19.『人道』について

秩序は効率UPを目指す。

ゆえに秩序主義は効率優先と思われ、

非人道的と思われがちである。

秩序主義は人道に逆らうものではないことを

以下に論じよう。

人は、他の生物と同じように、

「今日のエネルギーを使って明日のエネルギーを得る」

存在である。

生を繋ために生きている存在である。

効率が良ければ、少しのエネルギーで

多くのエネルギーを得ることが出来る。

そして効率UPは、人の暮らしを多様化し、

生活を豊かにする。

生きるために生きるから、

生を楽しむために生きるようになる。

幸福を目指して生きれるようになる。

そして人は個人よりも集団の方が、

効率を上げることが出来る。

協同と分担である。

そのためには、人と人の関わりに調整が必要である。

調整の仕組みが作られ、ルールが作られる。

そして秩序が求められるのである。

秩序の構築について、ふたたび述べよう。

何かを為し遂げようとするためには、

それをより効率好く行うための仕組みが必要である。

そのために場所(設備)と時間(人・エネルギー)と

物(材料・道具)の管理が必要となる。

その管理をする者と、される者に分かれる。

管理者は、仕組みを維持するためにルールを作る。

複数の人が係わる以上、

ルールは明確で、解釈が容易であることが望ましい。

そしてそれらは人に周知される。

そこに不具合や不都合が発生した場合は、

改善されるのが原則である。

しかしその改善が難しい。

①不具合や不都合に気づかれない。

②不具合や不都合の真の原因がわからない、

または、曲解されている。

③改善の経済的な負担が大きい。

④改善の技術的(能力的)が乏しい。

そのため改善の意味や効果がない、または薄い。

⑤変更の周知や理解が十分でないため、混乱する、

変更に慣れていないため、戸惑いが発生する。

⑥改善により、別の不具合や不都合が発生する。

⑦一部の者にのみ利がもたされる改善となる、など。

それらが起こるのは、

①改善への技術的(能力的)な対応力がない。

②改善への経済的な対応力がない。

③周知や教育の仕組みがない。

④不具合や不都合の本質が十分に伝わらない、

または不具合や不都合が隠蔽または誤魔化されて、

それらの管理者へのフィードバックが十分になされない。

⑤改善へのルール化がなされていないため、恣意(管理者都合)的となる。

思い込み、感情や感覚によって改善が選ばれる、

改善が理不尽に行われる、または行われない、など。

それを防ごうとして、本来は、

上に挙げたような原因を把握して

現状の仕組みが見直されるべきである。

しかし、多くは組織の権威が守られ、

次のような処置がなされる。

①不具合、不都合があっても改善しない。

②管理者の強制力で事を行う。

③実施が場当たり的で、管理される者任せとなる。

④管理される者の意見を無視する。

⑤非合理に判断される、など。

こうして元来は、人の幸福を目指して効率UPを目指したもの、

人道に従って仕組みを作った秩序が、

管理者(組織)の能力や都合で、歪められる、

または不具合、不都合が放置される、

そして非人道的な仕組みとなってしまうのである。

これらを防ぐためには、

①秩序に完全はないことを承知する(バランス思考)、

②合理性に基づいて、仕組みが構築される(論理思考)、

③周知、教育を十分に行う(シンプル思考)、

④フィードバックが行われ、それに基づいて改善が行われる(システム思考)、

これら『秩序思考』によって、検討されるべきである。

秩序は「手段」であり「目的」ではない。

その集団内の「最大多数の最大幸福」を目指すものである。

しかしそれは少数の不幸を許すものではない。

「最大多数の最小不幸」を目指すものである。

そしてその集団のみの幸福を目指すために、

他に障害を与えるものであってはならない。

それは周りに害を与えれば、やがて自己に戻ってくるからである。

秩序は進歩的、建設的でなければならない。

(2020.4.5)