臨時セミナー開催のお知らせ

以下のようなセミナーを臨時で開催いたします。

日時:2014年8月28日(木) 18時30分~19時45分 (発表60分、質疑応答15分)

場所:学術総合センター6階のどこかの教室を予定

ご関心のある方はどなたでも参加できます。

※事前申し込みは無くても参加いただけますが、配付資料準備などの都合のため、

参加予定の方は、できるだけ 8/28(木)の正午までに、

中川(hnakagawa"at"ics.hit-u.ac.jp)まで、参加希望の旨を

ご一報いただけるとありがたいです。

講演者:佐々木 洋氏(一橋大学大学院国際企業戦略研究科 博士課程)

タイトル:Essays on Risk Premiums in Higher-Order Moments of Financial Asset Returns

概要:

ファイナンス分野の研究において、資産の価格付けの問題は中心的かつ本質的な問題である。

特に、資産価格収益率(リターン)のボラティリティ(標準偏差)などの2次モーメントの不確実性が資産価格形成に影響を与えている可能性を示唆する結果が、いくつかの実証研究を通じて得られたきたことを受けて、ボラティリティの確率変動モデルを導入して、ボラティリティの変動リスクと資産の価格付けの関連という視点で価格付け理論を再考する研究も目立ってきている。

本発表では、資産価格リターンのボラティリティ(あるいはその平方である分散)や歪度の不確実性に対する「リスク・プレミアム」をキーワードとして、いくつかの先行研究のモデルと残されていた課題をふまえて、次の3つの観点について触れたい。

1つ目は「一般均衡モデルに基づく歪度リスク・プレミアムの定式化と、同リスク・プレミアムの株式超過リターンに対する予測可能性」に関してである。

実証的には観測されていたが既存モデルでは説明ができなかった「歪度と将来の資産価格リターンとの間の相関関係」について、Bansal and Yaron[2004]のLong Run Risksモデルをベースとした一般均衡モデルの一つであるDrechsler and Yaron(2011)モデルに、さらに若干の修正を加えたモデルを提案してアプローチし、特に歪度リスク・プレミアムが有する、株式に関する超過リターンについての寄与を論じる。

2つ目は「部分均衡(需給均衡) モデルに基づく分散リスク・プレミアムの定式化と関連する話題」に関してである。

オプション取引の需要量に起因する可能性を示唆した Gârleanu et al.(2009) を出発点として、オプション市場のマーケットメーカーとエンドユーザー双方に関するポートフォリオ最適化問題を通じて決定される、需給均衡時における分散リスク・プレミアムの性質を論じる。

3つ目は「ボラティリティリスク・プレミアム推定値に対するモデル推定リスクの影響」に関してである。

オプション取引のデルタヘッジの損益(Delta-Hedged Gain and Loss、DHGL)の期待値を、ボラティリティリスク・プレミアムの水準と結びつける具体的な数式を導出した Bakshi and Kapadia(2003)のモデルに対して、価格付け時に用いるパラメータが真のものではないという一種のパラメータ誤推定のリスク(Parameter Estimation Risk)が、どの程度、ボラティリティリスク・プレミアムに織り込まれるのかを理論および実証の両面から分析・考察する。