投稿日: Feb 26, 2010 12:32:24 PM
京都大学経済研究所主催 経済金融シンポジウム10.3.19のご案内
『グローバル金融システムと金融市場の将来』
―国家金融戦略の重要性と日本の金融のあり方―
http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/fe-tokyo/
後 援:金融庁、日本経済新聞社、明治大学ビジネススクール、野村グループ
2008年9月の金融危機後のグローバルな金融システムのあり方への対応は、国家の利害を踏まえながらの政治経済的な調整過程にある。2009年4月に、G20ロンドンサミットで設立された金融安定理事会(FSB)は、グローバルな政治的利害調整機関としてだけでなく、グローバルな金融規制の大枠を決定していく機関となりつつある。そこで確認された枠組みとタイムスケジュールの中で、欧米各国は、米国を中心とした欧米金融機関・規制機関が作為的・無作為的に大きく関与した金融危機に対して、新しいグローバル金融秩序・規制を求めようとしている。
G20やFSBによるグローバル規制の基本的な考え方は、シテミックリスクの波及を防ぎ、国際金融市場の安定性を将来的に確保することであり、そのために「システム上重要な(Systemically Important)」な金融市場・金融機関・金融商品に対して、システムの改革や規制を課すことを提案している。また金融機関の経営者・規制当局者も含めた「インセンティブの暴走」を排除する規制も進行中である。銀行経営に関しては、
経営の細部にわたった新しいバーゼル規制を課そうとしていて、09年12月にはその原案が示されている。その内容は、日本金融機関の経営にとっては破壊的である、と言える。一方、危機の原因となった商品を開発し、それを支援したシステムを保有していた米国では、伝統的な商業銀行を中心とした金融システムに回帰すべきであるというボルカー・ルールが議論されている。
日本を見れば、このグローバルな金融システムに関わる政治的変革に無関心であるようにも見える。これまでもバーゼル規制など、欧米の決めるルールをほぼ受け入れてきたように、今回の大きな変革の動きにも、国家的利害の視点から十分な政治的な対応をしてきたとは思われない。今回の国際政治的な金融ルールの変革は、日本の金融システム・金融業の将来に足かせとなるだけでなく、成長が見えない経済にも大きな衝撃を与えようとしている。日本政府は、国家的利害の立場から、この問題に対して独自の国際政治的戦略・対応が必要であろう。
このような認識のもとに、京都大学経済研究所関係のメンバーを中心に研究会を設定して、日本の経済・金融・戦略の問題を議論してきた。今回シンポジウムでは、日本の国際的なこの問題への関与のあり方を、政治経済学的な視点からのグローバル金融システムのあり方についての問題、情報とインセンティブと市場設計の本質的な問題、将来の金融のあり方を見据えた金融規制の問題、金融商品と金融技術・金融工学の問題などの視点から議論し、将来展望と提言をしたいと考えている。
なお、特別講演者として、90年代末に日本の金融危機の時に金融担当相で銀行再生等の対応に当たった柳澤伯夫氏をご招待している。
主 催:京都大学経済研究所
後 援:金融庁、日本経済新聞社、明治大学ビジネススクール、野村グループ
日 時:平成22年3月19日(金)13時00分~17時00分 (受付開始12時30
分)
場 所:一橋記念講堂 〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター2F
東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄三田線、都営地下鉄新宿線・神保町駅下車 A8出口から徒歩3分、東京メトロ東西線・竹橋駅下車 1B出口から徒歩4分
対 象:金融機関関係者、ビジネスマン、規制当局者、研究者、学生等
参 加:無料、申し込み先 fe-sympo@kier.kyoto-u.ac.jp
案内は http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/fe-tokyo/ にも掲載
プログラム
13:00-13:15 ごあいさつ
西村和雄(京都大学経済研究所長)
13:15-14:00 基調講演「今後のグローバル金融経済システムと国家金融戦略のあり方
-新しいバーゼル規制対応としての国家流動性保証戦略の必要性」
刈屋武昭(明治大学グローバル・ビジネス研究科長、京都大学経済研究所客員教授)
―5分休憩―
14:00-14:20 講演「金融技術と金融業規制の経済学的評価」
原 千秋 (京都大学経済研究所教授)
14:20-14:40 講演「Too big to failと金融機関の社会に対する責任の議論」
小立 敬 (野村資本市場研究所副主任研究員)
14:40-15:00 講演「金融技術の役割と日本の金融産業に対するインプリケーション」
加藤康之(野村証券SEO、京都大学経済研究所客員教授)
―5分休憩―
15:00-16:10 パネルディスカッション
『日本の経済と金融産業にとって必要な将来金融戦略は何か』
パネリスト:上記講演者
16:15-17:00 特別講演「金融行政を経験して思うこと」
柳澤伯夫(元金融担当大臣、柳沢金融経済研究所代表)