C2 認知発達支援
C2-1
プログラミングロボットを使用した自己中心の前後左右の学習
部・学年
小学部3年
障がい種
視覚障がい
指導場面
自立活動
使用機器類等
iPad、アプリ「Photon Coding」、プログラミングロボット「Photon」、40㎝間隔格子
具体的な活用の様子
歩行指導前指導として自己中心の前後左右、他者中心の前後左右を学習する段階でのプログラミングロボット利用。
障害物の配置を確認し、どのようにPhotonを動かせばよいかを考え、「写真」Appにルートの計画を立てる。
「Photon Coding」Appでプログラミングをする場面では、計画したものを参考にし、見比べながら取り組むことができた。Photonを実際に動かし、必要に応じてプログラミングの修正をする姿が見られた。
画面上でルートを設定しPhotonを動かすことに慣れた段階で、自身をPhotonに置き換えて考え、言葉で動きを説明する活動に移行した。「2マス前に進んだら左を向き、1マス前に進み、右を向く」などのように説明する場面を設けた。
取り組みの成果
歩行指導の前段階の学習であるが、プログラミング的学習と関連付けることで、児童の活動に対する意欲が高まったと感じた。
自己を中心とした左右を確認する場面で、実際に動くロボットを使用したことは、児童が視覚的に状況を把握し、学習内容を理解するのに役立ったと思う。
複数名で実施することで会話が生まれ、考えたことを言葉にして説明する機会がもてることから、コミュニケーションを目的とした活動にも活用できると考えられる。
実際の写真
C2-2
視線入力装置を用いた「見る」学習
部・学年
中学部2年
障がい種
肢体不自由
指導場面
課題学習
活動内容
視線入力装置を用いて、意思伝達練習につながる「見る」学習を行う
使用機器類等
視線入力装置tobii Eye Tracker、パソコン、固定アーム、ソフトウェア「EyeMoT」
具体的な活用の様子
発語がなく意思伝達が難しい生徒の、選択や意思伝達の練習として、視線入力装置tobiiを用いて学習の環境を整えることにした。
初回は、視線入力装置tobiiの設定や、Eyemotの使い方、パソコンと本生の身体の角度調整などを、ICT活用ブロックリーダーに教えていただいた。
課題学習の時間に、①風船割り ②ペイント ③ドレミ(ピアノ)の3つに、一日20分程度取り組んだ。
ICT活用ブロックリーダーの月1回の巡回の際に、活動の様子を見ていただき、アドバイスをいただいた。
併行して、生活単元学習のひろばの飾りとして、ペイントで仕上げた作品を印刷して貼る活動を行った。
取り組みの成果
風船割りでは、左側もしくは中央に集中することの多かった視線の軌跡が、回数を重ねるごとに、画面の隅々まで広がってきた。画面を注視して風船を割ることができる回数が、少しずつ増えてきた。風船や飛行機を目で追うことができるようになってきた。職員がパソコンを立ち上げてtobiiを設置せずに風船割りを開始してしまったとき、何度も職員と画面を交互に見るという姿が見られた。
ペイントでは、画面の白い部分が減り、隙間なく色を塗ることができるようになってきた。職員の「こっちの方も塗れるといいね」「ここ空いてるね」などの声がけで、職員の指さした辺りに視線を向けられることが増えた。
ドレミでは、ドレミの環状を囲むように、視線の軌跡も環状になってきた。
視線入力装置の設置・使用・活用方法を教えていただき、角度の調節も職員でできるようになり、活動の中に積極的に“見る”活動を取り入れるようになった。また、生活の中で生徒が“見ている”と感じる場面が多く見られるようになった。(例)食事支援者の手元の茶碗をじっと見つめる、美術の時間に自分の描いた作品のほうを見つめる、近くを通った生徒や職員を目で追う、など。
実際の写真
C2-3
カメラ機能やスケジュール機能を使った自立活動
部・学年
小学部2年
障がい種
知的障がい
指導場面
自立活動
活動内容
①衣類を畳む学習 ②ボディイメージの学習
使用機器類等
iPad、アプリ「カメラ」、「DropTap」
具体的な活用の様子
① 衣服の正しい畳み方を手順に入れて、自分で確認したり評価したりして進めるようにした。端が揃っていないかったり雑に丸めて畳んだりする姿が見られたので、補助具を用意して、より正確に滞ることなくできるようにした。
② ①と同様に、ピクトグラムを真似した自分の写真を使って、正しい体の動きを確認できるように練習をした。当初用意したピクトグラムが難しすぎて形が曖昧になってしまったり、写真を撮ることだけに気を取られたりしていたが、より単純な動きを選び、指先や手の位置などをより正確に再現できるようにした。
取り組みの成果
いずれの活動も、「見て正しく再現する」ことを目指した。①最初は担任がiPadでセルフタイマーを押していたが、自分で操作をすぐに覚え、iPadの設置、撮影、見返しをスムーズに行うことができた。自分でiPadを使って確認ができ見通しがもてるようにしたことで、途中で飽きてしまったり目的を忘れてしまったりすることが減った。撮影した後で納得がいかないと、自分で首を傾げ、再撮影することもあった。
➁1手順ずつ確認して、写真と同じ形になっているのかを確認した後で、チェックボックスをタップした。うまく行かず、ずれた時に手順を戻ってやり直すこともできた。
実際の写真
C2-4
スイッチを使ったタブレット操作
部・学年
小学部2年
障がい種
重度重複障がい
指導場面
自立活動
活動内容
スイッチでタブレットを操作して絵本をめくる活動
使用機器類等
iPad、アプリ「Keynote」、フレキシブルスイッチ、Bluetoothキーボード(改造)
具体的な活用の様子
①手を使っての操作が難しいため、フレキシブルスイッチを額で操作し、Bluetooth keyboardでつながったタブレットに表示される絵本のページをめくる活動を設定した。
②最初はスイッチ操作の練習として、VOCAに好きな言葉や教師のメッセージを録音し、フレキシブルスイッチをつないで額でスイッチを入れて再生する活動を行った。
③確実にできるようになってきたら、iPadアプリ「Keynote」で作成した絵本(音声入り)につなぎ、スイッチでページをめくる活動を導入した。
取り組みの成果
②について、フレキシブルスイッチを左側の額に当たるようにセッティングして待っていると、スイッチの存在に気付いて左側に首を動かす姿が見られるようになった。視覚的な情報を取り込むのが難しい児童のため、スイッチがおでこに当たる感触と音のフィードバックで活動を理解し、一度の取り組みで10回以上スイッチを入れることができるようになった。
③について、額で1回スイッチに触れると押し続けてしまい、ページがどんどん進んでしまうことがあったが、活動を重ねるごとに1回スイッチを押したら頭を戻すことが時々できるようになってきている。今はその練習をしているところである。
実際の写真