COMIT 開所式

20230117







只今ご紹介に預かりました、岐阜薬科大学の原英彰でございます。本日は、「One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター開所式にご招待して頂き、誠にありがとうございます。

岐阜大学と岐阜薬科大学のこれまで

岐阜大学と本学との関係としましては、2007年に両学で「岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科」を開設し、2010年にここ柳戸の岐阜大学の敷地に本部キャンパス(研究棟)を建設し、三田洞キャンパスの一部と4回生以上の学生が移転してまいりました。当時は、国立大学の敷地に公立大学が移転した例はなく、国公立の連携の枠組みを変えた歴史的な取り組みでした。それから約10年たちました。この間、岐阜大学と本学は、これまで以上に教育及び研究の連携が進み多くの成果を上げることが出来ました。

創薬シーズの社会への還元

次なる目標は、これまでの成果を、さらには両大学やここに参加しておられます大学・研究機関が連携して高い研究力から生み出される創薬シーズを、社会に還元することにあると思います。すなわち、新薬創出につながる研究を行い、目に見える形で成果を出すことにあります。本学は、微力ですがその一端を担う覚悟であります。

そのためには、医獣薬農工がOne Campusにあるだけでは不十分で、何らかのアイデア、仕組み・仕掛けが必要です。幸いなことにここに参加しておられる大学には豊富な魅力的な創薬シーズが多くあります。これらを駆使して、新薬創出につながる研究をしなければなりません。また、産学官連携をさらに進めて、具現化していくことも重要になります。

「創薬研究における魔の川」の克服

創薬シーズ発見から新薬が創出されるまでにはいくつもの難所、例えば、「魔の川」、「死の谷」、あるいは「ダーウィンの海」があり、それを越えていかねば、新薬創出は実現しません。これまで多くの候補化合物がこれらの難所を乗り越えられずにドロップアウトしてきました。まず最初に訪れる難所として、非臨床試験から臨床試験のフェーズに行く際に越えないといけない「魔の川」があります。私は製薬会社に20数年務めておりましたので、これまで多くの医薬品候補化合物がこれら「魔の川」や「死の谷」を越えられずに断念した経験を有しております。一方、それを乗り越えることが出来た2医薬品の上市をも経験しました。

今回の「One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター」は、いわゆる「魔の川」を乗り切り、それを克服するために設立されたものであると思います。すなわち創薬シーズを見出しマウス、ラット、ブタ、イヌ、サルなどのこれまでにない病態動物モデルを新たに確立して、基礎研究を臨床研究に橋渡しをするものです。まさに新薬開発のキーになるのが「One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター」であると思います。

医獣薬農工が集うOne Campus

2024年には(仮称)岐阜ICが岐阜大学の北側に開通し、2028年には本学の新キャンパスが完成する予定です。そうなれば交通の立地条件がよくかつ医獣薬農工がOne Campusに集う国内でも屈指の学術研究拠点がこの岐阜大学周辺に出来上がることになります。さらに岐阜大学と連携し、この周辺に関連する研究機関、医療機関や民間企業の誘致を図り、ライフサイエンス拠点の形成に力を注いでまいりたいと考えています。

最後に

最後になりますが、改めまして「One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター」の開所、誠におめでとうございます。本センター設立を機に、岐阜大学と本学の連携をより強め、岐阜大学がさらに教育、研究そして地域貢献の面で発展されることを祈念して挨拶の言葉とさせて頂きます。

    令和5年1月17日

岐阜薬科大学 学長 原 英彰

参考

COMIT設置のおしらせ(岐阜大学)