HUB-FSプログラム所属の一教員のお薦めテキスト

※2022年2月21日更新!

このページは、一橋大学大学院経営管理研究科 MBAプログラム 金融戦略・経営財務プログラム修士課程(HUB-FS)に入学予定を念頭に、

入学準備として事前に目にしておいてほしいというテキストを、教員の中川があくまでも個人的主観で挙げています。

いちおう数学が専門の教員ですので、挙げているテキストは計量指向が強いものに偏っていますが、ご参考まで。

【0】最低限これだけは読んできてほしいもの

  • 結城 浩(2013) 『数学文章作法 基礎編』, ちくま学芸文庫

    • レポートや修士論文を作成するにあたり「正確で読みやすい文章を書く」ために必要な基本事項が簡潔にまとめられています。主に、数学に関連する題材で説明がされていますので、例文の内容は理解できないかもしれません。しかし、ICS-FSでの授業レポートや修士論文では、少なからず記号や数式を含んだ文章を書く機会が多いと思うので、記号や数式を文章としてどのように扱うかについて基本知識がない人には非常に役に立つと思います。また、数式の有無とは関係なく、普通に「正確で読みやすい文章を書く」ために知っておくべき知識の解説と例示が大半を占めています。私自身、これまで多くの社会人学生のレポートや論文を読んできた経験からすると、「正確で読みやすい文章を書く」ということは、日頃仕事で多くの文書を作成していて文章を書くことに長けているはずの社会人であっても必ずしもできていません。ですので、「正確で読みやすい文章を書く」という大学院生活で必要となる文章作法についての最低限の知識を身につけるべく、入学するまでには必ず読んでおいてほしいと思っています。また、続編にあたる『推敲編』もできるだけ早い段階で読んでおいてほしいです。(推薦者:中川秀敏)

※下の「【4】 レポートや論文の文章力・プレゼン力の向上のために読んでおいてほしい本」も参考に。

【1】本当に初歩から勉強したい人向け


【2】 授業に向けてしっかり準備したい人向け

  • 高柳 慎一・井口 亮・水木 栄(2014)『金融データ解析の基礎 (シリーズ Useful R 8)』, 共立出版

    • R での分析や何らかのプログラミングに関しては多少の経験はあるけれど、金融データの扱いの経験が無い or 浅いと自覚している人向け。Excelでもできることは多いけれど、Rではこんな風にできるということを知っておくと、データ分析のときに大いに役立つと思われるます。(推薦者:中川秀敏)

  • 内田 浩史(2016)『金融』,有斐閣

    • 基礎科目「ファイナンス理論の基礎」「ファイナンス理論」やいくつかの専門科目の授業に通ずる内容がカバーされていると思います。数式や図解の説明が少なからずあり、それらを咀嚼することはそんなに易しくはないでしょう。(推薦者:中川秀敏)

  • 藤岡 敦『手を動かしてまなぶ○○』シリーズ, 裳華房

    • 2022年2月時点で、「微分積分」「線形代数」「集合と位相」「続・線形代数」「ε-δ論法」が出版されている。最初の3冊はFSプログラムの数学的内容と重複する部分も多いと思われる。(推薦者:中川秀敏)

【3】 余裕があってより高度な内容に挑戦したい人向け

  • 岩沢宏和(2012)『リスクを知るための確率・統計入門』, 東京図書

    • ICS-FSコースで学習する確率や統計に関する計算過程をきちんと理解したい人向けの本です。【3】のカテゴリに入れていますが、計量系の研究をしたい人にとっては【2】のカテゴリに位置づけられるテキストだと思います。演習問題が100問と豊富ですし、その解答の説明も類書に比べて詳しい方だと思います(その分ページ数は多くなってはいますが)。高校や大学教養課程で一度は確率・統計の基礎を学んだことがあれば、見たことがあるなと思える問題を解くことで十分な復習になると思います。(推薦者:中川秀敏)

  • 清水克俊(2016)『金融経済学』, 東京大学出版社

    • ICS-FSコースで学習するファイナンス分野の理論的な内容のほとんどはカバーされていると言って過言ではないと思います。博士課程に進学をしたい人にとっては、このテキストをある程度自力で読みこなせることが必要条件になると考えます。(推薦者:中川秀敏)

    • ※このテキストの第3章を2017年度M1春夏学期ゼミで講究しましたが、きちんと読み解くには、それなりの数学力とファイナンス全般の知識が必要だと思います。

  • 末石直也(2015)『計量経済学-ミクロデータ分析へのいざない』, 日本評論社

    • 実際のデータを用いた回帰分析の経験もあって「回帰分析」なんて理解してますよ、と自負している人に、きちんと最近の「回帰分析」の理論も学習する必要性を示唆する良書だと思います。ただ上の2冊と違って、演習問題はないので、もう少し別の本で基礎固めをしてから読むのがよいかもしれないです。(推薦者:中川秀敏)

  • 加藤公一(2018)『機械学習のエッセンス -実装しながら学ぶPython,数学,アルゴリズム-』, SBクリエイティブ

    • 私の数学科時代の同級生(Twitter ID: @hamukazu)の著書。Python を用いたロジスティック回帰、SVM(サポート・ベクター・マシン)の方法、および理論的背景については、この本で詳しく自習できるはず。とはいえ、本の大半は線形代数・微積分・統計などの「数学」であるので注意… (推薦者:中川秀敏)

【4】 レポートや論文の文章力・プレゼン力の向上のために読んでおいてほしい本

  • 三森 ゆりか(2013) 『大学生・社会人のための言語技術トレーニング 』, 大修館書店

    • 言語技術の重要性を認識するためにも一読をすすめたいです。課題にも取り組まずに一読しただけでは、具体的なスキルが向上することはないと思います。ただし、言語を使う場面(レポートや論文を書く、口頭で説明・発表をする、など)では気をつけるべきことが多数あり、これまで自分はそういった言語技術ということについて無頓着であった、ということだけは意識づけられるでしょう。その意識こそが重要に思います。もちろん、こんなことは身につけていましたよ、という人がいればそれは非常にすばらしいと思います。(推薦者:中川秀敏)

  • 三森 ゆりか(2005) 『子どものための論理トレーニング・プリント 』, PHP研究所

    • こちらは、小学生の国語教材で馬鹿にするな、と思われるかもしれないですが、読んでみると自分の言語技術について反省するところが多々見つかるのではないかと思います…(推薦者:中川秀敏)

  • 木下 是雄(1981) 『理科系の作文技術 』, 中公新書

    • 理科系ではなくても論文やレポートを書くにあたっては必読書とも言える。なお、最近マンガ版が出た。大意をつかむのであれば、こちらでも良いと思いますよ…(推薦者:中川秀敏)