C3 社会生活支援
C3-1
iPadを家庭に持ち帰り、オリジナルニューススライドを製作する
部・学年
中学部1年
障がい種
知的障がい
指導場面
個別学習、家庭学習
活動内容
家庭学習としてiPadの「Keynote」を使ってオリジナルニューススライドを制作する。
使用機器類等
iPad、アプリ「Keynote」「DropTap」、Googleドライブ、「DropNews」
具体的な活用の様子
対象生徒の所属学級では、iPadを使用して「DropNews」というニュースコンテンツを毎日視聴している。そのことから、自身でもオリジナルのニュースを制作したい願いを持った。書字することはできたが、文字の形を気にして何度も繰り返して書き直したり、情緒的に優れないときには書字が乱雑になってしまったりする様子があった。一方、iPadやPCに興味関心があり、家でも検索や動画の視聴のために使用していたこともあり、文字の入力は得意であった。そこで、配布されているiPadを使用して本人の願いを実現するためにスライド制作に向けた活動を設定した。
iPadの基本操作やアプリ「Keynote」等の使い方を扱った活動を設定した。
オリジナルニューススライドを制作するためにアプリの「Keynote」を使用することにした。スライドの基本的なフォーマットを用意した。
生徒用のGoogleアカウントを使って、ドライブに制作物を保存することにした。また、ドライブは共有及びそのドライブ情報をQRコードにして、学級以外の人が見ることができるようにした。
制作したオリジナルニューススライドを、学級で発表する機会を設けた。
取り組みの成果
書字に注力する必要がないため、自分の得意な文字入力をすることで作文ができ、意欲的に取り組む姿につながった。
制作したオリジナルニュースは、部の集会と学級で発表した。発表するためのスライド操作を身につけ、一人で発表することができた。発表が上手くいったこともあり、自信をもって発表することができている。
iPadを家庭に持ち帰ってから、平日は毎日オリジナルニュースの制作をしている。保護者や教師が制作を促す必要がなく、主体的に制作している。
ニュースの話題探しや制作にかかわり、家庭や教師等との会話機会が増えた。
ニュースの内容が、自分主体のものから他者を意識した内容に変化した。作成を始めた当初は、ニュースの話題が本人の好きなこと(人物)を扱う内容等であったが、他者も興味をもってほしいということで内容が変化した。地域の出来事や季節や気候に関連したこと、時事に関する内容を扱うようになった。
実際の写真
C3-2
iPadとGoogleアカウントを利用した地域校との交流活動
部・学年
中学部1年
障がい種
自閉スペクトラム症
指導場面
個別課題学習
活動内容
Googleフォームでアンケート調査を行い、結果から学校紹介ムービーを制作する。
使用機器類等
iPad、Googleフォーム、カメラ、アプリ「iMovie」、「Keynote」
具体的な活用の様子
交流活動の一つとして、交流相手に自分の学校を紹介してみたいというアイデアが浮かんだ。紹介するために書く形式での制作を検討したが、書字に注力してしまい制作活動が進まなかったり、伝えたい内容を整理して構成を考えることが苦手だったりする様子があった。そこで、書字の負担感を減らし、自分で簡単に写真や動画を撮影し挿入することができるiPadを使用し、主体的に活動に取り組むことを目指した。
活動の導入として、iPadの基本的な操作を身に付けるための活動やオリジナルニュースやポスターの制作を行った。
学校紹介の動画を制作するために、相手が知りたいことを調査するためのアンケートをGoogleフォームで制作した。
アンケートの結果を基に、学校紹介動画の制作を行った。
動画の制作に向けて、校内の撮影を行った。動画編集はiPadアプリの「iMovie」を使用し、施設等を紹介するための音声を録音したり、字幕を入力したりした。
取り組みの成果
iPadでの文字入力は、書字よりも簡単にできたことで、自分一人で文字入力を行いながら、制作を進めた。
コロナ禍によって直接的な交流活動はできなかったが、今回アンケート調査や動画紹介のやり取りを通じて、相手の学校とのつながりを感じることができた。
Googleフォームを活用することにより、相手の知りたいことがアンケート結果のデータによって簡単に可視化され、情報を整理して理解することができた。また、その情報を基に、学校紹介の動画の構成を考えることができた。
動画制作の場面では、紹介する場所の撮影や調査を自ら行った。解説のセリフを入力し、さらに自身でセリフの録音も行った。書くこと以外で、様々な表現の工夫ができて、抵抗感なく楽しく制作できた。
実際の写真
C3-3
iPadを使った体調管理
部・学年
中学部2年
障がい種
Wolfram症候群 視覚障がい 糖尿病
指導場面
毎日の体調管理
活動内容
毎日の自分の体調を記録し、健康管理情報を共有する。
使用機器類等
iPad、アプリ「シンクヘルス」
具体的な活用の様子
毎日の体調管理のデータを生徒、学校(担任、養護教諭、看護師)が共有する方法について、当初はGoogleドライブの活用を進めたが、共有するべき項目を血糖値の管理アプリを参考に検討する中でシンクヘルスを選んだ。
シンクヘルスは情報の共有がしやすく、必要に応じデータをPDFで出力し、受診時ドクターとも共有できるメリットもある。また、操作性は弱視の生徒にも表示が見やすく、必要項目も精選されているため使いこなすことができた。
写真メモ機能を使い食事の画像や体調についてのコメントを入れることができる。
インスリンや服薬の様子も分かり看護師が勤務交代ための引き継ぎがデータ共有することで分かりやすくなった。
取り組みの成果
iPadを利用し記録が残り自己分析することで、自分の日々の体調を管理して日常生活、学校生活を過ごせるようになった。
食事や補食の内容をメモすることで客観視でき、栄養やカロリーバランスを見直すことにつながった。
低血糖、前後の様子などから分析ができ、通常の不調と比較できるようになった。
入力がないときは体調が悪いことが把握できる。データの入力ができない日が続くと通知が届き、起き上がれないことがわかるようになった。
メモにより生理サイクルやその他の不調も繰り返していることが分かり体調の管理をしやすくなった。
担任と看護師が受診同行する際に、データ推移を把握できていたため、話がスムーズで適切なアドバイスを聞くことができ、支援に役立てることができた。
実際の写真