平成22年度

【ミッション・目標】

当研究部では、受精からヒトとして成長する過程で生じる疾患の成立機序の解明とその予防、診断・治療法の開発をめざした研究を行っている。卵、精子、幹細胞を主な研究対象としており、さらに、生殖腺、胎盤、心臓、神経系、骨、軟骨、脂肪組織を研究対象に加え、幹細胞の機能を調節する分子機構の解明と臨床応用をめざした一連の研究を展開している。これらの基盤的研究をさらに臨床研究に進展させることにより、生殖医療ならびに再生医療に貢献することが当研究部の使命であると考える。

1. 「いのちの萌芽(受精)」のエビデンスに基づいた考え方の提示

受精の膜融合過程は、精子の卵細胞膜への接着、融合、多精拒否からなる一連の現象である。本研究ではその分子メカニズムの解明に挑戦するため、膜融合過程に関わる因子群を明らかにし、その挙動を可視化することにより、受精における膜融合が、時間的・空間的にどのように形成されるのかを解析してきた。この研究から、不妊治療への道が開かれるとともに、受精以外の膜融合にも新しい概念を提案することができると考えている。

2. ヒト胚性幹細胞の樹立

国立成育医療研究センターでは、ヒトES細胞に関する医学研究が、生命倫理及び医の倫理に基づき、また「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」(平成19年5月23日全部改正文部科学省告示第87号)に基づき、適正に行なわれるよう、ヒトES細胞研究倫理審査委員会(以下「倫理審査委員会」)を設置し、ヒトES細胞樹立研究、使用研究及び細胞の分配に関してそれぞれ規定を定めている。現在、計画している研究が国の指針に基づいた適正なものであるか倫理審査委員会で慎重に審査を行っている。今後は国の指針を遵守し我々の研究がヒト生命の萌芽の滅失の上に成り立っていることを常に認識し厳粛にヒトES細胞研究を行っていく。

3. 再生医療・細胞治療

ヒト組織幹細胞を生体外で培養し、増殖させることに成功しており,幹細胞の分離・同定を行っている。細胞の生体外における培養技術とそれによる細胞数の確保とそれに続く分離技術は、再現性の高い生物実験系に基づいた細胞の基盤解明によってのみ可能となるものである。

4. 成育バイオリソースの構築

国立成育医療研究センターでは、病院内の整形外科、産婦人科、眼科、形成外科と研究所の連携により、骨髄、臍帯血、胎盤、子宮内膜を細胞供給源として研究を遂行している。臨床研究を前提としたad hoc委員会を設立し、臨床試験研究への具体的なロードマップの作製、医療に提供できる新たなヒト細胞の分離・培養法の開発、ヒト血清ならびにヒト液性因子のみからなる培養法の開発を行っている。

【前年の評価委員会の指摘に対する改善点】

個々のテーマにつきまして、詳細に評価していただき誠にありがとうございました。頂きました貴重なご意見、ご指摘をもとに、更なる成育医療への貢献を常に念頭に置きながら、研究部一丸となってより一層の努力をして建設的に研究を進め、社会へ貢献していきたいと存じます。頂いたご意見を真摯に受けとめ、より一層の努力をしながら国立成育医療研究センターからヒトES細胞に関する重要な情報を世界へ発信して行きたいと思います。ご指摘頂いたヒトES細胞に関しての共同研究に関しましては、ハーバード大学幹細胞研究所との共同研究を今後も積極的に進め、世界最先端の知見をもれなくくみ取り、国立成育医療研究センターでのヒトES細胞樹立に役立てていきたいと考えております。再生医療ではヒトES細胞が先導することは間違いありません。私たちは、安全で安心できるヒトES細胞を提供するために今後も基礎研究を進めてまいりたいと考えております。ヒトES細胞を用いた治療では、小児難治性疾患を当初より念頭に置いています。特に、先天性代謝異常症に関しては、マウスによる基礎研究の成果は非常に有用性を示す結果を得ています。有効な治療法がない患児やその家族のためにも、研究成果が還元できるように頑張っていきたいと考えております

【研究プロジェクト】

1. 受精の膜融合を制御する分子メカニズムの解明と不妊治療への応用

受精は2つの生殖細胞、すなわち精子と卵子が“細胞融合”することよって新しいゲノムの組み合わせを持った次世代が誕生する最初の過程である。そのため、受精メカニズムの破綻は単なる細胞の機能不全を超えて、生物種の存続にかかわる問題になってしまう。一方、受精の基礎研究には長い歴史があるにもかかわらず、連続した複雑な過程を経ることからいまだに全容解明には至っていない。特に、精子と卵子の接着から膜融合に至る過程については、今まで考えられていた概念が完全に否定されてしまったため、卵子の細胞膜に存在すると仮定される精子レセプターも不明のままである。受精のメカニズムを解明することは、ひとの「いのち」について考えるきっかけとなる。また、受精は、2つの細胞間で起こるシンプルな細胞融合であるため、他の細胞融合(筋線維の形成、骨形成、感染症など)の分子メカニズムを解明するためのモデル系にもなりうる。

[研究体制]

部長 梅澤明弘

室長 宮戸健二

共同研究員 河野菜摘子、原田裕一郎、吉田恵一、竹澤侑希、大浪尚子、小野千紘、金井誠也、宮林里菜子

[共同研究体制]

大阪大学 微生物病研究所(膜融合の分子メカニズムに関する研究)

千葉大学 医学部(受精における生殖細胞の形態学的研究)

2. 卵の老化と胚発生メカニズムの解明→生殖の営みへの理解

生物には寿命がある。哺乳動物は、その寿命内でも次世代へつなぐ生殖期間は限られている。現在わが国は、出生率(合計特殊出生率)が1.3を下回り、「超少子化国家」と位置づけられている。一方で、不妊症治療特に生殖補助医療(ART)享受による出生児数は総出生児数の1.5%を超え着実に増加している。一方女性の就業意欲と労働力率は上昇し、この社会・経済の変化は晩婚化などのライフスタイルの変化を来している昨今、加齢による生殖機能の不可逆的低下に早急に対応する必要が出てきた。その原因の一端に加齢による卵子の質の低下と強く関連していることが示唆されている。女性は限られた生殖期間があり、つまり“生殖寿命”は卵細胞が加齢することでもある。これらの事象を分子レベルで解明することは、これまで対象が卵子という微量のサンプルのため基礎研究システムを構築することが大きな問題であったが、我々は実験動物マウスを用いES細胞と連関させて解析する新規的なアプローチをこの分野に持ち込み有用な知見を得てきている。近年、米国NIHでは、卵子の質と出生児の健康に関する大規模臨床研究と基礎研究プロジェクトが進行している。本領域は、国際的にも重要課題とされている。

[研究体制]

部長 梅澤明弘

室長 阿久津英憲

共同研究員 三浦巧、山田満稔、近澤奈々、町田正和、佐藤星子、奥村典子、伊藤愛主

[共同研究体制]

慶應義塾大学 医学部産婦人科学教室(卵子の老化に関わる因子の同定)

3. ES細胞に関わる技術の確立と機能解析

ヒトES細胞は、体を構成するすべての細胞へと分化できる多能性を保持し、増殖し続けることができる極めてユニークな細胞であり、細胞移植の有用なソースとして再生医療への応用が期待されている。しかしながら、ヒトES細胞の樹立及び培養維持には異種由来の物質を含むため、安全な次世代医療としてのヒトES細胞には異種由来物質を排除した完全ヒト型培養システムの構築が不可欠である。霊長類ES細胞を使用し、基礎研究を進めハーバード大学の協力のもと着実に進めている。ヒトES細胞樹立研究では、「胚の滅失」が不可欠な行為であるため、常に生命の萌芽について深く認識し慎重に研究を遂行していく。

胚以外の細胞よりヒトES細胞と類似の性質をもつ人工多分化能性(iPS)細胞が樹立されることが報告され、世界的にも生命科学領域のブレイクスルーとして大きな注目を集めている。ヒト多能性幹細胞の再生医療や創薬への応用を目指し、ヒトiPS細胞の基盤研究を推進する。

[研究体制]

部長 梅澤明弘

室長 阿久津英憲

室長 宮戸健二

共同研究員 三浦巧、牧野初音、豊田雅士、井上真由、高久静香、西野光一郎、深渡瀬嘉洋、近澤英美、山田満稔、町田正和、坂口啓成、細田明広、太田百恵、菅原亨、奥村典子、吉田洋子、齊藤佳代子、木村利恵、永田千尋、清水裕子

[共同研究体制]

Harvard University, Harvard Stem Cell Institute(ES細胞の樹立に関わる技術)

4. ヒト幹細胞を用いた再生医療の前臨床研究

現在、ヒト幹細胞を用いた心不全に対する細胞治療が臨床で始動している。我々の研究室では、心筋再生の研究として、骨髄細胞に比べ心筋に高率に分化するヒト幹細胞を有し、共培養系を用いることで、生理的に機能する心筋をin vitroで誘導させる技術を有する。本研究は、細胞治療に用いる細胞源となる組織の選択、細胞の調整という臨床に即した課題と、心筋分化のメカニズムに迫るものであり、基礎・臨床を包括するまさにトランスレーショナルリサーチといえる。今後も大きな資源が投入されるであろう再生医療分野において、我が国の知的財産を確立する上でも重要な役割を果たす可能性を有する。

[研究体制]

部長 梅澤明弘

共同研究員 崔昌浩、牧野初音、豊田雅士、井原規公、岡部圭介、高久静香、上大介、石井隆雅、遠藤太賀彦、加瀬ゆか、梶山弥生

[共同研究体制]

国立循環器病センター(心筋分化に関わる液性因子の同定)

東京女子医科大学 産婦人科学教室(臍帯血・胎盤由来細胞を用いた骨格筋分化)

慶應義塾大学 医学部 呼吸循環器内科学教室(ヒト幹細胞の心筋組織への分化と細胞移植法)

京都大学 再生医科学研究所(胚性幹細胞と体性幹細胞の融合研究)

東京大学大学院 工学研究科(生分解性ポリマーの提供)

5. 成育疾患(特に先天性代謝異常症)に対する幹細胞治療

国立成育医療研究センターでは、ライソゾーム病を含む先天性代謝異常症およびその他の成育疾患の治療のために全国各地より患者を受け入れている。ムコ多糖症(mucopolysaccharidosis: MPS)は、ムコ多糖を分解するライソゾーム酵素の先天的欠損により、全身にグリコサミノグリカンが蓄積し、ガルゴイ様顔貌、骨変形、肝脾腫、呼吸障害、心臓弁膜症、角膜混濁、難聴、精神運動発達遅滞などの多彩な症状を呈する遺伝性疾患である。欠損している酵素によりI型からVII型の病型に分類される。症状は進行性で、早いもので10歳頃までに死亡する予後不良な疾患である。治療法として骨髄移植、酵素補充療法があるが、骨髄移植では重篤な副作用(GVHDや生着不全に伴う重症感染症)が問題となる。酵素補充療法は効果が一過性であるため頻回投与せざるを得ず、莫大な費用がかかり、定期的な通院を一生涯続ける必要がある上、角膜や脳や軟骨などのように血流を介する方法では到達できない場所がある。そのため、安全で有効な新規治療法の開発が急務である。我々の研究室ではVII型の酵素であるβグルクロニダーゼが欠損しているマウス(MPS-VII型マウス)を有しており、幹細胞移植を用いた治療法の開発研究を行っている。また特に、今年度より獣皮様母班、先天性角膜混濁、筋ジストロフィーを対象とした臨床研究体制構築に向けた取り組みを行っている。

[研究体制]

部長 梅澤明弘

共同研究員 田中藤樹、牧野初音、木村利恵、熊谷文恵、梶山弥生、佐島頼子、高橋順子、熊谷文恵、中村京子

[共同研究体制]

中外製薬(株)(先天代謝異常に対する幹細胞治療法に対する前臨床研究)

6. 成育バイオリソース-ヒト臍帯血・子宮内膜・月経血・胎盤・軟骨・骨髄・眼球由来幹細胞-の単離技術の開発、多分化能の同定

ヒト由来組織(成育バイオリソース:月経血、臍帯血、末梢血、胎盤、子宮内膜、指、眼球、軟骨等)のヒト間葉系細胞についての維持管理・品質管理・保存に関する技術革新を行う。我々の樹立した細胞株を日本国内の公的細胞バンク(独立行政法人 医薬基盤研究所・独立行政法人 理化学研究所)に登録し、他の研究施設より要請があった場合に高い安全性を有し、標準化された培養システムによって増殖する間葉系細胞を提供できる体制を構築する。また、バンク化された細胞自身が多分化能を保持しており、細胞の遺伝子発現データベース・分化形質・ゲノム情報を伴った提供システム構築ならびに技術革新は、再生医療、がん、循環器疾病への基盤資源となり、科学立国を目指す社会への貢献度は極めて高い。

[研究体制]

部長 梅澤明弘

室長 阿久津英憲

共同研究員 岡部圭介、那須道世、牧野初音、世古裕子、藤野明浩、井原規公、豊田雅士、三浦巧、加瀬ゆか、山田満稔、町田正和、永渕七菜子、太田百恵、草川森士、遠藤太賀彦、伊藤愛主

[共同研究体制]

国立成育医療研究センター 研究所移植・外科研究部(臍帯血に関する研究)

国立成育医療研究センター 周産期診療部(臍帯血・胎盤・子宮内膜に関する研究)

国立成育医療研究センター 整形外科 (多指症に由来する細胞の樹立に関する研究)

国立がん研究センター研究所 (幹細胞の寿命延長に関する研究)

東京医科大学病理学教室 (細胞培養法における液性因子の有効性に関する研究)

独立行政法人産業技術総合研究所 (cGMPに準拠した細胞培養法に関する研究)

慶應義塾大学 医学部 形成外科学教室(ヒト幹細胞と皮膚毛髪にかかる前臨床研究)

国立精神・神経医療研究センター(骨格筋に関する情報提供)

7. 安全で高品質な細胞提供技術の開発

再生医療、細胞移植に関し、現在「ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する指針(平成18年9月)」に関する議論が厚生労働省科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究のあり方に関する専門委員会およびヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキンググループで進められている。細胞移植が具体的な治療法として確立されつつあるが、実験的な治療が日常的な治療法の選択肢となるためには、治療に用いる細胞に関して再現性を保証するための基準がぜひとも必要である。現在、ヒト細胞の明確なバリデーション方法は、国内外で模索されており、一定のコンセンサスは得られていない。細胞自体を生体内マイクロデバイスとして利用する新たな治療戦略を現実するために必要なステップとして、1)細胞の分離培養技術の確立、2)細胞のカタログ化、3)細胞品質管理の標準化がある。世界に向けて有用なヒト幹細胞を発信してゆくことは重要である。国立成育医療研究センター研究所の施設に有する機関内細胞プロセッシング・センターにおいて、日本国内の研究施設より要請があった場合に高い安全性を有し、標準化された培養システムによって増殖する間葉系細胞を提供する。間葉系細胞を用いた細胞治療に関する倫理性および安全性のdue processを提示することになり、この提示された過程に従い、提供医療施設を増やしていくことになる。現在の間葉系細胞培養に使用されている条件は、ウシ血清、ウシ胎児血清、ならびに動物細胞、大腸菌等で作製されたヒト増殖因子が利用されており、外来種由来感染源の混入は否定できない。このため治療法としての安全性、有効性の基準の確立は急務である。

[研究体制]

部長 梅澤明弘

室長 阿久津英憲

共同研究員 加瀬ゆか、三浦巧、山田満稔、町田正和、永渕七菜子、菅原亨、草川森士

[共同研究体制]

国立成育医療研究センター 研究所免疫・アレルギー研究部(DNAマイクロアレイ解析とバイオインフォマティクス研究)

国立成育医療研究センター 研究所小児血液・腫瘍研究部(幹細胞に対するモノクローナル抗体樹立・解析)

【研究の概要】

1. 受精・細胞融合に関わるエキソソームの発見から機能解明、更に不妊治療への応用

昨年度はCD9欠損マウスの受精異常を更に解析した結果、膜融合に関わる新しいメカニズムが存在することが明らかにした。従来の研究から、CD9欠損卵ではほとんど受精が起こらず、多数の精子が透明帯と卵細胞膜のすき間に溜まった状態になることが観察され、透明帯を人為的に除去したCD9欠損卵に精子を加えると、精子は卵細胞膜には結合するが、融合はきわめて稀にしか起こらないことを明らかにしてきた。CD9は卵細胞膜の表面で精子側の因子との相互作用に何らかの役割を担っており、膜融合過程のいずれかのステップに必須であると考えられる。そこで更なる解析を行った結果、CD9を含む膜構造体(エクソソーム、exosomeと命名)が卵から放出され、この膜構造体が精子の融合活性を制御することを明らかにした(PNAS, 2008)。

本年度はCD9の機能解析を更に進めた結果、CD9のC末端に膜融合に必須な領域(ドメイン)があることを明らかにした。このドメインはヒトからカエルのCD9で広く保存された領域で、受精の膜融合機構を更に解明するための重要な手がかりとなることが考えられた。そこで、CD9のC末端に結合する細胞質因子の同定を行い、特定の細胞内のタンパク質が結合できこと、CD9末端の機能をGFPとの融合により阻害すると、CD9の膜融合因子としての機能が消失することが明らかとなった。以上の結果については、現在、論文投稿に向けて準備中である。

2. 卵の老化と胚発生メカニズムの解明と生殖医療への応用

初期胚の網羅的遺伝子発現解析より初期胚発生に特異的に係わる新規遺伝子群と個体の加齢にともなって卵子で大きく変動する遺伝子群を同定してきた。今年度は、それら重要な遺伝子群のin silicoからin vitro及びin vivo解析に発展させ、機能解析を行ってきた結果、特定の初期胚特異的遺伝子がその後の胚発生にも重要な機能をもつことなど新たな重要な知見を獲得してきた。更に研究を展開することで謎が多い初期胚発生に関わる分子メカニズム解明に新たな光を当てることができ、原因不明の機能性不妊の一端を明らかにする可能性がある

加齢と卵子の質低下との関連は指摘されてきたが、本質的なメカニズムは不明であった。我々は、これまでの加齢卵子の網羅的遺伝子発現解析データや加齢実験動物マウスを用いた加齢卵子由来ES細胞解析システムを構築し、加齢卵子の機能低下について分子レベルでの解析を行える系として有用である成果を得てきた。

3. ES細胞の樹立に関わる技術の確立と機能解析

ヒトES細胞樹立が円滑に遂行されるため、胚提供機関の追加申請等に関して関係諸機関と連携をとりつつ遂行している。このヒトES細胞樹立研究が最大限有効に行われるように基礎研究を進めている他に、ヒトES細胞に関する培養技術や知見を海外の先端の研究所といち早く共有できるようにハーバード大学幹細胞研究所と共同研究を含めた人的交流を積極的に行っている。今年度は、ヒトES細胞の樹立に成功し、11月5日に文部科学大臣にヒトES細胞樹立報告を行った。

また、これまで行ってきたマウスES細胞樹立及び無血清化培地システム開発をもとに、ヒトiPS細胞等を用いて、異種由来物を完全に排除した完全ヒト型培養維持システム構築に関する研究を行っている。ES細胞の検定システムとして遺伝子発現、タンパク質及び移植による多能性解析全ての運用系を構築してきた。今年度は、既に確立したヒトフィーダー細胞検定システムを応用し、ヒトES細胞に適したオリジナルのヒトフィーダー細胞株を樹立し、ヒト幹細胞の未分化維持に働く分子機能の解析を行ってきている。ES細胞の未分化維持機能に関して、これまで必要不可欠と報告されてきた分子の認識に関して、ノックアウトマウスを用い未分化維持機構に関する新たな知見を得た。iPS細胞に関しては独自に既に200株以上を樹立し、その機能解析も進めている。

4. ヒト幹細胞を用いた再生医療の前臨床研究

子宮内膜及び胎盤由来細胞を用いた骨格筋分化の研究において筋ジストロフィーモデル動物への移植を行った結果、ヒト細胞が筋束の出現を確認した。筋ジストロフィーは進行性の筋力低下と筋萎縮を伴う筋繊維の変成・壊死・再生を主な病理像とする遺伝子性疾患の総称である。その中でジストロフィンの欠損によるDuchenne型筋ジストロフィーは最も高頻度に発生し、かつ最も重症な進行性筋疾患である。近年、組織幹細胞を用いた障害組織に対する再生医療が注目されており、筋ジストロフィーにおいても例外ではない。細胞源としては、筋芽細胞、骨髄細胞などがあげられ、筋再生の供給源として期待されている。我々は、手術検体から分離した子宮内膜細胞が骨格筋に分化可能であるという作業仮説をたて、筋ジストロフィーのモデル(mdx/scidマウス)に対しそれらの細胞が筋変成を修復することを明らかにした。本年度は、手術検体から分離した胎盤由来細胞を用いて骨格筋への分化を検討した。方法としては、正常正期産の胎盤を7部位(羊膜中胚葉, 羊膜上皮, 絨毛膜, 絨毛板, 絨毛, 脱落膜, 臍帯)に分離の上、組織を間葉系幹細胞増殖培地にて培養し、胎盤由来細胞の骨格筋への分化をIn vitroとIn vivoで検討した。In vitroの場合は、免疫染色法でSkeletal myosin heavy chain (MY32)の発現を測定した。In vivo場合は、胎盤由来細胞のmdxモデルマウス筋修復への寄与をヒト・ジストロフィンの発現を用いて測定した。治療モデルとしての科学性、倫理性の確保するために、臨床応用を想定した安全性の確認を行った。フローサイトメトリーの解析によりCD13, CD29, CD44, CD55, CD59, CD73, CD90, CD105, CD166陽性で、CD14, CD34, CD45陰性であることを確認した。次に、in vitroの検討では、5-azacytidine (5mM)で24時間前処理した胎盤由来細胞のSkeletal myosin heavy chain発現を確認した。また、胎盤とマウス骨格筋芽細胞C2C12との融合率を検討したところ、高率な融合能を胎盤由来細胞は示した。さらに、胎盤由来細胞の骨格筋細胞への分化を確認するためmdx/scidマウスを用いた移植細胞の骨格筋再生能を検討した。その結果、マウス骨格筋中にヒト・ジストロフィンの発現を確認した。胎盤は部位によって骨格筋への分化能に相違があることが判明し、特に胚外中胚葉である羊膜中胚葉、絨毛、絨毛膜、絨毛板には間葉系幹細胞が多く含まれることを明らかにし、国際専門誌に報告した。

5. 成育疾患(特に先天性代謝異常症)に対する幹細胞治療法

今年度より獣皮様母班、先天性角膜混濁、筋ジストロフィーに関する臨床研究に向けた倫理申請を行っており、倫理面での問題点を勘案しながら研究を進めていく。先天代謝異常を対象として骨髄間葉系細胞を含めた体性幹細胞を利用した細胞治療法の確立に向けた基盤研究を行う。さらに、これらの幹細胞を臨床応用するための安全かつ効果的な培養システムの確立をめざす。ムコ多糖VII型モデルマウスを用いた細胞治療法の安全性と治療効果を検討した。新規のヒト細胞供給源となるヒト細胞培養システムとして、月経血、臍帯血より間葉系細胞の培養を開始しており、それらが複数の分化形質を示すことを明らかにした。また、胎児期における細胞移植法についても検討を行い、妊娠マウスを用いて、胎児期の免疫寛容を利用したドナー細胞の種類による治療効果の違いについて検討を開始した。

6. 成育バイオリソース-ヒト臍帯血・子宮内膜・月経血・胎盤・軟骨・骨髄・眼球由来幹細胞-の単離技術の開発、多分化能の同定

2009年の生物資源寄託実績として、医薬基盤研究所に胎盤由来細胞1株、理化学研究所に抗体産生細胞4株、iPS細胞11株である。また、成育バイオリソースが将来の再生医療ツールとして有用な性質を持つことを国際専門誌、国際学会に報告し、国内・外のメディアにも取り上げられてきた。成育バイオリソースの有用性について社会に示すことができた。

具体的には爪母、靭帯、表皮、真皮、皮下脂肪、皮質骨、海面骨、硝子軟骨、骨膜、骨髄、肋軟骨、肋軟骨膜、耳介軟骨、耳介皮下脂肪、網膜、強膜、虹彩、角膜、子宮内膜、子宮筋、臍帯、臍帯動脈、臍帯静脈、臍帯血、胎盤、羊膜、絨毛膜板、絨毛、脱落膜に由来する細胞を樹立した。

7. 安全で高品質な細胞提供技術の開発

今年度は前年度に引き続き、東京医療センターと共同で1件の細胞移植医療を行い、手順の見直しを図った。前年度までに、CPC(セル・プロセッシング・センター)を使用したヒト幹細胞の培養ならびに臨床研究への供給を課題として、研究部横断的な推進体制を構築した。手順書の整備を完了し、前実験として全ての手順の確認を行い、詳細に検討を行った。

【研究業績】

1.論文発表

[原著論文(欧文)]

1. Yamada M, Hamatani T, Akutsu H, Chikazawa N, Kuji N, Yoshimura Y, Umezawa A. Involvement of a novel preimplantation-specific gene encoding the high mobility group box protein Hmgpi in early embryonic development. Hum Mol Genet. 2010; 19(3):480-493.

2. Yazawa T, Inaoka Y, Okada R, Mizutani T, Yamazaki Y, Usami Y, Kuribayashi M, Orisaka M, Umezawa A, Miyamoto K. PPAR-gamma coactivator-1alpha regulates progesterone production in ovarian granulosa cells with SF-1 and LRH-1. Mol Endocrinol. 2010; 24(3):485-496.

3. Ikegami Y, Miyoshi S, Nishiyama N, Hida N, Okamoto K, Miyado K, Segawa K, Ogawa S, Umezawa A. Serum-independent cardiomyogenic transdifferentiation in human endometrium-derived mesenchymal cells. Artif Organs. 2010; 34(4):280-288.

4. Fujino T, Nomura K, Ishikawa Y, Makino H, Umezawa A, Aburatani H, Nagasaki K, Nakamura T. Function of EWS-POU5F1 in sarcomagenesis and tumor cell maintenance. Am J Pathol. 2010; 176(4):1973-1982.

5. Stadtfeld M, Apostolou E, Akutsu H, Fukuda A, Follett P, Natesan S, Kono T, Shioda T, Hochedlinger K. Aberrant silencing of imprinted genes on chromosome 12qF1 in mouse induced pluripotent stem cells. Nature. 2010; 465(7295):175-181.

6. Tsuji H, Miyoshi S, Ikegami Y, Hida N, Asada H, Togashi I, Suzuki J, Satake M, Nakamizo H, Tanaka M, Mori T, Segawa K, Nishiyama N, Inoue J, Makino H, Miyado K, Ogawa S, Yoshimura Y, Umezawa A. Xenografted human amniotic membrane-derived mesenchymal stem cells are immunologically tolerated and transdifferentiated into cardiomyocytes. Circ Res. 2010; 106(10):1613-1623.

7. Kawamichi Y, Cui CH, Toyoda M, Makino H, Horie A, Takahashi Y, Matsumoto K, Saito H, Ohta H, Saito K, Umezawa A. Cells of extraembryonic mesodermal origin confer human dystrophin in the mdx model of Duchenne muscular dystrophy. J Cell Physiol. 2010; 223(3):695-702.

8. Ito C, Yamatoya K, Yoshida K, Maekawa M, Miyado K, Toshimori K. Tetraspanin family protein CD9 in the mouse sperm: unique localization, appearance, behavior and fate during fertilization. Cell Tissue Res. 2010; 340(3):583-594.

9. Haraguchi Y, Sekine W, Shimizu T, Yamato M, Miyoshi S, Umezawa A, Okano T. Development of a new assay system for evaluating the permeability of various substances through three-dimensional tissue. Tissue Eng Part C Methods. 2010; 16(4):685-692.

10. Adachi T, Wang X, Murata T, Obara M, Akutsu H, Machida M, Umezawa A, Tomita M. Production of a non-triple helical collagen alpha chain in transgenic silkworms and its evaluation as a gelatin substitute for cell culture. Biotechnol Bioeng. 2010; 106(6):860-870.

11. Matsuse D, Kitada M, Kohama M, Nishikawa K, Makinoshima H, Wakao S, Fujiyoshi Y, Heike T, Nakahata T, Akutsu H, Umezawa A, Harigae H, Kira J, Dezawa M. Human umbilical cord-derived mesenchymal stromal cells differentiate into functional Schwann cells that sustain peripheral nerve regeneration. J Neuropathol Exp Neurol. 2010; 69(9):973-985.

12. Kawano N, Kang W, Yamashita M, Koga Y, Yamazaki T, Hata T, Miyado K, Baba T. Mice lacking two sperm serine proteases, ACR and PRSS21, are subfertile, but the mutant sperm are infertile in vitro. Biol Reprod. 2010; 83(3):359-369.

13. Mizutani T, Yazawa T, Ju Y, Imamichi Y, Uesaka M, Inaoka Y, Matsuura K, Kamiki Y, Oki M, Umezawa A, Miyamoto K. Identification of a novel distal control region upstream of the human steroidogenic acute regulatory protein (StAR) gene that participates in SF-1-dependent chromatin architecture. J Biol Chem. 2010; 285(36):28240-28251.

14. Wang S, Kawashima N, Sakamoto K, Katsube K, Umezawa A, Suda H. Osteogenic differentiation of mouse mesenchymal progenitor cell, Kusa-A1 is promoted by mammalian transcriptional repressor Rbpj. Biochem Biophys Res Commun. 2010; 400(1):39-45.

15. Nishino K, Toyoda M, Yamazaki-Inoue M, Makino H, Fukawatase Y, Chikazawa E, Takahashi Y, Miyagawa Y, Okita H, Kiyokawa N, Akutsu H, Umezawa A. Defining hypo-methylated regions of stem cell-specific promoters in human iPS cells derived from extra-embryonic amnions and lung fibroblasts. PLoS One. 2010; 5(9):e13017.

16. Sasaki N, Hirano T, Kobayashi K, Toyoda M, Miyakawa Y, Okita H, Kiyokawa N, Akutsu H, Umezawa A, Nishihara S. Chemical inhibition of sulfation accelerates neural differentiation of mouse embryonic stem cells and human induced pluripotent stem cells. Biochem Biophys Res Commun. 2010; 401(3):480-486.

17. Ito M, Miyado K, Nakagawa K, Muraki M, Imai M, Yamakawa N, Qin J, Hosoi Y, Saito H, Takahashi Y. Age-associated changes in the subcellular localization of phosphorylated p38 MAPK in human granulosa cells. Mol Hum Reprod. 2010; 16(12):928-937.

18. Chowdhury MM, Katsuda T, Montagne K, Kimura H, Kojima N, Akutsu H, Ochiya T, Fujii T, Sakai Y. Enhanced effects of secreted soluble factor preserve better pluripotent state of embryonic stem cell culture in a membrane-based compartmentalized micro-bioreactor. Biomed Microdevices. 2010; 12(6):1097-1105.

19. Shinmura D, Togashi I, Miyoshi S, Nishiyama N, Hida N, Tsuji H, Tsuruta H, Nakamizo H, Segawa K, Tsukada Y, Ogawa S, Umezawa A. Pretreatment of Human Mesenchymal Stem Cells with Pioglitazone Improved Efficiency of Cardiomyogenic Transdifferentiation and Improved Cardiac Function. Stem Cells. 2010 (in press).

20. Toyoda M, Yamazaki-Inoue M, Itakura Y, Kuno A, Ogawa T, Yamada M, Akutsu H, Takahashi Y, Kanzaki S, Narimatsu H, Hirabayashi J, Umezawa A. Lectin microarray analysis of pluripotent and multipotent stem cells. Genes Cells. 2010 (in press).

21. Cui CH, Miyoshi S, Tsuji H, Makino H, Kanzaki S, Kami D, Terai M, Suzuki H, Umezawa A. Dystrophin conferral using human endothelium expressing HLA-E in the non-immunosuppressive murine model of Duchenne muscular dystrophy. Hum Mol Genet. 2010 (in press).

22. Miyagawa Y, Okita H, Hiroyama M, Sakamoto R, Kobayashi M, Nakajima H, Katagiri YU, Fujimoto J, Hata J, Umezawa A, Kiyokawa N. A microfabricated scaffold induces the spheroid formation of human bone marrow-derived mesenchymal progenitor cells and promotes efficient adipogenic differentiation. Tissue Eng Part A. 2010 (in press).

23. Inamura M, Kawabata K, Takayama K, Tashiro K, Sakurai F, Katayama K, Toyoda M, Akutsu H, Miyagawa Y, Okita H, Kiyokawa N, Umezawa A, Hayakawa T, Furue MK, Mizuguchi H. Efficient generation of hepatoblasts from human ES cells and iPS cells by transient overexpression of homeobox gene HEX. Mol Ther. 2010 (in press).

24. Yazawa T, Kawabe S, Inaoka Y, Okada R, Mizutani T, Imamichi Y, Ju Y, Yamazaki Y, Usami Y, Kuribayashi M, Umezawa A, Miyamoto K. Differentiation of mesenchymal stem cells and embryonic stem cells into steroidogenic cells using steroidogenic factor-1 and liver receptor homolog-1. Mol Cell Endocrinol. 2010 (in press).

25. Miyamoto K, Yazawa T, Mizutani T, Imamichi Y, Kawabe SY, Kanno M, Matsumura T, Ju Y, Umezawa A. Stem cell differentiation into steroidogenic cell lineages by NR5A family. Mol Cell Endocrinol. 2010 (in press).

[総説(欧文)]

1. Toyoda M, Hamatani T, Okada H, Matsumoto K, Saito H, Umezawa A. Defining cell identity by comprehensive gene expression profiling. Curr Med Chem. 2010; 17(28):3245-3252.

2. Umezawa A, Gorham JD. Dueling models in head and neck tumor formation. Lab Invest. 2010; 90(11):1546-1548.

3. Kawano N., Harada Y., Yoshida K., Miyado M., Miyado K. Role of CD9 in sperm-egg fusion and its general role in fusion phenomena, Cell Fusions: Regulation and Control. Larsson, Lars-Inge (ed). Springer., 171-184, 2010.

4. Kawano N, Yoshida K, Miyado K, Yoshida M. Lipid Rafts: Keys to SpermMaturation, Fertilization, and Early Embryogenesis. Journal of Lipids, in press.

[総説(和文)]

1. 早川堯夫, 梅澤明弘, 山中伸弥, 小澤敬也, 大和雅之, 澤芳樹, 山口照英, 松山晃文, 佐藤陽治, 中内啓光. ヒト(自己)体性幹細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針案(中間報告). 再生医療. 9(1):116-127, 2010.

2. 早川堯夫, 梅澤明弘, 山中伸弥, 小澤敬也, 大和雅之, 澤芳樹, 山口照英, 松山晃文, 佐藤陽治, 中内啓光. ヒト(同種)体性幹細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針案(中間報告). 再生医療. 9(1):128-138, 2010.

3. 早川堯夫, 梅澤明弘, 山中伸弥, 小澤敬也, 大和雅之, 澤芳樹, 山口照英, 松山晃文, 佐藤陽治, 中内啓光. ヒト(自己)iPS(様)細胞加工医薬品加工等の品質及び安全性の確保に関する指針案(中間報告). 再生医療. 9(1):139-151, 2010.

4. 早川堯夫, 梅澤明弘, 山中伸弥, 小澤敬也, 大和雅之, 澤芳樹, 山口照英, 松山晃文, 佐藤陽治, 中内啓光. ヒト(同種)iPS(様)細胞加工医薬品加工等の品質及び安全性の確保に関する指針案(中間報告). 再生医療. 9(1):152-165, 2010.

5. 早川堯夫, 梅澤明弘, 山中伸弥, 小澤敬也, 大和雅之, 澤芳樹, 山口照英, 松山晃文, 佐藤陽治, 中内啓光. ヒトES細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針案(中間報告). 再生医療. 9(1):166-180, 2010.

6. 梅澤明弘. 再生医療のロードマップ. 実験医学. 28(2):156-163, 2010.

7. 阿久津英憲, Stephen Sullivan. 患者由来iPS細胞作製による疾患モデル細胞開発. 実験医学. 28(2):351-355, 2010.

8. 梅澤明弘, 西野光一郎. 再生医療とエピジェネティクスの接点. 実験医学. 28(15):2546-2551, 2010.

9. 梅澤明弘, 牧野初音. ヒト間葉系幹細胞の採取法及び培養法. Organ Biology. 17(1):67-75, 2010.

10. 伊藤千鶴, 阿久津英憲, 京野廣一, 宇都宮隆史, 年森清隆. 良質精子の条件. 精子頭部扁平化およびperinuclear theca構成物質MN13と関連する卵活性化能. 産婦人科の実際. 59(12):2069-2075, 2010.

11. 梅澤明弘. 生体試料・細胞のバンキングの現状と展望. 日本臨床. 68(Suppl 8):322-326, 2010.

12. 宮戸真美、尾木秀直、織田銑一、宮戸健二. スンクス雄の外性器. スンクスの生物学. 学会出版センター. 323-328, 2011.

13. 宮戸真美、尾木秀直、城ヶ原貴通、織田銑一、宮戸健二. 歯胚形成過程におけるsShh遺伝子の発現. スンクスの生物学. 学会出版センター. 学会出版センター. 359-365, 2011.

2.学会発表

[招待講演・特別講演・シンポジウム・ワークショップ]

1. Akihiro Umezawa. Stem cell-based therapy in Japan: Present and future. 2nd Gwangju-Boston Joint Cardiology Symposium. Gwangju, South Korea. April 23, 2010.

2. 梅澤明弘. 細胞融合機構を利用した筋ジストロフィーに対する再生医療. 平成22年度日本生化学会九州支部例会. 鹿児島, 5月23日, 2010.

3. Akihiro Umezawa. Epigenetics of Somatic Stem Cells and iPS Cells and iPS Cells for Valid

4. ation Index of Cell-based Therapy. The 8th Catholic International Stem Cell Symposium. Seoul, Korea. October 2, 2010.

5. Akihiro Umezawa. Epigenetic Dynamics of Human Pluripotent Stem Cells and Somatic Stem Cells. The Fourth International Conference on Cell Therapy. Seoul, Korea. November 11, 2010.

6. 阿久津英憲. エンブリオロジストに必要なエピジェネティクスとIVMの知識. 第28回日本受精着床学会総会・学術講演会. 横浜, 平成22年7月28日, 2010.

7. 阿久津英憲. 臨床グレード幹細胞樹立の試み. 第28回日本ヒト細胞学会学術集会. つくば, 8月23日, 2010.

8. 宮戸健二. 哺乳動物における配偶子融合の分子認証機構. 第81回日本動物学会大会. 東京9月23日, 2020.

9. Hidenori Akutsu, Akihiro Umezawa. Xeno-free growth and expansion of human pluripotent stem cell. The 23rdAnnual and International Meeting of the Japanese Association for Animal Cell Technology. Sapporo, September 1-4, 2010.

[一般演題発表]

1. 西野光一郎, 豊田雅士, 山﨑-井上麻由, 深渡瀬嘉洋, 近澤英美, 坂口啓成, 牧野初音, 阿久津英憲, 梅澤明弘. ヒトiPS細胞における幹細胞特異的DNAメチル化可変領域の同定. 日本エピジェネティクス研究会第4回大会. 米子, 平成22年5月28~29日, 2010.

2. Hidenori Akutsu. Xeno-Free Growth and Expansion of Human Pluripotent Stem Cells, Commercial Tutorial Directory; ISSCR 8th annual meeting, San Francisco, USA. June 16-19, 2010.

3. Masahiko Ito, Kentaro Nagaoka, Keiji Kuroda, Natsuko Kawano, Keiichi Yoshida, Yuichirou Harada, Tomohide Shikano, Mami Miyado, Shoji Oda, Kiyotaka Toshimori, Youichi Mizukami, Tomoaki Murata, Akihiro Umezawa, Shunicni Miyazaki, Kenji Miyado. Arrest of spermatogenesis at round spermatids in PLCA1-deficient mice. 11th International Symposium on Spermatology. Okunawa, June 24-29, 2010.

4. 佐藤伴, 片桐洋子, 宮戸健二, 阿久津英憲, 大喜多肇, 藤本純一郎, 梅澤明弘, 年森清隆, 清河信敬. SSEA-4豊富ラフトマイクロドメインはマウス着床前胚の胚発生に関与する. 日本動物学会第81回大会. 東京, 9月23~25日, 2010.

5. 宮戸健二, 河野菜摘子, 吉田恵一, 大浪尚子, 竹澤侑希, 原田裕一郎. テトラスパニンを介した細胞融合の分子メカニズム. 第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会, 神戸, 12月7-10日, 2010.

6. 河野菜摘子, 金井誠也, 荒木直也, 吉田薫, 吉田学, 宮戸健二. 精嚢腺タンパク質SVSsの体内受精における役割. 第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会, 神戸, 12月7-10日, 2010.

7. Takuma Ojima, Masashi Toyoda, Hideki Nakajima, Mayu Yamazaki-Inoue, Nobutaka Kiyokawa, Junichiro Fujimoto, Toshinori Sato, Akihiro Umezawa. Comparative analysis of glycosphingolipids in human induced pluripotent stem (iPS) cells. 第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会, 神戸, 12月7-10日, 2010.

8. 林遼太郎, 福田智一, 日出間志寿, 豊田雅士, 梅澤明弘, 西森克彦. 社会行動解析のモデル動物Prairie Voleの新規遺伝子改変系構築を目指したVole iPS細胞樹立の試み. 第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会, 神戸, 12月7-10日, 2010.

【公的研究費】

1. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業

有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症・プロピオン酸血症)、尿素サイクル異常症(CPS1,OTC欠損症)、肝型糖原病の新規治療法の確立と標準化

梅澤明弘(分担)(1,000,000円)

2. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業

難治性疾患克服のための難病研究資源バンク開発研究

梅澤明弘(分担)(15,000,000円)

3. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業

ステロイド依存性感音難聴の新しい診断法および診断基準に関する検討

梅澤明弘(分担)(1,500,000円)

4. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業

Calciphylaxisの診断・治療に関わる調査・研究

梅澤明弘(分担)(研究代表者一括計上)

5. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業

早期発症型侵襲性歯周炎(遺伝性急性進行型歯槽膿漏症候群)の診断基準の確立に関する研究

梅澤明弘(分担)(3,000,000円)

6. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業

生殖補助医療により生まれた児の長期予後の検証と生殖補助医療技術の標準化に関する研究

梅澤明弘(分担)(2,500,000円)

7. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業

ライフスタイルの変化に伴う妊娠希望時の妊孕性減弱に対する病態解明、新規診断法と治療法開発のための研究(分担)(研究代表者一括計上)

8. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 再生医療実用化研究事業

細胞シートによる関節治療を目指した臨床研究

阿久津英憲(分担)(3,000,000円)

9. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 再生医療実用化研究事業

再生医療実用化加速に資する評価基準ミニマム・コンセンサス・パッケージ策定に関する研究

阿久津英憲(分担)(2,500,000円)

10. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 再生医療実用化研究事業

歯科再生医療拠点を活用した次世代型歯周組織再生療法の開発

阿久津英憲(分担)(2,000,000円)

11. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 創薬基盤推進研究事業

ヒトiPS細胞等応用による新規細胞評価系構築のための基盤研究

梅澤明弘(分担)(25,500,000円)

12. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業

再生医療実用化加速に資するヒト幹細胞由来製品及び関連要素の品質及び安全性確保に関する総合的研究

梅澤明弘(分担)(研究代表者一括計上)

13. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 エコーガンによる低侵襲の胎児期遺伝子治療:胎児腹腔内への非ウイルス性ベクター注入と胎児肝母体外超音波照射による遺伝子機能発現の出生前是正

梅澤明弘(分担)(研究代表者一括計上)

14. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 政策創薬総合研究事業

心不全に対する再生医療と人工心臓の複合戦略-CD29high, CD34low, c-kit+, CD140a+骨髄細胞による臨床研究と基盤研究-

梅澤明弘(代表)(25,000,000円)

15. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 政策創薬総合研究事業

小児成長疾患に対するトランスレーショナルリサーチにおける技術的基盤の創成

宮戸健二(代表)(12,000,000円)

16. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 政策創薬総合研究事業

多能性幹細胞の新規的培養空間創出による幹細胞医薬研究の底上げ

阿久津英憲(代表)(11,000,000円)

17. 科学研究費補助金 新学術領域研究

哺乳類における配偶子融合の分子認証機構の解明

宮戸健二(代表)(12,000,000円)

18. 科学研究費補助金 基盤研究(S)

次世代幹細胞治療のための生物機能改変技術の開発

梅澤明弘(分担)(1,000,000円)

19. 科学研究費補助金 基盤研究(B)

ヒト心筋分化誘導因子の同定-細胞医療を視野に入れた複合治療戦略の創成-

梅澤明弘(代表)(1,300,000円)

20. 科学研究費補助金 基盤研究(B)

不妊病態に関わる膜融合因子の研究と生殖医療への応用

宮戸健二(代表)(4,700,000円)

21. 科学研究費補助金 基盤研究(B)

卵子加齢にみる老化のメカニズムと発生態への影響を探る戦略的基盤研究

阿久津英憲(代表)(2,430,000円)

22. 科学研究費補助金 基盤研究(B)

癌疾患に対する遺伝子導入、細胞移植、再生医療を融合した新規治療の開発

梅澤明弘(分担)(300,000円)

23. 科学研究費補助金 基盤研究(B)

生命始動と分化全能性獲得の遺伝子カスケード

阿久津英憲(分担)(300,000円)

24. 科学研究費補助金 基盤研究(B)

ヒト幹細胞培養システムを基盤とした小児重症心不全に対する新規治療法の構築

梅澤明弘(分担)(1,000,000円)

25. 科学研究費補助金 基盤研究(C)

「ヒトパピローマウイルスの口腔病理学」に基づいたヒト体性幹細胞の寿命制御

梅澤明弘(分担)(350,000円)

26. 科学研究費補助金 基盤研究(C)

近視の病因解明と治療に関する分子細胞生物学的研究

世古裕子(代表)梅澤明弘(分担)(650,000円)

27. 科学研究費補助金 基盤研究(C)

筋ジストロフィー疾患への細胞移植戦略-膜融合理論に基づく骨格筋再生による治療

崔昌浩(代表)梅澤明弘(分担)(700,000円)

28. 科学研究費補助金 基盤研究(C)

再生医療用ナノブラシ固定化細胞培養基盤の調整と幹細胞保持並びに培養

樋口亜紺(代表)(1,100,000円)

29. 科学研究費補助金 基盤研究(C)

喫煙(ニコチン)による胎児・小児の骨軟骨成長障害に関する研究

梅澤明弘(分担)(50,000円)

30. 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究

ヒト網膜由来iPS細胞の樹立

梅澤明弘(分担)(300,000円)

31. 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究

ヒト胚性幹(ES)細胞を生かすことができるヒトフィーダー単離システムの創成

梅澤明弘(代表)(1,200,000円)

32. 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究

成育医療における骨・靭帯の生分解性足場材量の探索と融合蛋白質の創製

梅澤明弘(分担)(480,000円)

33. 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究

由来臓器ごとのヒト間葉系幹細胞プロファイリングと培養条件最適化と標準化

梅澤明弘(分担)(160,000円)

34. 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究

内耳性難聴に対する細胞移植システムの構築

梅澤明弘(分担)(100,000円)

35. 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究

受精卵の全能性機能を探り出す研究-リプログラミング因子を一網打尽に捉える-

阿久津英憲(代表)(600,000円)

36. 科学研究費補助金 特別研究員奨励費

不妊病態に関わる受精制御因子『精嚢腺タンパク質SVSファミリー』の機能解析

河野菜摘子(1,000,000円)

37. 科学研究費補助金 若手研究(B)

胎盤由来細胞を用いた血管内皮細胞培養システムの確立

牧野初音(代表)(1,300,000円)

38. 科学研究費補助金 若手研究(B)

胚性幹細胞の未分化性を規定する膜タンパク質の機能的ダイナミクスに関する研究

三浦巧(代表)(600,000円)

39. 科学研究費補助金 若手研究(B)

西野光一郎(代表)(600,000円)

40. 文部科学省 再生医療プロジェクト

再生医療対応ヒトES細胞樹立と長期安全性・品質保持システムの確立-戦略的ヒトiPS細胞を先導する基盤研究-

阿久津英憲(40,000,000円)

41. NEDO 基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発

細胞シートによる多施設臨床研究を目指した基盤システムの構築-多施設臨床研究のための基盤技術開発

梅澤明弘(15,691,000円)

42. NEDO iPS細胞等幹細胞産業応用促進基盤技術開発

iPS細胞等幹細胞の選別・評価・製造技術等の開発

阿久津英憲(24,717,750円)

43. NEDO 次世代機能代替技術の研究開発

次世代再生医療技術の研究開発/生体内で自己組織の再生を促すセルフリー型再生デバイスの開発

梅澤明弘(9,091,000円)

44. CREST

分化可視化ES/iPS細胞の樹立とデバイスを用いた分化誘導法に関する研究

阿久津英憲(13,000,000円)

45. 独立行政法人医薬基盤研究所 基礎研究推進事業

ヒトiPS細胞由来モデル細胞(肝・神経・心筋)の作製及びモデル細胞を用いた薬剤毒性評価技術の構築

梅澤明弘(代表)(12,174,000円)

46. 成育医療研究開発費

成育疾患に対する細胞・遺伝子治療の臨床応用に関する研究

梅澤明弘(代表)(100,000,000円)

47. 成育医療研究開発費

再生医療技術の開発と臨床応用に関する研究

阿久津英憲(分担)(研究代表者一括計上)

48. 成育医療研究開発費

成育医療における難治性ウイルス感染症に対する予防・診断・治療法の開発と臨床応用

阿久津英憲(分担)(研究代表者一括計上)

49. 精神・神経疾患研究開発費

筋ジストロフィーに対するトランスレーショナル・リサーチ

梅澤明弘(分担)(2,500,000円)

50. 循環器病研究開発費

循環器病における再生医療の開発に関する基礎的研究

梅澤明弘(分担)(1,500,000円)