21.『問題解決について』
世の中は多くの因果の絡み合いから出来ている。
自然現象の因果(物理的化学的法則による)、
社会現象の因果(集団の規準や慣習、経済活動による)、
対人関係の因果(立場、好き嫌い、協同、競争による)
そして自己が起こす因果(個人の心理や思考、態度による)である。
それぞれの因果は非常に強力なものから、
すぐに消えてしまうような些細なものまである。
それらはぶつかり合い、さらに力を増したり、
逆に力を弱めたりする。
それらが複雑に絡み合っている。
その因果の絡み合いから、
色々な状況を生み出すことになるが、
人間に不都合をもたらす状況が「問題」となる。
以下、その「問題」の対応について考察してみる。
①何が問題なのか、何が状況や行為の障害や不具合になっているかを把握する。
②その問題を生み出している因果関係を色々な観点から抽出する。
③データや実験、知識や経験を利用して、その問題を生み出している大きな因果関係に絞る。
④突きとめられた因果関係が起こらないようにする、
または障害や不具合が起こりにくくなるように変化させる。
⑤結果が良好に変化したことを確認する。結果が良くなければ、求められたその問題の
因果が違っていた、または対策が十分でなかった可能性があるので、①に戻る。
科学とは何か?
ものごとの状態や状況において、
ある論理が成り立つと考えられた場合、
それを仮説として設定する。
そしてその仮説が成り立つ条件を調べ、
その条件下でのデータを採る。
人為的に条件を成り立たせ、
データが集められる場合は、
その再現(実験)を行う。
この仮説の信憑性を上げるため、
成り立つ条件を厳密にし、
データの集積をする。
反証があれば、そのデータの集積もする。
こうして、その仮説の真否を追い求める。
これが科学である。
ゆえに科学的態度には、
仮説であること、あくまでも想定であることを認識していること、
その仮説に都合のよい条件やデータを客観的に扱う(恣意的に選ばない)こと、
データ量を増やすこと、
データの意味するところを正確に厳密に読み取ること、
反証があれば、それも客観的に検証すること、
仮説をより一般的に、原理原則的にすること。
以上が必要である。
科学的態度にて、問題解決に挑む。
結果によって、いつもその仮説が正しいか、
歪みや偏りがないか省みる。
そして信憑性が高いと認められた仮説に従って
対策が実施される。
それは論理的、システム的、バランス的、シンプル的であることが望ましい。
しかしその対策においても、いつもその有効性が省みられる。
問題の解決において、
その問題が人や組織において生み出された場合、
彼らによって、その原因が隠蔽される。
または誤魔化され、その結果も曖昧にされる。
これでは因果の仮説も立てにくく、
その対策もとりにくい。
データの抹消や改竄に対して、
道理は、状況や状態に不自然を感じさせる。
綻びを所々に見せる。
隠蔽や誤魔化しの可能性はあるとして、
それらを科学的態度によって見逃さず、
その全体像を明らかにして、
問題解決に挑むのである。
《2020.8.22》