24.『経済について』




 人の世のおおよそ3分の1は、「秩序」である。

そして3分の1は、「不明瞭」である。

残り3分の1は、「幻想」である。


 生物は、今日の糧で明日の糧を得ようとする。

今日のエネルギーで明日のエネルギーを得ようとするものである。

それは、人も同じである。

そして、過剰に得たエネルギーを保存する。

それは富となる。

富を持てば、今日のエネルギーを使はなくても、

明日のエネルギーを得られる。

出来るだけ今日のエネルギーを使わない。

より多くのエネルギーを保存する。

しかし、今持つエネルギーを節約し

より多くのエネルギーを得て、富を作るためには、

現状を変え、新たに「不明瞭」を明確にして、

そこに価値(需要)を作り出さなければならない。

それは出来るだけ、価値が高く、独占されたものがよい。

そして次に、その供給にとっての効率UPが必要である。

して新たな「秩序」が作られる

そのためには、技術が必要となる。

こに作戦企てられる

そして騙し、「幻想」が作り出される


 狩人が獲物を騙して追い込むように。

農耕民が植物の成長環境を錯覚させるように。

経済は、物々交換である。

等価のものを交換していては、富を得られない。

等価のものを、より価値あるものと見せかけて交換すれば、

利益(富)を生み出す。

そこに騙しがある。

そこで使われのが「幻想」である。



 ものごとの効率を上げるには、二つの方法がある。

一つは、「協力」である。

もう一つは、「分業」である。

一人の力では出来ないことでも、協力すれば出来る。

そして、一人で色々するより、それぞれが同じことをすれば、

時間の短縮となる。

こうして生まれたのが、資本主義である。

ある者が資本を出して、「協力」と「分業」を計画し実行する。

資材、設備手段、エネルギー(労働力)を揃える。

そして商品を生み出す。

その「協力」と「分業」によって効率が上がり、

価値100のものを50で作り出す。

生み出された富50が、資本に還元される。

産業が成立するためには、商品の製造、流通、

そして宣伝と販売である。

製品やサービスは、当然、需要があって供給が始まる。

その需要に乗る、または需要を引き起こす、

また、宣伝や販売の過剰により、供給の満足を訴える。

そこに、資本主義は騙しの手段を用いるのである。

それは価値100のものを150にも200にも見せる。

需要者に「幻想」を見せるのである。


  得である   便利節約   簡単容易

  かっこいい 可愛い    おしゃれ

  最先端  手に入りにくい

  定  流行である、など


「幻想」は、経済を生み出し、経済を活性化する。

「資本主義」は、「幻想主義」と言える。


 経済は、激しい競争、闘争を生み出す。

人々は組織化して、戦いに挑む。

組織化は「資本家」と「労働者」という階級を作る。

「資本家」は資本という大きな「今日の糧」を用いて、

大きな「明日の糧」を得る者である。

「労働者」は労力という小さな「今日の糧」を用いて、

小さな「明日の糧」を得る者である。

やがて「資本家」は「労働者」の命も、利益のために消耗しようとする。

これが、社会に闘争を生むのである。

また「資本家」は、生まれた階級を永続化しようとする。

そして、これが差別となるのである。

これもまた闘争を生む。

「資本主義」の過剰は、際限なくエスカレートしていく。




 社会主義という考え方もある。

「社会主義」とは理想は、全員が小さな「資本家」になることである。

皆が、それなりの投資をして、また労働をして、それなりの糧を得る仕組みである。

「資本主義」は、自然に段階的に形成されていくが、

「社会主義」は、制御が必要なシステムである。

それはイデオロギーが必要となり、

人々を統制するリーダーが必要となり、

厳しい管理体制が必要となる。

ゆえに、国民一人一人が資本家となる

すなわち国家が資本家になるのである。

ここでは、資本家間の競争が生まれないため、

あえて需要者に「幻想」を見せる必要がない。

社会主義の体制下では、各商品を生み出す供給者同士にも競争がない。

供給者に利益が均等に分割されるからである。

供給者=需要者である。

需要が増えても、供給の仕事が増えるだけで、利益は増えない。

ゆえに供給者は、需要の増加を望まない。

経済を維持するため、「秩序」は重視されるが、

積極的に改善されることもないため、

やはり膠着して、経済が衰退していくのである。

「幻想」がないため、経済が活性化しないのである。

 そして、管理する側とされる側の階級が発生する。

管理する側は、特権階級となる。

そして特権階級と、それ以外の階級の立場は永続化される。

特権階級は豊かで、他は貧しい。

しかしそこに、すぐに闘争は起りにくい。

なぜなら、そこに闘争を起こせる自由はないからである。

特権階級以外は、不満を募らせ、無力化していく。

経済は活性化しない。

そして階級下の者は、やがて困窮逼迫して、

国家を破壊するような、激しい闘争を起こす。


 「資本主義」はムリ、「社会主義」はムダを多く引き起こすが、

経済が回ることは、社会の発展につながるので、

前者のほうが、人々にとって望ましい形となる。

世界の流れも、その方向を向いている。

「幻想」は経済を回す。

人々や社会が、真の「幸福」を目指すなら、

「幻想」に振り回されないようにするべきである。



(2021.10.27