01.『秩序について』

人が目的をもって事をなそうとしたとき、効率よく物事が運んだほうがよい。

そのためには、置かれた状況や仕組みにおいて、ムダやムリ、ムラがないほうがよい。

ムダとは、それに関わる物事が多すぎるために発生するものであり、

ムリとは、それに関わる物事が少なすぎるために主に発生する。

そしてムラとは、それらの物事が多かったり少なかったりバラつくことによって

発生するものである。

これらムダ、ムリ、ムラを出来るだけ少なくして、効率を上げた状況や仕組みが、

『秩序』である。

すなわち『秩序』は、その場によって決められたルールや法則に従って、

整然と事を運べる状態にあることである。

『秩序』は維持されることが重要であるが、また効率を追い求める必要上、

たえず改良も求められる。

『秩序』の構築について、詳しく述べよう。

『秩序』の構築には四つの思考方法が用いられる。

「論理思考」「システム思考」「バランス思考」「シンプル思考」である。

「論理思考」とは、確率や統計などによって得られた法則、

因果関係に従って思考する方法

「システム思考」とは、全体または時間軸から現象をみて、大きな道筋を思考する方法

「バランス思考」とは、いくつかの可能性を考慮して、偏りを抑えて思考する方法

「シンプル思考」とは、現象の本質を見抜き、雑多を整理、単純化して思考する方法

これらの思考を用いて、『秩序』を構築する。

これらを総称して「秩序思考」と呼ぼう。

本の整理を例に上げると、多くの本があり、それを適当に積み上げると、

本が探しにくい、取り出しにくい、そして本の保存にもよくない。

まさに無秩序の状態である。

本棚を備えれば、ある程度片付くが、探しにくいのは同じである。

本を分類して入れれば、効率的となる。

本をどのように分類して入れるかには、ルールが必要となる。

そしていくつかの方法が用いられて、秩序が整備される。

内容別やあいうえお順のように分類も順序良くする(論理思考)

将来増える本を考慮して、本棚に隙間を作っておく(システム思考)

細かく分類しすぎて、収納に時間がかからないようにする(バランス思考)

分類のルールが一目でわかるように、棚に表題を付ける(シンプル思考)、などである。

他の者がその本棚を利用する場合には、そのルールの指導(リード)が必要となる。

次にその秩序を維持(ガード)する必要がある。

増えた本を分類、収納する。

読まない本を棚から外す。

積まれた本や別の棚に入れられた本を戻す。

ルールを守れない者に再指導する。

棚や本、表題などをメンテナンスする、などである。

そして、その秩序に不都合が見つかった場合は改良しなければならない。

その秩序を取り巻く環境が変化したために、その秩序に不具合が生じる場合も同じである。

改良は、その秩序の効率をさらに上げるということでもあるが、

しかし改良すればすべてが良くなるとは限らない。

新たな不具合点が発生することもありうる。

効率には三つの要素がある。

一つは有効性(質)であり、一つはコスト(エネルギー)、もう一つは速度(時間)である。

望む目的に近いほど有効性が高く、かかるコストが少なくて、達成が早ければ効率的である。

一つの要素の効率を上げたために、他の要素の効率が悪くなる場合がある。

それぞれの要素のムラ、ムリ、ムダが増える場合もある。

だから改良には、ある程度の考慮が必要である。

そして改良後すぐは慣れていないために、実際は効率が上がることなのに、

不都合が発生する場合もある。

秩序の改良にも、「秩序思考」は用いられる。

以上をまとめると、秩序を持ったシステムには、二つの役割を持つものが必要と

いうことになる。

秩序を作り出しまたは改善し、そのルールや仕組みを知らせて導くリーダー、

その秩序を守りメンテナンスするガードナーである。

そして重要なのは、この二つの役割を持つものが、現状を正確に把握していると

いうことである。

そのためには、そのシステムには「監視」や「フィードバック」が欠かせない。

現状とそのシステムの仕組みやルールと齟齬がある場合、

その秩序になされた構築や維持、改良が、思ったより効率が上がらない。

または効率が落ちている。

そのためには、リーダーとガードナーの間はもちろん、現状を構成する要員との間にも

十分なコミニケーションが必要となる。

(2014.4)