14.『社会について』

 社会は、多くの歯車が絡み合うように、

複雑な因果の流れで動いている。

人々が幸せを目指すなら、

社会はより効率良く、秩序的でなければならない。

回りで何が起こっているかわからないから、

先に何が起こるかわからないから、

人々は不幸に見舞われる。

だから社会は整理整頓され、

順序良くものごとが進み、

それが維持されるようにして、

回りや先の見晴らしを良くしなければならない。

ゆえに社会は、秩序を重要とする。

社会の存在は秩序そのものであり、

そうでなければ成り立たない。


 しかし複雑な社会の構造は、

不合理、非効率、理不尽なことも、

秩序に絡んで多く存在する。

それらは時として、

基盤となる秩序の仕組みを歪めてしまう。

 それらが発生する原因としては、

以下のようなものが挙げられる。


(1)自然によるもの

環境変動、災害(天災)

(2)社会によるもの

制度(法律、組織、主義)

民族、宗教、慣習(風習、儀礼、伝統、タブー)、

経済(経費、投資)

秩序(未秩序、過秩序)

科学(疑似科学)

(3)人によるもの

①認識によるもの

常識、教養

錯誤(錯覚、間違い)、忘却、思い込み、偶然

②欲求によるもの

権威(権力)、恐れ、快楽(喜び)、不快

③感情によるもの

圧力(暴力、強迫)、心情

④意識(知性)によるもの

思考、信条、こだわり



 秩序の仕組みは、以下のように作られるのが理想である。

①ルールが作られる。

②そのルールが実施可能な環境が整えられる。

③ルールが教育される。

④ルールの実施が監視され、環境が維持される。

⑤ルールや環境の不具合がフィードバックされる。

⑥ルールや環境が改善され、③に戻る。


 しかし実際はこのように正確に作られることは少ない。

そして上に挙げた不合理、非効率、理不尽になる原因、

能力的、時間的、経済的原因などにより、

多くは、その仕組みに抜け落ちや無駄、矛盾が発生する。

たとえば、一つの秩序の仕組みが完成したとして、

しかしその欠点に気づき、または改善を思いつたとしても、

それに、かなりの時間や経費がかかるとしたら、

簡単には仕組みを変えられない。

特に、その組織が大きすぎる、組織構成が複雑であると、

変化が甚だしい、組織の意向や方針、計画と違和感がある、

外の仕組みと矛盾するなどの理由で、

組織は効率UPを望みながら、非効率を保持してしまう。

ゆえに人々は、劣る効率の仕組みに従わなければならない。


 そして人の問題もある。

秩序の仕組みに完全はない。

ゆえに人はバランス感覚で、それを補充する。

秩序の仕組みにバランスは必要だが、

あまりに人がその感覚で融通をきかせると、

不具合や問題を不明確にしてしまうのである。

そして人は非難を恐れる。

間違えたくない、そしてその責任を避けたがる。

また自分たちが守ってきた仕組みにプライドを持っている。

新たな仕組みを覚えるのが面倒くさい。

そのために仕組みの変化を恐れる。

仕組みの改善を避けたがる。

ゆえに、人は融通を効かせ、

今の仕組みの不具合や非効率を隠す。

すでに方針や意向は変わっているのに、

慣習で、以前のルールが残っている場合もある。

慣習のルールが整理されていないため、

ルールが混乱している場合も多い。


 改善者は不具合や非効率を、安易に人のせいにするのを避け、

仕組みに問題があると、まず考えなければならない。

または環境が仕組みと合っていないのである。

秩序の維持には、その監督が非常に重要である。

そしてそれに従う人も、不具合を隠さず、

面倒がらずに、それを報告しなければならない。

組織が謙虚に自己の秩序の不具合を顧みれば、

すぐに出来る改善も多いはずである。

秩序主義は、バランスをとりながら、

無意味なこだわりや思い込みを捨て、

効率を目指すことを推奨する。

それが、その組織を発展させる。

(2019.4.11)