B2 機器操作支援
B2-1
QRコードリーダーを使った活動支援
部・学年
小学部4年
障がい種
知的障がい 自閉スペクトラム症
指導場面
生活単元学習
活動内容
タブレットのQRコードリーダーを使った活動支援
使用機器類等
iPad、電子黒板、アプリ「カメラ」「Keynote」「iMovie」、スタンプラリー作成サービス「RALLY」
具体的な活用の様子
はじめに電子黒板で教師が演じる七夕の動画を見て、友だちや教師と一緒に七夕に関わるスタンプを集めて回るという見通しを持つ。
1人で操作できる児童はカメラ機能を使ってQRコードを読み取り、操作が難しい児童は教師がカメラ機能を起動し、一緒にQRコードを読み取る支援を行った。
保健室や図書館など校内のチェックポイントにQRコードを貼っておき、そのQRコードを読み取るとポイントを得ることができる。全ての場所のQRコードを読み取り、ポイントが貯まると次のストーリーに進める。
取り組みの成果
毎時間Keynoteで作成した授業の導入の動画を電子黒板で流したり、織姫と彦星が会えるようにQRコードを探してきて欲しいことなどを電子黒板にて視覚的に伝えたりしたことで、目的がはっきりし、活動に見通しを持ち自分から進んでQRコードを見つけに行く姿が見られた。
個別支援が必要な児童でも自分でQRコードをカメラの枠内におさめ、ポイントを得られることで興味を持って活動に参加できた。
始めは教師と一緒に操作していた児童も、徐々に操作に慣れて1人で4つのチェックポイントすべてのQRコードを読み取れるようになった。
感染症予防の関係で活動や場所が制限される中、学年全体でできる活動として児童の興味に合わせてICTを活用したことで主体的に取り組む姿が見られた。
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B2-2
タッチペンを使った余暇活動
部・学年
高等部1年
障がい種
軽度知的障がい 自閉スペクトラム症
指導場面
余暇時間
活動内容
タッチペンとiPadアプリ「お絵かきバトル」を使い、友だちとコミュニケーションをとりながら絵を描く
使用機器類等
iPad、スタイラスペン、アプリ「 お絵かきバトル」
具体的な活用の様子
寄宿舎の余暇の時間でタブレットを使った活動を行った。
お絵描きが好きな本生は、タッチペンとiPadのアプリ「 お絵かきバトル 」を使い、友だちと交互に絵を描いて得点を競ったり、絵に対する辛口コメントを読んで楽しんだりしながら余暇時間を過ごしている。
取り組みの成果
教室の授業や日常生活からタブレットを使用していたため、スムーズに機器を扱うことができた。また、タッチペンの扱いにも慣れることができたので今後の活動に活かすことができそうだ。
夜の余暇時間を暇そうにしていた本生にタッチペンと上記アプリを渡すと絵を描いて過ごすようになった。そのうちほかの舎生と得点を競ったりお互いの絵や絵に対するAIの辛口コメントを見合ったりしてコミュニケーションが増えた。
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B2-3
アプリを使った曲作り
部・学年
高等部3年 7名
障がい種
知的障がい
指導場面
余暇活動の時間
活動内容
アプリを使って各々が曲を作り、共有する
使用機器類等
iPad、アプリ「ガレージバンド」「iMovie」、Windows PC、アプリ「ゼンビート」
具体的な活用の様子
ドラムのビートシーケンサー機能を使ってリズム作りを行う。サーフェスを使っていた生徒は「ゼンビート」をダウンロードしてインストールした。
作ったリズムを録音し、録音した音源を重ねる手順の指導を受け、更に複雑な加工をする。休み時間や余暇活動の時間にも自分で進んで作品作りを重ねた。
様々な方法で、自分で演奏した音源を重ねる方法を学んだ。「iMovie」を使って自分のイラストや画像と合わせて加工し、動画を作成した生徒もいた。
友だちの作ったメロディやリズムをシェアし合ってより長い曲を作ったり、アレンジを考えたりした。
取り組みの成果
iPadの活用として、YouTube視聴ばかりになっていた生徒は、この授業を通して、タブレットでは制作活動などの「他のこと」ができるとわかり、曲作りをきっかけに動画や絵画の制作へと興味を広げて行った。
口頭の指示の理解が難しく集団授業が苦手な生徒も、音楽作りを見て「同じことをやりたい。」と着席して参加することが増えた。
動画制作をしている生徒は音楽を使うときに著作権を意識していたが、自分で作れると知って、画像に合わせた曲を作ってみたいと話していた。
肢体不自由があり手指がうまく動かせない生徒も非常に意欲的に行っていて、寄宿舎や家庭へ帰ってからも空いた時間に取り組んでいたとのことだった。卒業前のお別れ会で自分の作った曲を発表して大きな拍手をもらった。
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B2-4
PC入力操作の向上を目指したプログラミング学習
部・学年
高等部普通科2年
障がい種
視覚障がい
指導場面
自立活動の時間
活動内容
Excel言語VBAでコーディングする活動を通して、音声を利用したPC操作やタッチタイピングに慣れる
使用機器類等
Windows ノートPC、Excel、PC-Talker(音声読み上げソフト)、Microsoft Adaptive Kit
具体的な活用の様子
点字を使う生徒のため、普段は点字携帯情報端末を使用して学習をしている。この端末では、点字・テキスト等と文書作成ができるが、漢字かな交じりのレポートの作成となると校正などの面から難しい。
卒業後の進学先で文書作成やWeb検索、メールソフト使用などの機会が増えることを考えると、ノートPCの使用が必要と考えられた。
音声を使用してPCを利用するため、キーボードの配置を覚える必要がある。基準となるキーやよく使用するキーを決めだし、Microsoft Adaptive Kitを貼り付け、手掛かりとすることにした。
アルファベット等のキー配列は、およそ確認できている段階であった。アルファベットのキー配列に加えて、半角全角の変換や記号、コマンドなどの操作が求められることから、コーディング活動(じゃんけんゲーム作成)を取り入れた。
取り組みの成果
コーディング活動を通してタッチタイピングの練習をすることで単に五十音や記号入力の練習に比べ、具体的な作品ができることから前向きな取り組みが見られた。
Microsoft Adaptive Kit を使用することでノートPCのキー配列を確認する時間が短縮され、スムーズな入力につながった。
コーディング時の文字入力練習だけでなく、作成したゲームのマクロの実行などに必要なPC全般の操作も必要になるため、PC操作の総合的な力が身に付くと感じた。
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B2-5
得意な活動を通してiPad使用のルールを学ぶ
部・学年
高等部3年
障がい種
知的障がい
指導場面
修学旅行の事前及び事後学習、zoomによる学習、宿題
活動内容
iPad内のデータをGoogleスライドを使って記録をまとめたり、zoomで授業参加をして日記アプリを用いた取り組みの発表をしたりする
使用機器類等
iPad、アプリ「Googleスライド」、「Brave」、「zoom」
具体的な活用の様子
不登校傾向の生徒に対し、学習しながらルールを守ることを獲得していけるように、生徒の得意なことを活かせる活動を取り入れた。
やり取りをしながら学習を進めるよりも、提示された写真やイラストを見て自分で進めた方が得意ということがわかったので、アプリについての説明書を用意した。
学習を始めるにあたりiPadの容量が写真でいっぱいになっていたので、データの整理をする学習から始めた。段階を経て、zoomを用いて朝の会への参加、修学旅行に持ち出すためのアプリ「Brave」の操作学習、修学旅行での思い出をまとめるためのGoogleスライドの操作学習、記録することの発展的学習として、日記アプリを使った宿題への取り組みなどの学習場面を設定して授業を行った。どの学習でも、iPadをルールの中で活用することをねらいに位置づけた。
取り組みの成果
説明書を見ながら自分で操作し、取り組んだことについて褒められた結果、次の活動への意欲が高まるという好循環が生まれた。
年度当初はスマートフォンやiPadを手放すことが難しい状況だったが、約束して取り組むことを繰り返した結果、学校生活ではスマートフォンを預け、必要な時にのみiPadを使うなど、約束の中でICT機器を使う習慣が身についてきた。
できる状況づくりを続けていった結果、zoomを使った朝の会では、「DropNews」を画面共有し、アナウンサー役を行う場を設定すると、活躍する姿が見られた。
購入した商品についての説明を日記アプリに記録し、学級の友だちの前で発表した。
機器操作で分からないことや困ったことがあった場合は、登校後にICT利活用担当教員に相談にくることが増えた。また、やり取りすることは苦手と思われたが、相談後には「ありがとうございました」と伝える姿が見られた。
実際の写真