち上がれなくなり、高ければ排便時の踏ん張り(いきみ)ができない。
5. 初訪問時に見るところ
① 室内の構造、動線、環境
② 柱や壁の汚れ具合
③ 手すりの代用物の有無(手すりの設置が難しい和室など)
④ 寝室の環境(ベッドの配置など)
【メモ】
ベッドは壁に対して直角に置く(両側から介護をしやすい)。
6. その他、実際に遭遇したこと
① 緊急通報システム設置の独居の方の救出
② 本人が気づく半年前に病気に気づいていたプロの目
③ 介護者や家族の後悔と思い
【メモ】
「在宅しているはずなのに長時間動きがない」状態をセンサーが検出すると緊急通報システムが作動する。しかしケアマネらは鍵を持っている親族が到着するまで外で待つことになり、市外在住などだと時間がかかる。切迫した事態が確認できれば警察・消防に出動してもらい戸を破って進入できるが...
以前はあったヘルパーらが鍵を預かるようなことも、トラブル回避のため行われなくなっている。
高齢者の中には生活への介入を嫌い、特に喫煙などの不健康な生活習慣を改めさせようとしても「それで死ぬなら本望」的なことを口にする人もいる。安易に妥協すると、没後「もう少し手を尽くせたのでは」と家族が後悔することも。
工務店がした工事で困ったことは?
手摺などを「付けられる所に付けようとする」(足を靴に合わせろ!)
男性的視点での工事(手洗い)
(フロアより)L字手摺を逆さに付けられた
手摺は高さや直径を利用者本人にカスタマイズする必要がある
緊急対応
以前と異なり、集合住宅では管理人でも了解なく入れないことがある
ヘルパーなどが鍵を預かるのはトラブルの元(認知症に伴う被害妄想が出てくると大変)
心身共に健康な人は、意識しないままに非常に高度な動作を行なっている!