第4回GLIT

「幹細胞医療における糖鎖の有用性と産業応用」

国立成育医療センター

梅澤明弘

糖鎖科学は、生命工学、農学、食品のみならず、医療あるいはヘルスケアの分野において産業応用の段階を迎えており、糖鎖科学が貢献する先端医療・医薬に経済性が大きくかかわるようになってきた。国民の健康を推進する上で「科学性の担保」と「経済性の評価」が極めて重要であることが認識されるようになり、医療産業はこのような面から糖鎖リソースが増えてきたことにより自律的に回るところまで来ている。特に、糖鎖科学は、がん、免疫・炎症、腎症、感染症、再生医療、遺伝病の診断・治療の開発へ寄与し、医薬開発では抗体医薬を初めとしたバイオロジックス製剤の開発へつながる。このようにNEDOのプロジェクトで培われてきた基盤となる糖鎖技術を応用するシステムを通じて医療およびヘルスケアに多大な貢献をしており、臨床試験を具体的なタイムコースを念頭においた前臨床試験ないしは応用研究のさらなる発展が期待される。同時に、社会的にオープンな糖鎖データベースの創成が医療産業に必要となる。具体例を再生医療・幹細胞医療を切り口として紹介したい。