第7回 アウシュヴィッツ以後の「ユダヤ的なるもの」

Post date: Jul 24, 2018 7:14:22 AM

開催日:2014 年 6 月 21 日(土)

場所:関西大学千里山キャンパス 第一学舎 5号館E601教室(大阪府吹田市山手町 3-3-35)

キャンパスマップ: http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/mapsenri.html

交通アクセス:http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/access.html#senri

【講演者】 品川哲彦(関西大学)

【パネリスト(50音順)】 芦名定道(京都大学)、石崎嘉彦(摂南大学)、島薗進(上智大学)、村岡晋一(中央大学)

【趣旨】 公開講演は品川哲彦氏の「ハンス・ヨナスという問い」である。品川氏は哲学、倫理学の研究者としてヨナスを研究してきた。その研究の焦点は未来の人類に対する現在世代の責任を説くヨナスの倫理理論にあるが、グノーシス思想研究、自然哲学、神学的思索といったヨナスの哲学の諸相を関連づけるために、ヨナスの『アウシュヴィッツ以後の神』に丁寧な注と伝記を付して翻訳している(法政 大学出版)。その解釈によれば、「哲学者であることとユダヤ人であることの緊張」を生きたこの哲学者は、近代の啓蒙とそれを産み出したヨーロッパのユダヤ-キリスト教的伝統との関係、後者のなかでのユダヤ的なものの特性、哲学(ロゴス)と神についての語り(ミュートス)との関係、人間の操作と支配の対象である自然と価値が内在している目的論的自然観との対比などさまざまな問いを 投げかけている。一般化すれば、欧米の哲学・思想の伝統におけるキリスト教とユダヤ教の関係、哲学の普遍性と哲学者の民族性の関係、民族性の中で「ユダヤ民族」は特別かといった問題、さらには 世俗的近代国家と民族的帰属意識の関係にも射程が広がる問いである。

講演に続く討論のパネリストは、村岡晋一氏(近現代ドイツ思想史)、石崎嘉彦氏(レオ・シュト ラウス研究)、芦名定道氏(キリスト教学)、島薗進氏(宗教学)である。哲学者という意識とユダヤ人であるという意識の間の緊張で思考したヨナスという人と思想が秘めている射程の広さと、それを的確にあぶり出した品川氏の問いから豊かな議論が展開されると期待される。 (大会実行委員会 小田淑子)