式辞全文(PDF)
本日、晴れて博士、修士及び学士の学位を授与された皆さん、ご卒業おめでとうございます。ご家族の皆様にも心からお慶びを申し上げます。
又、本日は公私とも大変ご多忙にも拘わらず岐阜市長 柴橋正直様、岐阜市議会議長 浅野裕司様、岐阜大学学長 吉田和弘様、同窓会長 杉浦昭子様、後援会長 村山弘様 はじめ多くのご来賓の皆様方にご臨席を賜り、心より厚く御礼申し上げます。
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策の一環でこの数年は式典の規模を縮小し、卒業生のご家族をご招待できないまま行ってきましたが、今年度の学位授与式から漸く参列して頂けるようになりました。新型コロナウイルス感染は終わったわけではありませんが、少しずつ明かりが見えてきたような状況かと思います。コロナ禍の中、皆さんは授業、クラブ活動、友人や先輩との交流において多くの制限の中で過ごされてきました。色々と大変であった中で、本日このように皆さんと学位授与式をお祝いできることを大変有難く、嬉しく思います。
岐阜薬科大学は、本年度創立90周年を迎えました。世界大恐慌の中、当時の市長松尾国松氏の発議により市議会において本学設立の議決がなされ、渡辺甚吉氏の多額の寄付により1932年に本学の前身である岐阜薬学専門学校が創立されました。本学は、設立以来90年間という長きにわたって教職員並びに諸先輩方が努力を重ね、市民の皆様から育み守られてきました。
(参考:創立90周年特集記事に関するお知らせ)
その間1万3千人以上の卒業生は、本学で学んだことを活かして、地域医療の重要な担い手である薬剤師として、また、各種治療薬の創薬研究や臨床開発など医薬品産業の担い手として、或いは医療行政などにおいて多くの方々が活躍されています。医療の現場で粉骨砕身頑張ってこられ、現在の岐阜薬科大学があります。私たちは、この伝統を堅持しつつ、将来に向けて発展していくことが期待されています。
近年、医療現場における改革も急速に進んでおり、個別化医療、細胞医療、デジタル医療、AI医療など医療の多様化によって従来の医療のやり方だけでは通用しない時代になってきています。このような潮流の中で新しい技術革新の扉を開く優秀な研究者や未来医療を先導できる優れた薬剤師の輩出がこれまで以上に求められています。社会ニーズ、医療ニーズも大きく変化しています。今後の薬学の未来を予測し、医療革新に対応した基盤技術を創りだせる人材の輩出にむけて薬学教育の重要性が改めて強く求められています。
この変化に対応するために、皆さんは社会に出た後も医療人としての技術や知識を深化させていく必要があります。皆さんが本学で学んだことは、今のこの時代の医療技術、社会ニーズをベースとした本学の薬剤師教育カリキュラム並びに研究者育成プログラムに基づいたものです。大学卒業は、学びの終わりではありません。これからは、実社会における学びのスタートと思って下さい。この先も学び、社会人として、医療人として成長と進化を続けましょう。変化し続ける社会ニーズを敏感にキャッチし、それに応えられる医療人であり続けましょう。
新型コロナウイルスパンデミックや戦争などの厳しい環境変化の中、医療と薬は私達や私たちの大切な人の命を守ってくれています。皆さんは人類にとって大切な医療そして薬に関わり、多くの人々に貢献できる非常に価値のある仕事に就きます。人の為になる、人を幸せに出来る仕事に就けることに誇りと自信と勇気を持って、社会に飛び込んで頂きたいと思います。
変化の激しい時代だからこそ、変わっていく必要があるものと変わらないで持ち続けていくものがあります。変わってはいけないものは、すべてに感謝する、正直に生きる、世の人のために生きるということです。非常に当たり前のことです。この3つを常に心がけて行動すれば、いつか必ずよい方向に動き出します。辛いときでも、苦しいときでも、感謝、正直、そして人のために行動することを忘れないでください。
最後になりますが、皆さんをこれまで支えてくださったご家族、教職員の方々、先輩、友人、そして岐阜市民の方々などに改めて感謝をして、次世代は皆さんが作るのだという夢と希望をもって卒業してください。皆さんがこれから幾多の困難を乗り越えて、よい人間関係を築いて、豊かな人生を送られることを祈念して、お祝いの言葉と致します。
本日は、ご卒業おめでとうございます。
令和5年3月11日
岐阜薬科大学学長 原 英彰