A1-1
iPadを用いた朝の会の司会進行
部・学年
小学部1年
障がい種
知的障がい
指導場面
朝の会
活動内容
進行カードとiPadを使いながら会の進行を行う
使用機器類等
iPad、アプリ「DropTap」
具体的な活用の様子
園児のころから家では話をするが、関わる人とは話をする姿は見られなかった。小学部に入学後も驚いたり何かに反応したりして声を上げることは見られたが、園の情報と特に違いは見られず、友だちや教師に何かを伝えるときは身振りで伝えていた。
朝の会等で「司会を任せてみたい」という担任の願いから、iPadのアプリ「Drop Tap」を導入した。教師が示範するところから取り組みを始め、指さし等のヒントから本児が気がついて操作する機会を設定し、ヒントを出す回数を徐々に減らした。
朝の会の当番活動を繰り返す中でだんだんと操作を覚え、自分で進行カードをめくりながら、iPadを操作して会を進めるようになった。
取り組みの成果
3~4回当番をすると操作に慣れてきた。タップすると音が出るというiPadの手軽な動作や、進行カードをめくって自分の力で会が進行することが実感できたことで、会を進めていく中で笑顔になっていった。
教材については、児童の実態にあわせながら、イラストカードや進行カードと同様の写真を取り入れて視覚的にわかりやすくしたり、担任の声を取り込んでiPadの操作に安心感を持てるようにしたりしたことが、自信を持って取り組む様子に繋がったと感じられる。
家では、「いつ当番?」と家族に話をして、学校に来ることや当番活動をすることを楽しみにしている様子が伺えた。
実際の写真
A1-2
読み上げ機能やVOCAアプリを使って人に伝える活動
部・学年
小学部2年
障がい種
知的障がい
指導場面
課題学習、日常生活で発語が必要となる場面
活動内容
読み上げ機能やアプリを使って、必要なことを伝えるようになる
使用機器類等
iPad、アプリ「ごじゅーおん」、「DropTap」
具体的な活用の様子
音声による発語が難しく「おう」「あー」などは発音できるが、コミュニケーション手段は、音の出るひらがな絵本を活用していた。ひらがなは、よく理解している。
iPadをコミュニケーション専用機として画面をシンプルにした。
家庭、学校で同じように使用できるようにして、いつでもコミュニケーションに活用できるようにした。
操作方法は担任が見本を見せて、繰り返し練習した。入力に使用するアプリの起動やシンボルの作成等を本人が行えるようにした。
発語が必要になる場面や気持ちを伝える場面で活用した。
学校では朝の会の進行や天気の発表、家庭と連携している課題学習での対話学習、余暇時間等で使用した。また、家庭では学校で取り組んだ対話学習の見返しに使用した。
取り組みの成果
取組前までは、対話学習など決められた活動や教師の指示でiPadを使うことが多かったが、活用するようになってから、登校後、朝の会、余暇など自分で進んで活用するタイミングが増加した。例えば、朝の会で「今日の天気」を伝える係の仕事は、絵カードの指さしで行っていたが、取り組みを始めてからはごじゅーおんでその日の天気を打ち込み、読み上げ機能で発表するようになった。
日常生活の中でも、その日の予定を自分で入力して担任と確認したり、不在のクラスメートの名前を入力し「〇〇やすみ」と確認したりするようになった。また、行事や家庭での外出予定など、楽しみがあるときには「〇〇いく」「〇〇みる」などとを入力して担任に伝える姿がよく見られるようになった。
機器の操作に関しては、本人が使い方を探求し、ロックを解除しなくても入力ができるロック画面の検索ウィンドウに文字を入力してコミュニケーションを取るようになった。
写真日記(おうちの方の撮影した写真に言葉を添える)を宿題にしたところ、撮影にも興味を示した。そこで、Droptapに「写真をとっていいですか」というボードを作成し、撮影の前に許可を取るよう約束した。余暇時間に担任に「写真をとっていいですか」と尋ねて撮影している。
実際の写真
A1-3
VOCAアプリを用いたコミュニケーション
部・学年
中学部1年
障がい種
重度重複障がい
指導場面
日常生活、個別学習
活動内容
iPadアプリ「DropTap」を使い、教師や学校看護師、友達とコミュニケーションをとる
使用機器類等
iPad、アプリ「DropTap」
具体的な活用の様子
気管切開をしているため、発語が困難であるが、伝えたい思いが強い。大きな身振り手振りや表情、簡単な手話で気持ちを伝えていた。また、舌を使って「ちゃっちゃ」と音を出したり手を叩いたりすることで周りの注意を引いていた。中学部に進学し、担任や友達など関わる人が変わったり、指の関節が硬くなってきたことにより、手話が不明確になったりすることで、自分の思いが正確に伝わらない経験が積み重なった。
伝わらない経験が積み重なったことで、コミュニケーション意欲が低下したり、伝わらないイライラから人工鼻を投げつけたりする姿が見られた。
誰にでも正確に伝わる手段として、アプリ「DropTap」のコミュニケーションボードを利用する学習を取り入れた。
取り組みの成果
コミュニケーションボードを利用するまでは、動きや表情で読み取れる人が間に入って通訳したり発表したりしていたが、コミュニケーションボードをタップするだけで自分の思いが伝えられるようになったので、どんな人とも自分からの働きかけによって直接コミュニケーションをとれるようになった。
担当教師と話し合いながら、必要なコミュニケーションボードを作成していった。クラスで使うボード、医療的ケアをお願いする時に使うボード、学校の先生・友達のボードなど半年で35種類のボードを作成した。教師や友達のボードを作成する時は自分でそこまで出向き、写真を撮って作成する活動を行った。
友達の名前や動作の名称等、どのくらい認知しているのかを客観的にアセスメントすることができた。
コミュニケーション意欲が向上し、心理的な安定に繋がったことから、人工鼻を投げつけることがなくなった。
実際の写真
A1-4
VOCAアプリを使って食べたい物を伝える
部・学年
中学部3年
障がい種
知的障がい 自閉スペクトラム症
指導場面
給食
活動内容
DropTapを使って、食べたい物、いらない物を伝える
使用機器類等
iPad、アプリ「DropTap」
具体的な活用の様子
発語が困難なため、自分の気持ちを伝える事が難しく、給食時にお皿を投げてしまうことがある。そこで、自分の食べたい物、食べたくない物を表出できるように、音声表出の代替手段としてVOCAアプリ「DropTap」を個人用のiPadにインストールし、表出できる場面を設けた。
DropTapで「ください」「いらない」のシンボルを用意し、本人が手を伸ばして届く場所にiPadを用意した。
まず、給食全品を味見ができるように、お皿に少量盛り付けて試食し、食べたい物は「ください」のシンボルをタップし、食べたくない物は「いらない」のシンボルをタップする。
取り組みの成果
DropTapを使用する前は一週間の給食5日間中、平均4日間はお皿を投げてしまっていたが、VOCAアプリを使用してからは、お皿を投げるのは、ほぼ0日になった。
給食中の生徒の表情がよくなった。また、食べ終わってからも笑顔が多く見られるようになった。
DropTapが本人にとってコミュニケーションツールとして有効であることがわかり、今後の日常生活でも取り入れていくきっかけ作りになった。
実際の写真
A1-5
【NEW!】 リアルタイムチャット用いたコミュニケーション
部・学年
高等部2年
障がい種
場面緘黙 発達障がい
指導場面
学級活動
活動内容
担任の教師の質問に対してチャットアプリを通して返答を行う
使用機器類等
iPad、アプリ「Google Chat」
具体的な活用の様子
家庭で家族と会話をすることはできるが、学校の中で言葉を発することが難しい。そのため、学校では「Yes・No」で返答できる問いかけをしたり、紙やホワイトボードに選択肢を書いて提示しながら問いかけたりすることで、頷いたり指をさしたりして返答できるようにしていた。
また、紙に書いて意思を伝える際には時間がかかる様子があったため、十分な時間が確保できないと、意思確認が難しい状況があった。
そのような中、家族間でメッセージアプリを使用しコミュニケーションをとっていることを知り、それをヒントに学校での意思確認の手段として、チャットアプリを活用することとした。
取り組みの成果
担任の教師が口頭で質問したことに、チャット画面に返答を入力するように促すと、今まで以上にコミュニケーションがとれるようになった。もともと文字入力がスムーズなことから、円滑なコミュニケーションとなった。
当該生徒が学校で体調不良になったときには、自らiPadを取り出し、メモアプリを使って自分の症状を伝えようとするなど、自分からiPadをコミュニケーションツールとして活用するようになった。
学級全体でもグループチャットを活用するようにしたところ、それまで参加をしていなかった言葉遊びのカードゲームなど、学級レクに参加するようになった。また、学級での話し合い活動にグループチャットを使用するようにしたことで、レクや宿泊学習の計画場面で、自分から意見を出して話し合いに参加するようになった。
実際の写真
A1
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