放電ミーリングによる三次元マイクロ構造の創成
背 景
放電加工(EDM)は,図1に示すように,形彫りとワイヤ放電加工に大別されていたが,近年,電極を深さ方向だけに動かすだけでなく,面内方向にも移動させながら加工する,いわゆるミーリング加工する試みがとくにマイクロ放電加工の分野において試みられるようになった.それにより,単純形状の電極を用いた場合であっても複雑な形状を加工できるようになる.現在,ステップ構造などの形状を創成する試みはみられるものの,曲面のような三次元構造についての検討はほとんど見当たらない.
図1 放電加工(EDM)の模式図と分類
目 的
・ 極細電極を用いたマイクロ放電ミーリング
・ 電極消耗の等方性を活用した三次元マイクロ構造の創成
・ 電極消耗補正法の確立
電極消耗の線形補正とレイヤ加工による一定深溝創成とEDMミーリングによる三次元形状創成
電極消耗形態を把握した上で,図2(左)に示した電極消耗の線形補正+レイヤ加工の適用により,一定深溝創成が可能か検討した.さらに,それにより得られた知見を生かし,図2(右)に示したEDMミーリングによる半球凹構造の創成を試みた.
図2 電極消耗線形補正とレイヤ加工による一定深溝創成の概略(左),EDMミーリングによる半球凹形状創成の概略(右)
得られた成果
・ 電極消耗の線形性を確認した.
・ 一層の加工深さが電極直径以下であれば電極先端の半球形状はキープされることを確認した.
・ 線形補正法によるレイヤ加工を適用し,半球形状の創成に成功した(図3).
図3 EDMミーリングにより創成した三次元マイクロ構造(半球凹構造)
現在の状況
・ より細い電極によるより微小な三次元構造の創成を検討中
参考論文
(1) Akihiro Ueda, Takeyuki Yamamoto, Jun Shimizu, Libo Zhou, Teppei Onuki, Hirotaka Ojima: Micro EDM Milling Making Greater Use of Electrode Tip Roundness, Proc. of the 3rd International Conference on Nanomanufacturing (nanoMan2012), (2012.7) pp.396-399.