5月12(火)13(水)の両日、所沢市内のダイエー所沢店7階特設会場で、「見て! さわって! 体験して! 暮らしを支える この一品」というテーマで住まいの福祉環境づくり展を、株式会社ダイエー、パナソニックエイジフリー介護チェーン所沢、矢崎化工株式会社東京支店、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の協力をいただき、所沢市社会福祉協議会と共同で開催しました。
これに合わせて開設したフェイスブックページとツイッターに速報として写真と動画を掲載しましたが、もう少し詳しく概要を紹介します。
ダイエー所沢店入り口に大きくポスターが貼り出されました。
相談カウンター(社会福祉協議会と本会)とパネル展示そして現物展示の三本立てで行いました。
国立障害者リハビリテーションセンター研究所は研究内容や障害者のキャリアパスを紹介するパネルとパンフレットを展示。
車イスや歩行器、介護ベッドなどはパナソニックエイジフリー介護チェーン所沢の出展。手前左から歩行器、歩行補助丈(サイドウォーカー)、室内用四点杖、可動式四点杖。中央に電動ベッド(その隣には「たちあっぷ®」)。左手奥に車イス各種。
背の高い和式浴槽への入浴を補助するスノコと入浴台(本来は浴槽の縁と高さを合わせる)。この日は置いてありませんが、ターンテーブルを載せるとよりスムースに浴槽へ移れます。
玄関や掃き出し窓に設置して段差を緩和する手すり付きステップ台、トイレ用手すり、ロコモマットトレーナーなどは矢崎化工から。
入浴台のターンテーブル。浴槽の縁と高さを合わせ、この上に座ってから身体を半回転させて浴槽へ足を入れます。
工事なしに取り付けられるトイレ用の手すり。便器を挟むことでしっかりと固定されます。手すりが上に持ち上がるのは車イスと同じ。
ロコモ症候群を防ぐロコモマットトレーナーの使い方は、このような中央での足踏み運動(ポスターの中央の写真はこれです)。足元がおぼつかない人のために手すりも用意されています。
夜光テープで暗所でも見つけやすい立ち上がり用手すり「たちあっぷ®」をベッドサイドに。
手前はシルバーカー(自立歩行のできる人が使うもの)で、奥の歩行器(足の不自由な人用)とは別物です。ブレーキの効き方もはっきり違い、軽く握っても歩行器はしっかり停まりました。なお、どちらにもパーキング機能があります。
歩行器も障害の種類や程度に応じて使い分けます。右からキャスターの付いていない四脚固定型、キャスターは付いているが体重をかけると脚が地面について止まるタイプ、手押し車タイプ。
歩行器のように見えるけれど、これは杖(歩行補助丈:サイドウォーカー)。大変に軽く、指一本でも持ち上がりました。
石突きが首振りする「四点杖可動式花柄」。杖にもお洒落が必要です。ほかにもいろいろな柄があるそうです。首を振るので傾斜のあってもしっかりと地面をとらえます。
室内用四点杖のグリップ(握り)には反射材がついていて、夜間外出に使用しても安全です(室内用なのになぜ?と聞いたところ、そのまま持って外出される方がいるそうです)。また屋内で探す際も見つけやすくなっています。
車イス各種。普通型(自走)、電動、介助用に大別されますが、実はさらにいろいろなタイプがあります。しかし身近でない方は車イスと一括り。実際、介助用に座って自走しようとしたものの、ハンドリムがないのでタイヤを手で回そうとしていた方もいらっしゃいました(私の恩師は入院先で普通型に乗ったにも関わらず、ハンドリムの存在に気づかず、当初はやはり手でタイヤを回していました。もちろんブレーキの存在にも気づきませんから、徘徊しないようにロックしてやりました)。
タイヤを小さくし、また前寄りにつけて取り回しを楽にしたタイプ。反面、後ろにひっくり返りやすくなったため6輪構造を採用。室内用を想定しているのでティッピングレバーはありません。その説明を聞いてから、知り合いを捕まえて「この車イス、ほかと大きく違うけど、分かります?」と得意満面で聞いてみましたが、気づいた人はいませんでした。
肘掛け(アームサポート)が持ち上がる車イス。抱えて座らせる場合に役立ちます。着脱レバーも色のメリハリが付いていて分かりやすくなっていました。色といえば、車イスにもカラーバリエーションが必要でしょう。先日の所沢市市民活動見本市の会場で、ライトニングキャスターを付けて、8色の光を点滅させて走る車イスを見かけましたが、こういう遊び心、お洒落心も大切に。
この電動車イスも肘掛け(アームサポート)が持ち上がりました。なお、軽量化を優先した普通型には部品数を減らすため肘掛け固定のものもあります。
車イスは原則折りたたむことができるので、タクシーのトランクにも収まります。
スロープ板(DECPAC®)の上端側は斜めにかけても水平面にフィットするようになっており、さらに滑り止めもついています。
ボランティアグループ「ふれあい」の協力により車イス試乗体験会を開催しました。右に見えるのはそのためのスロープ(水平部分が短かったので13日は2つつなげました)。
スロープ自力登坂の動画(9秒)。スロープ端のわずかな段差でも車イスは引っかかります。また勾配が急な場合は、腕の力が足りないと逆走してしまいます(しかし力を入れすぎると前輪が浮く)。このスロープは1.1mで15cm上がる、つまり勾配が約1/7(歩行者は1/8、車イスは1/12が上限)で、自走は難しいというのが感想。後ろにいる人は逆走防止役で押してはいません。板を渡した急ごしらえのスロープで勾配1/12は難しいので、常に押し役を配置するなどする必要があるでしょう。
しかし普通型車イスではスロープ板の僅かな厚みにも前輪がひっかかり、特に下りで難儀します。勢いをつけて何度も試みたため、乗り上げたときにはスロープ板がずれてしまっていました(手前の上り板と比較してください)。
上記動画の撮影風景。
介助用車イスであればスロープ板の厚みも難なく越えられますが、それでも下りの場合はティッピングレバーを踏んで前輪を浮かせる必要があります。
車イス用のスロープは水平部分を拡張しました。スロープは幅80cm、長さ120cm。水平部分は幅90cm、長さ180cm(重複部分含む)、高さ15cm。
スロープなしの段差を上り降りする動画(52秒)。上るときはティッピングレバーを踏んで前輪(キャスター)をまず載せます。そしてタイヤを段差角に押し付けつつテコの原理で押し上げる。
下りるときは後ろ向きに、やはりタイヤを角に押し付けながら。前輪(キャスター)を落とさないように注意しましょう。
白内障での見え方を特殊ゴーグルで、老人性難聴を耳栓で、前傾姿勢(円背)をエプロンで、膝関節の固まりをサポーターで、というように加齢による肉体変化を擬似的に再現して、若い人に老人の苦労を体験・理解してもらものです。
車イスでスロープなしの段差を登る練習をしました。座っているのは屈強な男性、車イスを押しているのは小柄な女性という不公平な取り合わせですが、こういうシーンは現実にあります。
高齢者疑似体験用の白内障ゴーグルと耳栓、そして参加者用ゼッケン。このほかに円背(えんぱい=猫背)にする、膝を曲げにくくするといった装具が用意されました。
【IMGP0426.jpg】「体験会 参加中」のゼッケンを着用して歩行器を体験しました。
高齢者疑似体験用装具を身につける〈とこすま〉代表理事。
高齢者疑似体験装具(猫背になる+右膝が曲げにくい)を着用した来場者。
「膝を動かしにくくしたり、猫背の体勢をつくったりする装具を付ける高齢者疑似体験やってみました。装具をはずしたときの開放感で高齢者の大変さがわかるような気がします。」(フェイスブックページから)
電動ベッドから車イスへの移行動画(93秒)。左半身麻痺という想定でベッドから車イスへの移動介助の実演をやってみました。モーターの力で上体を起こし車イスの座面と高さを合わせます。可動式の手すり(オレンジ色で目立つ)は身体を支えるのに役立ちました。事故防止のため、ベッドの動きはとてもゆっくりしています。また誤動作を防ぐため、ボタンを押してから動き出すまでも間があり、そうと知らずに操作しようとしたときは「故障? 操作法が違う?」と思って止めてしまったほどです(認知症の人が勝手に触ったときも同様の反応を示すとのこと)。
とこしゃん体操は埼玉県所沢市が「いつでも・どこでも・だれもが」気軽に運動を楽しめることを目標に、平成19年度より普及を進めている体操です。1回約10分ですが、真面目にやると結構ハードです(日頃の不摂生のせいかも)。12,13の両日ともインストラクターがきて指導してくださいました。
とこしゃん体操に参加された皆さん。イスに座ったままでもできるので高齢の方も参加できます。
写真:伊藤博・権田和司・細川啓 文:細川啓