研究合宿
2023年度春季研究会
日時:2024年3月30日(土)
会場:オンライン(Zoom)及び対面(同志社大学今出川校地)
プログラム:
11:30 個人研究発表 発表者 加藤哲平(九州大学大学院言語文化研究院 助教)
発表タイトル「アブラハム・ヘシェル『真実への熱情』第1部についての一考察」
13:00 講演 講師 小田淑子(元関大教授)
演題 「宗教の思想研究と宗教の現実 ―宗教思想と宗教史―」
14:45 聖書講読 講師 勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学名誉教授)
講読箇所 エレミヤ書8章4−12節
2022年度春季研究会
*日程:2023年3月30日(木)
*会場:同志社大学今出川キャンパス良心館105教室(対面)+Zoom(オンライン)のハイブリッド開催
*スケジュール:
13:00 講演:“Bibliosophy in the Literary Works of S. Y. Agnon”
講師:Prof. Avidov Lipsker (Department of the Literature of the Jewish People, Bar-Ilan University)
14:00 質疑応答
14:30 休憩
14:50 ヘブライ語聖書講読会
講師:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学名誉教授)
講読箇所:サムエル記上24章2節以下
16:30 終了
日時 :2013年9月23–24日
場所 :同志社びわこリトリートセンター
参加者 :12名
23日(月)14:30~ 自己紹介(一人15分~)
発表:黒柳志仁「詩編90章の時間性について」
発表:辻圭秋「ラビ・シャローム・シャバズィー及び現代のピユート研究の潮流」
18:00~ 夕食・入浴
20:30~ 懇親会
24日(火) 7:30~ 朝食
9:00~ L. Zunz講読会 (Etwas über die rabbinische Literatur)
12:00~ 昼食
13:00~ 聖書講読会(雅歌2章)
14:00 北小松駅にて解散
今回の合宿では、例年のように講師の先生をお招きして講演をお願いする代わりに、参加者全員で同じテクストを読み議論するための場としてのL. Zunz講読会や、参加者の自己紹介の時間を長くとって各自のこれまでの研究内容や現在の関心を他の参加者と共有するための時間を設けるなど、より双方向的な機会となるよう努めたつもりである。
宿舎着後、まずその後者の(拡大版)自己紹介から合宿開始となった。計画当初は例年よりも参加予定者が少なく、余った時間をどうしたものかと頭を悩ませていたのだが、いざふたを開けてみると例年に劣らず多くの、また様々な分野の研究者の皆様に集まっていただき、改めて参加者一同に感謝申し上げたい。時間制限なしで開始された自己紹介であるが、各自の紹介に加えてその後の質疑応答も大いに盛り上がり、その結果ご発表いただいたお二方に十分な時間を確保できなかったのは担当者として大いに反省すべきところである。しかしそれでも、初対面の方々だけでなく定期的に顔を合わせている方々も、お互いの研究履歴や現在の関心を共有し合うことで新たな発見やそれぞれの研究への刺激が得られた時間になったと思う。
例年と異なる点がもう一つ、今年はサッカー・卓球などのレクリエーションが予定されておらず、その点でも進行に余裕を持たせたつもりであったが、自己紹介・研究発表に関する議論が白熱したため、夕食のバーベキューは追い立てられるように終了し、終わらなかった分の自己紹介がその後の懇親会にも食い込むほどであった。
こうして怒涛の一日目が終わり、二日目が始まった。朝食後に行われたLeopold Zunz, Etwas über die rabbinische Literatur, 1818の講読会は準備段階から難航が予想されていたが、向井直己氏の詳しい解説などのおかげもあり、一応の区切りがつくところまで読み進められたように思う。今から200年近く前に「ユダヤ学の祖」と目される人物によって著された論考は、現代の我々にとっては修正可能な箇所も散見されるが、全体としてとても示唆に富むものであった。いまだ日本語どころか英語にもほとんど翻訳されていないZunzの著作は、「ユダヤ学」の看板を掲げる我々にとっては看過できないものだと再確認した次第である。
続いて、昼食をはさんで聖書講読会が行われた。岩波書店版聖書翻訳シリーズの雅歌を担当された勝村弘也先生に講師となっていただき、今一度ヘブライ語原文から各国語翻訳を比較しつつ雅歌(2章)を読むという贅沢な時間であった。個人的には、冒頭の一連の植物の名前をどう訳すかについて、様々な解釈がある中で単語の意味のみならず聖書全体の文脈も考慮して訳語を選択するという発想が印象的であった。この聖書講読会の時間を十分に確保できなかったのも、担当者として痛恨の極みであった。
以上、担当者から見た合宿の総括である。合宿と銘打つからには、参加者一人一人が各自の知見を持ちより、それを共有し、一人では太刀打ちできないようなテクストに全員で取り組むといったことができるような機会になればと思い計画を進めてきた。個人的には、得るものの多い充実した合宿であったと思っているが、独りよがりの感想との誹りは免れないであろう。ご参加いただいた皆様からのご感想をお待ちしたい。次回以降の合宿がどのような形になるかは現時点では未定であるが、一人でも多くの参加者が、充実したよい合宿だったと思えるような機会になることを願っている。 (2013年合宿担当:大澤耕史)
日時 :2012年9月18〜19日
場所 :同志社リトリートセンター
参加者:大岩根安里、大澤香、小野文生、勝村弘也、神田愛子、木谷佳楠、北村徹、グェンティホン
ハウ、辻圭秋、手島勲矢、野本真也、平岡光太郎、堀川敏寛、前原倫子(五十音順、敬称略)
18日(火) 講演: 野本真也 (司会:勝村弘也)
「聖書(学)に関する談論」
発表: 辻圭秋 (司会:伊藤玄吾)
「民衆に語る『ユダヤ教入門』─ユダヤ文学史におけるメアム・ロエズ」
発表: 大澤香 (司会:北村徹)
「物語による「癒し」と「統合」−トビト記における〈御使い〉」
サッカー・卓球・夕食・入浴など
報告: 神田愛子 (司会:手島勲矢)
「レオ・ベック・カレッジ留学経過報告~英国ユダヤ学会と聖書フォーラム参加を中心に~」
懇親会(イスラエル視察旅行の写真)
19日(水) 発表: 大岩根安里 (司会:小野文生)
「1940年代前半におけるハダッサの内部分裂とアメリカ・シオニズムとしての役割―ビルトモア綱領を中心に」
発表: 木谷佳楠 (司会:平岡光太郎)
「ハリウッドのユダヤ人−アメリカン・ドリームを作った移民たち−」
発表: 平岡光太郎 (司会:神田愛子)
「現代ユダヤ思想におけるマイモニデス受容」
講義: 勝村弘也
「ヘブライ語聖書講座(サムエル記上25章)」
今年の合宿では、同志社大学神学部名誉教授の野本真也先生の講演と、5人による個人研究発表とが、同志社リトリートセンターにおいて行われた。
合宿の冒頭になされた野本先生による講演は、先生の自叙伝から始まり、旧約聖書学の方法論と昨今の研究が紹介された。自叙伝では、先生の名前が「神は真なり」と説教壇に掲げられた文言に由来することや、戦後間もない時分に手作りのラジオを夢中で作り、電波を受信する楽しさを覚えた最中、牧師先生から「それで神様の言葉が聞こえますか」と訊ねられた際の衝撃などが語られた。現在、先生がITを駆使して研究に従事されている背景を垣間見ることができるものであった。旧約聖書解釈では、聖書テクストが楽譜であり脚本であると表現され、そこで展開されているコミュニケーションや状況を、テクストの「Con-text」と「Co-text」の理解を通して分析する大切さを語られたのが印象的だった。先生が既にまとめられた旧約聖書学の方法論に関する論文はPDF化されてアップロードされているので是非ご参照されたい。具体的な研究の紹介では、聖書テクストにおける術語使用法の分析を聞くことができた。その中から創世記18章におけるアブラハムのもてなしを一例として挙げてみたい。「天幕の入り口」という語が頻出する理由は、その後の「神の顕現」を示唆する合図のためであり、「足を洗う」振る舞いは、愛の交わりへと入る象徴で、ヨハネ福音書における神の国へと入る象徴行為につながり、また「急ぐ、走る、一切れのパン」といった語は旅人をもてなすホスピタリティの象徴であることが語られた。最後に、旧約聖書学に留まらぬ、文献を研究対象として取り扱う人文科学者全般に対して、資料に対する「ランダムアクセス的方法論」が紹介された。これは文献資料をランダムに引用することを通した知の証明を指し、自分のコンテクストに引きつける形での先行研究理解である。現在のアカデミズムにおける先行研究の資料数は膨大であり、一個人で全てを網羅することは非常に難しい。その中でIT資料を上手に使って効率よく資料を集めると同時に、自分独自の読みと解釈を主眼に研究を進めることの大切さを語られた。この人文科学の方法論に関するメッセージは、他の聴講者にも刺激を与えたものであり、その話は講演後の夕食時まで及ぶほど示唆的であった。
個人発表では、大澤香さんによる旧約外典トビト記研究、イギリスのレオ・ベック・カレッジから一時帰国された神田愛子さんによる英国ユダヤ学会報告、イスラエルのヘブライ大学から一時帰国された辻圭秋さんによるユダヤ文学史メアム・ロエズに関する研究、イスラエルのハイファ大学から戻られた大岩根安里さんによるハダッサとアメリカ・シオニズムに関する研究、木谷佳楠さんによるハリウッド映画史の変遷における聖書の影響についての研究、平岡光太郎さんによる現代ユダヤ思想におけるマイモニデス受容に関する研究などの報告が行われた。様々な場所で学んでいる学会員の存在を知らされると同時に、彼らの研究成果と進捗状況を伺うことができた。
恒例の勝村弘也先生によるヘブライ語聖書講読会では、サムエル記上25章における「ダビデとアビガエル」を輪読した。サウルとダビデの話の最中に登場するこの物語では、相手に対して丁寧に挨拶をしたダビデと、それに対して無骨な態度で応じなかったナバルという人物が描かれ、両者の狭間で男を選び直した才女アビガエルの機転が語られている。購読会を通して、本物語では、対照的なる男の人物像が浮き彫りにされ、その比較を通して話の筋が興味深く進展していったことを知らされた。また噂通り、サムエル記テクスト特有の難解さを体感することができた。
本合宿は、自身とは異なる分野を専門とする方々の研究に対する情熱や研究手法に感化される機会でもある。来年度も多くの学会員の参加を心待ちにする次第である。 (堀川敏寛)
日時:2011年9月9日(金)-10日(土)
場所:同志社びわこリトリートセンター
9日
講演
講演者:合田正人(明治大学)
講演題:「レヴィナス倫理学の諸問題」
研究発表①
発表者:長坂真澄(京都大学大学院)
発表題:「二重印象--上層と下層の混交--デリダと起源の問い」
研究発表②
発表者:手島勲矢(関西大学)
発表題:「ユダヤ哲学とヘブライ語文法:名詞論の観点から考える」
10日
研究発表③
発表者:グエンティ・ホンハウ(京都大学大学院)
発表題:「精神と言葉の結び目としての「接触」 -マルティン・ブーバーのヘブライ的存在の地平から-」
海外研修報告
報告者:後藤正英(佐賀大学)
報告タイトル:「デッサウのユダヤ人」
ヘブライ語聖書講座
講読箇所:サムエル記上9章
講師:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学)
研究発表④
発表者:堀川敏寛(京都大学)
発表題:「モーセ五書(物語と諸規定)における音声構造変化の理由 -M・ブーバーのヘブライ語聖書翻訳理論より- 」
海外研修報告
報告者:小野文生(京都大学)
報告内容:東欧からドイツへ、そしてイスラエルへいたるブーバーの人生と思想を、ドイツ語のフィルムで紹介
日時:2010年9月9日(木)-10日(金)
場所:関西大学セミナーハウス「飛鳥文化研究所」
9日
講演
講演者:牧野久実(鎌倉女子大学)
講演題:「イスラエルの考古学について−聖書時代を中心に−」
研究発表
発表者:グエンティ・ホンハウ(京都大学大学院)
発表題:「『接触』−ブーバーのヘブライ的教育関係論−」
イディッシュ語講座
講師:赤尾光春(大阪大学)
10日
ヘブライ語聖書講読
講読箇所:士師記7章「ギデオン物語」
講師:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学)
海外研修報告
小野文生(京都大学)
日時:2009年8月14日(金)-15日(土)
場所:同志社びわこリトリートセンター
プログラム
14日
研究発表①
発表者:後藤正英(佐賀大学)
発表題:「ユダヤ思想とプロテスタンティズムにとってのカント」
講演
講師:石崎嘉彦(摂南大学)
講演題:「政治哲学と理性−啓示問題」
研究発表②
発表者:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学)
発表題:「敬虔主義とJ.S.バッハ」
15日
イディッシュ語講座
講師:赤尾光春(大阪大学)
研究発表③
発表者:平岡光太郎(同志社大学大学院)
発表題:「ユダヤ神権政治の問題に関する一試論 −ゲルション・ヴァイレルとそのスピノザ解釈を中心として」
ヘブライ語聖書講読
講読箇所:出エジプト記21章12節−25節
講師:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学)
研究発表④
発表者:加藤哲平(同志社大学大学院)
発表題:「ヒエロニュムスのヘブライカ・ウェリタス −イザヤ書28章20節について−」
日程:2008年8月28日(木)-29日(金)
場所:同志社びわこリトリートセンター
プログラム
28日
研究発表①
発表:大澤耕史(京都大学大学院)
発表題:「ユダヤ教における二人の魔術師 −Jannes and Jambres−」
イディッシュ語講座(初歩)
講師:上田和夫(福岡大学)
研究発表②
発表者:赤尾光春(大阪大学)
発表題:「帰還か移民か?-イスラエルの「ロシア系」住民と帰還法」
海外研修報告
報告者:平岡光太郎(同志社大学大学院)
報告内容:アブラヴァネル生誕500年を記念してイスラエルで開催され た学会への参加報告と、
アブラヴァネルの足跡を訪れたイタ リア旅行の報告
29日
ヘブライ語聖書講読
講読箇所:出エジプト記15章1節−21節
講師:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学)
研究発表③
発表者:小田雄一(京都大学大学院)
発表題:「料理のなかにかくされたもの −ユダヤ教の食事規定に関する宗教社会学的研究」
イディッシュ語講座(概論)
講師:上田和夫
研究発表④
発表者:森山徹(同志社大学大学院)
発表題:「「アウシュヴィッツ以後」におけるユダヤ教とキリスト教の 関係再考−契約的多元主義を中心に−」
2007年8月29,30日
主催:関西ユダヤ研究会(ユダヤ思想・歴史学会)
場所:同志社びわこリトリートセンター
日程:8月29日(水)~30日(木)
研究発表①
「エゼキエルの象徴行為について −シャーマニック・イニシエーションを視座として− 」
北村 徹
研究発表②
「ブーバーのシオニズム」
堀川 敏寛
研究発表③
「16世紀フランス人文主義とユダヤ研究(1)」
伊藤 玄吾
研究発表④
「ユダヤ文学におけるシュレミールの伝統:I. B. シンガーをめぐって」
松本 浩希
イスラエル研修報告(一神教学際研究センター主催)
森山 徹、髙尾賢一郎
エレミヤ書18章講読
講師:勝村弘也
研究発表⑤
「ヘブライ書における「約束」と聖書解釈」
石橋 誠一
研究発表⑥
「イツハク・アヴラヴァネルの現代性 —ユダヤ人に政治は可能か?—」
平岡 光太郎
研究発表⑦
「M・メンデルスゾーンとクリスチャン・ドーム:ユダヤ人の市民権をめぐって」
後藤 正英